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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を取消(一部取消、一部維持) Z25 |
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管理番号 | 1088724 |
異議申立番号 | 異議2002-90233 |
総通号数 | 49 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2004-01-30 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2002-04-12 |
確定日 | 2003-11-14 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第4535513号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第4535513号商標の指定商品中第25類「被服(但し、和服を除く。),ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」についての商標登録を取り消す。 本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件異議申立てに係る登録第4535513号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成12年11月15日に登録出願、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定役務として、平成14年1月11日に設定登録されたものである。 2 登録異議の申立ての理由 本件登録異議の申立人(以下「申立人」という。)は、以下の登録商標(以下「引用商標」という。)を引用して、本件商標と引用商標は、いずれも英小文字の「e」を図形化したもので外観において非常に近似している類似するものであって、その指定商品は同一又は類似の商品であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであり、同法第43条の3第2項により、取り消されるべきものである。 <引用商標> 登録第4125490号商標は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、平成8年12月16日に登録出願、第25類「被服(但し、和服を除く。),ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物(但し、げたを除く。),運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同10年3月20日に設定登録されたものである。 3 当審が通知した取消理由 本件商標と引用商標とは、細部において異なるところがあるにしても、いずれも欧文字の「e」と思しき文字を看取させる点において構成の軌を一にするものであるから、両者を時と処を異にして離隔的に観察した場合、外観上、彼此見誤るおそれがある類似の商標であり、かつ、その指定商品中の「被服(但し、和服を除く。),ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」は、引用商標の指定商品と同一又は類似のものである。 したがって、本件商標は、その指定商品中の上記商品について、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。 4 商標権者の意見 前項3で述べた取消理由に対し、商標権者は、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当しないとして、その具体的理由を要旨以下のとおり述べた。 (1)本件商標は、2つの流線型の三日月状図形を組み合わせて構成されているのに対し、引用商標は、右斜め上方及び左斜め下方に伸びる楕円形状に渦巻き図形を構成しているものである。 また、本件商標は、先端が細く、中程が太くなる流線型の2つの三日月状図形を組み合わせていること、左側に配された三日月状図形の下端部が右斜め上方に長く細く伸びていること、更に、右側に配された三日月状図形の下端部が、左側に配された三日月状図形の右辺の中央の一点で、また、両三日月状図形の上端が一点でそれぞれ接し、その結合部分は極めて細い線で描かれ、全体として上下線を細く、左右の線及び下部の曲線部分の線を太く描いていることから、商標全体からは鋭利でありながら、バランスの取れた円形状の安定感のある印象をあたえるものになっている。 それに対し、引用商標は、細い先端から徐々に太くなり、右斜め上方に達した円頭部部分で最も太くなった後、徐々に細くなる図形の大半を太い線で描く、縦長に圧縮された尾を長く引いた曲線の円頭を大きく表現した紋様の巴のような図形となっていることから、商標全体からは柔らかに丸みを帯びた楕円形状の不安定な印象をあえるものになっている。 しかして、本件商標と引用商標の相違点は、第一に線の質感において、本件商標はペンで書いたような鋭利な線をもって描いているのに対して、引用商標は筆で書いたような柔らかい線をもって描かれている。第二に本件商標は、全体として上下を細く、左右を太く描く大小の三日月状図形を左右に配することでバランスの取れた安定感があるのに対して、引用商標は、円頭部分が最も太く縦長の右斜めに傾いた円頭部分を最も太く描いた不安定感があるものとなっている。 したがって、これらの相違点が両商標の全体構成に与える印象は大きく、強いものがあり、両商標を直接対比観察をした場合においては勿論のこと、時と場所を異にする隔離観察をした場合においても、全く異なった印象を看者にあたえるので、外観において明らかに区別し得る非類似のものと確信する。 (2)なお、申立人は、本件商標と引用商標は、英文字「e」を図形化した一筆書のものであり、英文字の「e」を左斜め上と右斜め下との間で圧縮して変形した点で共通しており、全体の構図は同一であると主張している。 しかし、上述したとおり、本件商標からはその構成より欧文字「e」を図案化した印象をあたえる場合があるとしても、引用商標からは、尾を長く引いた曲線の円頭を大きく表現した紋様の巴(乙第1号証)の印象をあたえる場合があるとしても、欧文字「e」を図案化したとの印象をあたえることは決してないものである。 (3)本件商標と引用商標は、それぞれの構成よりして、特定の称呼及び観念は生じないものであるから、両商標は、称呼及び観念上比較においては比較すべきもなく、非類似のものである。 以上のように、本件商標と引用商標とは、外観において明らかに区別し得るものであり、また、その称呼及び観念においても彼此相紛れるおそれのない非類似の商標である。 (4)申立人は、他の異議申立て事件において、本件商標の商標権者に係る本件商標と同一の構成よりなる登録商標に対して、本件における引用商標とは上下が反転している他は全く同一の構成よりなる登録商標(実際に申立人が使用している商標の態様と同じ態様の商標)を引用した、異議の申立てについては、非類似の商標と判断され、登録を維持する旨の決定がなされている(乙第2号証)。この事実からも、上述した本件商標権者の主張が妥当であることは明らかである。 以上のことから、本件商標は商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではないことは明らかである。 5 当審の判断 (1)本件商標及び引用商標は、それぞれ別掲(1)及び(2)のとおりの構成よりなる図形商標であるところ、本件商標は、引用商標と外観において、その構成の軌を一にすることから、彼此見誤るおそれのある類似する商標であり、かつ、本件商標の指定商品中「被服(但し、和服を除く。),ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」は、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品と認められるものであることは、前項3「当審の通知した取消理由」のとおりである。 (2)ところで、商標の類否判断における外観上の観察については、その業界及び一般的経験則などの実情を考慮し、使用される商品又は役務の主たる取引者・需要者層における通常の知識、注意力を基準として、その商標の全体的構成、態様等の特徴をみて考察すべきものと解され、一般的な商標に対する注意力の程度からみて、商標の構成や態様等を意識的に精緻に把握するというよりも、むしろ、自己の知識にある事物や事象に関連づけて全体のイメージとして把握されるものとみるのが相当である。 この観点から、本件商標及び引用商標を観察するに、本件商標は、その構成別掲(1)のとおりであるところ、その構成中のほぼ中央部の細線部から上方向にのばしてから全体を左回りに丸く大きく囲むように一筆書きに表し、その末尾部を細線で右上まで跳ね延ばした如き態様となっており、その全体が概ね左下から右上方向の中心軸とした楕円形状に描かれているものであり、その全体形状をみると、上部分に丸く囲まれた部分を有し、その下部分は右上方向に向かって解放されている構成、態様となっていて、欧文字「e」の特徴をもって表されているものと把握され得るものといえる。 これに対し、引用商標は、その構成別掲(2)のとおりであるところ、その構成中のほぼ中央部の細線部から上方向にのばしてから全体を左回りに丸く大きく囲むように一筆書きに表し、その末尾部を下側で細線により跳ねて止めた如き態様をなし、全体が概ね左下から右上方向の中心軸とした楕円形状に描かれているものであり、その全体形状をみると、上部分に丸く囲まれた部分を有し、その下部分は右上方向に向かって解放されている構成、態様となっていて、欧文字「e」の特徴をもって表されているものと把握され得るものといえる。 そうしてみると、両商標は、その円形状の線の太さ、末尾の止めている位置等に差異があるとしても、いずれも全体の形状が欧文字の「e」の特徴を持っていものと把握され得る程度に描かれているものとみられるものである。 確かに、両商標について、商標権者が意見書で述べているような特徴があり、そのように取引者・需要者がイメージし把握することを必ずしも否定するものではないが、一般的な商標に対する注意力を持って接する取引者・需要者は、上記認定のとおりイメージし把握する場合が決して少なくなく、むしろそのように把握されるものとみるのが相当であり、商標権者の意見を採用することはできない。 してみれば、本願商標と引用商標は、上記のとおり全体の形状が欧文字の「e」の特徴を持つ点において構成上の軌を一にするものであるから、これらの商標に接する取引者・需要者が時と処を異にして離隔的に観察した場合には、彼此相紛れるおそれのある類似する商標とみるのが相当である。 (3)以上のとおり、本件商標は、引用商標と外観において彼此相紛らわしい類似する商標であって、その指定商品中「被服(但し、和服を除く。),ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」は、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品であることから、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものと認められ、同法第43条の3第2項により、その登録を取り消すべきものである。 しかしながら、登録異議の申立てに係るその余の指定商品については、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものと認められないので、同法第43条の3第4項により、その登録を維持すべきものとする。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲 (1)本件商標 (2)引用商標 |
異議決定日 | 2003-09-26 |
出願番号 | 商願2000-123648(T2000-123648) |
審決分類 |
T
1
651・
261-
ZC
(Z25)
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最終処分 | 一部取消 |
前審関与審査官 | 橋本 浩子 |
特許庁審判長 |
宮下 正之 |
特許庁審判官 |
宮川 久成 平山 啓子 |
登録日 | 2002-01-11 |
登録番号 | 商標登録第4535513号(T4535513) |
権利者 | 株式会社レナウン |
商標の称呼 | イイ |
代理人 | 吉武 賢次 |
代理人 | 岡本 健二 |
代理人 | 中川 拓 |
代理人 | 小泉 勝義 |
代理人 | 新井 悟 |
代理人 | 矢崎 和彦 |