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審決分類 |
審判 全部無効 商3条柱書 業務尾記載 無効としない Z1426 審判 全部無効 商4条1項10号一般周知商標 無効としない Z1426 審判 全部無効 商4条1項19号 不正目的の出願 無効としない Z1426 審判 全部無効 商4条1項8号 他人の肖像、氏名、著名な芸名など 無効としない Z1426 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない Z1426 |
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管理番号 | 1093462 |
審判番号 | 無効2003-35020 |
総通号数 | 52 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2004-04-30 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2003-01-22 |
確定日 | 2004-02-16 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4542670号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第4542670号商標(以下「本件商標」という。)は、「イマックビーシー」の片仮名文字を標準文字とし、平成13年4月6日に登録出願、第14類「身飾品,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,時計,キーホルダー,貴金属製コンパクト」及び第26類「頭飾品,ボタン類,衣服用き章(貴金属製のものを除く。),衣服用バッジ(貴金属製のものを除く。),衣服用バックル,衣服用ブローチ,帯留,ボンネットピン(貴金属製のものを除く。),ワッペン,腕章,腕止め」を指定商品として、同14年2月8日に設定登録されたものである。 第2 請求人の主張 請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1ないし34号証(枝番を含む。)を提出した。 1.請求の利益について 請求人は、商品「身飾品」等について、その名称の略称たる標章「イマックビーシー」を使用していたところ、平成13年2月に、被請求人から商標権侵害の旨の内容証明郵便を受け、その後、被請求人の合意案を受け入れ、「イマックビーシー」又は「imacbc」のみを商標として使用してきた。 しかるに、被請求人は、請求人が上記合意案を受け入れたにもかかわらず、その翌日(平成13年4月6日)に本件商標の登録出願をしたのである。そして、現在、請求人(被告)と被請求人(原告)とは、平成13年(ワ)第25661号侵害差止等請求事件において係争中である。 したがって、請求人は、本件審判を請求するについて利害関係を有する。 2.無効の理由 (1)請求人「株式会社イマックビーシー」及び引用標章等について (a) 請求人は、昭和50年に個人会社「イマックB.C.(輸出入の際は「IMAC BUSINESS CORPORATION」)」として創業し、現在に至るまで28年間にわたり、宝石や宝飾品などの身飾品等の製造・販売及び輸出入を行っている。そして、昭和63年5月17日に現在の「株式会社イマックビーシー」として設立登記された法人である(甲第2号証)。 請求人は、設立以来、継続して社名「株式会社イマックビーシー」及びその略称「イマックビーシー」をその取扱いに係る商品「身飾品」等について使用している(甲第3及び4号証)。 (b) 請求人は、本件商標の登録出願前に「イマックビーシー」等のドメイン名を取得し、平成11年10月よりインターネットでの個人ユーザー向けにホームページやYahooオークション等で商品の販売について請求人の略称及び出所表示として、「イマックビーシー」(以下「引用標章」という。)を使用している(甲第5ないし7号証)。インターネット上のアクセス数は、1商品に対して1000前後であり、顧客数は取引成立者だけで4000人をはるかに超えている。アクセス数だけでも相当の数に上ると思われる。 (c) 甲第8号証は、昭和51年3月6日ないし同59年10月11日の間に請求人が「株式会社久栄産業」に商品「身飾品」等を納品した際の納品書であり、甲第9号証は、昭和60年3月15日ないし平成5年1月27日の間に発行した領収書又は納品書である。