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審決分類 審判 査定不服 商4条1項10号一般周知商標 取り消して登録 Z3642
管理番号 1093738 
審判番号 不服2001-19769 
総通号数 52 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2004-04-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-11-05 
確定日 2004-03-24 
事件の表示 商願2000- 34404拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 1 本願商標
本願商標は、「シルバーヴィラ」の片仮名文字を横書きしてなり、第36類及び第42類に属する願書記載の役務を指定役務として平成12年4月4日に登録出願されたものである。そして、指定役務については、同16年2月25日付け手続補正書により第36類「預金の受入れ(債券の発行により代える場合を含む。)及び定期積金の受入れ,資金の貸付け及び手形の割引,内国為替取引,債務の保証及び手形の引受け,有価証券の貸付け,金銭債権の取得及び譲渡,有価証券・貴金属その他の物品の保護預かり,両替,金融先物取引の受託,金銭・有価証券・金銭債権・動産・土地若しくはその定著物又は地上権若しくは土地の賃借権の信託の引受け,債券の募集の受託,外国為替取引,信用状に関する業務,割賦購入あっせん,前払式証票の発行,ガス料金又は電気料金の徴収の代行,有価証券の売買,有価証券指数等先物取引,有価証券オプション取引及び外国市場証券先物取引,有価証券の売買・有価証券指数等先物取引・有価証券オプション取引及び外国市場証券先物取引の媒介・取次ぎ又は代理,有価証券市場における有価証券の売買取引・有価証券指数等先物取引及び有価証券オプション取引の委託の媒介・取次ぎ又は代理,外国有価証券市場における有価証券の売買取引及び外国市場証券先物取引の委託の媒介・取次ぎ又は代理,有価証券の引受け,有価証券の売出し,有価証券の募集又は売出しの取扱い,株式市況に関する情報の提供,商品市場における先物取引の受託,生命保険契約の締結の媒介,生命保険の引受け,損害保険契約の締結の代理,損害保険に係る損害の査定,損害保険の引受け,保険料率の算出,建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物又は土地の情報の提供,骨董品の評価,美術品の評価,宝玉の評価,企業の信用に関する調査,慈善のための募金」及び第42類「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,飲食物の提供,美容,理容,入浴施設の提供,写真の撮影,オフセット印刷,グラビア印刷,スクリーン印刷,石版印刷,凸版印刷,気象情報の提供,求人情報の提供,結婚又は交際を希望する者への異性の紹介,婚礼(結婚披露を含む。)のための施設の提供,葬儀の執行,墓地又は納骨堂の提供,一般廃棄物の収集及び分別,産業廃棄物の収集及び分別,庭園又は花壇の手入れ,庭園樹の植樹,肥料の散布,雑草の防除,有害動物の防除(農業・園芸又は林業に関するものに限る。),建築物の設計,測量,地質の調査,機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらにより構成される設備の設計,デザインの考案,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究,建築又は都市計画に関する研究,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,土木に関する試験又は研究,農業・畜産又は水産に関する試験・検査又は研究,機械器具に関する試験又は研究,著作権の利用に関する契約の代理又は媒介,通訳,翻訳,施設の警備,身辺の警備,個人の身元又は行動に関する調査,あん摩・マッサージ及び指圧,きゅう,柔道整復,はり,医業,医療情報の提供,健康診断,歯科医業,調剤,栄養の指導,家畜の診療,保育所における乳幼児の保育,老人の養護,編み機の貸与,ミシンの貸与,衣服の貸与,植木の貸与,カーテンの貸与,家具の貸与,壁掛けの貸与,敷物の貸与,会議室の貸