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審決分類 審判 全部取消 商53条使用権者の不正使用による取消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 117
管理番号 1095154 
審判番号 審判1994-2008 
総通号数 53 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2004-05-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 1994-02-01 
確定日 2004-04-22 
事件の表示 上記当事者間の登録第1533085号商標の商標登録取消審判事件について、平成9年12月5日にした審決に対し、東京高等裁判所において審決取消の判決(平成10年(行ケ)第111号 平成11年12月21日判決言渡)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。 
結論 登録第1533085号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第1533085号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおり「ポロクラブ」の片仮名文字を書してなり、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として、昭和52年10月8日に登録出願、同57年8月27日に設定登録され、その後平成5年2月25日及び同14年5月28日に商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。

2 使用商標及び引用商標
(1)本件商標の専用使用権者「株式会社ポロクラブジャパン」(以下「ポロクラブジャパン」という。)が使用する商標(以下「使用商標」という。)は別掲(2)のとおりの構成よりなるものである。
(2)請求人が引用する登録第2691725号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲(3)のとおりの構成よりなり、第17類「被服、その他本類に属する商品」を指定商品として、平成2年8月21日登録出願、同6年8月31日に設定登録されたものである。同じく、登録第2468427号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲(4)のとおりの構成よりなり、第17類「被服、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和48年9月26日登録出願、平成4年10月30日に設定登録されたものである。

3 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第13号証を提出した。
(1)請求人の引用各商標を付したポロシャツの模倣品について警視庁が不正競争防止法違反容疑で捜査を行なった事実は請求人の引用各商標が不正競争防止法によって保護され、またそれが業界紙のみならず一般紙で大々的に報道されるほど著名であり、請求人の引用各商標が昭和63年当時からその著名性を確立していたことがわかる。
(2)使用商標と引用各商標を比較するに、引用各商標は、右手でクラブを振り上げたポロ競技中のプレーヤーの図形である。これに対し使用商標の図形は、同一の事象を表現したものである。わずかに相違する点は、馬の向きと、クラブの位置のみである。
また、被請求人は、上記事実から、専用使用権者の本件商標の変更使用の事実及び請求人の著名な引用各商標の存在を認識していることも明白である。
(3)昭和52年に西武百貨店がラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服の販売を本格的に開始し、それ以来、請求人の図形商標、引用各商標は、各種被服について、文字商標「Polo」と併用されてきたが、デザイナーとしてのラルフ・ローレンの名声と請求人の製品が高品質であることが相俟って、速やかに引用各商標は著名性を確立したものである。その著名性に便乗し、請求人の引用各商標との消費者による混同を意図して登録済みの文字商標「Polo Club」に引用各商標が組み合わされて不正使用されてきたものである。
(4)よって、本件商標の登録は、商標法第53条第1項の規定により、取り消されるべきである。

