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審決分類 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 131
審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 131
管理番号 1086902 
審判番号 無効2000-35717 
総通号数 48 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2003-12-26 
種別 無効の審決 
審判請求日 2000-12-29 
確定日 2003-11-04 
事件の表示 上記当事者間の登録第4292695号商標の商標登録無効審判事件についてされた平成13年10月30日付け審決に対し、東京高等裁判所において審決取消の判決(平成13年(行ケ)第556号平成14年12月25日判決言渡)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。 
結論 登録第4292695号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4292695号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、昭和50年6月13日に登録出願された昭和50年商標登録願第73323号の分割出願として、昭和58年12月28日に第31類「たれ、つゆ、つゆの素、だしの素、みりん風調味料、トマトペースト、トマトピューレ、オイスターソース」を指定商品として登録出願(昭和58年商標登録願第123728号)し、その後、指定商品を「焼き肉のたれ,焼き鳥のたれ,蒲焼きのたれ,しゃぶしゃぶのたれ,その他の調味用たれ,そばつゆ,うどんつゆ,だしつゆ,煮魚用つゆ,その他の調味用つゆ」と補正して、平成11年7月9日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
請求人の引用する登録第85292号商標(以下「引用A商標」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、第39類「味淋」を指定商品として、大正6年2月25日登録出願、同6年4月27日に設定登録され、その後、5回にわたり、商標権存続期間の更新登録がなされたものである。同じく、登録第980690号商標(以下「引用B商標」という。)は、別掲(3)のとおりの構成よりなり、第28類「酒類(薬用酒を除く)」を指定商品として、昭和38年9月4日登録出願、同47年9月18日に設定登録され、その後、3回にわたり、商標権存続期間の更新登録がなされたものである。

第3 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、証拠方法として甲第1号証ないし甲第18号証(枝番を含む)を提出し、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、商標法第46条第1項第1号により、その登録は無効とされるべきものである旨述べた。

第4 被請求人の答弁
被請求人は、「本件審判の請求は、成り立たない。審判費用は、請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第12号証を提出し、本件商標は、請求人主張の上記条文に該当するものではないから、その登録は無効とされるべきではない旨述べた。