与,展示施設の貸与,カメラの貸与,光学機械器具の貸与,漁業用機械器具の貸与,鉱山機械器具の貸与,計測器の貸与,コンバインの貸与,祭壇の貸与,自動販売機の貸与,芝刈機の貸与,火災報知機の貸与,消火器の貸与,タオルの貸与,暖冷房装置の貸与,超音波診断装置の貸与,加熱器の貸与,調理台の貸与,流し台の貸与,凸版印刷機の貸与,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与,美容院用又は理髪店用の機械器具の貸与,布団の貸与,理化学機械器具の貸与,ルームクーラーの貸与」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『東京都練馬区向山3丁目7番11号』所在の『株式会社さんわ』が、1981年(昭和56年)から『老人の養護』に関する役務について、『向山』の地名を含む『シルバーヴィラ向山』を使用してきているところ、該商標は他に先駆けて始めた『ホテルタイプの老人ホーム』の名称としてマスコミに数多く取り上げられるなどしており、本願商標の登録出願前より取引者、需要者間に広く認識されている周知商標と認められるところである。そうとすれば、本願商標と株式会社さんわの周知商標とは『シルバーヴィラ』の文字を共通にする同一又は類似の商標であり、かつ、前記役務と同一又は類似の役務に使用するものと認める。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
本件審判事件は、原審及び当審において、商標法施行規則第19条に基づく情報提供があったので、先ず、この点について検討する。
(1)情報提供について
情報提供者は、「本願商標は、商標法第4条第1項第8号、同第10号及び同第19号に該当する。」として情報提供を行い、証拠方法として甲第1号証ないし同第70号証及び資料1ないし同27を提出している。
(ア)情報提供者の提出に係る甲第2号証(情報提供者のパンフレット)及び情報提供の趣旨によれば、情報提供者は、昭和56年4月に有料老人ホーム「シルバーヴィラ向山」を開設した。「向山(こうやま)」は、所在地の地名(練馬区向山)であること、前記施設名称「シルバーヴィラ」は、当時情報提供者の社長であったI氏が新規に考えた造語である。即ち、「シルバー」はsilverageを意味し、「ヴィラ」は別荘の意味で「シルバーのための別荘」という意味の創造名称であること、「誰でもが、年齢に関係なく入居でき、終生安心して暮らすことができる。しかも一流ホテルのような質の高いサービスを比較的低料金で受けられる。」ことを念頭に私たちは、シルバーヴィラ向山・アブランドル向山を設立し、運営に取り組んでいることの記載が認められる。
(イ)新聞、雑誌等の記載をみると、昭和56年12月23日付け讀賣新聞(甲6)には、「老人専用ホテルが日本で初めて東京・練馬に誕生した。さる四月にオープンした『シルバーヴィラ向山』がそれだ。…」との記載が、昭和57年11月19日付け日本経済新聞(甲10)には、「…ビジネスホテルと老人ホームと病院の機能を合わせたうえ、家庭的な雰囲気を加味したシステムで、身障者や痴呆症の老人も受け入れる。…多様化の必要性が叫ばれている老人福祉の新しいあり方を民間が先取りしたかたちだ。…このホテルは、昨年5月オープンした『シルバーヴィラ向山』…」との記載が、昭和58年2月14日付け東京タイムズ新聞(甲12)には、「…ホテル形式の老人ホームがある。おそらく日本でも初めてのシステムだろう。…その名も『シルバーヴィラ向山(むこうやま)』…」との記載が、昭和58年8月7日付け神奈川新聞(甲18)には、「全国で初めてという老人専用のホテルが人気を呼んでる。東京・練馬にある『シルバーヴィラ向山』がそれ。」との記載が、昭和58年6月18日付け週刊時事(甲21)には、「…緑豊かな住宅街の一角にある白壁の三階建てホテル『シルバーヴィラ向山』がそれで、全部で三七部屋あります。『民間事業としての、こうした老人専用ホテルは日本で初めてですが、二年前に開設して以来見学者や問い合わせも相次いでいます。』とホテル社長の岩城祐子さん。」