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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 016
管理番号 1096747 
審判番号 取消2000-30753 
総通号数 54 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2004-06-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2000-06-28 
確定日 2004-04-30 
事件の表示 上記当事者間の登録第3326183号商標の商標登録取消審判事件についてされた平成15年4月9日付け審決に対し、東京高等裁判所において審決取消の判決(平成15年(行ケ)第207号平成15年10月29日判決言渡)があったので、更に審理の上、次のとおり審決する。 
結論 登録第3326183号商標の指定商品中「新聞,雑誌」については、その登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第3326183号商標(以下「本件商標」という。)は、「花療法」の漢字と「フラワーセラピー」の片仮名文字を上下二段に横書きしてなり、平成6年10月24日に登録出願、第16類「雑誌,新聞,写真,写真立て,文房具類,紙製ハンカチ,紙製タオル, 紙製手ふき,衛生手ふき,紙製テーブルクロス」を指定商品として、同9年6月27日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張(要旨)
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べた。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品中「新聞,雑誌」について、継続して3年以上、我が国において、商標権者、専用使用権者、通常使用権者のいずれによっても使用されていない。よって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、指定商品中「新聞,雑誌」について取り消されるべきものである。2 答弁に対する弁駁(要旨)
(1)乙各号証について
本件商標の「雑誌,書籍,カレンダー,ダイアリー」への使用の事実はないし、乙第1ないし乙第6号証は、本件商標の使用を示すものでは全くない。すなわち、本件商標の「新聞,雑誌」への使用の事実はなく、その証明もない。そもそも、「書籍,カレンダー,ダイアリー」は本件商標の指定商品ではないから、被請求人の「書籍,カレンダー,ダイアリー」への使用の主張は、主張自体失当である。
(ア)乙第1号証において、本件商標「花療法/フラワーセラピー」は、本のタイトルである「心と体を癒す/花療法/フラワーセラピー」の中で使用されているにすぎず、商標として使用されていない。しかも、乙第1号証は、レディスブティックシリーズという、シリーズで出す単行本のうちの一冊であり、雑誌ではない。
なお、「花療法」という言葉も、「花の色、香り、形の放つエネルギー『気』が、バランスの崩れた人間の『気』を補い、停滞した『気』の流れをスムーズにして、健康を回復してくれる。これが花療法です。」という叙述から明らかなように、「花療法」は記述的な名詞として用いられているにすぎず、商標として用いられていない。
要するに、本件商標は、「雑誌」への使用はないし、その使用の「証明」もない。
(イ)乙第2号証において、本件商標「花療法/フラワーセラピー」は、商標として使用されていない。乙第2号証は、わずかに、「花療法」という言葉が治療法を意味する記述的な名詞として使用されていることを示すにすぎず、「花療法」も商標としては使用されていない。
また、乙第2号証は、「健康ダイアリー」というタイトルであり、書籍ではなく、ダイアリーである。
要するに、本件商標は、「書籍,ダイアリー」への使用はないし、その使用の「証明」もない。
(ウ)乙第3号証ないし乙第6号証において、本件商標「花療法/フラワーセラピー」は、商標として使用されていない。また、「花療法」や「フラワーセラピー」は、わずかに治療法を意味する記述的な名詞として使用されているにすぎず、商標として使用されていない。
要するに、本件商標は、「カレンダー」への使用はないし、その使用の「証明」もない。
