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審決分類 審判 一部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない Z0318202125
管理番号 1086852 
審判番号 無効2002-35419 
総通号数 48 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2003-12-26 
種別 無効の審決 
審判請求日 2002-10-02 
確定日 2003-10-31 
事件の表示 上記当事者間の登録第4490175号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4490175号商標(以下「本件商標」という。)は、「LULU GUINNESS」の欧文字を横書きしてなり、第3類「ゲル状のシャワー用せっけん,化粧せっけん,その他のせっけん類,オーデコロン,スキンローション,その他の化粧水,日焼け止めクリーム,その他のクリーム,タルカムパウダー,香水類,制汗用化粧品,身体用消臭剤,爪用化粧品,その他の化粧品,香料類(薫料・ポプリを含む。)」、第18類「人工皮革,その他の皮革,ハンドバッグ,ショルダーバッグ,ボストンバッグ,スーツケース,トランク,書類入れかばん,アタッシュケース,その他のかばん類,カード入れ,がま口(貴金属製のものを除く。),財布(貴金属製のものを除く。),キーケース,札入れ,その他の袋物,携帯用化粧道具入れ」、第20類「鏡,その他の家具,写真用額縁,絵画用額縁,宝石箱(貴金属製のものを除く。),クッション」、第21類「ガラス基礎製品,陶器,陶磁器,食器類(貴金属製のものを除く。),ヘアブラシ,くし,その他の化粧用具,ガラス製又は陶磁製の包装用容器,ろうそく立て(貴金属製のものを除く。),花瓶(貴金属製のものを除く。)」及び第25類「ズボン下,ブラジャー,コルセット,キャミソール,ペチコート,その他の下着,パジャマ,ナイトドレス,ネグリジェ,その他の寝巻き類,水泳着,水泳帽,靴下,帽子,その他の被服,バンド,ベルト,履物」を指定商品として、パリ条約に基づくグレート・ブリテン及び北アイルランド連合王国を最初の出願(2000年1月29日)とする優先権の主張を伴うものとして、平成12年7月28日登録出願、同13年7月13日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録商標は、以下のとおりである。
1.登録第66124号商標(以下「引用商標1」という。)は、「LULU」の欧文字を横書きしてなり、第1類「化学品、薬剤及医療補助品一切」を指定商品として、大正3年5月1日登録出願、同3年6月22日に設定登録され、その後、5回にわたり商標権存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
2.登録第590192号商標(以下「引用商標2」という。)は、「ルル」の片仮名文字を横書きしてなり、第1類「化学品、薬剤及び医療補助品」を指定商品として、昭和35年9月12日登録出願、同37年6月20日に設定登録され、その後、4回にわたり商標権存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。また、指定商品については、平成14年1月23日に、第1類「化学品,のり及び接着剤(事務用又は家庭用のものを除く。),植物成長調整剤類」、第2類「カナダバルサム,壁紙剥離剤,コパール,サンダラック,セラック,松根油,ダンマール,媒染剤,マスチック,松脂,木材保存剤」、第3類「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用海草のり,洗濯用コンニャクのり,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり」、第4類「固形潤滑剤」、第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料」、第8類「ピンセット」、第9類「耳栓」、第10類「おしゃぶり,氷まくら,三角きん,支持包帯,手術用キャットガット,吸い飲み,スポイト,乳首,氷のう,氷のうつり,ほ乳用具,魔法ほ乳器,綿棒,指サック,避妊用具,人工鼓膜用材料,補綴充てん用材料(歯科用のものを除く。)」、第16類「事務用又は家庭用ののり及び接着剤」、第19類「タール類及びピッチ類」、第21類「デンタルフロス」及び第30類「アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤」に書換登録されたものである。(これら登録商標をまとめていうときは、以下「引用各商標」という。)

