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審決分類 審判 全部無効 外観類似 無効としない Z16
審判 全部無効 観念類似 無効としない Z16
管理番号 1088435 
審判番号 無効2002-35111 
総通号数 49 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2004-01-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 2002-03-26 
確定日 2003-09-01 
事件の表示 上記当事者間の登録第4514770号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4514770号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)に示すとおりの構成よりなり、平成12年11月17日に登録出願、第16類「紙類,紙製包装用容器,家庭用食品包装フィルム,紙製ごみ収集用袋,プラスチック製ごみ収集用袋,衛生手ふき,紙製タオル,紙製テーブルナプキン,紙製手ふき,紙製ハンカチ,型紙,裁縫用チャコ,紙製テーブルクロス,紙製ブラインド,紙製のぼり,紙製旗,紙製幼児用おしめ,荷札,印刷物,書画,写真,写真立て,遊戯用カード,文房具類,事務用又は家庭用ののり及び接着剤,青写真複写機,あて名印刷機,印字用インクリボン,こんにゃく版複写機,自動印紙はり付け機,事務用電動式ホッチキス,事務用封かん機,消印機,製図用具,タイプライター,チェックライター,謄写版,凸版複写機,文書細断機,郵便料金計器,輪転謄写機,印刷用インテル,活字,装飾塗工用ブラシ,封ろう,マーキング用孔開型板,観賞魚用水槽及びその附属品」を指定商品として、同13年10月19日に設定登録されたものである。

2 請求人の引用する登録商標
請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録第4423060号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲(2)に示すとおりの構成よりなり、平成11年10月27日に登録出願、第9類「電子応用機械器具及びその部品」、第16類「印刷物」、第38類「移動体電話による通信,テレックスによる通信,電子計算機端末による通信,電報による通信,電話による通信,ファクシミリによる通信,無線呼出し,テレビジョン放送,有線テレビジョン放送,ラジオ放送,報道をする者に対するニュースの供給,電話機・ファクシミリその他の通信機器の貸与」及び第42類「翻訳」を指定商品及び指定役務として、同12年10月6日に設定登録されたものである。

3 請求人の主張
請求人は、「本件商標の登録は、これを無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び同第2号証を提出した。
(1)本件商標は図形部分とローマ字部分とが常に一体不可分のものとして取り扱われる理由は見出せないので、取引上「T図形」のみをもって取り扱われることが考えられる。
そこで、引用商標と「T図形」との類否を検討するに、両者は共に「T」の文字の縦の部分の先端を伸ばして恰も円を描くように構成してなるものであって、デザイン上のコンセプト・モチーフを共通にする。商標に基づいて商品を選択するに際しては、過去に商品購入時又は宣伝広告で見て記憶している商標と商品上に表示される商標とを比較するものであるから、比較される商標の一つは観念的なものとなる。そうであるとすれば、外観上の商標の類否の判断に際しては両商標を直接的に対比観察するのではなく、時と所を異にした離隔観察において紛れるか否かという観点からされなければならない。離隔観察において「T」の文字の縦の部分の先端を伸ばして恰も円を描くように丸めて構成してなると記憶された引用商標と本件商標の「T図形」と比較した場合には、上述したように、本件商標も同じく「T」の文字の縦の部分の先端を伸ばして恰も円を描くように丸めてなる故に両者はデザイン上のコンセプト・モチーフを共通にするので、必然的に外観上相紛らわしいものとなる。
(2)また、図形といえども、取引上商標から何らかの観念を感得して需要者に取り扱われるものである。
この場合、引用商標と本件商標の「T図形」とはそのデザイン上のコンセプト・モチーフから共に「図案化したT」ないしは「縦の部分の先端を伸ばして丸めた図案化したT」との観念をもって取り扱われるものである。この点で、両者は観念上も相紛らわしいものとなる。
(3)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、その登録は同法第46条第1項第1号によって無効とされるべきである。

