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審決分類 審判 全部無効 商4条1項11号一般他人の登録商標 無効としない Z42
審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない Z42
管理番号 1096572 
審判番号 無効2001-35174 
総通号数 54 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2004-06-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2001-04-20 
確定日 2004-04-13 
事件の表示 上記当事者間の登録第4445888号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4445888号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、第42類「飲食物の提供」を指定役務として、平成11年12月14日に登録出願、同13年1月19日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張要旨
(1) 請求人は、登録第4445888号の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を次のように主張し、証拠方法として甲第1号証ないし甲第86号証(枝番号を含む。)を提出した。
(2)引用商標について
請求人が引用する登録第4439044号商標(以下「引用A商標」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務(「飲食物の提供」を含む。)を指定役務として、平成11年8月30日に登録出願、同12年12月8日に設定登録され、同登録第2700756号商標(以下「引用B商標」という。)は、別掲(3)のとおりの構成よりなり、第26類「印刷物、書画、彫刻、写真、これらの附属品」を指定商品として、平成4年3月31日に登録出願、同6年12月22日に設定登録され、同登録第2700757号商標(以下「引用C商標」という。)は、別掲(4)のとおりの構成よりなり、第26類「印刷物、書画、彫刻、写真、これらの附属品」を指定商品として、平成4年3月31日に登録出願、同6年12月22日に設定登録され、同登録第1712234号商標(以下「引用D商標」という。)は、別掲(5)のとおりの構成よりなり、第26類「雑誌」を指定商品として、昭和56年11月24日に登録出願、同59年9月26日に設定登録され、同登録第2240819号商標(以下「引用E商標」という。)は、別掲(6)のとおりの構成よりなり、第26類「雑誌、新聞」を指定商品として、昭和62年11月13日に登録出願、平成2年6月28日に設定登録され、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
(3)本件商標の商標法第4条第1項第11号該当性について
引用A商標採択の根拠は、アメリカ合衆国で男性用ファッション雑誌、或いは男性用ライフスタイル雑誌として1957年(昭和32年)に創刊されて以来、44年もの長年月に亘り継続的に発行され、現在はアメリカ以外の世界各国に於も発行されている世界的な著名性を有する男性用の雑誌「GQ」のタイトルに基づくものである。
この雑誌の内容は、男性用のファッションを始めとし、酒、食べ物、飲物、バー、ダンス、車、その他の男性の嗜好を中心とした男性用のライフスタイル雑誌である。即ち、請求人の所有に係る引用A商標は、請求人が使用している男性用のファッション雑誌、或いは男性用のライフスタイル雑誌として世界的に著名となっている登録商標「GQ」(GENTLEMEN’S QUARTERLY)(甲第7号証の1ないし21)の各頭文字2字を、以下のようにデザイン化したものからなり、この2文字を我国における業務範囲拡張のため、登録を受けた商標である(出願日平成11年8月30日、指定役務「飲食物の提供」等、登録番号商標登録第4439044号)。その商標の構成は、文字の外側に1本の細線を、内側に2本の細線をそれぞれに施してデザイン化した「GQ」の文字からなっている。但し、Gの一部は外側も2本の細線を施してある。
これに対し、本件商標は、あたかも、「アフロヘアー(Afro hair)」、即ち、縮れた髪の毛が丸く大きく広がったボリュームのあるヘアースタイルを現わすように、黒丸の下部に楕円形の余白部を形成し、この余白部には筆記体からなる小さな文字「Cafe」を上段に、かつその下段に大きなゴシック体の太文字で「GQ」を多少上開きに配設し、更にこの「GQ」の少し下部に「唇」状の図形を書してなるデザイン化した商標である。