第3 請求人の主張
請求人は、「本件商標は、その指定商品中の第3類『ゲル状のシャワー用せっけん,化粧せっけん,その他のせっけん類,オーデコロン,スキンローション,その他の化粧水,日焼け止めクリーム,その他のクリーム,タルカムパウダー,香水類,制汗用化粧品,身体用消臭剤,爪用化粧品,その他の化粧品,香料類(薫料・ポプリを含む。)』ついての登録は、これを無効とする、審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第57号証を提出した。
1.「日本商標名鑑’84」、「日本商標名鑑’88」、「日本商標名鑑’91」、「日本商標名鑑’94」、「日本商標名鑑’97」(甲第7号証ないし甲第11号証、いずれも商標調査会発行)、「FAMOUSTRADEMARKS INJAPAN日本有名商標集」(甲第12号証及び甲第13号証、いずれも社団法人日本国際工業所有権保護協会発行)、「薬事日報/第1446号」(甲第14号証、薬事日報社発行)、「一般薬 日本医薬品集1996-97」、「一般薬 日本医薬品集1998-99」、「一般薬 日本医薬品集2000-01」(甲第15号証ないし甲第17号証、いずれも株式会社薬業時報社発行)、「’93 一般用医薬品データブック(上・中巻)」(甲第18号証及び甲第19号証、いずれも株式会社富士経済発行)、「医薬品・医療衛生用品価格表」(甲第20号証ないし甲第33号証、いずれも株式会社薬事日報社発行)及び「新版日本有名商標録」(甲第34号証、商標研究会発行)によれば、引用各商標は、請求人の業務に係る商品「総合感冒薬」を表示するためのものとして、少なくとも昭和26年以降、今日に至るまでの永年の間、継続して使用され、かつ、請求人による盛大なる宣伝、広告活動がなされているものである。また、上記甲第18号証及び甲第19号証に示すとおり、請求人の業務に係る一般大衆用医薬品の市場占有率(マーケットシェア)は、日本全国で第2位を占めており、しかも、「ルル」ブランドは、その柱となっている事実等と相俟って、本件商標の登録出願以前より、取引者及び需要者の間において、極めて広く認識されているものであることは、特許庁においても、顕著なる事実である。
2.引用各商標は、商標登録原簿謄本及び商標公報(甲第3号証ないし甲第6号証及び甲第35号証ないし甲第43号証)の各記載によれば、引用商標1を原登録商標として、国際分類の第3類、第4類、第2類、第18類、第22類、第23類、第24類、第25類、第26類、第29類、第30類、第31類、第32類、第33類、第14類、第16類、第21類、第1類、第5類及び第9類の各商品を指定商品として、防護標章登録がなされており、また、引用商標2を原登録商標として、それぞれ(旧)第4類、第10類、第31類、第32類、第30類及び第29類の各商品を指定商品として、防護標章登録がなされている事実がある。これらの事実よりすれば、引用各商標が周知著名であることは特許庁においても顕著な事実であることの証左にほかならない。
3.本件商標は、「LULU」と「GUINNESS」の両語よりなるものであること明らかなところであって、引用商標1を構成する「LULU」のローマ字を包含しているばかりでなく、該文字が、自他商品を区別するための商標としての識別上、最も重要な要素となり、かつ、印象の強い語頭に位置しているものであり、しかも、該文字部分は、上記の登録商標より生ずること明らかな「ルル」の称呼を全く同じくするものであるから、両者は、これらに接する取引者及び需要者をして、互いに混同を生じさせ、相紛れるおそれがある商標といわなければならない。
4.請求人の上記主張理由の正当性を立証すべく、本件審判事件と同じ、著名商標との出所の混同の有無を争点とする、特許庁における過去の審決例を甲第44号証ないし甲第55号証を挙げて、請求人は、これを自己の主張理由に有利に援用することとする。
5.平成11年6月14日付けで、「周知・著名商標の保護等に関する審査基準の改正について」(甲第56号証)が公表されたところ、例えば、商標法第4条第1項第15号については、次のとおりである。
(a)他人の著名な商標と他の文字又は図形等と結合した商標は、その外観構成がまとまりよく一体に表されているもの又は観念上の繋がりがあるものなどを含め、原則として、商品又は役務の出所の混同を生ずるおそれがあるものと推認して、取り扱うものとする。
(b)著名性の認定に当たっては、防護標章登録を受けている商標又は審決若しくは判決で需要者の間に広く認識された商標と認定された商標については、その登録又は認定に従い需要者の間に広く認識された商標と推認して取り扱うものとする。
