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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Z08
管理番号 1091809 
審判番号 不服2001-18928 
総通号数 51 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2004-03-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-10-22 
確定日 2004-01-05 
事件の表示 平成11年商標登録願第37775号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第8類「噴霧器のトリガー式ノズル付きキャップ用のカバー」を指定商品として、平成11年4月27日に立体商標として登録出願されたものであるが、その後、指定商品については、平成12年8月23日付け手続補正書をもって「トリガー式噴霧器の容器カバー」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、指定商品との関係において、噴霧器の銃の引き金式のノズルキャップであることを容易に認識させる『トリガー式ノズルキャップの図』を描いてなるにすぎないから、これを本願の指定商品に使用するときは、単にその商品の品質、形状を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)立体商標は、商品若しくは商品の包装又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状も含むものであるが、商品等の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであり、本来的(第一義的)には商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として採択されるものではない。
そして、商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは前記したように、商品等の機能又は美感をより発揮させるために施されたものであって、本来的には、自他商品を識別するための標識として採択されるのではなく、全体としてみた場合、商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者・需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するに止まり、このような商品等の機能又は美感と関わる形状は、多少特異なものであっても、未だ商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないと解するのが相当である。
また、商品等の形状は、同種の商品等にあっては、その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるから、取引上何人もこれを使用する必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。
そうとすれば、商品等の機能又は美感とは関係のない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状をもって構成される商標については、使用をされた結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者・需要者間において、当該形状をもって同種の商品等と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。
(2)これを本願についてみれば、本願商標は、別掲に示すとおりトリガー式噴霧器の容器カバーそのものを表した立体的形状よりなるものであって、請求人が特徴的な形状と主張する該カバーの後方部の反り返り部分及び上部の両側面部に伸びている三角形の形状は、該カバーを付けたトリガー式噴霧器を噴霧する液体を入れた容器に設置した状態で持ち易く、かつ、トリガーを引き易くするための機能面と、購買、選択意欲に影響を与える美感を発揮させるために施されたものであって、該トリガー式噴霧器の容器カバーの用途、機能から予想し得ない程の特徴がある形状とは認められない。
したがって、これをその指定商品に使用しても、取引者、需要者は、トリガー式噴霧器の容器カバーの形状を表示したものであると理解するに止まり、自他商品を識別するための標識とは認識し得ないものといわなければならない。
(3)請求人は、本願商標の立体的形状は、米国ばかりでなく我が国においても長期に亘る使用の結果、商標として識別性を有するに至っており、商標法第3条第2項の要件を具備している旨主張し、証拠方法として原審においては甲第1号証ないし同第8号証、当審においては甲第9号証ないし同第11号証を提出している。
そこで、請求人提出の各証拠について検討するに、甲第1号証は請求人の本願商標の形状のカバーを付けたトリガー式噴霧器の商品カタログであるが、外国語のパンフレットであることや、配布期間及び配布枚数も不明であることからすれば、このパンフレットのみをもってしては、我が国における広告宣伝の効果によって、自他商品の識別力を有するに至っているとは認められない。
次に、甲第3号証は、本願商標の形状のカバーを付けたトリガー式噴霧器の1999年及び2000年における販売数量及び売上高を記載した請求人による宣誓書であるが、本願指定商品が最終消費者に届く形態としては、それ単体で取り引きされるというよりは、通常、噴霧される消臭剤等とが一体となった状態で販売されており、購入者は主に消臭剤等の噴霧される媒体を求めて購入する場合が多い実情からすれば、販売数量、売上高が直に本願商標の著名性に結び付くものであるか疑問が残るばかりでなく、長年の使用と主張するが、僅か2年分の内容であること、ここに示された数字が本願指定商品を取り扱う業界全体の取引においてどれほどの割合を占めるものであるのかについても記載がないことから、これよりは使用により自他商品の識別力を有するに至っているとは認めるに足りない。
さらに、甲第4号証、同第6号証及び同第9号証(枝番を含む。)は同業者及び請求人の国内代理店による本願商標が商標として機能している旨の宣誓書、証明書であるが、甲第4号証と同第6号証が、甲第9号証の1と2が同一内容の文章であることから、請求人の求めに応じ、請求人が用意した文面に証明者が署名捺印したにすぎないものと認められ、証明者がいかなる根拠により当該文面の内容を証明したものであるかが不明であり、客観性を欠く証明書といわざるを得ない。
また、甲第2号証、同第8号証、同第10号証及び同第11号証は、本願商標と同一の商標についての外国での出願、登録の状況を示すものであるが、パリ条約においても各国の商標保護の独立性が認められており、登録出願にかかる商標は、各国の商標法及び各国の商品取引の実情に照らして登録されるか否か判断されるものであるから、諸外国の出願、登録例をもっては、自他商品の識別力の有無、商標法第3条第2項の要件を具備しているか否かについての判断理由とすることはできない。
その他、請求人提出の証拠を総合してみても、本願商標が使用により識別力を有するに至ったものと認めることはできない。
(4)したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 (別掲)
本願商標


審理終結日 2003-07-29 
結審通知日 2003-08-05 
審決日 2003-08-19 
出願番号 商願平11-37775 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (Z08)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 巻島 豊二守屋 友宏 
特許庁審判長 小池 隆
特許庁審判官 山本 良廣
田中 幸一
代理人 石川 義雄 
代理人 小出 俊實 
代理人 鈴江 武彦 

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