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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 021
管理番号 1096808 
審判番号 取消2000-31258 
総通号数 54 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2004-06-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2000-10-23 
確定日 2004-05-10 
事件の表示 上記当事者間の登録第3107025号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第3107025号商標(以下「本件商標」という。)は、「キッス」の片仮名文字と「KISS」の欧文字を2段に書してなり、平成5年3月2日登録出願、第21類「化粧用具(「電気式歯ブラシ」を除く。)」を指定商品として、同7年12月26日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、「本件商標の登録は、これを取り消す、審判費用は被請求人の負担とする」との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び同第2号証(枝番を含む。)を提出した。
1 請求の理由
請求人が調査したところによれば、本件商標は日本国内において、今日に至るまで継続して3年以上にわたり被請求人によって使用されていない。また、本件商標の登録原簿には専用使用権又は通常使用権の設定登録がなされていないことのみならず、他に被請求人の許諾を受けてその指定商品について、本件商標を使用している者も見い出し得なかった。
したがって、本件商標は、継続して3年以上、日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが、その指定商品について使用をしていないから、商標法第50条第1項の規定に基づき、請求の趣旨のとおりの審決を求める。
2 答弁に対する弁駁
被請求人は、平成13年3月6日付の答弁書において、本件商標が商品「化粧用具(「電気式歯ブラシ」を除く。)」に使用されている事実を立証すべく、乙第1号証及び乙第3号証を提出している。以下において内容を検討し、弁駁する。
(1)乙第1号証について
被請求人は乙第1号証として「KissME」「ELFE」のパンフレットを提出している。しかしながら、被請求人の提出する該パンフレットの7ページに記載のある商品「キスリップソフトセンス」は「クリアグロス」または「ジュエリーエッセンス」であって、これらは「類似商品・役務審査基準」(特許庁商標課編)によれば「化粧品」(04COl)に属するものである。すなわち、乙第1号証において被請求人が本件商標の使用を主張する商品は「化粧品」であって、本件審判の請求に係る「化粧用具(「電気式歯ブラシ」を除く。)」(21FOI)とは異なるものである。
よって、乙第1号証において、本件商標の使用されている商品はそもそも本件審判の請求に係る商品と異なるものであり、本件商標が本件審判の予告登録された平成12年11月15日前3年以内に本件審判の請求に係る「化粧用具」について使用されていたことを示す証拠とはならない。
(2)乙第2号証について
乙第2号証としては、前記商品「キスリップソフトセンス」の商品台紙及び流通用6個箱を提出している。しかしながら、上記したように該商品は「クリアグロス」または「ジュエリーエッセンス」であって、これらは「化粧品」に属するものであることから、本件審判の請求に係る「化粧用具(「電動式歯ブラシ」を除く。)」と異なるものである。したがって、乙第2号証もまた本件商標がその指定商品について本件審判の予告登録された平成12年11月15日前3年以内に本件審判の請求に係る「化粧用具」について使用されていたことを証明する証拠とはならない。
(3) 乙第3号証について
被請求人は、乙第3号証として「店舗の名簿及び店舗写真」「在庫及び販売報告書」「レシートの抜粋」を提出しているが、これらすべてを総合してみても、本件商標を本件審判の請求に係る「化粧用具(「電気式歯ブラシ」を除く。)」に使用していることを認めることはできない。
まず、「店舗の名簿及び店舗写真」についてであるが、これからは「Kiss」という商号の店舗の存在が確認できるのみであって、本件商標が「化粧用具(「電気式歯ブラシ」を除く。)に使用されている事実は認められない。