これらの取引書類における取引額は、僅か一社だけでも、数千万円と多額に上っている。 (d) 甲第10号証は、「月刊ジュエリー」(昭和50年8月号ないし11月号)における広告に関する請求書であり、甲第11号証は、チラシの製作に関する請求書である。甲第12号証は、「月刊シグネチャー」(1996年6月号・7月号・8月号・9月号)における広告に関する請求書、「AMBIENT(Vol.60)」における広告に関する請求書、DM発送に関する請求書である。甲第13号証は、本件商標の登録出願前後の日付で「三井物産株式会社」から請求人に宛てられた請求書である。広告の内容は、甲第3、4、6号証に示すような内容である。 (e) 引用標章は、上記使用により、請求人の略称として著名性を獲得するに至るとともに、請求人の取扱いに係る商品「身飾品」等について著名な商標と認められるに至っている。かかる事実は、甲第14ないし18号証の各社からの証明書により明らかである。 (3)商標法第3条第1項柱書きについて 上記の事情・経緯により、被請求人は、本件商標を自己の業務に係る商品について使用するためにではなく、請求人による引用標章の使用をコントロールなどするという不正な目的をもって登録出願したものと推定される。被請求人は、引用標章が請求人の略称であり、かつ、出所表示であることを知りつつ、これと同一又は類似の本件商標を請求人の業務に係る商品と同一又は類似の商品について登録出願したからであり、かかる出願行為には、被請求人による本件商標の積極的使用の意思は認められないからである。かかる不正な目的に基づく本件商標の出願行為は、法の予定しないところであり、商標法本来の趣旨に反することは明らかである。 したがって、本件商標は、商標法第3条第1項柱書きの要件を欠くものである。 (4)商標法第4条第1項第8号の該当性について 本件商標は、請求人の名称から「株式会社」の文字を省略したにすぎないものであるから、請求人の略称である。しかも、該略称は、前述のとおり、請求人の著名な略称と認められるに至っている。そして、請求人は、被請求人に対し、本件商標を使用することに関し、承諾をも与えたことはない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。 (5)同第10号の該当性について 請求人は、本件商標と同一又は類似する引用標章をその取扱いに係る商品「身飾品」等について、昭和63年以来現在に至るまで継続して使用した結果、引用標章は、本件商標の登録出願前より、その取引者・需要者に、請求人の使用に係る末登録周知標章と認識されており、本件商標は、その指定商品中に「身飾品」等と同一又は類似する商品を含むものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。 (6)同第15号の該当性について 上記のとおり、引用標章は、本件商標の登録出願時には、既に請求人の著名な略称等と認識されているものであって、第14類の「身飾品」等や第26類の「衣服用き章,衣服用バッジ,衣服用バックル,衣服用ブローチ,帯留,ボンネットピン」等について使用され、著名であるから、被請求人が本件商標を上記商品などに使用するときは、あたかも請求人又は請求人と資本的・組織的・人的など何等かの関連のある者の業務に係るものであるかのように、商品の出所について誤認混同を生じさせること必定である。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 (7)同第19号の該当性について 上記のとおり、本件商標は、請求人の業務に係る商品を表示するものとして、日本国内における取引者・需要者の間に、現在は勿論のこと本件商標の登録出願前から広く認識されている引用標章と同一又は類似の商標である。 しかも、被請求人は、請求人が引用標章を使用していた事実を知っていたにもかかわらず、引用標章が請求人により登録されていないことを奇貨として、請求人による引用標章の使用をコントロールするなど不正の目的で先取り的に本件商標の登録出願をしたものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。 3.答弁に対する弁駁 (1)商標法第3条第1項柱書きについて 乙第2号証(被請求人会社の商業・法人登記情報)の「目的」欄には、「洋品雑貨製造業」等と掲載され、「宝石、貴金属製品装飾品製造業」等は掲載されていない。「雑貨」の中には「身飾品」が含まれることはあっても、「宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品」は含まれない。 