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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 104
管理番号 1090444 
審判番号 取消2002-31021 
総通号数 50 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2004-02-27 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2002-08-27 
確定日 2004-01-09 
事件の表示 上記当事者間の登録第2225127号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2225127号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、第4類「化粧品、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和60年5月9日登録出願、平成2年4月23日に設定登録されたものであり、現に有効に存続している。

第2 請求人の主張
請求人は、「本件商標の登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のとおり述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1.請求の理由
本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において使用した事実がないから、商標法第50条第1項の規定により,その登録を取り消されるべきである。
2.答弁に対する弁駁
(1)乙各号証には、「J&J」の欧文字と「ジェイアンドジェイ」の片仮名文字とを上下二段に横書きした構成よりなるもの(以下「使用商標1」という。)と、「J&J」の欧文字を横書きした構成よりなるもの(以下「使用商標2」という。)が認められる。
しかしながら、これらの表示は、いずれも不使用取消を免れることのみを目的とした名目的な使用にすぎず、本件商標をその指定商品との関係において使用しているものとは認められない。
(2)被請求人が本件商標を使用していると主張する化粧品は、大衆向けの大量生産品であるところ、当業界の常識としては、販売促進のためにマスメディアによる反復継続的な広告宣伝活動を行ない、需要者に商標及び商品を良好なイメージとともに認知してもらうことが極めて重要であり、その際商標も商品特性や需要者層を考慮して、ハウスマークであれペットブランドであれ、優美なあるいは可愛らしいロゴを採用するのが常套手段であるにも拘わらず、本件商標の唯一の使用が登録商標に酷似する無骨なブロック体2段書きの表示であるのは誠に不自然な構成態様といわざるを得ない。
さらに、使用商標1の表示位置は、掲載商品等広告内容と関係無く常に広告紙面の右上にあり、その唐突な表示方法と相まって、当該表示が化粧品についての本件商標の宣伝広告的使用であるとは到底思われず、当該表示に接した需要者がこれを掲載化粧品の商標と認知することはあり得ない。
現に、乙各号証に掲載の化粧品には、本件商標とは別のペットブランドである「透雪肌」が使用されており、当該「透雪肌」ブランドの商品の容器にも、本件商標は一切使用されていない。
(3)使用商標2は、本件商標と同一のものではない。また、当該表示は、請求人のハウスマークであるかのように、社名の近傍に配置されているものであるが、請求人が広告掲載製品の一部を入手したところ、どの製品にも使用商標1又は2の表示は付されていなかった(甲第1号証及び甲第2号証)。
なお、被請求人のインターネットホームページを見ても、当該「透雪肌」の関連頁を含めて本件商標の使用事実は確認できない。
(4)請求人は、本件商標に対し、過去に登録異議申立、無効審判請求、不使用取消審判請求を行った経緯があり、被請求人が本件審判の請求を予想してこれに対処すべく、乙号証掲載の広告中に本件商標を表示することは容易であったはずである。
この前回の不使用取消審判(平成9年審判第15431号)にあっても、審判被請求人は1回限りの不自然な紙面広告を唯一の使用証拠として提出した。
そして、今回は、発行部数や配布場所、反復継続性の点から大々的広告とはいい難いスポーツイベントや音楽会・演劇のパンフレット等についてハウスマークであるのか、ペットブランドであるのかさえ需要者が理解できない態様で本件商標を形式的に使用した証拠方法を提出しているのであり、これらを自社の化粧品を他社製品から区別するための標識としての機能を発揮させるための正当な商標の使用であると認めることはできない。
なお、「J&J」の表示は、全世界的に請求人の略称として通用するものであり、我国においても、例えばインターネットの検索エンジンを用いて「J&J」と「化粧品」をかけ合わせて検索すれば、一部のフリーライド的使用例を除いて殆ど全てが請求人を意味する表示として、これが使用されていることを確認することができる。請求人としては、被請求人により本件商標が大々的に使用された場合には、必然的に商品出所の狭義又は広義の混同が生ずるであろうことを確信しており、本件取消審判請求はこのような事態を防止し、需要者の利益を保護するための方策の一つである。
(5)以上の理由から、乙各号証中の使用商標1及び2は、いずれも本件商標の不使用取消を免れんがための名目的使用にすぎないものである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第5号証(枝番を含む。)を提出した。