また、本件における店舗写真においてみられるような、店舗名としての本件商標の使用のみでは、そこで販売されている商品を指定商品とする商標の使用とはいうべきではない。すなわち、商標の本質は自他商品識別力にあるところ、本件のように単なる店舗名での使用は自他商品識別機能を発揮しない態様というべきである。単に店舗写真のみでは、本件商標が具体的にどの商品に対して使用されたのか特定することはできず、本件商標と商品との関連性は不明である。具体的な商品との関連性が不明である以上、本件商標のこのような使用の態様には自他商品識別標識としての出所表示機能を有していないというべきである。
なお, 本件商標の商標権者は株式会社伊勢半であるが、Kiss 各店舗と商標権者との関係についてなんら説明が無く、両者の関係は不明である。
次に、「在庫及び販売報告書」についてであるが、1枚目に記載のある「キスリップ Sセンス」は具体的に何の商品を指しているのか明確ではない。もし「キスリップSセンス」という表示が「キスリップソフトセンス」のことを指しているのであるとすれば、前記した乙第1号証及び乙第2号証と同じ理由で本件商標が「化粧用具(「電気式歯ブラシ」を除く。)」に使用されている事実は認められない。
また、2枚目に記載のある「パフ」・「スポンジ」・「ブラシ」等は確かに化粧用具ではあるが、この「在庫及び販売報告表」からは本件商標がこれらの商品に付されている事実は認めることはできない。すなわち、この「在庫及び販売報告書」からは本件商標と具体的な商品との関連を証明するものは存在せず、「在庫及び販売報告書」のみでは「Kiss」という営業表示を付した店舗内で「パフ」・「スポンジ」・「ブラシ」等の商品が売買されている事実は確認できても、その商品に本件商標が付されていたという事実は認められない。
また「レシート」については、内容の表記として化粧用具が具体的に示されていないため、これもまた本件商標が具体的な商品との関連で使用されている事実は認められない。
商標の使用は指定商品に付されての使用である必要はないけれども、商標の使用があるとするためには、商標が具体的関係において使用されていなければならないと最高裁判所判例においても示されている(最高裁判例昭和42年(行ツ)32号)。すなわち、たとえ商標が「レシート」等の取引書類に表示されていても、該書類の記載からはその製品である指定商品に関する取引であることが不明であるような場合には指定商品について商標の使用があったとは言うべきではない。本件においては、まさに被請求人の提出した証拠方法の記載からは本件商標の指定商品に関する取引であることが不明であり、このような場合には商標の使用があったというべきではない。
なお、実際に被請求人のKiss店舗において販売されている商品を購入し、撮影した写真(甲第1号証及び同第2号証)を見ても明らかであるように、本件商標が商品自体及びそれに付されている値札にも本件商標の記載は見受けられず、本件商標が「化粧用具(「電気式歯ブラシ」を除く。)」に使用されている事実は認められない。以上のことから、乙第3号証もまた、本件商標が本件審判の予告登録された平成12年11月15日前3年以内に使用されていたことを証明する証拠とはならず、いまだ本件商標の使用の証明がなされていないものである。
(4)結び
このように、被請求人が答弁書において提出してきた各証拠を以ってして、「審判の請求の登録前三年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用していること」を証明しているということはできない。

第3.被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし同第4号証を提出した。
1 答弁の理由
(1)本件商標は以下に提示する証拠からも明らかな如く、過去3年以内に、指定商品中の「化粧用具」に使用されているものである。
(2)即ち、乙第1号証として提示するものは、2000年秋に販売された「KissMe」「ELFE」ブランド商品のパンフレットであるが、該パンフレット7頁に「キス リップソフトセンス」の商品が掲載されており、本件商標「KISS」及び「キス」の文字が付されている。
尚、乙第2号証は前記「キス リップソフトセンス」の商品台紙及び流通用6個箱であり、商品台紙には被請求人の住所及び名称が付されている。商品台紙下部に「…はキスミーの登録商標です。」と記載されているが、キスミーとは被請求人のユーザーに親しまれた愛称である。
(3)また、第3号証として提示するものは、被請求人の販売店「Kiss」及びその販売内容の抜粋であり、「Kiss」ブランドのもとに(2)の「キス リップソフトセンス」を含め、「化粧用具」及び「化粧品」を幅広く販売している。