4 被請求人の主張
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第212号証及び乙第1001号証ないし同第1009号証を提出した。
(1)商標法第53条第1項本文について
(a)ポロクラブジャパンが使用している使用商標は、被請求人が創出選定した商標をポロクラブジャパンに使用許諾したものであり、ポロクラブジャパン又はそのサブライセンシーが、本件商標を改変して使用した事実はない。
(b)使用商標は、引用各商標とは全く類似することのないポロクラブと称呼される独自の結合商標であるから、使用商標の使用が、請求人の業務に係る商品と混同を生ずることはない。
(c)使用商標は、それ自体我が国において周知著名であるから、同じく使用商標の使用が、請求人の業務に係る商品と混同を生ずることはない。
(d)使用商標が登録されれば、被請求人はポロクラブジャパンに他のポロクラブに関連する登録商標と同様専用使用権を設定する予定である。
(e)使用商標は、被請求人らの地道な経営努力の結果により周知著名になったものである。請求人のいう不正使用の如き行為を行うために、自ら莫大な金額を掛けることは、経営常識、社会常識からみてもあり得べからざることである。
(2)商標法第53条第1項ただし書きについて
(a)使用商標の選定
使用商標は、被請求人が、その商標登録を受けた「Polo Club」のブランド展開に際して、競技内容に添った姿態を示す図形を文字商標に追加使用したものである。
被請求人は、使用商標及びその図形について調査も行ったが、これらが類似する先願や先登録の商標が他に存在している事実はなかった。もっとも商標の出願・登録がないからといって直ちに問題がないということにはならないが、「Polo Club」が最先である上、これを用いた結合商標に問題がない以上、これを選定し、その使用開始を行なうのは当業者はもとより我が国企業における商標管理の商標選定手法に沿うものである。
(b)使用商標の著名性確立
使用商標は平成元年にライセンシー13社によってその使用が開始されたが、使用商標を付したライセンシーの製品がポロシャツ、Tシャツ、スラックス等多岐に亘ったこと、男性衣料関係雑誌を主体にした広告宣伝に注力したこと、累計260億円の「Polo Club」商標の使用実績が存在したこと等から、使用商標は遅くとも平成2〜3年頃には周知性、平成4〜5年頃には著名性をそれぞれ確立して今日に至っている。
商標が周知であり、著名であれば、その商標の識別力が極めて高度であるから、商標法第4条第1項第15号に該当することもない筈である。
(c)混同可能性判断と商標類否に基づく主張
混同と商標の類似との関係については、商品の出所混同について両商標の類似性を認定して、類似するから混同するとする論理の判決が多く示されている。そうすると平成元年に使用商標を選定し、その使用を開始したが、使用商標は引用各商標に類似するものではなく、被請求人が使用商標について出所混同の可能性を否定する判断を行なったことは、当時の最高裁判例を含む多数の判例、審決の判断手法に沿うものであり、相当の注意を払えば、出所混同の可能性を肯定する判断ができたし、そのようにすべきであったとするのは無理である。
(d)混同概念に基づく主張
平成9年12月5日にした審決に対する東京高等裁判所の判決(以下「高裁判決」という。)は、図形が類似することによっていわゆる広義の混同が生ずるとするが、商標法第4条第1項第15号の混同については、平成12年7月11日の最高裁第3小法廷の判決によって確立したものであり、平成元年当時に商標法実務の標準的な判断基準となっていた訳でもない。相当の注意を払えば、広義の混同理論による高裁判決の内容を予測し、出所混同の可能性を肯定する判断ができたし、そのようにすべきであったとするのは無理である。
(e)商標行政の判断基準に基づく主張
平成11年7月1日実施の商標審査基準の改正によって、それまで混同可能性がないと扱われていた商標が、一転して混同可能性がある商標として扱われることになった。使用商標の選定及び使用開始は、上記のとおり平成元年のことである。その10年間に亘って維持された商標行政における混同可能性の判断基準にしたがった、「POLO」、「ポロ」、その競技図形関係の多種多様の商標登録の事例からみて、使用商標に混同可能性を肯定する判断が示されることは到底予想し得ることではない。被請求人が使用商標について出所混同の可能性を否定する判断を行なったことは、当時から平成11年頃までの商標行政の判断基準に適合したものである。
(f)使用商標の登録による主張
使用商標は平成9年10月3日に登録第4062676号として商標登録されている。この事実は、使用商標による請求人商標との混同の可能性を否定した被請求人の判断の妥当性を裏付けるものであり、少なくとも被請求人が使用商標を選定、使用するについて混同の可能性はないと考えたことに注意義務違反のないことは明らかである。相当の注意を払えば、使用商標中から図形部分を抜き出し、これが請求人図形商標に類似するから混同可能性が生ずるとする本件判決の判断を予測し、出所混同の可能性を肯定する判断ができたし、そのようにすべきであったとするのは全くの無理である。
(g)以上のとおり、使用商標を選定しその使用を開始した平成元年当時そして使用商標が周知著名性を確立した平成2〜3年ないし平成4〜年頃又はそれ以降に被請求人がこのように出所混同可能性否定判断を行なったことは一般的、常識的かつ妥当な判断であったというべきであり、相当の注意を払えば、従前の判例・審決と異なる混同理論を採用した本件判決の内容を当時に予測し、出所混同可能性肯定の判断ができたとするような理由も根拠もないから、被請求人に商標法第53条第1項ただし書きの規定が適用されるべきである。
(3)よって、本件商標の登録は、商標法第53条第1項の規定により、取り消されるべきではない。