1.使用の事実
(1)乙第1号証は、本年(2002年)4月21日に開催された「第71回早慶レガッタ大会」の開催に際して頒布されたパンフレットであるが、巻頭11頁には被請求人の製造販売に係る化粧品の広告が掲載されている。広告掲載の化粧品は、美白化粧品「透雪肌」であるが、当該頁には、本件商標が登録されたそのままの構成態様で表示されている。したがって、商標権者が、本件商標を商品「化粧品」に使用していることは明らかである。
ところで、このパンフレットには,その発行日が記載されていないが、その表紙には,この大会の開催日時として「日時/2002年4月21日(日)」との文字があり、この種パンフレットの頒布が開催後ということは常識上考えられず、遅くとも開催当日である2002年4月21日以前に印刷され頒布されたものであると推認される。また、このことは、上記被請求人の広告掲載頁中のクイズ回答期限として「応募締切2002年7月31日当日消印有効」とあることからも首肯できる。
(2)乙第2号証は、1999年(平成11年)8月28、29日の両日に,横浜みなとみらいホールで行なわれた日本高等学校吹奏楽連盟主催「第1回全日本高等学校吹奏楽大会in横浜」のパンフレットであるが、このパンフレット中の被請求人の化粧品の広告中にも、本件商標が表示されている。
(3)乙第3号証は、2001年10月16〜25日まで、紀伊国屋サザンシアターで行なわれた文学座公演「崩れた石垣、のぼる鮭たち」のパンフレットであるが、このパンフレット中の被請求人の化粧品の広告中にも、本件商標が表示されている。
(4)乙第4号証(「乙第5号証」の誤記と認める。)は、平成14年1月1日発行の郷土雑誌「房総及房総人」の1月号であるが、この雑誌中の被請求人の化粧品の広告中にも、本件商標が表示されている。

第4 当審の判断
1.請求人は、使用に係る商標の使用者が商標権者であること、商標の時期が本件審判の請求の登録前3年以内であること、使用に係る商品が指定商品中に含まれる商品であること及び使用商標1が本件商標と社会通念上同一の範囲内の商標であることについては、争うところはなく、請求人の主張は、専ら本件における使用は、登録商標の不使用による商標登録の取消しを免れることを目的とした名目的使用にすぎないというものにある。そこで、本件における使用が登録商標の不使用による商標登録の取消しを免れることを目的とした名目的使用にすぎないものであるか否かについて、以下検討する。
2.(1)乙第1号証ないし乙第5号証(枝番を含む。)によれば、以下の事実を認めることができる。
乙第1号証の1及び2(「THE REGATTA/WASEDA VS KEIO/71st」のパンフレットの表紙及び該パンフレット中の広告欄)、乙第2号証の1及び2(「全日本高等学校吹奏楽大会in横浜」のパンフレットの表紙及び該パンフレット中の広告欄)、乙第3号証の1ないし3(文学座公演「崩れた石垣、のぼる鮭たち」のパンフレットの表紙及び2、3頁並びに該パンフレット中の広告欄)、乙第4号証の1ないし3(文学座・紀伊國屋書店提携公演「秋の蛍」のパンフレット抜粋及び該パンフレット中の広告欄並びに該公演に関する新聞記事)及び乙第5号証の1及び2(雑誌「房総及房総人」の表紙及び該雑誌中の広告欄)には、「透きとおる雪のような白い肌/透雪肌」、「薬用/透雪肌/WHITENING」などのような文字とともに、化粧水を含めた化粧品の広告が掲載されているところ、同広告欄の右上に、「J&J」と「ジェイ アンド ジェイ」の各文字を上下二段にした構成よりなる商標(使用商標1)が表示され、また、同右下には、「J&J」の文字よりなる商標(使用商標2)が「ジュジュ化粧品株式会社」の文字の右ないし左に隣り合わせに表示されている。
(2)ところで、商標法上でいう商標の使用とは、商標法第2条第3項各号に規定する行為をいうものであるところ、商品又は商品の包装に標章を付する行為、あるいは商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、又は輸入する行為のみならず、商品に関する広告等に標章を付して展示し、又は頒布する行為をも含むものである。そして、広告に付される標章が広告中において商品と具体的な関係をもって使用されていなければならないと解される。
これを本件についてみれば、前記2.で認定したとおり、乙第1号証ないし乙第5号証のパンフレット及び雑誌中に掲載された広告には、「透雪肌」なる商標を使用した化粧品について、使用商標1が表示され、かつ、被請求人の名称である「ジュジュ化粧品株式会社」及びその住所が表示されているものであり、加えて、「ジュジュ化粧品株式会社」の表示に隣接して使用商標2が表示されているものである。
以上のことからすれば、上記乙各号証中に掲載された広告は、本件請求に係る指定商品中の「化粧品」の広告に関し、本件商標が使用されているというべきである。そして、乙第1号証ないし乙第5号証のパンフレット及び雑誌は、その性質上頒布されることを目的とするものということができる。そうすると、乙各号証中に掲載された広告は、商品に関する広告に標章を付して展示し、又は頒布する行為に当たるというべきである。
したがって、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、請求に係る指定商品中の「化粧品」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたと認め得るところである。