従って、取引者・需要者である一般大衆、特に成人男性がこのマークに接した場合、女性又は男性の頭部の形状を思わせる他に「Cafe」から飲食物のコーヒー、あるいは、いわゆる古い時代のバーに相当する「カフェ」を直感すると同時に、太く大きく表示された「GQ」の2文字に注目するはずである。
問題は、商標の要部の特定の問題である。もし、被請求人が、上記のようなアフロヘアーをしたバーのマダムのような女性の頭部を印象づけることに本件商標の採択の動機があるならば、わざわざ請求人所有に係る世界的著名性を有する「GQ誌」と同じ「GQ」を選ぶ必要は全くなく、2つの目に相当する箇所は丸印やへ印や「GQ」以外のその他の図形のみで商標を構成することができたはずである。ところが、事実はそうではなく、被請求人の願望、あるいは目標は、あく迄も「GQ」の2文字の点にあると考える。
しかして、本件商標中「Cafe」の部分は、その指定役務である「飲食物の提供」に照らし、識別力のない文字であるから、上記の理由により本件商標の要部は「GQ」の部分にあるものと考えるべきである。
したがって、本件商標の女性又は男性の頭部をあらわす形状が存在しているにも拘らず、「GQ誌」の世界的著名性の存在がある以上、要部を「GQ」の2文字にしぼって捉えざるを得ない。よって、標章の要部「GQ」の点において、両者は少なくとも商標の対比の基本的な基準となる要因、「外観」及び「称呼」の2点において、要部を同一とするものである。
しかも、本件商標の出願日は平成11年12月14日であるから、引用A商標の後願である。かつ、両者は指定役務「飲食物の提供」においても同一である。
よって、本件商標は、明らかに商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものであるから、その登録は無効とされるべきである。
なお、請求人の名称のカタカナ表記と、商標権者のカタカナ表記に多少の相違があるが、両者は真正なる同一権利主体である。
(4)商標法第4条第1項第15号について
引用B商標は、太く肉付けされた「GQ」の2文字が1つに統合された構成からなる。引用C商標は、前記引用B商標と、そのうちの「G」の文字の下方の半円部分に小さい文字で「GENTLEMEN’S QUARTERLY」と円に沿って書かれた構成からなる。引用D商標は、前記引用A商標と同一形状からなる文字の下段に、小さい文字で「GENTLEMEN’S QUARTERLY」の文字を配してなる構成である。そして、引用E商標は、上記引用商標から「GENTLEMEN’S QUARTERLY」の文字を削除した構成からなる。
これらの引用B商標ないし引用E商標は、1957年(昭和32年)にアメリカ合衆国において創刊された「男性用ファッション雑誌」及び「男性用ライフスタイル雑誌」として、アメリカの男性向け雑誌の代表的なものとして現在に至る約44年もの間継続発行されている雑誌のタイトルである。そして、これらの商標は、日本の他、実に世界100か国以上の国において商標登録され、本件商標の出願日の遥か以前より、日本を含め、世界的に著名な登録商標となっている。
一方、本件商標は前記のとおり一見すると、アフロヘアーを形成したバーのマダムの頭部を連想するように文字と図形を結合させた商標であるにも拘らず、指定役務との関係で、上段の識別力を有しない「Cafe」の文字と下段の大きいゴシック体「GQ」の文字からなる二段書きの構成であり、指定役務との関係から判断して、商標の要部は大きく表示された「GQ」の2文字にある。しかも、被請求人目身が「飲食物の提供」役務の説明として、本件の出願書類に添付した各証拠資料等から、実際の役務も成人男性を中心とする「飲食物の提供」(70年代のソウルミュージックを聴きながら主として、酒類を飲み、食事を楽しみ、そしてダンスをする場所を提供する。)にあることは明白である。
従って、請求人以外の者が本件商標をその指定役務につき使用するときは、商標の要部「GQ」の2文字における外観及び称呼を共通とし、かつ、指定役務との関係で、請求人の発行に係る「GQ誌」、即ち、「男性用のファッションを始めとし、酒、食べ物、飲物、バー、ダンス、車、その他の男性の嗜好を中心とした男性用のライフスタイル雑誌」と何等かの関係があるかのように商品又は役務と混同を生ずるおそれがあることは明らかである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものであるから、その登録は無効とされるべきである。
(5)答弁に対する弁駁
被請求人の答弁は、全く無関係と迄は云えないまでも、本件無効審判請求事件において請求人が主張する2つの無効理由、即ち、本件登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号の規定に違反して登録されたとの主張に対しては、全く答弁になっていないものと解する。