5 当審の判断
甲各号証及び乙各号証並びに高裁判決によれば、以下の事実が認められる。
(1)使用商標の使用状況
(a)ポロクラブジャパンは、遅くとも平成元年ころから平成9年12月5日の審決時までの間、洋服類に使用商標を使用していたことが認められる。
(b)ポロクラブジャパンは、平成元年から平成5年6月ころにかけて、百数十回以上にわたり使用商標を使用して新聞、雑誌等に「洋服類」について広告したことが認められ、該広告には、使用商標の使用者が請求人と全く関係のない者であることが一切示されておらず、平成元年ないし同3年ころの販売については、多くの場合使用商標が用いられていることが認められる。
(2)本件商標と使用商標との関係について
本件商標は、別掲(1)のとおりであるから、該構成文字に相応して、「ポロクラブ」の称呼をも生ずるものである。他方、使用商標は、別掲(2)のとおり、「Polo」と「Club」の間に、馬に乗った一人の競技者がマレットを振り上げてポロをしているように見える図柄(以下「使用図柄」という。)よりなるものであるところ、該文字部分が他の構成部分より独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものと認められるから、該構成文字に相応して、「ポロクラブ」の称呼をも生ずるものというのが相当である。
そして、これに接する取引者、需要者は、「Polo」と「Club」の各文字の全体に相応して生ずる「ポロクラブ」の称呼及び「Club」が広く同好の士の集まりを意味することから「ポロ競技の集まり」の観念をもって取引に当たる場合を否定し得ないから、この点において、本件商標と使用商標とは前記称呼、観念において類似のものというべきであり、かつ、その使用に係る商品「洋服類」は本件商標の指定商品中に含まれるものである。
そうすると、使用商標は本件商標に類似する商標であって、その指定商品又はこれに類似する商品について使用されたものといわなければならない。
また、使用商標の使用図柄は、中央に顕著に表示され、本件商標の構成とバランスを欠いていて、使用商標の文字部分は自ずと「Polo」と「Club」に分離して看取されるものといえるから、使用商標に接する取引者、需要者は、構成中顕著に表示された「Polo」の文字部分に着目し、これより生ずる「ポロ」の称呼をもって取引に当たる場合も少なからずあるとみるのが取引の実情に照らし相当である。
そうすると、使用商標は「ポロ」の称呼を生ずる点において、本件商標とは別個の識別機能を併せ持つものであるから、この点において本件商標の構成・態様を変更するものといわなければならない。
(3)商標法第53条第1項本文について
引用各商標の著名性については、請求人の業務に係る服飾関係の商品を表すものとして「ポロマーク」「ポロ」と称呼され、遅くとも昭和63年ころまでには、著名となっていたことが認められる。また、平成元年以降も継続して著名であったものと認められる。
使用商標の使用図柄は、引用各商標の図形とは、人馬の向き、ポロプレーヤーの姿勢、マレットの角度等においてわずかな差異は認められるものの、マレットを振り上げたポロプレーヤーを疾走する馬とともに正面側やや斜め方向から描いたものである点において基本的な構成を共通にしているので、時と所を異にして観察する場合には酷似し、類似する商標である。
また、使用商標は使用図柄によって分けられ「Polo」と「Club」に分離して観察され、「Polo」の文字部分は、請求人が服飾関係の商品に使用して著名な「Polo」の文字と同一の綴り字よりなるものである。
そして、引用各商標が付された請求人の業務に係る服飾関係の商品と使用商標が付された洋服類とは、類似する商品である。
したがって、ポロクラブジャパンが使用商標を本件商標の指定商品である「洋服類」に使用していることは、使用商標の構成中に請求人が服飾関係の商品に使用し著名な商標「Polo」と同一の文字「Polo」及び使用図柄を他の構成部分から独立して商品の出所識別機能を果たす態様で有するものであるから、該使用商標を使用した「洋服類」に接するときは、取引者、需要者において、同商品が請求人の業務に係る「服飾関係の商品」又は請求人と経済的若しくは組織的に関連を有する者の業務に係る「服飾関係の商品」と混同を生じさせるおそれがある使用をしたといわざるを得ないから、商標法第53条第1項本文に該当するものといわなければならない。