3.そこで、前記2.で認定した本件商標の使用が名目的な使用であるか否かについて検討する。
(1)請求人は、本件商標の使用が名目的な使用であると主張する理由の一つとして、化粧品の分野における商標の採択事情を考慮した場合、本件商標の構成態様は、化粧品の商標として不自然であり、また、使用商標1の広告欄における表示位置は、広告に係る化粧品についての商標的使用ではない旨主張する。
しかし、化粧品の分野において使用される商標の一般的傾向がどうであれ、どのような商標を採択するかは、本来的には、商標使用者の意思により決せられるべき事柄であるばかりでなく、不使用取消審判においては、商標法第50条第1項の規定から明らかなように、登録商標(括弧書きを含む。)が使用されているか否かを判断すれば足りるというべきである。そして、本件においては、前記認定のとおり、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が使用されていたと認め得るところであり、前記したとおり、使用商標1が本件商標と社会通念上同一と認められる商標であることは請求人において争うところがない。
また、乙各号証における広告中に表示された使用商標1は、その表示方法からみれば、「ジュジュ化粧品株式会社」の取扱いに係る商品全体、ないしその業務全体を表彰する、いわゆるハウスマーク的使用であると理解されるとみるのが相当であり、広告に係る化粧品の包装容器等に使用商標1が直接使用されていないことをもって、化粧品について使用されておらず、本件における使用が名目的な使用であるとする請求人の主張は、採用することができない。
(2)また、請求人は、請求人は本件商標に対し、過去に登録異議申立、無効審判請求、不使用取消審判請求を行った経緯があるから、被請求人が本件審判の請求を予想してこれに対処すべく、乙各号証掲載の広告中に本件商標を表示することは容易であったはずである旨主張し、さらに、前回の不使用取消審判(平成9年審判第15431号)にあっても、被請求人は1回限りの不自然な紙面広告を唯一の使用証拠として提出したのであり、今回は、発行部数や配布場所、反復継続性の点から大々的広告とはいい難いスポーツイベントや音楽会・演劇のパンフレット等に、ハウスマークであるのか、ペットブランドであるのかさえ需要者が理解できない態様で本件商標を形式的に使用した証拠方法を提出しているのであるから、これらの使用商標は、自他商品の識別標識としての機能を発揮させるための正当な商標の使用であると認めることはできないとも主張する。
ところで、職権でした調査によれば、請求人が請求した本件商標に対する不使用取消審判請求事件(平成9年審判第15431号、予告登録日;平成9年10月15日)における審決は、真正に成立した書証(情報誌)に掲載された「洗顔又はパック用パウダー」の広告に本件商標と社会通念上同一と認められる商標が使用されていたと認定、判断し、平成14年1月25日に「本件審判の請求は成り立たない」と結論付けた。そして、その審決は、東京高等裁判所に審決取消訴訟事件として係属されることなく、同14年6月6日に確定したことが認められる。
そうすると、本件商標は、上記不使用取消審判請求事件(平成9年審判第15431号)における審判の請求の登録前3年以内において使用されていたことは明らかであり、また、本件においても、前記認定のとおり、本件審判の請求の登録前3年以内に本件商標の指定商品中の「化粧品」の広告に関し、本件商標が使用されていたのである。加えて、前記のとおり、使用商標1の使用態様は、その表示方法からみれば、被請求人のハウスマーク的使用であると理解されるものである。このような状況を併せて考えると、本件における使用が不使用による商標登録の取消しを免れるための名目的な使用であるとは到底認めることはできない。他に請求人の上記主張を裏付ける証拠は見出せない。
(3)その他、本件における使用が不使用による商標登録の取消しを免れるための名目的な使用であることを前提とした請求人の主張は、その前提において誤りがあるというべきものである。
また、「J&J」の表示が請求人の略称を表すものとして、需要者に広く認識されているか否かは、商標法第50条第1項の規定に基づく本件審判の請求とは、何らの関係を有しないものであるから、この点に関する請求人の主張は理由がない。
したがって、請求人の主張は、いずれも理由がなく、他に前記2.の認定を覆すに足りる証拠の提出はない。
4.むすび
以上のとおりであるから、本件商標についての登録は、商標法第50条第1項の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 本件商標


審理終結日 2003-08-12 
結審通知日 2003-08-15 
審決日 2003-09-01 
出願番号 商願昭60-45954 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (104)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 柴田 良一 
特許庁審判長 茂木 静代
特許庁審判官 瀧本 佐代子
井岡 賢一
登録日 1990-04-23 
登録番号 商標登録第2225127号(T2225127) 
商標の称呼 ジェイアンドジェイ、ジェイジェイ 
代理人 新垣 盛克 
代理人 小林 十四雄 
代理人 岡村 信一 

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