してみれば、本件商標は、その指定商品中の「宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品」について、商標権者の業務が存在しない等、将来も使用されないことが明らかな商標といわざるを得ず、被請求人は、乙第2号証によっても、指定商品「宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品」について、本件商標を使用する意思は認めることができない。 したがって、本件商標は、商標法第3条第1項柱書きに違反して登録されたものである。 (2)不正の目的 被請求人は、その略称でもない本件商標を出願した行為を正当化するための主張を縷々述べているが、本件商標は、被請求人のメイン商標「imac/イマック」を中心にしてブランドの拡張のために使用されるような商標ではない。 被請求人は、本件商標の登録出願前に請求人の存在及び請求人が引用標章を使用していたことを知っていたのみならず、被請求人が自らの名称の略称をメイン商標として取得していることに鑑みれば、取引社会の実情に照らし、一般に商人はその正式名称及びフルネームの他に略称をもその商標として取得し、使用したい旨、充分に認識していると思われる。 したがって、被請求人による本件商標の出願行為は、請求人による引用標章の使用、登録を阻止することを目的とした不実行為であり、正当な行為とはいえない。 (3)甲号各証について (a) 被請求人は、甲第3及び4号証に引用標章の記載がない旨主張する。 しかし、「販売元/(株)イマックビーシー」と記載されており、(株)は、法人の種類「株式会社」を意味するにすぎないものであるから、販売元の識別標識としての機能を発揮する要部は、「イマックビーシー」であり、該「イマックビーシー」は記載されている。しかも、5種類もの雑誌における広告に関する事実が示されており、商品「身飾品」等の特殊事情を考慮すれば、この程度に宣伝広告がなされていれば、当該商品について引用標章は著名性を獲得するに至っているものと思われる。 (b) 甲第5号証のドメイン名は、「イマックビーシー」を要部とするものであり、アクセスの回数が増えれば増えるほど、当該商品との関係において引用標章が著名性を獲得するに至るものと思われる。 なお、請求人のホームページへのアクセス数は、平成15年5月現在において、月に50億数であることが明らかになった。これだけの人(外国人を含む。)が請求人のホームページにアクセスしているのであるから、引用標章及び「株式会社イマックビーシー」が商品「身飾品、宝飾品」について著名という外はない。僅か一日だけでも、一億数千万人もの目に触れるものとなっているからである。 (c) 甲第6及び7号証について、インターネットのアクセス数や取引成立者数の根拠となる資料は提出できないが、オークションの主催者たる「ヤフー株式会社 オークション事業部」からの証明願(甲第14号証)が添付されているので、平成13年には引用標章が著名であった旨の事実認識が認められる。 (d) 甲第8及び9号証については、請求人が会社組織になってからは「株式会社イマックビーシー」の表示を使用しているが、その構成中、識別標識としての要部は「イマックビーシー」にあることは明らかであり、「イマックビーシー」を「株式会社」よりも大きく表して、識別標識足り得る要部として使用している事実が明らかである。また、提出した伝票などは訴訟(平成13年(ワ)第25661号 侵害差止等請求事件)においては全てを提出してあるが、ここでは一部で足るとの考えから、当初より一部しか提出していない。年月日が飛んでいても、その間の取引が継続していたことは、前記訴訟において被請求人が知るとおりである。 (e) 甲第10ないし13号証について、年月日が飛んでいること、引用標章の記載がないことについては、上記と同様であり、広告に記載された商品の販売数量、販売額、取引範囲等は秘密事項に関するものであるから、示すことはできないが、これらの証拠により、「月刊ジュエリー」(現在廃刊)、「月刊シグネチャー」、「AMBIENT」、「COLLECTION」、「Choice」等の5つもの雑誌に広告した事実が認められるのであり、これらの読者には、引用標章が請求人の略称であり、その商品「身飾品」等について周知されていたものと思われる。 (f) 甲第14号証について、被請求人は、乙第1号証(異議決定)を引用して、その証拠力を否定しているが、証明主体の認識を否定することはできない。証明主体と請求人との間に充分な取引実績がなければ、このような証明をして貰えるものではないからである。 (4)請求人は、本件商標と同一又は類似の標章が請求人により、本件商標の出願前から継続して使用されていた事実について立証するため、甲第16号証ないし甲第34号証を提出する。 4.むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項柱書きの要件を欠くとともに、同法第4条第1項第8号、同第10号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項第1号によりその登録は無効とされるべきものである。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1ないし9号証(枝番を含む。)を提出した。 1.商標法第3条第1項柱書きについて 本件商標に対して、請求人が登録異議の申立てをした異議決定(異議2002-90297号、乙第1号証)において、本条項の要件を具備しないものとはいえない旨の判断が示されている。商標権者の商業・法人登記情報(乙第2号証)に記載されているとおり、被請求人は、昭和53年7月10日の被請求人会社の成立日より現在まで、「洋品雑貨製造業」、「洋品雑貨に関するデザイン企画制作」、「洋品雑貨輸出入」、「洋品雑貨に関する外国会社との契約斡旋業」等をその目的としており、これらは、本件商標の指定商品を業として扱う業種であることが明らかである。 また、通常、取引において自社商品と他社商品とを区別し、商品の出所を明らかにするために、自社名又はその一部若しくは略称をブランドとして採用し、それを商標として使用することによって、これを自社のメイン商標として市場に浸透させて取引を展開するのが一般的である。そして、当該メイン商標の市場での浸透程度を検討し、当該メイン商標を中心にして製品ラインや製品ミックスを拡張するのも通常行われているところであり、メイン商標に類似した商標を使用することによって、自社ブランドであるとことを市場において主張することも通常行われているのが実情である。被請求人においても、被請求人の社名の略称を表す「イマック」、「imac」について、登録商標「imac/イマック」(身飾品等を指定商品とする。)を有しており(乙第3号証)、その他に、「IMAC PLANETE」、「IMAC HAIRDECO/イマックヘアデコ」(乙第4及び5号証)等の自社社名の一部を含む商標につき登録を受け、自社ブランドであることを市場において主張しているところであって、被請求人が、登録商標「imac/イマック」の「イマック」にアルファベットのB、Cという記号を日本語にした「ビーシー」を付け加えたにすぎない本件商標を被請求人の業務に使用することは、上記取引実情からしても何ら不自然な行為ではない。 また、請求人は、被請求人の合意案を受け入れた翌日に、本件商標を登録出願した旨主張するが、被請求人が請求人にあてた書面では「株式会社イマックビーシーをそのまま商標として使用することについては、商標法第26条の規定よりして当方は異議を述べません。」(乙第6号証)と記載しているのであって、請求人の社名ではない引用標章の使用を認めていないことは明らかである。 したがって、本件商標が商標法第3条第1項柱書きの規定に違反するとする請求人の主張は失当である。 2.商標法第4条第1項第8号について 商標法第4条第1項第8号が適用されるためは、請求人の略称であるという「イマックビーシー」が本件商標の登録出願時(平成13年4月6日)に請求人を表すものとして著名性を有していなければならない。 しかしながら、甲各号証は、それぞれの証拠が一時的な売上額を示したり、一時的な取引先を示したりする等、断片的な証拠にすぎず、それぞれの関連性は全くない。また、甲第14号証(証明書)も形式的に作成されたものといわざるを得ないものであり、前記異議決定でも指摘しているように、具体的証拠が何ら示されていない。そして、いずれも、取引主体としての商号、屋号としての使用であって、識別標識としての引用標章の使用は認められない。 したがって、引用標章が本件商標の登録出願時において、請求人の略称として著名となっていたとする主張には全く理由がないから、本件商標が商標法第4条第1項第8号に該当するとする請求人の主張は失当である。 3.商標法4条第1項第10号、同第15号及び同第19号について 上述のとおり、引用標章が本件商標の出願時において、請求人の取扱いに係る商品について使用するものとして周知・著名であったということができないことは明らかであり、また、被請求人には、何ら不正の目的はないから、本件商標が商標法第4条第1項第10号、同第15号及び同第19号に該当するとする請求人の主張は失当である。 