との記事が、平成4年6月16日付け日経産業新聞(甲28)には、「81年4月『シルバーヴィラ向山』を開設した…『都市型有料老人ホーム』の先駆けとなった」との記載が、平成10年9月1日号ないし同11年8月31日号週刊女性(甲32の1ないし52)には、「だから老人ホームはおもしろい」のタイトルのもと、シルバーヴィラ向山代表岩城祐子の連載で「シルバーヴィラ向山」に関する記事の掲載が、1999年10月31日号週刊読売(甲38)には、「…『平均年齢85歳の学芸会』と銘打った催しが10日、東京・練馬区で行われた。区内の老人ホーム『シルバーヴィラ向山』が開いたもので、…」との記載が、2000年3月28日発行「伸びるサービスもうかるサービス」(ケイブン出版株式会社)(甲68)には、「既に十八年前から事業を開始し、着実に業績を伸ばしてる施設が都内にあると聞き、早速伺うことにした。シルバーヴィラ向山、アブランドル向山を経営する…」との記載が認められる。
(ウ)以上の事実によれば、本願商標の出願日前に情報提供者の経営する有料老人ホームのである「シルバーヴィラ向山」は、高齢者を対象とした長期滞在型ホテルを一般的な有料老人ホームより安い料金で質の高いサービスを都内で提供している施設の先駆けとして「老人の養護」に係る業界及びこれに関連する業界において、取引者、需要者の間で広く認識されていることが認められる。
しかしながら、「シルバーヴィラ」のみでの使用は、各甲号証及び各資料に徴してもその事実を殆ど見出すことができない上、「シルバーヴィラ」は、「シルバーヴィラ向山」を想起、連想させるほど周知性を獲得しているものとも認められない。また、情報提供者が述べるように「シルバーヴィラ向山」の「向山」の文字部分は、東京都練馬区向山の地名「向山」であるにしても、取引者、需要者が「シルバーヴィラ向山」に接した際、「向山」の語が直ちに役務提供場所等の地名として認識され得るほど知られていることを認めるに足りる証左はない。
してみると、「シルバーヴィラ」の表示のみでは、本願商標出願前に取引者、需要者の間に広く認識していたと認めることができない。
(2)本願商標と原査定の拒絶の理由で引用した商標について
本願商標は、前記1のとおり、「シルバーヴィラ」の文字を書してなるところ、その構成文字に相応して「シルバーヴィラ」の称呼を生じ、かつ、特定の意味合いを看取し得ない造語と認められる。
他方、原査定の拒絶で引用した商標は、「シルバーヴィラ向山」(以下「引用商標」という。)と書してなるところ、前半部の「シルバーヴィラ」は片仮名文字で、後半部の「向山」は漢字で表してなるものであり、視覚上分離して看取し得る上、両者が一体として一般に親しまれた観念を生ずるものとも認められないから、「シルバーヴィラ」と「向山」の二語を結合したものと把握・理解されるとみるのが相当である。
しかしながら、引用商標の周知性については、前記3(1)で述べたとおり、「シルバーヴィラ向山」の各文字が一体不可分のものとしてのみ、役務「老人の養護」について周知性を獲得しているものである。
そこで、本願商標と引用商標との類否について検討するに、両者の外観は、前記のとおり、「向山」の文字の有無に顕著な差異があるから明らかに区別できるものである。
次に、称呼についてみるに、本願及び引用の両商標は、その構成文字に相応して、前者から「シルバーヴィラ」、後者から「シルバーヴィラコウヤマ」の称呼が生ずるところ、両者の称呼は、後半部の「コウヤマ」の音の有無に差異があるから称呼上十分聴別し得るものである。
また、観念については、両者は特定の語義を有しない造語であり比較することができない。
してみれば、本願商標と引用商標とは、その外観、称呼、観念のいずれの点においても相紛れるおそれのある同一又は類似する商標とは認められない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標を商標法第4条第1項第10号に該当するものとする原査定の理由は妥当でなく、その理由をもって本願を拒絶すべきものとすることができない。
その他、政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決日 2004-03-02 
出願番号 商願2000-34404(T2000-34404) 
審決分類 T 1 8・ 25- WY (Z3642)
最終処分 成立  
前審関与審査官 井出 英一郎 
特許庁審判長 佐藤 正雄
特許庁審判官 宮川 久成
福島 昇
商標の称呼 シルバービラ 
代理人 秋山 敦 

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