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審決分類 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 042
審判 全部無効 商4条1項7号 公序、良俗 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 042
審判 全部無効 商4条1項10号一般周知商標 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 042
管理番号 1080232 
審判番号 無効2001-35100 
総通号数 44 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2003-08-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 2001-03-12 
確定日 2003-06-30 
事件の表示 上記当事者間の登録第3190872号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第3190872号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第3190872号商標(以下「本件商標」という。)は、商標法の一部を改正する法律(平成3年法律第65号)附則(以下「改正法附則」という。)第5条第1項の規定により使用に基づく特例の適用を主張して、平成4年9月29日に登録出願され、別掲(1)に示すとおりの構成よりなり、第42類「うどんの提供,てんぷら料理の提供,串焼料理の提供,鍋物料理の提供,刺身料理の提供,グラタンの提供,焼魚料理の提供,エビチリソ―スを主とする料理の提供,アルコ―ル飲料の提供,茶・清涼飲料又は果実飲料の提供」を指定役務として、同8年8月30日に設定登録されたものである。

第2 請求人の引用する商標
請求人が本件商標の登録無効の理由として引用する使用に係る商標(以下「引用商標」という。)は、別掲(2)に示すとおりの構成よりなり、「アルコール飲料を主とする飲食物の提供」の役務について使用をしているものである。

第3 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第71号証の6(枝番号を含む。)及び参考資料1ないし5を提出した。
1 審判請求の利益について
請求人が別途手続した商願平10-85061号出願において、本件商標が拒絶の理由として引用されており、請求人は審判請求の利益を有する。
2 商標法第4条第1項第10号について
本件商標は、請求人が「アルコール飲料を主とする飲食物の提供」に永年使用している著名商標「北の家族」に類似するものであり、その指定役務は上記役務と類似する役務である。
3 商標法第4条第1項第15号について
仮に、本件商標が改正法附則第5条第2項の規定にいう所謂周知商標であるなら、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
4 商標法第4条第1項第7号について
本件商標中の文字「北の家族」の字体、表現態様は、請求人の著名商標「北の家族」に極めて良く似ている。かかる商標の採択は、著名である請求人の商標の存在を知らずしては行ない得ないことであり、本件商標は、請求人の著名商標の模倣といわざるを得ない。取引秩序を害する模倣行為は、公序良俗に反するので、本件商標は商標法第4条第1項第7号の規定にも該当する。
5 改正法附則第7条について
本件商標は、いわゆる特例出願によるものであるが、該特例の適用は「不正競争の目的でなされた使用でないこと」を条件とする。しかるに、本件商標は、不正競争の目的をもって使用されたものと認められるので特例適用の要件を欠くものであるから、本件商標は、改正法附則第7条第2項の規定にも該当する。
6 両商標の類否
本件商標において「北の家族」部分は、図形等と不離一体を成すものではなく、当該部分は独立して把握されるものである。
一方、請求人の著名商標は「北の家族」の文字を書してなるものであるから、両商標は「北の家族」を要部とする点で類似する商標である。
また、本件商標中の「北の家族」の文字の字体、表現態様は、請求人の著名商標「北の家族」に酷似するものでもある。
7 引用商標の著名性について
(1)請求人の沿革について
昭和35年に「株式会社芸友センター」設立、昭和48年に居酒屋「北の家族」第1号店開店、昭和62年に(旧)株式会社アート・ライフを吸収合併、平成1年に商号を「株式会社アート・ライフ」と変更、平成4年に株式を店頭登録、平成9年に商号を「北の家族株式会社」に変更した(甲第4号証ないし甲第8号証)
(2)居酒屋「北の家族」の店舗展開について
引用商標の著名性は、請求人の経営する居酒屋チェーン「北の家族」の展開にともない形成されたものである。
居酒屋「北の家族」の第1号店は、昭和48年に東京新宿にオープンし、以後、飛躍的に店舗数を伸ばしており、平成3年10月の時点では、東京新宿を中心に既に29店、4485席あった(甲第9号証)。また、平成7年5月に印刷された会社案内(甲第4号証)には店舗数が35店と記されており、平成13年1月の請求人のインターネットのホームページ(甲第10号証)には83店と紹介されている。
