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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Z42
管理番号 1083592 
審判番号 不服2001-21374 
総通号数 46 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2003-10-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-11-29 
確定日 2003-08-25 
事件の表示 商願2000-66809拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第42類「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,飲食物の提供,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,機械・装置若しくは器具又はこれらの機械(装置)等により構成される設備の設計(建築・土木に係る設計を除く。),電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,機械器具に関する試験又は研究」を指定役務として、1999年12月15日付け欧州共同体商標庁を第一国出願とする商標登録出願を基礎としたパリ条約に基づく優先権を主張して、平成12年6月15日に立体商標として登録出願されたものである。

2 原査定における拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、『自動車』の立体的形状よりなるものであるから、これをその指定役務中の『自動車及びその部品の設計,自動車の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,自動車及びその部品の試験又は研究』について使用した場合、これに接する需要者は、単に役務の提供の用に供する物あるいは役務の質(内容)を表したと認識するにすぎず、自他役務の識別標識としての機能を果たすものとは認められない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
平成8年法律第68号により改正された商標法は、立体的に表された標章であって、商品又は役務について使用をするものを登録する立体商標制度を導入し、その中には商品若しくはその包装又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状も含むものであるが、商品等の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであって、本来的(第一義的)に商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として採択されるものではない。
そして、この商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは、前示したように、商品等の機能又は美感をより発揮させるために施されたものであって、本来的には、自他商品・役務を識別するための標識として採択されるのではなく、全体としてみた場合商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者、需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するに止まり、このような商品等の機能又は美感に関わる形状は、多少特異なものであっても、未だ商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないというのが相当である。
また、商品等の形状は同種の商品等にあっては、その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるから、取引上何人もこれを使用する必要があり、かつ、何人も使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。
そうとすれば、商品等の機能又は美感とは関係ない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状をもって構成される商標は、使用された結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者、需要者間において当該形状をもって同種の商品又は役務と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として、商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。
立体商標制度を審議した工業所有権審議会の平成7年12月13日付け「商標法等の改正に関する答申」30頁においても、「3.(1)立体商標制度の導入 需要者が指定商品若しくはその容器又は指定役務の提供の用に供する物の形状そのものの範囲を出ないと認識する形状のみからなる立体商標は登録対象としないことが適当と考えられる。・・・ただし、これらの商標であっても使用の結果識別力が生ずるに至ったものは、現行法第3条第2項に基づき登録が認められることが適当である。」としている。
これを本願についてみれば、本願商標は、別掲のとおり、自動車の立体的形状を表したものとみられるものであって、これをその指定役務中「自動車の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,自動車及びその部品の試験又は研究」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、単に役務の提供の用に供する物「自動車」を表示するにすぎないものとして認識するに止まるものと判断するのが相当である。
請求人は、本願は看板として、広告塔として使用するものであり、これのみでは自動車に関連する役務と認識されることはあっても、特定の役務を認識させるものではなく、また、本願の形状は極めて印象的でその指定役務との関連で「普通に用いられる方法で表示する標章」とは言い得ず、広告的機能については自他識別力を有する旨主張している。
しかしながら、本願商標の指定役務中「自動車の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,自動車及びその部品の試験又は研究」との関係において、「自動車」は役務の提供の用に供する物であり、たとえ、その形状が極めて印象的であったとしても、その特徴は自動車そのものの美感(見た目の美しさ)を効果的に際だたせるための範囲のものというべきであるから、それを持って、自他役務の識別標識として機能するものとは認めることができない。
そうとすれば、本願商標は、前記役務に使用した場合、その役務の提供の用に供する物の形状そのものの範囲を出ないと認識する形状のみからなる商標といわざるを得ない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
本願商標

審理終結日 2003-03-18 
結審通知日 2003-03-24 
審決日 2003-04-09 
出願番号 商願2000-66809(T2000-66809) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (Z42)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 野本 登美男柴田 昭夫 
特許庁審判長 小川 有三
特許庁審判官 梶原 良子
鈴木 新五
代理人 加藤 義明 
代理人 ラインハルト・アインゼル 

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