4 被請求人の答弁要旨
(1) 被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を次のとおり主張し、証拠方法として有限会社イースト・ウエスト・エンタープライズ代理人がアドバンス・マガジン・パブリッシャーズ代理人に宛てた平成12年1月27日付け通知書(乙第1号証)、東京地方裁判所平成12年(ヨ)第22219号商標権仮処分等申立事件に関する平成13年3月19日付け債務者側第2準備書面(乙第2号証)、「GQ銀座店におけるGQ赤坂店の継承性について」と題する書面(乙第3号証)及び上記商標権仮処分等申立事件の決定書(乙第4号証)を提出した(なお、乙各号証の符号は、当審が整理のために付したものである。)。
(2)答弁の理由
(ア)商標法第4条第1項第11号該当性について
請求人は、あくまでも裁判に勝つために飲食物の提供の区分をつけたした訳ではないと主張しているが、1993年に日本国において初版した際、なにゆえ「飲食物の提供」を指定役務として商標登録出願しなかったのか、また、請求人は、東京地裁において争われている平成12年(ヨ)第22219号商標権仮処分等申立事件の申立て以前に、内容証明を被請求人関連会社 「イースト・ウエストエンタープライズ」に送付(平成11年8月12日)した後「飲食物の提供」を指定役務として平成11年8月30日に商標登録出願(商願平11-77916)したことは客観的にみても徒に裁判を想定してのことととられてもいたしかたのないことである。さらに、請求人は、「GQ」の商標は長年月に亘り継続的に発行され世界的な著名性を有する雑誌のタイトルに基づくものである旨主張しているが、海外で著名性、商標の長期使用があったにしても、1993年「GQ誌」初版当時、我が国における著名性とはなんら関係なく、それらの主張は論点が違うと言わざるを得ない。 また、被請求人の所有する飲食店「cafe GQ」も1993年より開業した繁昌店で、現在まで4店舗まで成長している飲食店舗であり、その知名度は請求人の所有する「GQ誌」の知名度で成長したものではないと断言でき、これこそ被請求人の自由経済社会における基本的な権利の1つであると確信しているとともに請求人の権利の濫用を被請求人は主張する。
請求人は業務範囲拡張のため「飲食物の提供」を指定役務として商標登録したと主張しているが、いまだに飲食物を扱う傾向もなく実内容が全くない。また、世界的著名性を有する「GQ誌」と同じ「GQ」を選ぶ必要は全くなく、2つ目に相当する箇所は丸印やへ印や「GQ」以外のその他の図形のみで商標を構成することができたはずであるとの主張だが、先も述べたように1993年当時「GQ誌」を日本で知る一般消費者の数は少なく、被請求人も「GQ誌」の存在すら知らなかった程であり、今現在でもコンビニエンスストア、小規模書店では購入すらできず、大手書店でしか購入できないという現状である。そもそも「cafe GQ」のGQは1970年代に活躍したソウルバンドGQ(Good Quarty)に因んでつけたものであり、「GQ誌」よりつけたわけではないと断言する。請求人の主張は見当はずれである。また、アフロヘアーの下に店名であるcafe GQのロゴを入れるのは当然であり、自社の名を入れない商標のほうが稀であると考えられる。また世界的著名性と主張しているが、根拠が見当たらない。インターネット上の特許庁のホームページ内に日本国周知性商標一覧があるが、シャネル、グッチ、伊勢丹などの商標は認められているものの「GQ誌」は検索しても認められていない。
以上の事より、請求人は日本国において周知性を主張しているが、一般世間では周知性がないと認められる。
(イ)商標法第4条第1項第15号該当性について
請求人は本件商標中のロゴに関して外観が似つかわしいと主張するが、G、Qの曲線、強調の仕方、見た目にも混同する恐れがないと思われる。また被請求人は商標登録時において今回の問題点を記した書面(異議申立て分)を添付して商標登録に望んでおり、それを了承の上で商標が認められたと言うことは、まぎれもない事実である。詳細は乙第4号証8頁ないし17頁に記載されている。
以上より、請求人は海外での知名度ばかりを主張しているが、それが日本国における周知性とはなんら関係がないと思われる。また、東京地裁において争っていた平成12年(ヨ)第22219号商標権仮処分等申立事件について決定がなされた。

