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審決分類 審判 全部取消 商51条権利者の不正使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z33
管理番号 1083776 
審判番号 審判1999-31716 
総通号数 46 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2003-10-31 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 1999-12-24 
確定日 2003-09-10 
事件の表示 上記当事者間の登録第4259445号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4259445号商標の商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4259445号商標(以下「本件商標」という。)は、平成9年9月27日に登録出願、「金杯菊」の文字を標準文字により書してなり、第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」を指定商品として、同11年4月9日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第12号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)使用商標の使用状況について
被請求人は、平成9年10月23日付け及び同月29日付け朝日新聞朝刊に掲載された販売広告において、別掲(1)のとおりの商標(以下「使用商標」という。)を付した1.8リットル瓶及び1.8リットル紙パック入りの清酒を販売する旨発表し、瓶入りの清酒については、同月23日頃から、紙パック入りの清酒については、同年11月20日頃からそれぞれ製造、販売を始めて使用商標を使用している。また、本件商標が登録された平成11年4月9日以降において、平成11年7月9日号の週刊朝日に、使用商標を付した一升瓶詰及び1.8リットル紙パックの清酒を販売広告し、平成11年7月20日から開催のJR博多駅灘の酒ザ・クールフェアにおいて、使用商標を付した1.8リットル瓶の清酒を展示、販売し、平成11年12月29日から開催の日本の酒どころ灘五郎フェアにおいて、使用商標を付した1.8リットル瓶の清酒を展示、販売して、使用商標を使用している。
(2)引用商標の著名性について
請求人の引用する登録第1964970号商標(別掲(2)、以下「引用商標」という。)は、同人が清酒に使用しており、防護標章登録第1号から防護標章登録第24号まで24件の防護標章登録がされ、著名な商標である。
(3)商品の出所の混同について
本件商標は、その構成文字に慣用商標の「正宗」の文字を付記して「金盃菊正宗」とすると、「菊正宗」の周知、著名性から需要者が「菊正宗」の部分にて注意を喚起され、また、「金盃」の文字部分が金色の盃という観念を生ぜしめ、あたかも「菊正宗」の中の等級を示すような部分として認識される可能性が極めて高く、引用商標に係る商品との出所の混同を生ずるおそれがある。
(4)本件商標と使用商標の類似性について
使用商標は、本件商標に慣用商標の「正宗」を付記してなるものであるから、本件商標に類似する商標である。
(5)被請求人の故意について
被請求人は、著名商標「菊正宗」の存在を知っており、使用商標を使用することにより、引用商標に係る商品との出所の混同が生ずるおそれがあることを承知していた。
(6)よって、本件商標は、商標法第51条第1項の規定により取り消されるべきである。

3 被請求人の答弁
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、乙第1号証ないし乙第13号証を提出した。
(1)本件商標の使用状況については、「金盃菊」の文字と「KINPAlKIKU」の文字が組み合わされた商標(乙第1号証ないし乙第4号証)を商品「清酒」に使用しており、本件商標の商標権を正当に行使している。
(2)使用商標は、登録査定(平成12年4月21日発送日)が通知され、登録料の納付(平成12年4月25日)がされており、商標権について正当に行使するものであり、商標法第51条第1項に規定する不正使用には該当しないものである。
(3)本件商標と使用商標の類否
本件商標は、「金盃菊」の文字を同書、同大、同間隔に纏まりよく表されているものである。これに対し、使用商標は、金盃と菊枝に正宗の文字を重合配置したものの上に「金盃菊正宗」の文字が表されているものである。
使用商標を「金盃菊」に単に清酒の慣用商標である「正宗」を付記したものとするなら、これに接した需要者、取引者は、「金盃菊正宗」を「金盃」と「菊正宗」に分離して観察することはなく、むしろ、特徴的に描かれた「金盃」と「菊」の図柄を漢字に翻案したところの「金盃菊」の文字に注目して、この部分により他人の商品と区別すると解するのが相当であるから、引用商標「菊正宗」の一種の如く誤認されるおそれはないものである。
(4)商品の出所の混同について
使用商標は、金盃と菊枝に正宗の文字を重合配置した標章とともに使用されているものであり、「金盃菊正宗」の文字部分のみを抽出して観察するのは極めて不自然であり妥当性を欠くものである。
使用商標と同様構成中央に表された「正宗」の文字に図柄が背景として描かれている商標は、多数存在するところ、「正宗」の文字の上下に、図柄と正宗の文字を組み合わせた全体の呼び名が付されているという共通の特徴を窺うことができるものであるから、使用商標についても、上記と同様の特徴を持った商標であるかの如く看取し、「金盃菊正宗」という標章も、「正宗」の文字に「金盃」と「菊」の図柄が配置されている商標の呼び名として表記されたものと理解、認識されるとみるのが自然である。
そうとすると、使用商標の文字が同書、同大、同間隔に纏まりよく一体的に表されていることと相俟って、「金盃」の文字を等級表示と理解することなく、文字全体、或いは「正宗」が清酒の慣用商標であるため、特徴的に表された「金盃」及び「菊」の図柄を漢字に翻案したところの「金盃菊」の文字部分により他人の商品と区別すると解するのが相当であるから、使用商標を使用しても、請求人商標の一種であるかの如く認識され、請求人の業務に係る商品であるかの如く商品の出所について誤認されるおそれはない。
(5)よって、被請求人の使用商標の使用行為は、商標法第51条第1項に該当しない。

