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審決分類 審判 一部無効 称呼類似 無効としない Z01020304050608091011121416171819202122232425262728293031323334
管理番号 1095065 
審判番号 無効2003-35111 
総通号数 53 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2004-05-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2003-03-19 
確定日 2004-03-29 
事件の表示 上記当事者間の登録第4555778号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4555778号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)に表示したとおりの構成よりなり、平成12年8月7日に登録出願、第1類、第2類、第3類、第4類、第5類、第6類、第8類、第9類、第10類、第11類、第12類、第14類、第16類、第17類、第18類、第19類、第20類、第21類、第22類、第23類、第24類、第25類、第26類、第27類、第28類、第29類、第30類、第31類、第32類、第33類及び第34類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成14年3月29日に設定登録されたものである。

2 引用商標
請求人が、本件商標の登録無効の理由に引用する登録第541409号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲(2)に表示したとおりの構成よりなり、昭和33年1月7日に登録出願、第8類「鎌」を指定商品として、昭和34年9月10日に設定登録され、その後、昭和56年5月30日、平成1年9月22日及び平成11年4月27日に商標権の存続期間の更新登録がなされているものである。

3 請求人の主張の要点
請求人は、本件商標の指定商品中「第8類 手動利器(「刀剣」を除く。)」についての登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、また、被請求人の答弁に対して弁駁をし、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第6証(枝番号を含む。)を提出した。
A.請求の理由
(1)無効理由の要点
本件商標の指定商品中「第8類 手動利器(「刀剣」を除く。)」については、商標法第4条1項第11号に該当し、商標法第46条第1項第1号により、無効とするべきものである。
(2)無効とするべき理由
(ア)商標の類似について
本件商標の構成中「くらしの」、「とにかく安い」及び「88」は、それぞれを結合しても特定の意味合を生ぜず(例えば、「暮らしの88とにかく安い」、「暮らしの88」、「とにかく安い88」、「暮らしのとにかく安い」、等々)、各語が独立して認識されることの多いものである。本件商標に接した取引者、需要者は中央に大きく表示された「88」の部分をとらえ、「ハチハチ」の称呼でもって取引に資されることが充分に予想できる。「ハチハチ」は短くて語呂がよくて覚えやすく、取引者及び需要者にとって本件商標の称呼として最適のものである。したがって、本件商標は「ハチハチ」の称呼でもって取引に資されるものである。
これに対し、引用商標は一見して「ハチハチ」の称呼が生じる。
してみれば、本件商標と引用商標とは、「ハチハチ」の称呼を共通にする類似する商標ということができる。
(イ)商品の類似について
本件の指定商品「第8類 手動利器(「刀剣」を除く。)」については、引用商標の指定商品「第8類 鎌」とは販売並びに需要者が同一であるから、同一若しくは類似する商品ということができる。
(3)むすび
したがって、本件商標は、請求人所有に係る引用商標の後出願に係るものであり、両商標は類似しており、その指定商品も同一若しくは類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当し、商標法第46条第1項第1号により、その指定商品中「第8類 手動利器(「刀剣」除く。)」を無効とするべきものである。
B.弁駁の理由
(1)本件商標を構成する「二重円輪郭」、「88」、「くらしの」、「とにかく安い」はいずれもそれ単独では自他商品の識別力のないものである。
それにもかかわらず、本件商標が登録されたのは、商標全体が一体不可分と認識されたからに他ならない。ところが、このような商標であっても、市場において使用されるときは、商標全体が一連不可分との認識の下に取引に資されることはほとんどなく、構成する部分より語呂がよく覚えやすい部分を抽出して略称することが日常に行われている。本件商標は、構成する部分の一部が抽出されて略称として使用されるという必然的な性質を有している。
したがって、本件商標が「ハチハチ」と略称されても、何ら不自然なことではない。
(2)被請求人は、本件商標を使用する商品は一律に単価が88円の商品であるとしている。してみれば、本件商標が使用される商品は日常生活において使用される消耗品が中心である。それ故、その取引者、需要者は老人、こども、婦人、その他一般人等であり、高度な専門知識を有する専門家を対象にしていない。
したがって、本件商標に接した取引者、需要者は商標の細部まで注視することなく、中央に極めて大きく表示された「88」の文字部分に注目し、「ハチハチ」と略称することが充分に予想できる。
(3)本件商標の構成中「暮らしの」は商品の用途を表示するものであり、「とにかく安い」は価格についてのキャッチフレーズにすぎない。したがって、これらはいずれも形容詞的文字であるから、中央部分に大きく表示された「88」の文字部分が商標として認識されるものである。
本件商標の構成は、その中央部分に「88」文字を極めて大きく表示し、他の文字は円輪郭に内接してかなり小さく表示されている。また、本件商標は商標公報で大きく表示されているが、商品に使用時には小さく表示される。そうすると取引者、需要者は本件商標の中央に大きく表示された「88」の文字部分が商標として認識されるものである。
本件商標より「クラシノハチハチトニカクヤスイ」や「クラシノハチハチ」等の称呼が生じたとしても、それらは冗長であるので、他の部分に比して顕著であり、語呂がよく、短くて覚えやすい「ハチハチ」と簡略化した称呼の生ずる「88」部分が商標と認識されるのが極めて自然である。
したがって、本件商標と引用商標とは「ハチハチ」の称呼を共通にする類似の商標であり、両者が対比して観察される場合はともかく、それぞれが個別に市場に併存すると、両者は「ハチハチ」の称呼のもとに混同されることは必定である。
観念において、被請求人は「88」部分より「88円の商品」と認識されると主張する。しかしながら、本件商標には「88」の文字のみが表示されているものであるから、被請求人の主張は到底首肯できない。

