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審決分類 審判 査定不服 商4条1項7号 公序、良俗 登録しない(当審拒絶理由) 041
管理番号 1088291 
審判番号 審判1999-11013 
総通号数 49 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2004-01-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-07-02 
確定日 2001-04-10 
事件の表示 平成 9年商標登録願第 24798号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「IRL」の文字を横書きしてなり、第41類「自動車レースの興行の企画・運営又は開催,二輪自動車レースの興行の企画・運営又は開催」を指定役務として、平成9年3月8日に登録出願されたものである。
2 当審において通知した拒絶の理由
本願商標は、「IRL」の欧文字を書してなるものであるところ、1998年11月1日(第3版第1刷)、株式会社小学館発行「例文で読むカタカナ語の辞典〈第3版〉」の「IRL」の項(788頁)によれば、「1(Indy Racing League)アメリカ独特のモーターレース,インディ500を中心とするレースシリーズの総称.1996年にCARTを締め出してスタートした.2(Ireland)アイルランドの国際自動車識別記号.」の記載が認められる。また、1997年7月28日付毎日新聞(東京;夕刊)には、「インディカー・レースは1911年に第1回大会が開催された『インディ500』に由来する。『インディ500』を中核にシリーズ戦として展開してきたが昨年、主催団体のチャンピオンシップ・オートレーシング・チームス(CART)からインディ500の開催権を持つインディアナポリス・モーター・スピードウエー(IMS)が独立。独自にインディ・レーシング・リーグ(IRL)を旗揚げした・・」なる記事が認められるところである。その他、多数の新聞記事などにおいて、「IRL」の語は、「インディ500」を中心とした、1996年に新設されたモーターレースシリーズである「Indy Racing League」の略称を表すものとして掲載されていることが認められる。
上記事情及び本願の指定役務との関係よりすれば、本願商標に接する取引者、需要者は、アメリカのインディアナポリス・モーター・スピードウエー(IMS)が開催権を持つ著名なモーターレースの名称の略称を表したと理解するとみるのが相当である。
してみると、このような商標を、「Indy Racing League」の主催者等と何らの関係をも有しないと認められる請求人(出願人)が採択し、その指定役務に使用するときは、取引者、需要者をして、上記モーターレースの主催者等の承諾を得た者もしくは上記モーターレースと何らかの関連を有する者の取扱いに係る役務であるかのように、その出所について誤認、混同を生じさせるものであって、公正な取引の秩序を乱し、ひいては、国際信義に反するものであって、公の秩序を害するおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本願商標は商標法第4条第1項第7号に該当するものと認める。
3 請求人の主張
(1)当審において新たな拒絶の理由として、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するとするものであるから、原審の拒絶の理由である同法第4条第1項第8号における「著名な略称」には該当しないとする請求人の主張が認められたものである。
また、周知商標の不正目的による使用排除のために同法第4条第1項第19号が設けられたのであるから、立法の趣旨からして、以前であれば信義則違反などを理由に同第7号を適用していた事案に対しては同第19号を適用すべきであるから、本願商標は、その適用される条文は、同第15号と同第19号とすべきところ、これらの条文は、著名性の判断が出願時であり、前記したように、「IRL」が、本願商標の出願時に「著名な略称」には該当しない以上、本願を拒絶すべき理由はない。
(2)本願商標とその要部において同じくする「日本インディ」(平成7年商標出願公告第26763号)が登録されている事実からも、本願商標は商標法第4条第1項第7号に該当しない。
4 当審の判断
(1)本願商標は、「IRL」の欧文字よりなるものであるところ、該文字は、前記平成11年12月7日付け拒絶理由通知書で示したとおり、「インディ500」を中心とした、1996年に新設された米国のモーターレースシリーズとして著名な「Indy Racing League」の略称を表したと理解されるものであり、本願指定役務の取引者、需要者に知られているものと認められる。
ところで、商標法第4条第1項第8号は、「他人の肖像又は他人の氏名若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を含む商標(その他人の承諾を得ているものを除く。)」と規定し、このような商標は、人格権を保護する目的から登録することができないとしているものと解されるところ、「IRL」は、上記のように、モーターレースのシリーズ名の略称と認められるから、「IRL」が「Indy Racing League」の略称として著名であるか否かにかかわらず、本願商標は、人格権保護を目的とした商標法第4条第1項第8号の規定は適用されないものである。
(2)一方、商標法第4条第1項第7号の規定は、「商標自体の構成が矯激、卑猥な文字、図形であって、公序良俗に反する場合」のほか、「商標の構成自体がそうでなくとも、当該商標を採択し、その指定役務に使用することが社会公共の利益に反し、又は社会の一般道徳観念に反する場合」も含まれると解されるところ、本願商標は、その指定役務との関係からすると、この種役務の取引者、需要者に、「Indy Racing League」(インディ・レーシング・リーグ)の略称を表したと理解されるものであり、この主催者等と何らの関係をも有しないと認められる請求人が採択し、その指定役務に使用するときは、その取引者、需要者をして、上記モーターレースの主催者等の承諾を得た者もしくは上記モーターレースと何らかの関連を有する者の取扱いに係る役務であるかのように、その出所について誤認、混同を生じさせるものであって、公正な取引の秩序を乱し、ひいては、国際信義に反するものであって、公の秩序を害するおそれがあるものといわなければならない。
(3)請求人は、「日本インディ」なる商標は、本願商標とその要部において同じくするにもかかわらず、登録されていることからしても、本願商標は商標法第4条第1項第7号に該当しない旨主張するが、「日本インディ」がモーターレースの名称としてよく知られているという事実は見い出せないばかりか、「日本インディ」は、その構成全体をもって認識されるというべきであるから、本願商標とその要部を同じくするということもできない。
したがって、過去に「日本インディ」なる商標が登録されたことをもって、本願商標が商標法第4条第1項第7号に該当しないとする請求人の主張は理由がないものといわざるを得ない。
(4)以上のとおり、本願商標は、当審で通知した拒絶の理由に該当するものというべきであるから、登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2000-03-28 
結審通知日 2000-04-07 
審決日 2000-05-18 
出願番号 商願平9-24798 
審決分類 T 1 8・ 22- WZ (041)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 久保田 正文 
特許庁審判長 大橋 良三
特許庁審判官 茂木 静代
小林 薫
商標の称呼 アイアアルエル 

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