5 当審の判断
(1)引用各商標の著名性について
請求人の提出した甲各号証によれば、「GQ」誌は、米国において、男性用ファッション雑誌として1957年に創刊され、当初は年4回刊の季刊誌として発行されたが、その後発行部数が伸びるにつれ発行回数も1980年には年12回となり、現在も、コンデ・ナスト社により月刊誌として米国内で70万ないし90万弱の部数が発行されていること、「GQ」誌は、米国以外の英国、ドイツ、スペイン、イタリア、オーストラリア、台湾等においても発行されていること、我が国においては、「GQ Japan」の題号で平成5年2月に創刊され、同誌の創刊に際しては、発売元の中央公論社によって多くの広告がなされたばかりでなく、新聞、雑誌の記事としても取り上げられたこと、その後も嶋中書店等により「GQ Japan」の広告宣伝がなされていること、情報春秋社発行「有名雑誌カタログ」1994年ないし1999年版(甲第73号証1ないし6)には、主要読者について「20から30までの男女(女性は三割)。東京、大阪中心の都市型。」、編集上の特質について「見て読んで参考になるファッションとヒューマンストーリーを中心としたノンフィクションを掲載。『ニュースマガジン』と『ファッション男性誌』を併読している読者を想定し、新しい大人像の提示と生活を楽しむライフスタイルの追求をめざす。」「見て読んで参考になるファッション情報、モノ情報、クルマ情報、映画・音楽情報を中心とした若者のライフスタイル提案誌。米国GQ、英国GQをはじめ米コンデ・ナスト社の世界的ネットワークを紙面に反映した国際誌でもある。」、発行部数について、1994年「公表せず」、1995年「12万部」、1996年「9万部」、1997年「9万部」、1998年「7万部」、1999年「7万部」、推定実売部数についていずれも「調査中」と記載されていること、平成5年2月22日付け読売新聞(甲第38号証)の記事には、「25-40歳の男性をターゲットにした『GQ Japan』(中央公論社)が2月6日創刊された。・・・しかし、創刊号にしては部数の伸びは鈍いようだ。」と記載されていること、本件商標に係る出願について登録査定がされた平成12年11月14日前である同年2月22日付け日本経済新聞(甲第74号証)の記事には、東京の渋谷、原宿に集まる若者を主な読者対象とする『カリスマ系』カルチャー雑誌の出版各社が、同地域の店舗350店と共同で今夏から電子商取引(EC)事業を立ち上げるとし、ECサイトに参加する雑誌は25誌であり、「発行部数はいずれも数万-数十万部と小規模だが、特徴ある編集方針で若者を中心に固定読者をもっている。」と記載され、「ECサイトに参加する主な雑誌」一覧表中の雑誌名、内容、発行部数(万)の各欄には「GQ Japan、男性向け音楽ファッション雑誌、7」と記載されていることの各事実が認められる。
以上の認定事実によれば、「GQ」の文字は、少なくとも米国においては、男性用ファッション雑誌の題号として広く知られているとしても、我が国においては、大都市圏でファッションに関心を有する一部の男性に雑誌の題号として知られているに過ぎず、本件商標が出願された平成11年12月14日当時、引用各商標が商品「雑誌」の出所を表示するものとして、本件商標の指定役務「飲食物の提供」の需要者はもとより、「雑誌」の需要者の間に広く認識されていたとは認められないというのが相当である。
(2)本件商標の商標法第4条第1項第11号該当性について
本件商標と引用A商標との類否について検討する。
(ア)外観について
本件商標は、別掲(1)のとおりの構成よりなるところ、少なくとも全体の六分の五が円形に塗りつぶされ、その下端部に、いずれも太い字体で「GQ」の文字が「G」をやや左に「Q」をやや右に傾けて二文字全体としては上開きにして配され、その上部に筆記体の「cafe」が配され、さらに、「GQ」の下方に唇の図形が配されているものであり、全体として「アフロヘアーの女性の頭部」を想起させる図形商標というべきものである。他方、引用A商標は、別掲(2)のとおりの構成よりなるところ、「GQ」の各欧文字を、同幅の太字で全体形状を円形状とし、外周縁には一重線、内周縁には二重線の細線をもって縁取りをし、横一列に同書同大に表してなるものである。
したがって、本願商標と引用A商標とは、前記のとおりの構成上の差異を有するので、外観において明確に区別し得るものである。
(イ)称呼及び観念について
本件商標は、「GQ」の下方に配された唇の図形とともに、円形に塗りつぶされた部分が頭髪を、また、「G」及び「Q」の文字部分が両眼を連想、想起させ、全体として取引者、需要者に「アフロヘアーの女性の頭部」を想起させ、強い印象力を与えるものであるが、構成中の「cafe」の文字部分が、「主としてコーヒーその他の飲料を提供する店。明治末から昭和初期頃、女給が接待して主として洋酒類を供した飲食店。」等を意味する語であるから、本件商標の指定役務「飲食物の提供」については役務の出所識別機能を有しないものであり、また「GQ」の文字部分が図形商標の一部としてデザイン化されているものであるから、これらが取引者、需要者に強い印象力を与えることはなく、構成中の文字部分からは特定の称呼、観念を生ぜず、構成全体としても特定の称呼を生じないというべきものである。これに対して、引用A商標は、デザイン化されているが、未だ「GQ」の欧文字を表したものと容易に理解されるものであるから、「ジーキュー」の称呼を生ずるが、特定の観念を生じないというのが相当である。