4 当審の判断
(1)使用商標の使用状況について
請求人が提出している甲各号証によれば、以下のことが認められる。
平成11年7月9日号の週刊朝日に掲載された広告によれば、使用商標を付した一升瓶詰及び1.8リットル紙パックの清酒がそれぞれ2000円及び1950円で販売されていること(甲第1号証)。平成11年7月20日から開催のJR博多駅灘の酒ザ・クールフェアにおいて、使用商標を付した1.8リットル瓶の清酒が展示、販売されていること(甲第3号証)。平成11年12月29日から開催の日本の酒どころ灘五郎フェアにおいて、使用商標を付した1.8リットル瓶の清酒が展示、販売されていること(甲第4号証)が認められる。
また、平成9年10月23日付け及び同月29日付け朝日新聞朝刊によれば、同各紙に掲載された販売広告において、使用商標を付した1.8リットル瓶及び1.8リットル紙パック入りの清酒を販売する旨発表し、瓶入りの清酒については、同月23日頃から、紙パック入りの清酒については、同年11月20日頃からそれぞれ製造、販売を始めた旨の記載(甲第10号証)が認められる。
以上の事実によると、被請求人は使用商標を使用した清酒を平成9年10月23日頃より販売を開始し、本件商標が登録された平成11年4月9日以降においても清酒に使用商標を使用して販売していることが認められる。
(2)本件商標と使用商標との類否について
本件商標は、「金杯菊」の文字を標準文字により書してなるものである。
これに対し、使用商標は、別掲(1)のとおりであるところ、該構成上視覚的に最も目につくのは、中央に太く顕著に大書された「正宗」の文字部分であるが、「正宗」が清酒に用いられる慣用商標であることは明らかであり、「清酒の正統復興」の文字部分も、正統派の清酒であること、伝統ある清酒のリバイバル商品であることを表す記述的部分と解されるものであって、菊及び盃の図形部分は、ありふれた背景図形である上、「正宗」の文字部分に一部が隠された形になっており、注意深く観察しない限り、菊及び盃であることを認識することができないものである。また、登録商標の文字及び被請求人の本店所在地及び商号がそれぞれ小さく書されているが、これらは全体の中でほとんど目立たないものであるから、商標の構成部分として商品の出所識別機能を有するとはいえないものとみるのが相当である。他方、使用商標構成中の「金盃菊正宗」の文字部分は、中央上部に縁取り文字をもって比較的目立つ態様で書されているものであるから、その構成を全体として観察した場合、「金盃菊正宗」の文字部分が商品の出所識別機能を果たすというべきである。
そこで、本件商標と使用商標とを比較すると、本件商標は「金杯菊」の文字よりなるものであるから、該構成文字に相応して、「キンパイキク」の称呼及び「金盃菊」の観念を生ずるものであるのに対し、使用商標は、構成中の「正宗」の文字部分が慣用商標であるから出所識別機能は有せず、他の構成部分より独立して商品の出所識別機能を有する部分は「金杯菊」の文字部分にあり、これより「キンパイキク」の称呼及び「金盃菊」の観念をも生ずるものである。
そうとすれば、両商標は「金杯菊」の綴り字を共通にし、「キンパイキク」の称呼及び「金盃菊」の観念を共通にするものであるから、全体として出所の混同を生ずるおそれのある類似の商標といわなければならない。
(3)引用商標に係る商品との出所の混同について
使用商標の構成中出所識別機能を有する部分は、前記のとおり「金盃菊正宗」の文字部分であり、該構成中の「菊正宗」の文字部分は、引用商標と同一の綴り字よりなるものであるところ、引用商標は、請求人が商品「清酒」に使用した結果、遅くとも防護標章登録の認められた平成2年11月頃には、取引者、需要者間に広く認識され周知著名な商標となっていたことが認められ、本件商標の出願時(平成9年9月27日)、登録時(平成11年4月9日)はもとより、現在においても、請求人の製造、販売に係る商品「清酒」を表示するものとして取引者、需要者間に広く知られている周知著名な商標であるというのが相当である。
引用商標が周知著名であることは、平成2年11月29日に設定登録された登録第1964970号商標の防護標章登録第1号から平成9年9月12日に設定登録された同商標の防護標章登録第24号まで24件の防護標章登録(なお、平成13年8月10日に同商標の防護標章登録第25号が設定登録されている。)を有していること(甲第7号証、甲第8号証及び甲第12号証)、請求人は、清酒その他の酒類の製造、販売を目的とする株式会社であり、創業300年以上に渡る清酒業界の伝統的メーカーの一つで、全国の清酒市場において高いシェアを占めている(平成8年の商品出荷量は約4万227キロリットルで全国6位)ことから、「菊正宗」の商標は、請求人の製造、販売する酒の銘柄として極めて著名であって、その商標自体が日本酒の分野において非常に強い識別力を有していること(甲第10号証)、日刊経済通信社の調査による全国の上位清酒メーカーの銘柄酒の出荷状況は、請求人の「菊正宗」は、平成7年度は、上位から「月桂冠」「白鶴」「大関」「松竹梅」「日本盛」「黄桜」についで第7位の出荷量(3万9704キロリットル)であり、平成8年度は、上位五銘柄に次ぐ第6位の出荷量(4万227キロリットル)であったこと(甲第12号証)及び「菊正宗」は、相当古くから、請求人が製造、販売する商品の標章として著名となっていて、取引者及び一般需要者の間で広く認識され、また、請求人の製造、販売する「菊正宗」の標章を付した清酒商品は、一般需要者によって、「キクマサムネ」と称呼されていたものと推認されること(甲第12号証)からも窺うことができる。