第4 当審の判断 1.商標法第3条第1項柱書きについて 乙第2号証(商標権者の商業・法人登記情報)によれば、被請求人は、昭和53年7月10日に設立されて以降、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、「洋品雑貨製造業」、「洋品雑貨に関するデザイン企画制作」、「洋品雑貨輸出入」、「洋品雑貨に関する外国会社との契約斡旋業」等の業務を行うことを目的としていたものと認められる。そして、これらの業務の中には、請求人が主張する「宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品」についての業務は含まれていないとしても、現に、本件商標の指定商品中の多くの商品に係る業務が含まれており、指定商品中の各商品は、互いに関連性を有する商品群であることからすれば、上記目的欄に掲げられていない商品に係る業務であっても、被請求人においては、互いに近接する本件指定商品全体についての業務をも行う蓋然性はあったものとみるのが自然であって、その使用意思を否定することはできず、また、否定するに足る証拠もない。 したがって、本件商標は、商標法第3条第1項柱書きの要件を具備していないものということはできない。 2.商標法第4条第1項第8号、同第10号、同第15号及び同第19号について 本件商標は、前記のとおり、「イマックビーシー」の片仮名文字を標準文字で表したものであるところ、請求人は、本件商標は請求人の名称の著名な略称と同一のものであり、また、請求人が「身飾品」等について使用している著名な引用標章と同一又は類似するものである旨主張している。 請求人の主張する上記法条を適用するにあたっては、請求人の名称の略称の著名性、あるいは、引用標章の周知性、著名性がその前提となるものであるから、この点について判断する。 (1)甲各号証からは、以下の事実を認めることができる。 (a) 甲第2号証(請求人の履歴事項全部証明書)によれば、請求人は、昭和63年5月17日に設立登記され、「宝石、貴金属の輸入、輸出、卸、販売」、「宝石、貴金属製装飾品の製造、加工、販売」等の業務を目的とする法人であること (b) 甲第3号証の1及び2(1996年2月10日発行「ダイナース共同DM紙AMBIENT(Vol.57)」)及び甲第4号証の1、2(同年11月11日発行「同上(Vol.61)」)によれば、「販売元/(株)イマックビーシー」の表示のもとに、「コインペンダント、コインリング、ネックレス、ブレスレット、リング、ピアス」等の商品の広告がなされていたこと (c) 甲第5号証の1ないし4(検索結果画面)によれば、請求人は、2000年2月7日に「IMACBC.CO.JP」を、2001年3月26日に「IMACBC.JP」及び「イマックビーシー.JP」をネットワークドメイン名として取得していたこと (d) 甲第6号証の1ないし3(「YAHOO!AUCTIONS」のホームページ画面)によれば、各社の各種商品が掲載されている中に、請求人の業務に係る「ジュエリー」の紹介とともに「イマックビーシー」の表示があり、また、出品企業情報欄には、「Imacbc(筆記体)」の表示及び住所、電話番号等の表示とともに「株式会社イマックビーシー」の表示がなされていたこと(但し、甲第6号証の1ないし3は、その検索日が本件商標の登録出願日以降の2002年5月10日であり、本件商標の登録出願前のものであると認められる他の日付等の記載はない。) (e) 甲第7号証の1及び2(請求人のホームページ画面)によれば、楽天市場において、「ニュートレンドジュエリー」の紹介記事中に、「imacbc・・イマックビーシー」、「株式会社イマックビーシー」、「イマックビーシー ジュエリーファクトリー/Imacbc Jewelry Factory」等の表示がなされていたこと(甲第6号証と同様に、本件商標の登録出願前のものであると認められる日付等の記載はない。) (f) 甲第8号証の1ないし甲第9号証の10は、昭和51年3月6日から平成5年1月27日にかけて請求人が株式会社久栄産業(一部「久栄産業株式会社」との表示がある。)に宛てた商品「身飾品」等に関する納品書又は領収書と認められるところ、甲第8号証の1ないし10及び甲第9号証の1ないし5によれば、これら書類には、請求人の住所及び電話番号と認められる表示の上段に、楕円輪郭内に「IMAC」の文字を書した表示と「イマックB.C.」の表示がなされていたこと(甲第16号証の1ないし100も同様である。)