(4)商標法第53条第1項ただし書について
(ア)被請求人(商標権者)が、同法第53条第1項ただし書に規定する「その事実を知らなかった場合」に該当するか否かについて検討する。
引用各商標が、遅くとも昭和63年ころまでには請求人の業務に係る「服飾関係の商品」を表すものとして著名となっていたこと及びその引用各商標が「ポロマーク」「ポロ」と称呼されていたことは上述したとおりであり、被請求人は、ポロクラブジャパンが使用商標を使用する当初から、少なくとも洋服類の商品を取り扱う業務をしていたのであるから、これらの事実を十分知り得ていたものと推認される。
また、被請求人は、ポロクラブジャパンが被請求人の100%子会社であり、かつ、被請求人の商標管理会社であること及び自己の創出選定した使用商標を使用させていたことを主張しており、これに反する事実は認められないことからすれば、ポロクラブジャパンと被請求人とは実質的に一体といって差し支えなく、ポロクラブジャパンが使用商標の使用をしている状況を十分知っていたものと推認される。
そして、ポロクラブジャパンが指定商品「洋服類」について本件商標に類似する使用商標を使用し、請求人の業務に係る商品「服飾関係の商品」と混同を生ずるものをしたことは、上述したとおりである。
そうすると、被請求人は、ポロクラブジャパンが指定商品について本件商標に類似する使用商標を使用し、請求人の業務に係る商品「服飾関係の商品」と混同を生ずるものをした事実について知っていたというのが相当である。
(イ)被請求人が、同法第53条第1項ただし書に規定する「相当の注意」を払っていたか否かについて検討する。
同項ただし書に規定する「相当の注意」とは、同項本文に該当する出所の混同を生じるおそれのある状況の下において、商標権者は、使用権者による登録商標の使用が実質的に他人の業務に係る商品と商品の出所について混同を生じるおそれのないよう管理し、監督していなければならなかったものと解される。
被請求人は、平成元年ころ、ポロクラブジャパンに使用商標の使用許諾をしているものであるところ、その当時既に引用各商標が「ポロマーク」「ポロ」の称呼で著名となっていたことを知っていたと推認されるにも拘わらず、使用商標を被請求人自身により創出選定し使用させていたこと、及びポロクラブジャパンが本件商標に係る商品に使用するに際して、専用使用権者と請求人とが何らの関係もないということが需要者に認識できるような表示等を行うなど、商品の出所の混同を生じさせないような混同防止のための具体的措置を行っていた事実を認定するに足りる証拠が全くないこと等を総合勘案すると、ポロクラブジャパンが使用商標を本件商標に係る商品に使用するに際して請求人の業務に係る商品と商品の出所について混同を生じるおそれのないよう、登録商標の使用許諾者として相当の注意をしていたとはいえないものである。
(ウ)上記(ア)及び(イ)の点に関し、被請求人は、(a)使用商標の選定及び使用を開始した平成元年当時、使用商標と引用各商標とは多数の判決及び審決例に照らし類似商標とすべきものではなかったこと、(b)広義の混同理論が未だ確立していなかったこと、(c)使用商標について出所混同の可能性を否定する判断が商標審査基準に適合していたこと、(d)使用商標が平成9年に商標登録されたことを挙げ、使用商標を選定し、使用することについて引用各商標との混同の可能性を到底予想し得ることではない旨主張している。
しかしながら、(a)商標の類否については、最高裁判所が「氷山・しょうざん事件」において、昭和43年に「商標の類否は、対比される両商標が同一又は類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、それには、そのような商品に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって、取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべく、しかも、その商品の取引の実情を明らかにしうるかぎり、その具体的な取引状況に基づいて判断するのを相当とする。」と判示(最高裁昭和39年(行ツ)第110号、同43年2月27日第三小法廷判決)しており、その後同最高裁が判示した商標の類否の判断基準が数多くの他の判決で引用されていることに照らせば、平成元年当時、使用商標と引用各商標とは多数の判決及び審決例に照らし類似商標とすべきものではなかったとはいえない。