第5 当審の判断
1.甲第3号証ないし甲第16号証(枝番のあるものは、これを省略する。)及び平成13年(行ケ)第556号審決取消請求事件の判決で認定した事実によれば、以下の事実が認められる。
(1)請求人は、1925年(大正14年)に設立された酒造メーカーであり、1969年(昭和44年)から2000年(平成12年)までの請求人製品のカタログから明らかなように、商品「みりん」について、引用各商標をともに又は引用B商標を単独で継続的に使用してきたこと、平成9年4月1日から同月27日までの間及び平成10年3月25日から同年4月21日までの間、全国の放送局でテレビコマーシャルを放映したこと、平成9年4月22日から同月24日までの間、同年10月30日、同年11月3日、平成10年4月5日から同月11日までの間、同4月17日から同月22日までの間に、朝日新聞、毎日新聞、読売新聞、日経新聞及び産経新聞の5大紙のほか、地方紙にも広告を掲載したこと、平成9年4月17日から同10年9月1日までの間、繰り返し、雑誌「ESSE」、「オレンジページ」、「きょうの料理」、「dancyu」等に広告を掲載したこと、請求人の製造に係るみりんは、販売高、販売金額において、56期(昭和41年4月〜昭和42年3月)において既に9,445キロリットル、約24億7150万であり、本みりん市場において、そのシェアは、昭和40年度から平成10年度までの30年以上にわたり第1位にあったことが認められる。
(2)みりんは、我が国において、一般の家庭でも普通に使用される調味料であると認められる。
2.前記1.で認定した事実によれば、引用各商標は、本件商標の登録出願時(昭和50年6月13日)及び登録査定時(平成11年6月7日)において、請求人の取扱いに係る商品「みりん」を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたと認めることができる。
3.乙第1号証ないし乙第10号証及び平成13年(行ケ)第556号審決取消請求事件の判決で認定した事実によれば、以下の事実が認められる。
(1)被請求人の創業者である高梨兵衛門は、江戸時代の寛文元年(1661年)から、野田(現在の千葉県野田市)で、しょうゆの製造を始め、安永元年(1772年)から、その製品に「宝」(以下「被請求人宝商標」という。)及び「寶」(以下「被請求人寳商標」という。)の各商標を「醤油」に使用したこと、被請求人は、上記被請求人宝商標及び被請求人寳商標のほかに、「宝」、「TAKARA」、「タカラ」の文字からなる、あるいはこれらを要部とする登録商標を有していること、被請求人は、昭和35年にすき焼き用たれ・つゆの発売を始め、昭和38年にうなぎ蒲焼きたれ、昭和43年に焼き鳥たれ、昭和58年に甘酢たれ等の発売を開始するなど、主たる業務に係る商品のしょうゆをベースにした塩味調味料、うまみ調味料等の調味料にも業務を進展させたことなどが認められる。
しかし、上記証拠は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、本件商標を含む、「宝」、「寳」、「TAKARA」、「タカラ」の文字からなる、あるいはこれらを要部とする商標が、被請求人の業務に係る商品「しょうゆ、たれ、つゆ等の塩味調味料、うまみ調味料」を表示するものとして、その取引者、需要者に広く認識されていたとの事実を推認するに十分であるとはいえず、しょうゆの製造、販売等を業とする特定の限られた範囲の取引者、需要者の間においてのみ、認識されていたものと認めるのが相当である。
(2)本件商標の指定商品には、主婦等の一般の消費者が含まれるというべきである。
4.出所の混同について
本件商標は、別掲(1)のとおりの構成よりなるものであるから、これより「タカラ」の称呼を生ずるものであって、「宝」の観念を生ずるものである。
これに対して、引用各商標は、別掲(2)及び(3)のとおりの構成よりなるものであるから、これより「タカラ」の称呼及び「宝」の観念を生ずるものであって、前記認定のとおり、請求人の取扱いに係る商品「みりん」を表示するものとして広く認識されているものである。
また、本件商標の指定商品と引用各商標が使用される商品「みりん」は、一般の消費者を需要者とする点において共通するものである。
そして、本件商標の指定商品である「めんつゆ類及び焼肉のたれ」は、しょうゆ業者のほか、桃屋、にんべん、永坂更科、ミツカン、エバラなど、様々の食品メーカーが製造、販売していることが認められるところ、一般需要者の多くは、そのことについて一応の認識を有しているとともに、個々の商品の出所について正確な知識を基に十分な吟味をすることなく短時間のうちに購入商品を決定する場合もまれではない。
そうすると、本件商標をみりんと需要者を共通にするその指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、本件商標と称呼及び観念を同一にする周知・著名な請求人に係る引用各商標を想起して、その商品が請求人と同一の営業主体の業務に係る商品、又はその親子会社や系列会社等の密接な営業上の関係若しくは同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品であると誤信し、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものというべきである。
5.むすび
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 (1)本件商標



(2)引用A商標



(3)引用B商標


審理終結日 2001-09-26 
結審通知日 2001-10-02 
審決日 2001-10-30 
出願番号 商願昭58-123728 
審決分類 T 1 11・ 271- Z (131)
T 1 11・ 271- Z (131)
最終処分 成立  
前審関与審査官 岩崎 和夫中村 欽五 
特許庁審判長 茂木 静代
特許庁審判官 井岡 賢一
瀧本 佐代子
登録日 1999-07-09 
登録番号 商標登録第4292695号(T4292695) 
商標の称呼 タカラ 
代理人 吉武 賢次 
代理人 神谷 巖 
代理人 矢崎 和彦 
代理人 青山 葆 
代理人 樋口 豊治 
代理人 小泉 勝義 
代理人 大西 育子 

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