4 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べた。
(1)本件商標の左側に配された図形は、略赤く着色された正円(陰影により「球体」ともとれる)の中を略楕円図形で白抜きして成る。
(2)請求人が主張するように、本件商標の図形中の白抜き部分を欧文字「t」のデザイン化とみることはできる。その場合、当該「t図形」を「文字の縦の部分の先端を伸ばして恰も円を描くように構成してなる」と表現することもできよう。
しかしながら、両商標の表現手法は全く異なっており、これを一概に「デザイン上のコンセプト・モチーフを共通にする。」などと評価することはできない。
先ずその外形的な構成をみると、引用商標が「線」のみで構成されているのに対し、本件商標のそれは明らかに「面」としての要素を有している。即
ち、両者の基本的な態様は「略丸い図形」という範疇には当てはまるものの、それを具体的に構成する「図形要素」は全く異なるのである。
また冒頭で述べたように、本件商標は「円」の内部が赤く着色されている。そして問題となっている「t図形」は、赤く着色された正円の中で白抜きされているのである。このように、一見して把握することができる視覚的特徴を全く考慮せずに、両標章に接する需要者がこれを見誤ったり、或いは頭の中で関連づけて記憶してしまうことなどあり得ないというべきである。
更に「t図形」の具体的構成態様を検証してみても、両者の間に共通する要因は皆無であることがわかる。
引用商標は、近頃流行の「@」(アットマーク)に似せて、或いはアットマークの構成からヒントを得て、これと同様の手法を欧文字の「t」にあしらったのであろうことが一目瞭然である。他方、本件商標から別の図形や記号を想起することはできず、正に本件商標こそを「オリジナルな」創作商標と評価できるし、少なくとも、本件商標から「@」「アットマーク」を連想することはあり得ない。その意味で本件商標と引用商標とは、「デザィン上のコンセプト・モチーフを」全く異にするというべきである。
加えて、「t図形」をして「縦の部分の先端を伸ばして恰も円を描くように構成してなる」と表現した請求人の認定も、正確性を欠くといわねばならない。確かに両者は欧文字「t」の「足の部分」を「円を描くように」伸ばしてはいるが、本件商標の場合は、「t」の足の終端がそのまま「頭」の部分に戻ってきているのに対し(それ故、当該白抜きの部位は「楕円」に写る。)、引用商標のそれは「t」の頭部を通り越してぐるりと一周し、再び「足元」まで達しているからである。結果、引用商標は「渦巻き」や「らせん」の如き印象で理解されることになるだろうし、「渦巻き」「らせん」と単なる「楕円」とは別異なコンセプトを持った図形として把握されると考えた方が余程自然である。
このように、引用商標と本件商標との類否を論じるにあたって、欧文字「t」の足の終端がくる位置は極めて重要で無視できない。よってこの点においても、請求人の主張は失当というほかない。
(3)以上述べた如く、本件商標中の「t図形」が、引用商標と全く同一であるか、かなり近似した表現で白抜きされているような場合であれば格別、両「t図形」を、外観的にであれ観念的にであれ「類似する標章」として評価する必要は全くないというべきだし、そればかりか、両者が「商標として」類似するものであることを窺わせるに足る要因は何一つ見当たらない。「デザイン上のコンセプト・モチーフ」が類否判断の要素となり得る場面のあることは否定できないが、請求人がいうそれは、余りにも漠然としすぎていて採用の限りでないものと確信する。本件商標と引用商標は、外観上も観念上も相紛れるおそれがなく、非類似と目するのが相当である。
よって、本件商標が商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたことにもならず、これが無効とされるべき理由は何等存しない。

5 当審の判断
本件商標は、別掲(1)に示すとおり、図形と文字との組み合わせよりなるものであって、図形又は文字の各部分はいずれもそれ自体独立して自他商品を識別する標識としての機能を果たすものと認め得るところである。しかして、該構成中の図形部分は、赤色の球体を背景にそれに収まる程度の大きさの左回りで白抜きのアルファベットの「t」らしき図形を、先端部から終端部へ次第に細くしながらその先端部と終端部とをやや離した楕円状に描いてなるものであり、全体として立体的形象の円図形として認識される。
他方、引用商標は、別掲(2)に示すとおり、アルファベットの「t」の末尾の部分を長く伸ばし、「t」の文字部分を円状に囲うという図形、いわゆる「アットマーク」(@)によく似た形状で描かれてなるものであり、全体として平面的形象の線図形として認識される。
そうとすれば、両商標は、前記した差異を有することにより、看者に与える印象はかなり相違し、それぞれ異なったものとして記憶されるとみるのが相当であるから、時と処を異にして離隔的に観察するも、外観において相紛れるおそれはないものというべきである。
また、引用商標からは特定の観念は生じ得ないものとみるのが相当であるから、両者は観念上比較し得ないものである。
そして、両商標は、他に類似するところがない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれにおいても類似するものということができない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものとはいえないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 (別掲)
(1)本件商標



(色彩については原本参照)


(2)引用商標


審理終結日 2003-04-03 
結審通知日 2003-04-08 
審決日 2003-04-22 
出願番号 商願2000-124903(T2000-124903) 
審決分類 T 1 11・ 261- Y (Z16)
T 1 11・ 263- Y (Z16)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山本 良廣 
特許庁審判長 滝沢 智夫
特許庁審判官 鈴木 新五
小池 隆
登録日 2001-10-19 
登録番号 商標登録第4514770号(T4514770) 
商標の称呼 トレンドマイクロ、トレンドミクロ、トレンド、マイクロ、ミクロ 
代理人 藤田 雅彦 
代理人 青木 篤 
代理人 田島 壽 
代理人 香原 修也 
代理人 宇井 正一 
代理人 勝部 哲雄 
代理人 石田 敬 

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