、また、甲第9号証の6ないし10によれば、これら書類には、「IMAC BUSINESS CORPORATION」の表示及びその下に「株式会社 イマック ビーシー」の表示がなされ、さらにその下には、請求人の住所、電話番号等が記載されていたこと(甲第17号証の1ないし56も同様である。) (g) 甲第10号証の1ないし3は、昭和50年9月9日、同年10月4日及び同年11月7日に(株)ジュエリージャーナルが請求人に宛てた、「月刊ジュエリー」の昭和50年8月号から11月号に掲載した広告料の請求書であり、甲第11号証は、平成8年6月29日に株式会社東京マーク商会が請求人に宛てた、チラシの製作に関する費用などの請求書であり、甲第12号証の1ないし7は、平成8年5月15日から同年8月22日にかけて株式会社日本ダイナースクラブが請求人に宛てた、「月刊シグネチャー」の1996年6月号ないし9月号に掲載した広告料の請求書、「AMBIENT(Vol.60)」に掲載した広告料の請求書及びダイレクトメール発送に関する請求書であり、甲第13号証の1ないし8は、2001年(平成13年)3月15日から2002(平成14年)1月10日にかけて三井物産株式会社が請求人に宛てた、「Signature4月号(2001年3月15日発行)」ほか、3種類の雑誌に掲載した広告料の請求書であること(但し、甲第13号証の2ないし7の雑誌は、本件商標の登録出願後に発行されたものであり、甲第13号証の8の雑誌は、本件商標の登録査定後に発行されたものである。) (h) 甲第14号証の1ないし16及び18は、請求人が、同人と取引があった者に対し、依頼した証明願であるところ、これによれば、請求人が引用標章を使用していること(但し、甲第14号証の1ないし5、13、14及び18は、引用標章の周知性をも証明している。)、甲第14号証の17によれば、請求人は、社団法人日本ジュエリー協会の正会員であること (i) 甲第18号証の1ないし6は、社団法人日本ジュエリー協会発行の「’92-’93 JJA JEWELLERY CATALOG」と認められるところ、該カタログによれば、同協会に所属している企業の一つとして請求人も掲載され、「株式会社イマックビーシー」の表示のもとに、請求人の商品も紹介されたこと (j) 甲第19号証の1ないし甲第25号証の4は、社団法人日本ジュエリー協会主催の1993年から1999年までのジャパンジュエリーフェアのオフィシャルガイドブックと認められるところ、該ガイドブックによれば、この展示会に出展する企業の一つとして請求人も掲載され、「(株)イマックビーシー」の表示のもとに、請求人の商品も紹介されたこと (k) 甲第26号証の1ないし甲第29号証の2は、カーナーズエクスポジションジャパン(株)若しくはリードエグジビションジャバン(株)及び社団法人日本ジュエリー協会主催の91年、92年、95年、98年の国際宝飾展の公式ガイドブックと認められるところ、該ガイドブックによれば、この展示会に出展する企業の一つとして請求人も掲載され、「(株)イマックビーシー」の表示のもとに、請求人の商品も紹介されたこと (l) 甲第30号証の1ないし甲第34号証の2は、ニコスカードの会員向け雑誌「Partner/パートナー」の1998年11月号、同年12月号、1999年3月号、同年12月号、2000年3月号と認められるところ、該雑誌には、「株式会社イマックビーシー」の表示のもとに、請求人商品の紹介記事とともに、「宝石工場のイマックビーシーの特別企画。・・・」、「宝石工場のイマックビーシーから、一流職人の手によって、一点一点丹念に作り上げたジュエリーをお届けいたします。・・」等の記事が掲載されたこと (2)前記(1)で認定した事実によれば、請求人の取扱いに係る商品「身飾品」等の宣伝広告及び株式会社久栄産業との間の取引書類おいて、「イマックビーシー」の文字を含む表示がなされていたことを認めることができる。 しかしながら、これらの宣伝広告及び取引書類においてみられるのは、「販売元/(株)イマックビーシー」の表示か、住所、電話番号等とともに使用されている「株式会社イマックビーシー」の表示であり、あるいは単独での使用である「(株)イマックビーシー」の表示であって(展示会における出展社一覧表中の「株式会社イマックビーシー」の表示は、商品の出所表示標識とはいえない。)、なかには、「イマックビーシー」の文字部分を若干強調しているような書体のものも見受けられるにしても、これらは、いずれも、全体として、取引主体を表す商号としての使用というべきものであって、「イマックビーシー」の標章が請求人の名称の略称として、または、請求人の取扱いに係る商品「身飾品」等についての識別標識として使用され、機能していたものとは認められない。 