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審決分類 審判 判定 その他 属さない(申立て不成立) Z21
管理番号 1096897 
判定請求番号 判定2003-60091 
総通号数 54 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標判定公報 
発行日 2004-06-25 
種別 判定 
2003-11-19 
確定日 2004-04-21 
事件の表示 上記当事者間の登録第4246297号商標の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 商品「紙製角型一人コンロ用鍋」に使用するイ号標章は、登録第4246297号商標の商標権の効力の範囲に属しない。
理由 1 本件商標
本件登録第4246297号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)に示すとおり、立体的形状に「(K&MI S&N)A.BEかみさんなべ」(但し、「さん」の文字部分は、菱形内に書されている。)の文字を配してなり、平成10年2月9日に立体商標として登録出願、指定商品を第21類「なべ」として、同11年3月5日に設定登録がされたものである。

2 イ号標章
被請求人に係る商品「紙製角型一人コンロ用鍋」について使用するものとして、請求人の提示した標章(以下「イ号標章」という。)は、別掲(2)に示すとおり、立体的形状よりなるものであり、商標登録願2003年第69484として立体商標の登録出願がされたものである。

3 請求人の主張
請求人は、被請求人が商品「紙製なべ」について使用するイ号標章(商願2003ー69484号)は、本件商標の商標権の効力の範囲に属するとの判定を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第14号証(枝番を含む)及び参考資料を提出した。
(1)判定請求の必要性
請求人は、本件判定請求に係る本件商標の商標権者である。そして、被請求人が商品「紙鍋」にイ号標章を平成13年初め頃より製造、販売していので甲第14号証(2回目の警告と回答)で警告書、1回目平成13年12月27日付けで出すも進展なく、これ以上の警告書は酷であるから、本件判定を求めるに至った。
(2)イ号標章の説明
請求人は本件商標及びイ号標章と同一立体的図形の紙鍋を製造、販売を昭和58年頃より使用していたが、平成8年立体商標制度が導入されて、本件商標が登録になった。15年以上16ヒダの同形の五徳と共に消費者に親しまれてきた。平成13年初め頃より、同一形状の紙鍋をマルトモ産商が製造、販売しはじめたため、本件商標と同一のイ号標章を登録申請したものである。
(3)イ号標章が商標権の効力の範囲に属するとの説明
イ号標章の拒絶理由通知書で本件商標が引用され、商標法第4条第1項第11号に該当するとのことである。
また、本件商標にかかる指定商品は区分21類のなべと紙製角型一人コンロ用鍋とは類似の商品である。イ号標章の色彩を付けた甲第13号証(2)で示した拒絶理由でも、本件商標を引用例とされているので、商標権の効力範囲と考える。イ号標章の商標登録出願(商願2003ー69484号)についての拒絶理由通知には意見書を提出せず、商標権の効果の範囲に属することを主張する。甲第5〜8号証及び甲第10〜13号証は立体的図形で、本件商標はイ号標章と形状は同一であるが、本件商標が引用され、又、甲第3〜4号証及び甲第9号証等類似立体図形でさえ、拒絶理由に本件商標を引用している甲第2(2)、11(2)、13(2)号証の様な事実は調理用紙鍋に使用する第21類鍋で、甲第2号証で示したイ号標章は、本件商標甲第1号証の商標権の効果の範囲に属するものである。

4 被請求人の答弁
被請求人は、何ら答弁していない。

5 当審の判断
(1)平成8年法律第68号により改正された商標法は、立体的形状若しくは立体的形状と文字、図形、記号等の結合又はこれらと色彩との結合された標章であって、商品又は役務について使用するものを登録する立体商標制度を導入した。
立体商標は、商品若しくは商品の包装又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状も含むものであるが、商品等の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであり、本来的(第一義的)には商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として採択されるものではない。
そして、商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは前記したように、商品等の機能又は美感をより発揮させるために施されたものであって、本来的には、自他商品を識別するための標識として採択されるのではなく、全体としてみた場合、商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者・需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するに止まり、このような商品等の機能又は美感と関わる形状は、多少特異なものであっても、未だ商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないと解するのが相当である。
また、商品等の形状は、同種の商品等にあっては、その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるから、取引上何人もこれを使用する必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。
そうとすれば、商品等の機能又は美感とは関係のない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状をもって構成される商標については、使用をされた結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者・需要者間において、当該形状をもって同種の商品等と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。
(2)これを本件についてみれば、本件商標は、別掲(1)に示すとおり、底が比較的浅く幾つもの襞を有する口が開いた鍋を表した立体的形状よりなるものに、該底部分に「(K&MI S&N)A.BE」の記号及び欧文字と「かみさんなべ」(但し、「さん」の文字部分は、菱形内に書されている。)」の記号及び平仮名文字とを一連に「(K&MI S&N)A.BEかみさんなべ」と配してなるものである。
しかして、本件商標を構成する立体的形状よりなる部分は、本件商標の指定商品である「なべ」の一つ「調理用紙なべ」に係る商品のもつ機能を効果的に発揮させ又は商品の美感を効果的に際だたせるための範囲内というべきであり、商品の出所を表示し、自他商品識別機能を果たすものということができない。
そうとすれば、本件商標の立体的形状部分は、商品の形状を表示したものと認識されるに止まり自他商品識別機能を果たし得ない部分であるから、商標法第26条第1項第2号に該当する商標権の効力が及ばない範囲といわなければならない。
他方、イ号標章は、別掲(2)に示すとおり、底が比較的浅く幾つもの襞を有する口が開いた鍋を表した立体的形状よりなるところ、その立体的形状は、本件商標を構成する立体的形状と同様に、商品の機能又は美感をより発揮するために施されされた形状と認められるもので自他商品識別機能を有しないものである。
してみれば、被請求人が商品「紙製角型一人コンロ用鍋」について使用するイ号標章は、商品の形状を普通に用いられる方法で表示するものであるから、本件商標の商標権の効力の範囲に属しないものである。
なお、請求人は、「イ号標章は、その商標登録出願に対し、拒絶理由通知で本件商標が引用され商標法第4条第1項第11号に該当するとしていることからも本件商標の商標権の効力の範囲に属するものである。」旨主張している。
しかしながら、イ号標章の商標登録出願に係る拒絶理由通知は、商標法第4条第1項第11号に該当するものとして本件商標を含む登録商標3件を開示すると同時に、同第3条第1項第3号に該当するとしてその拒絶の理由も開示しているところである。そして、拒絶査定は、どちらの拒絶の理由で拒絶査定になったものであるか必ずしも明確でないが、当合議体は、前述のとおり、判断するから、請求人のこの点に関する主張は採用することができない。
よって、結論のとおり判定する。
別掲 別掲
(1)本件商標(登録第4246297号商標)


(2)イ号標章(商願2003ー69484号)

判定日 2004-04-06 
出願番号 商願平10-9938 
審決分類 T 1 2・ 9- ZB (Z21)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 佐藤 正雄
特許庁審判官 宮川 久成
福島 昇
登録日 1999-03-05 
登録番号 商標登録第4246297号(T4246297) 
商標の称呼 カミサンナベ、ケイアンドミスアンドエヌアベ、ケイアンドエムアイエスアンドエヌエイビイイイ、カミサン、カミ 

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