4 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証及び乙第2証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)引用商標は、上段に「ハチハチ」の片仮名文字、中段に「8と8との間を波線で繋いだ、数字と図形との結合」、そして下段に「はちはち」の仮名文字が3段並記された標章であり、これらの文字、数字及び図形がまとまりよく配置され、一体不可分の一個の標章として認識されるものである。
ところで、特許庁商標課編の商標審査基準〔改訂第7版〕(以下単に「商標審査基準」という。)による商標法第3条第1項第5号(商標登録を受けることができない商標)に関する審査基準を念頭に置いて引用商標をみると、引用商標は、上記のとおり文字、数字及び図形が結合された一個の標章として登録されたものと理解され、その構成中の「ハチハチ」、「はちはち」、ましてや「88」が引用商標から独立して権利を有するものではないことが明らかである。したがって、あたかも「ハチハチ」、「はちはち」が独立した権利を有するかのような請求人の主張は認められるものではない。
(2)そもそも、商標法第3条第1項第5号によって、数字(1桁又は2桁の数字から生ずる音を片仮名・仮名文字で表示したものを含む。)のような「極めて簡単で、かつ、ありふれた標章」が商標登録できないものとされている理由は公益保護にある。すなわち、一私法人に「極めて簡単で、かつ、ありふれた標章」の独占使用を認めてしまうと、他者の商標選択の自由を著しく、かつ、不当に損なってしまうためである。
したがって、「ハチハチ」との称呼を生ずる標章の使用を認めないがごとき請求人の主張は、そもそも誰もが自由に商標として使用できる「88」、「八八」、「はちはち」、「ハチハチ」等の商標使用をも制限することに繋がる不適当なものと断ぜざるをない。
(3)以上のとおり、請求人の主張は失当であるが、予備的に本件商標と引用商標とは非類似であることを以下に述べる。
(4)請求人は、相類似している理由として、本件商標と引用商標とは、「ハチハチ」の称呼を共通にすることのみを挙げている。
ところで、商標審査基準による商標法第4条第1項第11号に関する審査基準によると、「商標の類否の判断は、商標の有する外観、称呼及び観念のそれぞれの判断要素を総合的に考察しなければならない」とされており、本件についても、称呼のみならず外観及び観念をも含めて総合的に考察されなければならない。
それで、まず外観を比較すると、特段の説明を要するまでもなく、本件商標と引用商標とは非類似といえる。次に観念を比較する、本件商標は、被請求人が運営する店舗内で88円の日用品を集めた売場の売場名称やそこで販売される商品に使用されていることから(乙第2号証)、「88円という安い日用品あるいは当該日用品の売場」といった観念が生ずるのに対し、引用商標は、「ハチハチとの称呼を生ずる8と8との間を波線で繋いだ数字と図形との結合」あるいは「上部のハチハチと下部のはちはちとに挟まれた、8と8との間を波線で繋いだ数字と図形との結合」といったような観念が生じる。このように双方の観念が相違することは明らかである。最後に本件商標の称呼について、本件商標の称呼は「クラシノハチジューハチトニカクヤスイ」又は「クラシノハチハチトニカクヤスイ」である。取引において商標の一部が省略してとらえられることがあることを考慮しても、「クラシノハチジューハチ」又は「クラシノハチハチ」との称呼を生ずるのが自然であって、これを敢えて「ハチハチ」と称呼することは、ないとまでは言わないが極めて稀なケースであると考えられる。
以上のとおり、その外観及び観念は明らかに相違し、称呼についても「ハチハチ」という同-称呼が生ずる可能性があるといった程度の類似性しか存在しない。
このような状況の下で、商標の有する外観、称呼及び観念のそれぞれの判断要素を総合的に考察した場合、本件商標と引用商標とは非類似であると判断することが極めて妥当である。

5 当審の判断
本件商標は、別掲(1)に表示したとおりの構成よりなり、構成中に数字の「88」を含んでいるものである。
ところで、1桁又は2桁の数字を普通に用いられる方法で表示した標章は、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章というべきであり、これのみでは、商品又は役務の識別標識としての機能を果たし得ないものというのが相当である。そして、本件商標中の「88」の数字をみると、格別特異とはいえない表示態様の数字であって、普通に用いられる方法で2桁の数字を表したものといえる。
そうすると、本件商標と引用商標の類否を判断をするについては、本件商標中の「88」の数字部分のみを抽出して、これと引用商標とを比較してその類似性を判断すべきでない。
したがって、本件商標は、その「88」の数字部分が「ハチジュウハチ」あるいは「ハチハチ」などと称呼され、引用商標から生ずると認められる「ハチハチ」の称呼と称呼を共通にするところがあることは明らかであるが、そのことをもって、引用商標と類似の商標とすることはできない。
そして、本件商標と引用商標は、その外観が明らかに異なっており、他に紛らわしいところも認められないから、非類似の商標といわなければならない。
したがって、本件商標は、請求に係る指定商品第8類「手動利器(「刀剣」を除く。)」について、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではないから、商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
(1)本件商標


(2)引用商標

審理終結日 2004-02-02 
結審通知日 2004-02-05 
審決日 2004-02-17 
出願番号 商願2000-87176(T2000-87176) 
審決分類 T 1 12・ 262- Y (Z01020304050608091011121416171819202122232425262728293031323334)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岩崎 安子 
特許庁審判長 滝沢 智夫
特許庁審判官 岩崎 良子
小林 薫
登録日 2002-03-29 
登録番号 商標登録第4555778号(T4555778) 
商標の称呼 クラシノハチハチトニカクヤスイ、クラシノハチジューハチトニカクヤスイ、クラシノ、トニカクヤスイ 
代理人 福田 進 
代理人 藤田 邦彦 
代理人 藤田 典彦 

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