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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない Z42
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Z42
管理番号 1086839 
審判番号 不服2002-3682 
総通号数 48 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2003-12-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-03-04 
確定日 2003-10-29 
事件の表示 商願2000-94251拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第42類「アイスクリームを主とする飲食物の提供」を指定役務として、平成12年8月28日に登録出願、その後、指定役務については、平成13年9月10日付け手続補正書により「ソフトクリームを主とする飲食物の提供」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶理由
原査定は、「本願商標は、その指定役務との関係よりすれば、指定役務に採用し得る提供の用に供する物の一部分(ソフトクリームのコーンカップ)の一形状を表したものと認識される立体的形状と、その上に表された凹凸と格子の地模様、役務の提供の用に供する物の用途を表したにすぎない楕円形の中の下線の上に書かれた筆記体の『Dessert』の英文字よりなるものであるから、これをその指定役務中、例えば、『ソフトクリームの提供』について使用しても、単に役務の提供の用に供する物の一部分の形状と用途とを普通に用いられる方法をもって表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」と認定し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)本願商標は、別掲のとおり、外周面に、上から約3分の1を占める部分に凹凸模様を、その下の部分に浮き彫りの四角模様をそれぞれ施し、凹凸模様内の一部に、輪郭部を浮き彫りにした横長楕円図形を描き、その図形内に浮き彫りの「Dessert」の文字及び扁平な輪状図形を描いてなる「コーンカップ」、すなわち、ソフトクリームを盛るコムギ粉製の容器(株式会社調理栄養教育公社、「調理用語辞典」第1版第10刷発行)の立体的形状よりなるものである。
(2)ところで、平成8年法律第68号により改正された商標法は、立体的に表された標章であって、商品又は役務について使用をするものを登録する立体商標制度を導入した。その中には商品若しくはその包装又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状も含むものであるが、商品等の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであって、本来的(第一義的)に商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として採択されるものではない。
そして、この商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは、前示したように、商品等の機能又は美感をより発揮させるために施されたものであって、本来的には、自他商品・役務を識別するための標識として採択されるのではなく、全体としてみた場合商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者、需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するに止まり、このような形状は、多少特異なものであっても、未だ商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないというのが相当である。
また、商品等の形状は同種の商品等にあっては、その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるから、取引上何人もこれを使用する必要があり、かつ、何人も使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。
そうとすれば、商品等の機能又は美感とは関係ない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状をもって構成される商標は、使用された結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者、需要者間において当該形状をもって同種の商品又は役務と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として、商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。
ただし、これらの商標であっても使用の結果識別力が生ずるに至ったものは、現行法第3条第2項に基づき登録が認められる。
また、商品等の立体的形状に、単なる地模様的装飾、その他自他商品又は役務の識別機能を有しない文字等が付加されている場合には、商標全体として自他商品又は役務の識別力を有しないことはいうまでもない。
(3)これを本願商標についてみるに、コーンカップの外周面の下部に施された四角模様は、役務の提供の用に供する物の美感を高め、消費者の購買意欲を高める働きがあることもさることながら、これを持つ場合に、滑らず持ちやすいといった役務の提供の用に供する物の機能を効果的に発揮させるために施されたものと容易に理解されるものである。
また、四角模様が施された部分が下に向かって細くなっているという点、及び底部が平らである点についても、持ちやすさ、置きやすさといった役務の提供の用に供する物の機能に由来するものであるといえる。
さらに、コーンカップの外周面の上部に施された凹凸模様は、役務の提供の用に供する物の美感を高めるための装飾とみられないこともないが、単なる地模様を表したと理解されるものであり、格別顕著なものであるとの印象をその需要者に与えるものとは認めることはできない。
加えて、コーンカップの外周面上のありふれた横長楕円図形内に書された「Dessert」の文字部分は、「西洋料理で、食事の最後に出す菓子・果実など」(広辞苑 第5版)を意味するものとして、需要者の間で広く知られているものであり、これにソフトクリームを入れて使用された場合には、「デザートとしてのソフトクリーム」なる意味合いを看取させ、自他役務の識別機能は極めて弱いものというべきである。
さらに、該「Dessert」の文字の下に描かれた線は、付記的なものと認められる。
また、本願商標の立体的形状中、上部の口に当たる縁の部分の形状は、役務の提供の用に供する物の美感を高めるために採られたものであると同時に、内容物であるソフトクリームを入れやすい、あるいは溶けたアイスクリームがコーンカップの外周にこぼれ出ないようにするために採択されたものといえるから、役務の提供の用に供する物の機能、又は美感をより効果的に発揮させるために施されたものと認められる。
(4)以上を総合すれば、本願商標は、コーンカップの立体的形状そのものに、凹凸模様及び四角模様を施してなり、かつ、その口部に多少の変更、装飾等が施されているものであるとしても、それは役務の提供の用に供する物の機能、又は美感をより発揮させるために施されたものであり、また、ありふれた横長楕円図形内に書された「Dessert」の文字及び線図形は、それ自体自他役務の識別機能として極めて弱いものであると認められるから、構成全体をもって、この種役務の分野において普通に用いられる役務の提供の用に供する物の形状の範囲内のものといわなければならない。
そうとすれば、本願商標は、需要者をして、コーンカップの形状を表示したものと認識させるにとどまるものであるから、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないというべきである。
(5)なお、請求人は、本願商標は、商品「コーンカップ」の全体模様に係る立体商標であって、横長楕円輪郭内の「dessert」の文字及びその下に描かれた線、並びにコーンカップの外周上に描かれた凹凸模様及び四角模様との組合せにより、充分な識別力を具有するものであるとし、さらに、請求人は、コーンカップの製造、販売をする会社として最大手であり、本願商標を平成4年2月より継続して使用し、その販売数量は、例えば、平成9年度は5400万個弱、平成10年度は6000万個弱、平成11年度は5000万個弱であるから、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当しない旨主張し、併せて、本件出願人会社が2001年3月22日「ユニバーサル・シティウォーク大阪TM」に店舗を出展していることを示すホームページ(写)を提出しているが、同ホームページ(写)よりは本願商標を確認し得ないばかりでなく、本願商標が使用をされた結果、取引者、需要者間において、当該形状をもって同種の役務と明らかに識別されるに至った商標であると認定することもできない。
その他、本願商標が、自他役務の識別標識としての機能を有するものであるとして、需要者に認識されているという格別の理由は見出せないので請求人の上記主張は採用することができない。
(6)したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
本願商標

審理終結日 2003-08-27 
結審通知日 2003-09-01 
審決日 2003-09-17 
出願番号 商願2000-94251(T2000-94251) 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (Z42)
T 1 8・ 13- Z (Z42)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岩本 和雄 
特許庁審判長 柴田 昭夫
特許庁審判官 中田みよ子
鈴木 新五
商標の称呼 デザート 
代理人 野本 陽一 

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