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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 Z3233
審判 全部申立て  登録を維持 Z3233
管理番号 1081997 
異議申立番号 異議2002-90792 
総通号数 45 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2003-09-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-11-06 
確定日 2003-08-11 
異議申立件数
事件の表示 登録第4594107号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4594107号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第4594107号商標(以下「本件商標」という。)は、「氷結」の文字を標準文字により表してなり、平成13年8月6日に登録出願され、第32類「ビール,清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,乳清飲料,ビール製造用ホップエキス」、第33類「洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」を指定商品として、平成14年8月9日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立ての理由の要点
(1)登録異議申立人「森永乳業株式会社」(以下「申立人1」という。)の申立理由
申立人1は、登録異議申立ての理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1ないし第15号証を提出している。
食品加工の現場においては、食材を貯蔵等するに際して氷結した状態にしておくことや、食材を氷結した状態において加工することが普通に行われている。
たとえば、本件指定商品中の「果実飲料、果実風味の清涼飲料、飲料用野菜ジュース、焼酎に果汁を加味し炭酸水で割ったアルコール飲料」の原材料となる果汁、野菜汁の貯蔵、加工等に際しては、氷結濃縮の方法を採ることが少なくなく(濃縮を行わない氷結製法が採られる場合もある。)、また「乳清飲料」について、その原材料に氷結発酵乳を使用する例や、「果実酒」について氷結したブドウを原材料とする例をみることもできる。
なお、氷結した原材料を使用することには、風味や栄養分の損失を抑えることができるという利点がある。
そうすると、本件商標は、その指定商品との関係において、原材料に氷結した果汁、野菜汁、果実等を使用したものであることや、氷結した発酵乳を使用したものであること、すなわち風味等の損失が少ないものであることを理解させるにすぎないものである。
したがって、本件商標は、これをその指定商品中、氷結した果汁、野菜汁、果実、発酵乳等を原材料とする商品に使用するときは、これに接する者に当該商品の原材料や品質を理解させるにとどまり、他方、これを上記のような氷結した原材料を使用した商品以外の商品に使用した場合には、当該商品の品質につき誤認を生じさせるおそれがある。
よって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであって、同法第15条第1項の規定に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきものである。
(2)登録異議申立人「サッポロビール株式会社」(以下「申立人2」という。)の申立理由
申立人2は、登録異議申立ての理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1ないし第43号証を提出している。
本件商標「氷結」の語は、「寒気によって水が凝結すること、こおりつくこと、凍結」の意味合いを有する語である。
氷結の語及び氷結の現象は、飲食品について種々関連しており、保存法として又は製造方法として、更には用法として用いられている。
本件指定商品の分野では、既にこれら三方法が利用され又は利用され得ること明らかであり、そのような商品に説明語句として「氷結」の文字を表示する必然性が多分に存するものである。
よって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、同法第43条の2第1号によって、その登録は取り消されるべきものである。

3 当審の判断
本件商標は、上記のとおり、「氷結」の文字からなるところ、この「氷結」の文字が本件商標の指定商品の取引者、需要者によってどのように認識されているかについて検討する。
確かに、「氷結」の文字が「寒気によって水が凝結すること。こおりつくこと。」を意味する語であることは、申立人1の提出に係る甲第1号証(三省堂発行「広辞林」)に記載のとおりである。
しかしながら、申立人1及び2の提出に係る甲各号証をみるに、食品の原材料、加工方法、製造方法又は品質等を表示するために一般に使用されている語は「凍結」又は「冷凍」であって、「氷結」の語が本件商標の指定商品の原材料、加工方法、製造方法、品質等を直接表示するものとして使用されている例は殆ど見当たらない。
すなわち、申立人1の提出に係る甲各号証の文献においては、食品等が凍った状態であるという物理的状態を示すために「氷結」の語が使用されたもの、「氷結点」、「氷結曲線」として食品が凍り始める点や氷結する状態を示す曲線の意味合いで用いられたものなどが見受けられるものの、例えば、加工・貯蔵法としては「冷却冷蔵」、「凍結冷蔵」、「凍結濃縮」、「濃縮冷凍」等の用語が用いられており、「氷結」の語が食品の原材料、加工方法、製造方法、品質等を具体的に表すために用いられているとはいい難い。
また、申立人2の提出に係る甲第1ないし第7号証には、確かに「氷結製法」、「氷結生酒」又は「氷結酒」の用語が用いられているものの、いずれも清酒に係るものであり、本件商標の指定商品に係るものではない。同じく甲第8ないし第14号証においては、商品「アイスビール」について「氷結させて」という表現の1例(甲第8号証)を除き、「凍結」、「凍らせた」、「氷の結晶」といった表現が用いられている。同じく甲第15及び第16号証、甲第19ないし第21号証は商標権者の商品に係るものである。同じく甲第17及び第18号証には、「凍結粉砕製法」、「凍結果汁」、「凍結濃縮処理」の語はみられるものの、「氷結」の語はない。同じく甲第22号証には、「独自の氷結製法」として「氷結製法」について解説されているが、これが一般的なものか否かは明らかでない。同じく甲第23及び第24号証においては「氷結」の文字が単独で使用されているものでない。同じく甲第25ないし第40号証においては、ぶどうが凍った状態にあること、すなわち物理的な状態を示すために「凍結」、「氷結」、「凍った」、「凍りついた」等の語を用いており、一部に「氷結ワイン」との表示もみられるが、これらをもって、直ちに「氷結」の語が本件商標の指定商品の原材料、加工方法、製造方法、品質等を表示するものとして一般に使用されているものとはいい難い。
そして、各種食品事典によれば、食品の加工方法、製造方法等については「凍結」、「凍結加工」、「凍結濃縮法」、「凍結乾燥法」等の用語が一般に用いられている。
以上からすると、「氷結」の文字が本件商標の指定商品の原材料、加工方法、製造方法、品質等を表示する語として取引者、需要者に認識されているものと直ちにはいい難い。
一方、商標権者及びその親会社たる麒麟麦酒株式会社が缶チューハイについて使用している商標「氷結」が取引者、需要者間に相当程度知られている事実があることからすれば、缶チューハイと少なからぬ関係を有する本件商標の指定商品に係る取引者、需要者は、「氷結」の文字から上記商標「氷結」を連想、想起する場合も少なくないというべきである。
そうすると、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、商品の原材料、加工方法、製造方法、品質等を表示するものとしてではなく、自他商品の識別標識として認識し理解するというべきである。
したがって、本件商標は、自他商品の識別標識としての機能十分に果たし得るものであり、また、商品の品質の誤認を生ずるおそれもないものであるから、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号の規定に違反して登録されたものではない。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2003-07-22 
出願番号 商願2001-71504(T2001-71504) 
審決分類 T 1 651・ 272- Y (Z3233)
T 1 651・ 13- Y (Z3233)
最終処分 維持  
前審関与審査官 山本 敦子 
特許庁審判長 大橋 良三
特許庁審判官 富田 領一郎
小川 有三
登録日 2002-08-09 
登録番号 商標登録第4594107号(T4594107) 
権利者 キリンビバレッジ株式会社
商標の称呼 ヒョーケツ 
代理人 小泉 勝義 
代理人 吉武 賢次 
代理人 新井 悟 
代理人 矢崎 和彦 
代理人 松田 治躬 
代理人 河野 茂夫 
代理人 岡本 健二 

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