6.引用商標1は、前記したとおり、旧日本分類及び国際分類の26もの商品の区分において、防護標章登録がなされている事実があるばかりでなく、上述した改正商標審査基準で挙げている、「日本国周知・著名商標検索」(甲第57号証)として掲載されており、さらには、「日本有名商標集」(甲第12号証及び甲第13号証)にも掲載されていることを総合勘案するとき、引用商標1が周知・著名商標であることは疑いの余地がないところである。
7.してみれば、本件商標は、引用各商標と「ルル」の称呼において彼此相紛らわしい類似の商標であること明らかであるばかりでなく、引用各商標は、請求人の業務に係る商品「総合感冒薬」を表示するためのものとして、本件商標の登録出願以前より、取引者及び需要者の間において、極めて広く認識されている商標であるので、これをその指定商品について使用するときには、両者の商品が、薬局、若しくはコンビニエンスストアやスーパー等の同一店舗において、隣接又は極めて近接した場所に陳列され、販売されているばかりでなく、その生産部門をも同じくする場合が決して少なくない実情を総合勘案するとき、これらの商品が、請求人の業務に係る商品であるかの如く、その商品の出所につき、取引者及び需要者をして、誤認、混同を生じさせるおそれの充分にある商標であるといわなければならず、結局、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
したがって、本件商標は、その指定商品中、第3類の指定商品についての登録は、商標法第46条第1項第1号により、無効とされるべきである。

第4 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第19号証(枝番含む。)を提出した。
1.引用各商標が使用されているのは市販の感冒薬である。市販の感冒薬には、請求人の「ルル」の他、「ベンザ」「コルゲン」「ジキニン」等多数の感冒薬がひしめき合って販売されているのであり、請求人の「ルル」はその中の一つにすぎない。
したがって、「ルル」といえば、市販の感冒薬という認識は、一般需要者の間にある程度認識されているとしても、それ以上に、例えば「ソニー」「コダック」のように著名なハウスマークとしての保護を享受しうる程のものではないというべきである。
2.請求人が引用する審決例等について
請求人の挙げた審決例等は、本件とは事案を異にするものであるばかりでなく、請求人は、本件商標に対しても、登録異議申立(異議2001-90767)を行った結果、異議申立の理由はないものとの決定がなされている(乙第1号証)。
したがって、請求人が引用する異議事件、審判事件の決定及び審決は、いずれも異議2001-90767の前になされているものであるから本件の先例となり得ないものである。
3.本件商標と引用各商標の類似性、混同惹起性について
請求人は、引用各商標は市販の感冒薬について周知されていること、本件商標は「LULU」の語を包含しているから、本件商標は、引用各商標との間に混同を生ずるおそれがあると主張する。
しかしながら、本件商標は、「LULUGUINNESS」と一連に横書した商標であって、一商標を構成しており、したがって「ルルギネス」とのみ称呼される。また、何ら特有の意味を持たない商標である。したがって「LULU」の部分のみを分離観察しなければならない特段の理由は存しない。引用各商標は、「ルル」と称呼され、特有の意味合いを有する商標ではない。
「ルルギネス」は、比較的長い5音構成であるのに対し、「ルル」は短い2音で構成されているから、全体としての称呼において混同のおそれは全くなく、非類似とするを相当とする。
外観、観念において非類似なること論をまたない。
第3類の商品についての登録例には、「ルル」の語を含む商標が請求人以外の商標権者により所有されている(乙第5号証ないし乙第8号証)。
これら審査例から判断しても、本件商標は、引用各商標に類似しないと考えるのが相当である。
この点に関し、前記異議2001-90767事件の「理由」中「当審の判断」においては、「本件商標から生ずる称呼は『ルルギネス』のみであり、これを引用商標の称呼『ルル』と対比すれば、構成音数に明らかな差異があり、容易に区別しうるものであり、両商標が使用される商品が非類似であることと相まって、混同を生ずるおそれはないものといわなければならない。」としており、この判断は全く正しいものと考える。
本件商標は、「LULUGUINNESS」と一連に横書した商標であって、この商標に接する需要者は「LULU」の語のみに着目するのではなく、「LULUGUINNESS」という一体となった一つの商標を認識するから、互いに混同するおそれは全くない。
さらに、引用各商標が使用されているのは市販の感冒薬であるのに対し、本件商標の指定商品は、「せっけん類,化粧品,香料類」であって、用途、販売店を異にする非類似商品である。
したがって、本件商標が第3類の商品に使用されたとしても、需要者は互いに混同するおそれは全くあり得ないことである。