また、使用商標構成中の「金盃」の文字部分は、「金製の盃」を意味し普通に用いられる語であり、「金盃」の文字と「菊正宗」の文字とは常に一体不可分のものとして把握しなければならない特段の事情もなく、かつ、「金盃菊正宗」の文字が請求人の商品表示として著名性を獲得している「菊正宗」とは別の被請求人の製造、販売する商品の標章であると一般に広く認識されるに至っているとは認められない。
そうとすれば、「金盃菊正宗」の文字部分は、「金盃」と「菊正宗」に分離して観察されるというべきである。
そして、使用商標を付した清酒と引用商標の製造、販売に係る清酒とは同一の商品であることは明らかである。
したがって、被請求人が使用商標を本件商標の指定商品である「清酒」に使用していることは、使用商標の構成中に請求人が清酒に使用し著名な商標「菊正宗」と同一の文字「菊正宗」を他の構成部分から独立して商品の出所識別機能を果たす態様で有するものであるから、該使用商標を使用した「清酒」に接するときは、取引者、需要者において、同商品が請求人の業務に係る「清酒」又は請求人と経済的若しくは組織的に何等かの関連を有する者の業務に係る「清酒」ではないかと商品の出所について混同を生じさせるおそれがある使用をしたといわざるを得ない。
(4)故意について
引用商標は使用商標の使用開始以前に周知著名となっていたこと及び請求人と被請求人とは共に神戸市内に住所地を有し、清酒の製造、販売に関して同業者であることよりすれば、被請求人は、使用商標の使用開始当初より、著名な引用商標を知悉しており、使用商標の使用にあたり請求人の業務に係る商品「清酒」と混同を生ずるとの認識があったと推認されるから、被請求人には故意があったというのが相当である。
(5)商標権の正当な行使の主張について
被請求人は、本件商標の使用は「金盃菊」の文字と「KINPAlKIKU」の文字が組み合わされた商標を商品「清酒」に使用しており、本件商標の商標権を正当に行使しているものであり、使用商標と同一構成の商標の出願は、登録査定が通知され、登録料が納付されているから商標権の正当な行使である旨主張している。
しかしながら、被請求人が、本件商標を「金盃菊」「KINPAIKIKU FOR LADY」「金盃菊『KINPAIKIKU FOR LADY』」(乙第1号証ないし乙第4号証)として使用しているとしても、他人の業務に係る商品と混同を生ずる使用商標の使用を正当化することはできない。
また、使用商標が、商標登録第4382255号として、商標登録されたことがあるとしても、商標登録原簿によれば、該登録商標は、平成13年9月17日登録異議の申立ての決定により、商標登録が取り消され、平成14年10月15日にその決定が確定し、平成14年10月23日に該商標権の登録の抹消がされているから、被請求人による使用商標の使用が、その登録前はもとより、その登録後においても、該商標権の正当な使用であるとはいえない。
したがって、前記被請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(6)結論
以上のとおり、被請求人が故意に指定商品「清酒」についての本件商標に類似する使用商標を使用するものであって、他人の業務に係る商品と混同を生ずるものをしたと認められるから、本件商標の登録は、商標法第51条第1項の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 (1)使用商標

(色彩については原本を参照されたい)

(2)引用商標(登録第1964970号商標)

審理終結日 2002-12-06 
結審通知日 2002-12-11 
審決日 2003-01-24 
出願番号 商願平9-162053 
審決分類 T 1 31・ 3- Z (Z33)
最終処分 成立 
特許庁審判長 田辺 秀三
特許庁審判官 宮下 正之
小林 和男
登録日 1999-04-09 
登録番号 商標登録第4259445号(T4259445) 
商標の称呼 キンパイキク、キンパイ、キク 
代理人 新井 悟 
代理人 佐藤 一雄 
代理人 江藤 聡明 
代理人 矢崎 和彦 
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