当初、日本有数の繁華街である東京新宿を中心に店舗展開し、次いで同様の銀座、渋谷へと及ぶに至った。そして、都心の店の隆盛にあわせ、昭和62年の吉祥寺を始めとし、町田、高円寺、大宮、千葉、松戸、八王子と順次郊外にも出店した。
繁華街に店を構え、永年営業を続けてきたということは極めて多くの人々に親しまれてきたことの証拠であり、郊外への出店は、需要者層の地域的な拡大となる。居酒屋「北の家族」は顧客の増加に伴い店舗が増え、店舗が増えるごとに顧客がより増加して、本件商標は、居酒屋「北の家族」で提供される役務「アルコールを主とする飲食物の提供」を表わすものとして需要者に広く知られ著名性を獲得、増大してきたのである。
(3)居酒屋「北の家族」の宣伝・広告について
(a)居酒屋「北の家族」の看板
「北の家族」の各店舗は、それぞれの店に看板を出している。各店舗は、いずれも繁華街の中でも特に人通りの多い場所にあるので、居酒屋「北の家族」を訪れる人はもちろん、多くの通行人の目にもふれ、赤色の地に大きく「北の家族」と表わしてなる看板は極めて目立つものであり、多くの人々に親しまれ「北の家族」の知名度を上げる一因となった(甲第12号証の1ないし25)。
(b)居酒屋「北の家族」のメニュー
甲第13号証の1ないし20は、居酒屋「北の家族」で使用したメニューの写真であり、いずれも「北の家族」との文字が大きく目立つように表わされている。このように幾種類ものメニューが作成されたのは営業が永年にわたって行なわれてきたこと、多様な酒や料理を時節に応じて提供し、しかもそれが顧客の支持を得たこと、次々と開店する新しい店舗を書き加えるために必要であったこと等を物語るものである。
(c)居酒屋「北の家族」の各店舗の営業許可書
甲第14号証の1ないし16は、居酒屋「北の家族」の店舗中「西武店」「一番街店」など16店の営業許可書の一部をコピーしたものである。各店舗がそれぞれ永年にわたって営業を続けてきたこと、より一層の顧客を迎える為、店舗の改装が行なわれたこと、店舗の床面積や収容人数、照明・カラオケ等店内の設備の様子等をこれら営業許可書は示すものである。
(d)駅看板
甲第15号証は、平成3年(1991年)ごろに撮影された写真であって、八王子、吉祥寺、町田、高円寺の各駅の外壁や改札口・精算所付近に設置された「北の家族」の看板を示すものである。いずれの駅も乗降客の多い駅で極めて多くの人々の目にとまった筈であり、これらの看板によっても「北の家族」の知名度は高まった。
(e)テレビコマーシャル
甲第16号証の1ないし13は、テレビ放送による広告の一例(昭和63年及び平成2年放送分)を示すものである。請求人は、本件商標の登録出願前からテレビコマーシャルを行ない「北の家族」の宣伝広告に努めてきた。
(f)ちらし広告
甲第17号証の1ないし14は、ちらし広告の一例を示すものである。請求人は、居酒屋「北の家族」の新店舗の開店案内やパーティ、宴会のメニュー紹介のために多数のちらしを作成・配布してきた。
(g)その他
甲第18号証は、大相撲の懸賞取組みでの広告、甲第19号証は、演劇のパンフレットでの広告、甲第20号証は、新聞「ワセダスポーツ」での広告、甲第21号証は、ラジオ(TBS)での広告を示すものである。
また、「北の家族」の名が高まるにつれ、マスコミから取材されることも多くなった。甲第22号証の「芸友センター・グループ ’60年マスコミ取材&出演」は、多くの新聞社・雑誌社・テレビ局・ラジオ局から取材を受けたことを示し、甲第23号証ないし甲第32号証はその記事である。いずれも発行部数の多い雑誌等である。
(h)宣伝広告費
甲第33号証は、居酒屋「北の家族」の宣伝広告費用を示したものである。第30期(昭和63年7月〜平成1年6月)9930万円、第31期1億79万円、第32期1億5104万円、第33期8983万円、第34期8398万円、第35期8324万円、第36期8735万円、第37期6150万円、第38期5522万円、第39期7163万円と高額を維持している。
(i)請求人の事業規模
甲第33号証及び第34号証は、請求人の売上高を示したものである。第30期38億円、第31期49億円、第32期62億円、第33期66億円、第34期70億円、第35期78億円、第36期82億円、第37期96億円、第38期101億円、第39期108億円となっている。
業界内での順位も甲第35号証ないし第38号証で示すとおり、平成3年には10位、同7年も10位、同8年は8位と高位を誇っている。
(j)居酒屋「北の家族」と故神彰
居酒屋「北の家族」は、故神彰の名と共に語られることも多い。神彰は、ボリショイバレエ団を招くなど国際プロモーターとして、又、作家の故有吉佐和子の夫として語られるが、それ以上に居酒屋チェーンの先駆けとなった「北の家族」を展開し、その後のブームを起こしたことで知られている。
甲第40号証ないし第69号証は、週刊文春等の一般週刊誌、週刊東洋経済等の経済雑誌、週刊宝石等の娯楽雑誌、FOCUS等の写真誌、朝日新聞等の新聞など読者数の多い著名な媒体にとりあげられた神彰と「北の家族」の記事である。「北の家族」は、神彰が脚光を浴びることによっても知れわたったのである。
(k)むすび
居酒屋「北の家族」を経営する請求人は、その業務を行なうに際し、引用商標を永年にわたり大々的に使用し続けてきた。その結果、引用商標は、極めて多くの人々に知れわたった。また、「北の家族」は、居酒屋チェーンの走りとして神彰の名と共にマスコミに登場することも多かった。新宿の名物といわれる程に名を高めた「北の家族」は役務「アルコール飲料を主とする飲食物の提供」につき、著名であることに間違いはない。本件商標は、かかる著名商標「北の家族」に類似するものであり、その指定役務に使用するとき当該役務は請求人と何らかの関係があるかのごとき誤認混同が生じる。