4.周知・著名商標の保護等に関する審査基準について
審査基準の記載を争うものではないが、これがそのまま本件に適用されるべきものではない。
5.よって、本件審判には本件商標の登録を無効とすべき理由がない。

第5.当審の判断
1.本件商標について
本件商標は、前記したとおり、「LULU GUINNESS」の文字よりなるところ、「LULU」と「GUINNESS」の各文字の間に半字程度の間隔があるとしても、同一の書体をもって、同一の大きさで書され、構成全体がまとまりよく表されているものである。
また、本件商標より生ずると認められる「ルルギネス」の称呼も淀みなく称呼し得るものである。
そうすると、本件商標は、構成全体をもって、特定の観念を想起させない造語よりなるものと理解されるとみるのが相当であって、その構成中の「LULU」の文字部分が独立して、需要者の注意を惹くものということはできない。
したがって、本件商標は、その構成文字に相応して「ルルギネス」の一連の称呼のみを生ずるものであって、造語よりなるものといわなければならない。
2.引用各商標について
甲第7号証ないし甲第35号証によれば、引用各商標は、請求人の取扱いに係る商品「風邪薬」を表示するためのものとして、本件商標の登録出願前より薬剤の分野を中心として、その需要者の間においては広く知られているものと認め得るところである。
3.出所の混同について
引用各商標は、「風邪薬」について使用される商標であるところ、近時、医薬品の具体的品目は決定していないものの、コンビニエンスストアーなどの一般小売店においても、医薬品を販売することができるとする医薬品販売の規制緩和が論議されているところ、これに先立って、平成11年3月に医薬品のうち、人体への作用が比較的緩和で、販売業者による情報提供の義務を果たすまでもないものについて、一般小売店においても販売ができるように医薬品の範囲を見直す医薬品の販売規制の緩和が行われ、ビタミン含有保健剤等15品目が医薬部外品に移行されたところである。
しかし、医薬品について上記したような販売規制の緩和の動きがあるとしても、現時点において、風邪薬がコンビニエンスストアーなどの一般小売店において販売されている状況にないのみならず、副作用が全くないとはいえない風邪薬についてまで、薬剤師のいないコンビニエンスストアーなどの一般小売店において販売されるものとは通常考えにくいところである。また、風邪薬と第3類の商品とは、生産者、取引系統を異にする場合が多いから、たとえ、引用各商標が薬剤の分野において、その需要者の間に広く知られているものであるとしても、本件商標をその指定商品中の第3類の商品について使用した場合、前記のとおり、本件商標がその構成中の「LULU」の文字部分のみが看者の注意を惹く構成態様からなるのもではないことも相俟って、これに接する需要者は、該商品について引用各商標が使用される風邪薬と同じ生産者から製造された商品であると誤認混同することは極めて少ないというべきである。
4.むすび
以上のとおり、本件商標は、その指定商品中、第3類に属する商品について使用しても、該商品が請求人の取扱いに係る商品であるかのように、需要者に商品の出所について混同を生じさせるおそれは極めて低いというべきである。
したがって、本件商標は、その指定商品中「ゲル状のシャワー用せっけん,化粧せっけん,その他のせっけん類,オーデコロン,スキンローション,その他の化粧水,日焼け止めクリーム,その他のクリーム,タルカムパウダー,香水類,制汗用化粧品,身体用消臭剤,爪用化粧品,その他の化粧品,香料類(薫料・ポプリを含む。)」についての登録は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項により、その登録を無効とすべきものとすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2003-09-03 
結審通知日 2003-09-08 
審決日 2003-09-19 
出願番号 商願2000-83855(T2000-83855) 
審決分類 T 1 12・ 271- Y (Z0318202125)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 茂木 静代
特許庁審判官 井岡 賢一
瀧本 佐代子
登録日 2001-07-13 
登録番号 商標登録第4490175号(T4490175) 
商標の称呼 ルルギネス、ルル、ギネス 
代理人 高原 千鶴子 
代理人 宇佐美 利二 
代理人 佐々木 宗治 
代理人 小林 久夫 
代理人 浅村 皓 
代理人 木村 三朗 
代理人 浅村 肇 
代理人 大村 昇 

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