(4)以上述べたことにより、本件商標が過去3年以内に使用されていることが明らかである。
2 弁駁に対する答弁
(1)被請求人は、平成13年3月6日付の審判答弁書において、乙第1号証ないし同第3号証を提示して本件商標が使用されている事実を証明したが、請求人は平成13年7月2日付の弁駁書にて乙第1号証及び乙第2号証については、本件審判請求に係る「化粧用具(「電気式歯ブラシ」を除く。)」でなく「化粧品」についての使用である旨主張し、乙第3号証についてはKiss各店舗と商標権者関係が不明である事と、「Kiss」の使用が商標の使用にあたらない旨主張している。
(2)請求人は本件審判を請求するにつき、法律上の利害関係を有していない。よって、本件審判の請求は却下されるべきである。
(3)本件商標権者株式会社伊勢半は、被請求人グループを通して製造した化粧品及び化粧用具「パフ」「ブラシ」「スポンジ」(甲第1号証の1)を展示販売している事実を乙第1号証及び2号証を以って明らかにした。この事実について、請求人は平成13年7月2日付弁駁書において認めるところである。
次に乙第3号証をもって、被請求人の製造する前記「パフ、ブラシ、スポンジ」及び化粧品一切を、直販会社の店頭において「Kiss」登録商標を間接的に使用中である事を明らかにする。係る使用は商慣習上常に行われており、請求人の引用する最高裁判所の判例でもある。
よって、請求人の主張は事実に反する。
(4)また、被請求人である株式会社伊勢半製造に係る化粧品及び化粧用具「パフ、ブラシ、スポンジ」を株式会社キスミーコスメチックスを通して「Kiss」ブランドのもとにKiss各店舗にて販売している事実(乙第4号証)を提示する。これにより、Kiss各店舗と被請求人との関係は明らかである。

第4 当審の判断
被請求人は、請求人が本件審判の請求をするにつき、法律上の利害関係を有していない。よって、本件審判の請求は却下されるべきである。と主張しているので、まず、この点について判断するに、商標法第50条の規定による取消審判は、何人も請求することができるものであるから、被請求人の主張は採用することはできない。
そこで本案に入って検討するに、被請求人提出に係る乙第3号証によれば、被請求人は、本件商標と社会通念上同一と認められる「Kiss」の文字の表示を直営店店頭において使用していることを確認し得る。そして、同店舗においては、本件審判請求に係る商品である「パフ」「ブラシ」等の商品を販売していた事実が認められるものであり、その取扱に係る店舗は、本件取消審判請求の登録前3年以内であることが証明されている。
請求人は、店舗名として本件商標の使用のみでは、そこで販売されている商品を指定商品とする商標の使用とはいうべきではない旨主張しているが、店頭看板に「Kiss」の文字を表示して使用し、その店内において請求に係る指定商品中「パフ、ブラシ」等各種商品を販売していることが認められることよりすれば、本件商標は、それらの商品について、被請求人が取り扱う商品の広告としての機能を果たしているものとみるのが相当である。
してみれば、本件商標の使用は、直接商品に付して使用しているものではないとしても、商標法第2条第3項第8号で規定する、請求に係る商品についての広告使用に当たるものといえる。
そうとすれば、被請求人(商標権者)は、本件商標を本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、請求に係る指定商品中に包含される「パフ、ブラシ」について使用していたというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、請求に係る商品について、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2003-06-02 
結審通知日 2003-06-05 
審決日 2003-06-17 
出願番号 商願平5-19567 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (021)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 飯塚 隆神田 忠雄 
特許庁審判長 滝沢 智夫
特許庁審判官 小林 薫
岩崎 良子
登録日 1995-12-26 
登録番号 商標登録第3107025号(T3107025) 
商標の称呼 キッス 
代理人 大賀 眞司 
代理人 田中 克郎 
代理人 稲葉 良幸 

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