(b)広義の混同に対する最高裁判所の判断が、「レール・デュ・タン」事件(最高裁平成10年(行ヒ)第85号、同12年7月11日第三小法廷判決)において初めてなされたとしても、既に東京高等裁判所における審決取消訴訟において、広義の混同を前提とする判決が多数なされていたものである(例えば、昭和54年(行ケ)第141号判決、昭和55年(行ケ)第243号判決、昭和55年(行ケ)第33号判決、昭和63年(行ケ)第100号判決等)。
(c)昭和52年当時の「商標審査基準」(特許庁商標第一・二課編、昭和52年9月10日発明協会発行)の商標法第4条第1項第11号の基準4(6)において、既に指定商品について著名な商標と他の文字とを結合させた商標は、原則としてその著名な商標と類似するとし、また、同15号の基準3では、他人の著名商標を一部に有する商標については、次のとおり、取り扱うこととするとして、「(1)それが他人の著名な登録商標と類似であって、同一または類似の商品に使用すると認められる場合は、同11号に該当するものとする。(2)それが他人の著名商標と類似しないと認められる場合、または他人の著名商標と類似していても商品が互いに類似しないと認められる場合において、商品の出所の混同を生ずるおそれがあるときは、原則として、本号(15号)に該当する。」と定め、また、同15号の基準1によると、「他人の業務に係る商品と混同を生じるおそれがある場合」には、いわゆる広義の混同のおそれの場合をも含むことが定められていたものである。
したがって、著名商標に係る商標の類似に関する審査基準〔商標法第4条第1項第11号の基準4(6)、及び同15号の基準1、基準3〕が既に昭和52年には公表されていたものであること、また、平成11年7月1日に改正された審査基準〔商標法第4条第1項第10号の基準4、同11号の基準4(6)、同15号の基準5〕は、審査運用の統一化を図るため、それまでの同11号の基準4(6)、同15号の基準1及び基準3をより詳細に定めたものであって、従来と異なる法解釈に基づき新たな基準を定めたものではないことよりすれば、使用商標について出所の混同の可能性を否定する判断が商標審査基準に適合していたとはいえない。
(d)被請求人が使用商標の選定をし専用使用権者に使用商標の使用をさせるについて、使用商標が平成9年に商標登録された事実は、後発的な事実であるから、平成元年当時、被請求人が使用商標と引用各商標との混同の可能性を予測し得なかった理由とすることはできないというべきである。
(エ)したがって、本件事案については、商標法第53条第1項ただし書に規定する「その事実を知らなかった場合」に該当せず、「相当の注意をしていた」ともいえないものであるから、前記規定の適用の余地はない。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、ポロクラブジャパンが、商標法第53条第1項本文に規定する出所の混同を生じるものを行っていたものであって、被請求人が、同項ただし書に規定するその事実を知らなかった場合において、相当の注意をしていたということはできないから、同法第53条第1項の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 (1)本件商標(登録第1533085号商標)


(2)使用商標


(3)引用商標1(登録第2691725号商標)


(4)引用商標2(登録第2468427号商標)

審理終結日 1997-11-10 
結審通知日 1997-11-25 
審決日 1997-12-05 
出願番号 商願昭52-71845 
審決分類 T 1 31・ 5- Z (117)
最終処分 成立  
前審関与審査官 野口 光小泉 勝義 
特許庁審判長 田辺 秀三
特許庁審判官 小林 和男
岩崎 良子
宮下 正之
小林 薫
登録日 1982-08-27 
登録番号 商標登録第1533085号(T1533085) 
商標の称呼 ポロクラブ 
代理人 山内 淳三 
代理人 田村 公総 
代理人 曾我 道照 
代理人 岡村 憲佑 
代理人 黒岩 徹夫 

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