そうすると、本願商標と引用A商標とは、本願商標が「アフロヘアーの女性の頭部」を想起させ、特定の称呼を生じないものであるのに対して、引用A商標が「ジーキュー」の称呼を生ずるが、特定の観念を生じないものであるから、称呼及び観念においては比較することができず、明確に区別し得るものである。
請求人は、本件商標は、「GQ」の部分が要部であるとし、引用A商標とは「ジーキュー」の称呼、「GQ」の外観を共通にする旨主張するが、本件商標構成中の「GQ」文字部分は、本件商標が全体として「アフロヘアーの女性の頭部」を表す図形のうちの「両眼」を表すものであって、図形商標の一部として構成され、他の構成部分と一体不可分のものであること及び上述したとおり引用A商標が請求人の雑誌の出所を表示するものとして我が国において著名性を有するとはいえないことを併せ考慮すると、他の構成部分より独立して指定役務の出所識別機能を果たすとは解されないので、この点に関する請求人の主張は採用することができない。
(ウ)まとめ
本件商標は、引用A商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても明確に区別し得る非類似の商標というべきものである。
(3)商標法第4条第1項第15号の該当性について
本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当する理由として、請求人が引用する商標は、引用B商標ないし引用E商標であり、別掲(3)ないし(6)のとおりの構成よりなるものである。そして、引用A商標と引用B商標ないし引用E商標とは、「GQ」の各欧文字を同幅の太字で全体形状を円形状とし、横一列に同書同大に表してなる点において共通し、細線をもってした縁取り又は小さく表したGENTLEMEN’S QUARTERRLYの欧文字の有無において差異を有するが、この差異は本件商標と引用B商標ないし引用E商標との類否について判断するに際し役務の出所識別機能に影響を及ぼす程のものではないから、同一又は同一視して良い程に近似しているものである。
そうすると、本件商標と引用B商標ないし引用E商標とは、上述した本件商標と引用A商標との類否判断の理由と同一の理由により、非類似の商標であり、全く別異の商標と評価されるべきものである。
加えて、引用B商標ないし引用E商標は、上述したとおり請求人の雑誌の出所を表示するものとして著名性を有するとはいえないものである。また、本件商標の指定役務「飲食物の提供」と引用B商標ないし引用E商標が使用されているとする「ファッション雑誌」とは、取引対象を全く異にするものであって、前記役務と前記商品との間の性質、用途又は目的における関連性は希薄なものである。
したがって、本件商標は、指定役務「飲食物の提供」に使用したとしても、取引者、需要者をして、普通に払われる注意力を基準とすれば、当該役務が請求人又は請求人と何らかの関係にある者の業務に係る商標であると誤信されるおそれがあるとはいえないものである。
(4)結論
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び第15号に違反してされたときに該当しないから、同法第46条第1項の規定により無効にすべきものではない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 (1)本件商標(登録第4445888号商標)



(2)引用A商標(登録第4439044号商標)



(3)引用B商標(登録第2700756号商標)



(4)引用C商標(登録第2700757号商標)



(5)引用D商標(登録第1712234号商標)



(6)引用E商標(登録第2240819号商標)


審理終結日 2003-11-14 
結審通知日 2003-11-19 
審決日 2003-12-03 
出願番号 商願平11-113993 
審決分類 T 1 11・ 26- Y (Z42)
T 1 11・ 271- Y (Z42)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 稲村 秀子 
特許庁審判長 田辺 秀三
特許庁審判官 岩崎 良子
小林 薫
登録日 2001-01-19 
登録番号 商標登録第4445888号(T4445888) 
商標の称呼 カフェジイキュウ、カフェジーキュー 
代理人 水谷 安男 
代理人 島田 義勝 

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