また、甲第6号証の1ないし3(「YAHOO!AUCTIONS」のホームページ画面)及び甲第7号証の1及び2(請求人のホームページ画面)には、「イマックビーシー」の表示が単独で用いられている例も認められるが、これらの証拠は、その記載された内容が本件商標の登録出願前のものであると明確には認定することができない。仮に、記載内容が本件商標の登録出願前のものであったとしても、「イマックビーシー」の表示が単独で用いられているのは、僅かに、これらの事例のみである。この点について、請求人は、弁駁書において、請求人のホームページへのアクセス数は、平成15年5月現在において、月に50億数であることが明らかになった。これは、標章「イマックビーシー」及び「株式会社イマックビーシー」が僅か一日だけでも、一億数千万人もの目に触れるものとなっていることを示すものである旨述べている。しかしながら、この事実を裏付ける証拠は提出されておらず、請求人のこの点についての主張は、直ちには採用し難いところである。 また、甲第30号証の1ないし甲第34号証の2においても「イマックビーシー」の表示が用いられているが、これらは、前記認定のとおり、紹介記事における説明文中の記載であり、該説明文中には「イマックビーシー」の周知・著名性を窺わせる記述は見当たらない。 さらに、請求人は、引用標章が請求人の略称として、また、請求人の商標として、周知・著名であったことを立証するために、甲第14ないし18号証の証明書を提出しているが、上記各証明書は、あらかじめ証明事項を不動文字で記載した書面の下部に、依頼を受けた各社が記名押印をしたというだけのものであるうえ、上記認定のとおり、「イマックビーシー」が請求人の略称として、また、商標として、周知・著名であったと認めるに足る証拠は認められない状況のもと、どのような具体的事実に基づいて証明したものか定かではなく、これら各号証の信用性は乏しいものといわざるを得ない。 そうとすれば、引用標章は、本件商標の登録出願時において、請求人の商号の略称として、また、請求人の取扱いに係る商品「身飾品」等の商標として、この種商品の取引者・需要者間において、周知・著名なものとなっていたものと認めることはできない。 (3)してみれば、請求人が無効理由として挙げている商標法第4条第1項第8号、同第10号、同第15号及び同第19号は、いずれも、請求人の名称の略称の著名性、あるいは、請求人の使用に係る商標の周知性、著名性をその要件の一つにしているものであるところ、上記のとおり、引用標章は、請求人の商号の略称としても、また、請求人の取扱いに係る商品「身飾品」等の商標としても、その周知・著名性を認めることはできないものであるから、請求人の主張は、その前提を欠くものといわなければならない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第8号、同第10号、同第15号及び同第19号に違反してされたものとはいえない。 3.結論 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第3条第1項柱書き、同法第4条第1項第8号、同第10号、同第15号及び同第19号同に違反してされたものではないから、商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきでない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2003-12-16 |
結審通知日 | 2003-12-19 |
審決日 | 2004-01-06 |
出願番号 | 商願2001-31850(T2001-31850) |
審決分類 |
T
1
11・
222-
Y
(Z1426)
T 1 11・ 18- Y (Z1426) T 1 11・ 271- Y (Z1426) T 1 11・ 23- Y (Z1426) T 1 11・ 25- Y (Z1426) |
最終処分 | 不成立 |
特許庁審判長 |
野本 登美男 |
特許庁審判官 |
茂木 静代 高野 義三 |
登録日 | 2002-02-08 |
登録番号 | 商標登録第4542670号(T4542670) |
商標の称呼 | イマックビーシー |
代理人 | 鈴木 正次 |
代理人 | 今井 貴子 |
代理人 | 神田 正紀 |
代理人 | 涌井 謙一 |
代理人 | 垣内 勇 |
代理人 | 瀧野 秀雄 |