(エ)被請求人は、乙第7号証ないし乙第57号証により、本件商標の「新聞,雑誌」への「使用」を主張するものではなく、また、「新聞,雑誌」への「使用」を証するものでもない。このことは、被請求人の主張自体から明らかである。
すなわち、被請求人自ら主張するごとく、「新聞,雑誌」のコラムや記事に、「花療法」や「フラワーセラピー」という言葉を使用したものにすぎない。被請求人の「本件商標を使用したコラムや記事」との主張は誤りである。「花療法」や「フラワーセラピー」という言葉が記述的に名詞としてコラムや記事の中で用いられたにすぎず、新聞や雑誌の商標として使用されたものではないからである。本件商標が新聞や雑誌の商標として使用されておらず、「花療法」や「フラワーセラピー」という言葉が花を用いた治療法という意味の記述的に名詞として新聞や雑誌のコラムや記事の中で用いられたにすぎないことは、乙第7号証ないし乙第57号証から明らかである。
(2)被請求人の主張について
答弁書中の被請求人のその余の主張は、いずれも、本件商標の登録を取消すべきであるとの結論に一切影響するものでないうえ、主張自体失当である。
3 よって、本件商標の「新聞,雑誌」への使用はなく、本件商標の「新聞,雑誌」への使用の証明も無いから、請求の趣旨記載のとおり、本件商標の登録は、取り消されるべきものである。

第3 被請求人の答弁(要旨)
被請求人は、答弁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第58号証(乙第58号証は、乙第1号証の「心と体を癒す/花療法/フラワーセラピー」の表題のある印刷物の裏表紙である。)を提出した。
1 答弁(第1回)
本件商標は、商標権者である本件被請求人片桐義子によって登録され使用されてきたものである。被請求人は、本件商標登録後も指定商品「新聞,雑誌」について使用しており、また今後とも使用する意思があり、その使用の必要性も極めて大である。
被請求人は、本件商標を「雑誌」(乙第1号証 心と体を癒す/花療法/フラワーセラピー」1998年)に使用し、「新聞,雑誌」と類似関係にある書籍、カレンダー、ダイアリー等についても本件商標を使用している(乙第2号証ないし乙第6号証)。また、「新聞,雑誌」には、本件商標を使用したコラムや記事を掲載若しくは連載する等、本件商標の下に、継続して全国規模での活動を行ってきている(乙各号証)。
被請求人は、本件商標登録以前から、本件商標の下に「それぞれの花が人体に及ぼす精神的、肉体的効用」を研究し、新聞、雑誌、書籍、テレビ、講演会等における継続的な活動を通じて、これを全国に広め、「花療法/フラワーセラピー」といえば「片桐義子」と認められるまで著名となった(各乙号証)。本件商標は、被請求人の周知商標となっているのである。
なお、本件商標下における被請求人の活動を記した証拠資料については、本件審判請求日前3年以内のものに限定した。
したがって、被請求人の周知商標となっている本件商標が、被請求人の提唱する内容を記載する重要な媒体である「新聞,雑誌」について登録が取り消されるとなると、本件商標下に蓄積された本件被請求人の業務上の信用が失墜し、これまでの努力が無に帰し、被請求人は多大な不利益を被るばかりとなる。
よって、本件商標は、指定商品「新聞,雑誌」について取り消されるべきでない。
2 答弁(第2回)
(1)乙第58号証にあるとおり、第一答弁書提出の際、証拠書類として提出した乙第1号証の裏表紙に雑誌コードが付されている。
乙第1号証(乙第58号証)は雑誌であり、被請求人は、雑誌に本件商標を使用している。
(2)被請求人は、「雑誌」(乙第22号証ないし乙第57号証)並びに、「新聞,雑誌」と商品において類似関係にある書籍(乙第7号証及び乙第8号証)、カレンダー(乙第3号証ないし乙第6号証)、その他印刷物(乙第2号証及び乙第3号証)について、被請求人の提供する役務若しくは商品の広告、宣伝に該当する行為(法第2条第3項第7号)として本件商標の使用を行っている。
(3)被請求人の本件商標下における雑誌(乙第1号証、乙第22号証ないし乙第57号証)、新聞紙面(乙第9号証ないし乙第21号証)を通じての全国的活動、本件商標を普及させた貢献度及びその著名性に鑑みれば、他者が本件商標を雑誌、新聞等に使用する場合、被請求人に係わる商品であるとの誤認を招くおそれがあり、永年に渉って蓄積された被請求人の業務上の信用が毀損されるおそれがある。本件商標の登録は、これまで蓄積された被請求人の業務上の信用を保護するため、特に、被請求人の活動内容を知る悪意の他者による本件商標へのフリーライドから本件商標に化体した被請求人の信用を保護するために必要なものである。
