ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 一部無効 観念類似 無効としない Z29303132 審判 一部無効 称呼類似 無効としない Z29303132 |
---|---|
管理番号 | 1093329 |
審判番号 | 無効2003-35072 |
総通号数 | 52 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2004-04-30 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2003-02-27 |
確定日 | 2004-02-09 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4541396号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第4541396号商標(以下「本件商標」という。)は、平成 13年5月8日に登録出願され、別掲に示すとおりの構成よりなり、商品の区分第16類、第21類、第29類、第30類、第31類、第32類及び第33類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成14年2月1日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 2 請求人が引用する商標 請求人が本件商標の無効の理由に引用する商標は以下のとおりである。 (1)登録第1499439号商標は、「ANGEL」の欧文字と「アンジェロ」の片仮名文字とを二段に併記してなり、昭和48年5月23日に登録出願され、商品の区分第30類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同57年2月26日に設定登録、その後、2回に亘る商標権存続期間の更新登録を経て平成14年5月29日に同第30類に属する商標登録原簿に記載のとおりの指定商品に書換登録され、現に有効に存続しているものである。 (2)登録第2614691号商標は、「アンジェロ」の片仮名文字と「ANGEL」の欧文字とを二段に併記してなり、平成3年3月25日に登録出願され、商品の区分第30類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同6年1月31日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 (3)登録第3106995号商標は、「Angelo」の欧文字と「アンジェロ」の片仮名文字とを二段に併記してなり、平成4年11月18日に登録出願され、商品の区分第30類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同7年12月26日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 (4)登録第4259907号商標は、「アンジェロ」の片仮名文字を標準文字で書してなり、平成9年9月30日に登録出願され、商品の区分第30類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同11年4月9日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 (以下これらを合わせて「引用各商標」という。) 3 請求人の主張 請求人は、「本件商標の指定商品中の『コーヒー及びココア,茶,ウースターソース,ケチャップソース,しょうゆ,食酢,酢の素,そばつゆ,ドレッシング,ホワイトソース,マヨネーズソース,焼肉のたれ,角砂糖,果糖,氷砂糖,砂糖,麦芽糖,はちみつ,ぶどう糖,粉末あめ,水あめ,ごま塩,食塩,すりごま,セロリーソルト,化学調味料,香辛料,菓子及びパン,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,氷』(第30類)、『乳製品,食用たんぱく』(第29類)、『飼料用たんぱく』(第31類)及び『乳清飲料』(第32類)についての登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。」と申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第53号証(枝番含む)を提出した。 (1)本件商標と引用各商標は類似するものであり、また、本件商標に係る指定商品中、「コーヒー及びココア,茶,ウースターソース,ケチャップソース,しょうゆ,食酢,酢の素,そばつゆ,ドレッシング,ホワイトソース,マヨネーズソース,焼肉のたれ,角砂糖,果糖,氷砂糖,砂糖,麦芽糖,はちみつ,ぶどう糖,粉末あめ,水あめ,ごま塩,食塩,すりごま,セロリーソルト,化学調味料,香辛料,菓子及びパン,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,氷」(第30類)、「乳製品,食用たんぱく」(第29類)、「飼料用たんぱく」(第31類)及び「乳清飲料」(第32類)については、引用各商標に係る指定商品と同一又は類似である。 (2)本件商標は、円の図形及びフォーク又は矢とおぼしき図形と、ややデザイン化した欧文字「ANGELO」及び「PARACUCCHI」とを結合させた商標であるが、円の図形部分には殆ど識別力はないと考えられる為、フォーク又は矢とおぼしき図形部分(以下、「図形部分」という。)と各欧文字部分が、それぞれ独立した要部として観察されるべきである。即ち、各語は「それを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められ」ず、かつ「ANGELO」部分はイタリア語であるが、英語の「ANGEL」と近似した綴りであることから「天使」の意味が容易に感得される一方で、「PARACUCCHI」部分は、我が国の平均的需要者にはその意味を感得できない語であるため、両者はそれぞれ独立して看取される。そして、本件商標の要部の一つである「ANGELO」部分からは、「アンジェロ」の称呼が発生する。これに対し、引用各商標の「アンジェロ」ないし「Angelo」部分からも、「天使」の観念及び「アンジェロ」の称呼が発生するため、本件標と引用各商標は同一の観念及び称呼が発生する類似商標である。 (3)以上より、本件商標中の「ANGELO」部分及び「PARACUCCHI」部分は分離観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとは認められず、かつ、一連で称呼するときにはやや冗長であると感じられるうえ、「ANGELO」は看者の目に付きやすい上部に位置し、さらに英語の「ANGEL」に相当するイタリア語で「天使」を意味する語であり、我が国で親しまれた成語を表しているといえる。したがって、一般需要者、取引者は、本件商標中親しみやすく印象的である「ANGELO」の文字部分に特に着目して取引することが容易に推察される。一方、一般需要者、取引者が「PARACUCCHI」の文字部分を正確に称呼できるとは思われず、仮に称呼したとしても、本件商標は複数の要部をもち、「凡ての取引者及び需要者により必ずしもその称呼及び観念の同一を期し得ない場合」に該当するといえる。従って、「ANGELO」部分から生じる称呼及び観念を基準として引用各商標との類否判断をすることを肯定すべきであり、その結果、本件商標は、引用各商標と類似し商標法第4条第1項第11号の規定に該当するから、その登録は商標法第46条第1項第1号の規定により無効にされるべきである。 なお、当該主張を証明するものとして。従来の審決例(甲第9号証ないし甲第38号証)及び判決例(甲第39号証ないし甲第53証)を提出する。 4 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第23号証(枝番含む)を提出した。 (1)本件商標「ANGELO\PARACUCCHI」は、イタリアに実在する人物の姓名を影付きの真円内の内辺に沿ってまとまりよく2段書きに書してなるもので、姓名全体で一体不可分のものとして認識されるものであり、「ANGELO」等が単独で取り出されるものではなく、引用各商標とは類似しないものである。 (2)本件商標「ANGELO\PARACUCCHI」について (a)ANGELO PARACUCCHIは、氏自身の身分証明カードの写しや、氏から被請求人への証明書に示されているように、実在するイタリア人男性である。 被請求人は、老舗の百貨店「大丸」を経営しているが、かかる氏名「ANGELO PARACUCCHI」に関し、契約により、これをフルネームで使用すること及び日本において商標登録を得ることにつき承諾を受けているものである。 そして、被請求人は、かかる承諾に基づいて、従前より氏の氏名を書してなる本件商標を百貨店のカタログ、パンフレット等広告書類に使用しているものである。 (b)ANGELO PARACUCCHIは「アンジェロ・パラクッキ」と呼ばれ、我が国でイタリア料理の達人として有名である。 乙第5号証は、有名なテレビ番組「料理の鉄人」の平成10年3月13日分放映の内容を示すもので、出演者が「イタリア料理パスタの神様 アンジェロ・パラクッキ」氏の弟子であることが紹介されている。 乙第6号証は、上記出演者でもあるイタリア料理のシェフ「マリオ・フリットリ」氏を紹介するもので、「イタリア料理のアンジェロ・パラクッキ、フランス料理のポール・ボキューズという二大巨匠に師事」という記載があり、アンジェロ・パラクッキ氏即ちANGELO PARACUCCHIがあのポール・ボキューズと並び称せられる人物であることが判る。 乙第7号証は、有名な雑誌「あまから手帖」1997年7月号目次を示すもので、ここにも「アンジェロ・パラクッキ」の名前が掲載されている。 乙第8号証は、1996年12月12日発刊の雑誌「サントリークォータリー」の「イタリアの食」特集に係るもので、シェフ「アンジェロ・パラクッキ」に「最高の料理人への道」をインタビューしていることが記載されており、氏の知名度を窺わせる。 乙第9号証は、イタリアンレストラン「リストランテ・パラクッキ」の紹介記事で、「アンジェロ・パラクッキ」の名前で、パラクッキ流イタリア料理の真髄を届けることが出来て誇りである旨の記載があり、アンジェロ・パラクッキ自身の経歴も紹介されている。 乙第10号証は、同じく、イタリアンレストラン「リストランテ・パラクッキ」の紹介記事で、「アンジェロ・パラクッキ」との関わりが記載されており、イタリア料理等の第一級のシェフとして著名であることが判る。 乙第11号証は、雑誌「ギリー」に掲載されたANGELO PARACUCCHIのインタビュー記事で、氏は「イタリア料理界でもっとも重要な人物のひとり」「イタリア料理の達人」と紹介されている。 (c)本件商標「ANGELO\PARACUCCHI」は、前述したように、実在の、且つ業界に著名なANGELO PARACUCCHIの氏名を、影付きの真円内の内辺に沿って上部に名たる「ANGELO」を、下部に氏たる「PARACUCCHI」を、両者に共通する独特の書体でもってフルネームに書し、中央部にフォークのデフォルメ体を配して成るものである。 本件商標は、氏及び名を共通の独特の書体でもって書して成ることによって氏と名とに一体感を持たせ、またこれを影ある真円で囲み、中央にフォークの図形を配したことによって一つの図形として外観上まとまりがよいばかりでなく、「ANGELO PARACUCCHI」全体で欧米人の氏名(フルネーム)を表すものであるので、本件商標から「ANGELO」や「PARACUCCHI」の部分だけが分離抽出されることなく、不可分一体の関係にあるものと理解し把握されると判断するのが相当である。 (d)ちなみに、本件商標は、昭和34年法下において商品区分第19、26、27、28、29、30、31、32類の商品を指定商品として商標登録を得ている。 そのうち、引用各商標と指定商品において同一又は類似である商標登録第2721053号、商標登録第2266142号は、今日まで登録商標として引用各商標と並存している。 本件商標は、上記のとおり、かかる昭和34年法下での商標登録の一つが平成13年11月29日をもって存続期間満了することを事情として、管理の統一を図るため、更新登録の申請をすることなく多区分をもって再度新出願し登録を得たものである。 商標34年法下において5年を超えて引用各商標と並存していた事情からも、全体として不可分一体であることが押し測られるのである。 なお、言うまでもないが、このように並存した状況において、今日まで、本件商標が、需要者の方々から、請求人の引用商標との関係で混同を生じた等の苦情を生じたことは一度もない。 (3)欧米人の氏名(フルネーム)が全体として一連不可分であると判断した審決例及び異議決定例は、極めて多数存在している。 (4)結論 以上のとおり、本件商標と引用各商標は、その外観、称呼及び観念において相紛れるおそれのない非類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号の規定には該当しないものである。 5 当審の判断 本件商標は別掲に示すとおり、立体的に描かれた円図形の内側の上円に沿って「ANGELO」、下円に沿って「PARACUCCHI」の各欧文字をやや図案化された態様で書してなり、その中央部にフォークと思しき図形を描いた構成よりなるものである。 しかるところ、被請求人が提出した乙各号証によれば、本件商標中の欧文字部分である「ANGELO PARACUCCHI」は、我が国においては「アンジェロ・パラクッキ」と呼ばれ、イタリア料理界のシェフ(特にパスタ料理で有名。)として、世界的に広く知られている人物名である事実が認められる。 また、当該「ANGELO PARACUCCHI」の文字部分は、同一の書体、同一の大きさよりなり、全体としてまとまりよく表示されているものであるから、前記理由と併せて、これを「ANGELO」と「PARACUCCHI」に分離する特段の事情を見出せない。 そうとすれば、本件商標より生ずる称呼は「アンジェロパラクッキ」の称呼のみであるとみるのが相当である。 他方、引用各商標よりは、それぞれの構成文字に相応して「アンジェロ」の称呼をそれぞれ生ずるものとみるのが相当である。 そこで、本件商標より生ずる「アンジェロパラクッキ」の称呼と、引用各商標より生ずる「アンジェロ」の称呼とを比較するに、両者は後半部における「パラクッキ」の音の有無に顕著な差違を有するものであり、両者の音構成上これらの差異が両称呼に与える影響は大きく、称呼上十分に区別し得るものである。 さらに、本件商標よりは「ANGELO PARACUCCHI(アンジェロ・パラクッキ)」というイタリア人の氏姓を看取するのに対して、引用商標よりは「天使」の観念を生ずるから、両者は観念上区別し得るものであり、かつ、本件商標と引用各商標の前記構成よりみて外観上も区別し得るものである。 そして、他に両商標が類似するという理由を発見し得ない。 してみれば、本件商標と引用各商標とは、その称呼、観念及び外観のいずれにおいても区別し得る非類似の商標といわざるを得ない。 なお、請求人はその主張を裏付けるために過去の審決例及び判決例を提出しているが、これらは、本件無効審判とは事案を異にするものであるから、この点に関する請求人の主張は認め難いところである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものということはできないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲 |
審理終結日 | 2003-12-03 |
結審通知日 | 2003-12-08 |
審決日 | 2003-12-19 |
出願番号 | 商願2001-41346(T2001-41346) |
審決分類 |
T
1
12・
262-
Y
(Z29303132)
T 1 12・ 263- Y (Z29303132) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 吉野 晃弘 |
特許庁審判長 |
佐藤 正雄 |
特許庁審判官 |
山本 良廣 宮川 久成 |
登録日 | 2002-02-01 |
登録番号 | 商標登録第4541396号(T4541396) |
商標の称呼 | アンジェロパラクッキ、アンジェロ、パラクッキ |
代理人 | 小林 彰治 |
代理人 | 小谷 悦司 |
代理人 | 鳥海 哲郎 |
代理人 | 植木 久一 |