(4)いずれにしても、本件審判の主題である「使用」という事実については、乙第1号証(乙第58号証)をはじめ、乙各号証にて示すように、被請求人が直接的、間接的に本件商標を「雑誌,新聞」に使用しており、また、本件商標下に被請求人の業務上の信用が化体していることは明らかである。
(5)以上のとおり、本件商標は、指定商品「新聞,雑誌」について、登録を取り消されるべきではない。

第4 当審の判断
1 被請求人が提出した乙第1号証ないし乙第58号証によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第1号証及び乙第58号証は、表表紙の中央上部に「心と体を癒す」及び「花療法」の表題の下に、4分の1程度の大きさの文字で「フラワーセラピー」と表示され、中央下部に「片桐義子著」の記載がある。
また、裏表紙には、表表紙と同様に中央上部に「心と体を癒す」及び「花療法」の表題の下に、4分の1程度の大きさの文字で「フラワーセラピー」と表示され、その左下に「1998年5月20日発行第1刷」、「レディブティックシリーズ通巻1289号」及び「雑誌コード69629-89」の記載、右下に「ISBN4-8347-1289-3」及び「C9476 ¥886E」の記載がある。
さらに、背表紙の上部に、「心と体を癒す」及び「花療法」の表示があり、その下部に「ブティック社」の文字の記載がある。
(2)乙第2号証ないし乙第6号証は、ダイアリー及びカレンダーであって、「花療法」又は「フラワーセラピー」の記載がある。
(3)乙第7号証及び乙第8号証は、発行日が不明な、被請求人の著書「続・花療法 くらしの中の無限パワー」(東京新聞出版局)及び「身近に活かす 花療法 色と香りでリフレッシュ」(竹内書店新社)の表題の書籍である。
(4)乙第9号証ないし乙第21号証は、いずれも本件審判請求の登録前3年以内(平成9年9月18日から同12年7月31日まで)に発行された「花療法」又は「フラワーセラピー」のことが掲載された新聞記事又は新聞コラムである。
(5)乙第22号証ないし乙第57号証は、本件審判請求の登録前3年以内(平成9年6月15日から同12年7月6日まで)に発行された「花療法」又は「フラワーセラピー」のことが掲載された雑誌の記事である。
2 以上の事実を総合勘案すると、先ず、乙第2号証ないし乙第57号証は、ダイアリー、カレンダー、書籍、新聞記事そのものであって、本件商標の指定商品中の「新聞,雑誌」についての使用事実を立証するものとは認められないものであ。。
次に、乙第1号証及び乙第58号証は、裏表紙の右下部に「雑誌コード69629-89」の記載があるとしても、その上部に「1998年5月20日発行第1刷」、「レディブティックシリーズ通巻1289号」の記載があり、具体的記述内容は、「心と体を癒す花療法」の表題のとおり、病気の各症状について、花療法70種類、季節の花と花贈り、花療法とは等、花を用いた療法を主とした内容であって、定期的に刊行される雑多なことを記載した書物とは認め難いものであるから、本件商標の指定商品中の「雑誌」についての使用事実を立証するものとはいえないものである。
また、他に、本件商標が請求に係る指定商品について使用されたと認め得る証拠の提出は見いだせない。
3 むすび
以上のとおりであるから、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、その取消請求にかかる商品に使用されたものとはいえないから、結局、本件商標は、その指定商品中の「新聞,雑誌」についての登録を商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2003-03-25 
結審通知日 2003-03-28 
審決日 2003-04-09 
出願番号 商願平6-107483 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (016)
最終処分 成立  
前審関与審査官 酒井 福造 
特許庁審判長 野本 登美男
特許庁審判官 椎名 実
柳原 雪身
登録日 1997-06-27 
登録番号 商標登録第3326183号(T3326183) 
商標の称呼 ハナリョーホー、フラワーセラピー 
代理人 古木 睦美 
代理人 佐藤 雅巳 
代理人 小島 高城郎 

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