8 第1答弁に対する請求人の弁駁要旨
(1)審判請求の利益について
被請求人は、役務商標導入時の経過規定に絡めて審判請求の利益を論じるが、継続的使用権等の有無は無効審判を排斥するものではなく、被請求人の独自の論は失当である。
(2)本件商標の周知性について
被請求人の答弁書類(主として乙第1号証)からみるに、被請求人が本件商標を使用して営業する店舗は、長野県須坂市内の1店舗のみであり、しかも、その開店は昭和59年11月21日と歴史も浅いものである。該店舗の立地する須坂市は、長野県内の17の市のうち、人口9番目の小さな都市であり、人口約54500人は県全体の人口の2.46%にすぎない(参考資料1)。
本件商標は、須坂地域のごくごく一部の人たちにのみ知られているというにとどまり、使用されているにせよ未周知である。
請求人の使用に係る引用商標と被請求人の本件商標の知名度には雲泥の差があるのである。

第4 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のとおり述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし同第5号証の11(枝番号を含む。)を提出した。
1 第1答弁の要旨
(1)利害関係について
本件商標は、改正法附則第5条に基づく「特例出願」により登録されたものである。
特例出願は、登録を希望する者は、特例期間内に出願することにより商標法の趣旨に沿うように調整が行われるとともに、特に登録を希望しない者には、継続的使用権を付与して公平性を担保しようとする制度である。
もし、現時点において、請求人の使用商標が、単に、周知・著名であるという理由で、正規の特例出願を行い、かつ正当に登録された本件商標が無効にされるとすれば、特例出願制度の趣旨を完全に否定することになる。
本件における責任は、特例出願をしなかった請求人側にあるのであって、自らの責任を他の正当な権利者に責任転嫁すべきものではない。請求人が特例出願を行っていれば、少なくとも重複登録が認められ、法の下で公平に調整が進められたであろう。請求人の使用商標が、周知・著名であるとすれば、本件商標に優先して登録が認められ、或いは本件商標に優先して更新登録が認められるはずである。他方、本件商標権者にとっては、十分な調整期間を経て、以後の業務展開を選択し、商標の使用形態の変更や名称変更等に対して対応できたものである。
特例出願制度の下で出願され登録された以上、審査上の瑕疵があったというものではない。
特例出願時に、継続的使用権を選択し、積極的な権利化を放棄した請求人に、出願上の利害関係は存在しない。請求人が本件商標権者から権利侵害の警告を受けるなどの理由によってはじめて利害関係が生じ得るものである。本件商標権者には、警告を行うなどの意志は全くない。むしろ、一定の条件の元で「権利譲渡」或いは「使用権設定」の用意がある。
(2)商標法第4条第1項第10号、同15号、同7号及び改正法附則第7条について
(a)請求人の使用商標は、居酒屋として都心及びその郊外のみで使用されるにとまる。「養老の滝」や「村さ来」等のような全国チェーンではない。このため、都心及びその郊外のみでは周知であっても、本件商標権者が店舗を展開する長野県内では広告も行われておらず、無名である。本件商標権者の店舗は、長野県内に限られるが、当然長野県内では、本件商標の方が実績があり周知である。
なお、請求人は、週刊誌等を挙げて知名度を主張するが、大半は、店舗に関するものよりも創業者の個人的なキャラクターに関するものであり、また、店舗が載っていても広告というよりも他の居酒屋と一緒に紹介されるガイドブック的掲載に過ぎず、店を個別に周知させる広告宣伝とは言い難い。
したがって、地域性が強く、しかも利用者が一部の層に限られる「居酒屋」に係るサービスマークに関する周知性の認定は、流通性のある商品に付すトレードマークよりも広域で知られていることを要件とすべきである。
(b)「養老の滝」や「村さ来」等の場合には、かなり独創性のあるネーミングであるが、「北の家族」に関しては、北海道或いは北国をイメージさせる一般な名称の範疇にあり、さほど独創性が強い名称とは言えない。例えば、「飲食物の提供」で登録されている商標を見ても、「家族」を用いたネ一ミングは多く、一例を上げれば、家族庵(登録第3034336号)、家族庵(登録第3038938)、家族家(登録第3073563号)、家族亭(登録第3152426号)、Kazokuya(登録第3164419号)、すし家族(登録第4195366号)、カルビ家族(登録第4301204号)等、多数の登録商標が存在する(乙第2号証の1ないし7)。
また、請求人の使用商標は、「心の居酒屋北の家族」と一体に使用し、あるいは「アイヌ人と思われるマスコットマーク」と一緒に使用している形態も多い。これに対して、本件商標は、「北海道の地形マーク」と「北海道直送」の文字及び「北の家族」の文字が一体化された結合商標であって、基本的に、両商標間に混同を生じるおそれはない。
実際、請求人が証拠として提出した甲第12号証の2を、乙第3号証として再提出し、乙第3号証の写真に表示された請求人の使用商標に係る標準的な看板と本件商標権者の看板を対比すれば、両者の使用形態は大きく異なり、基本的に、両者の商標間に混同を生じるおそれはない。更に、本件商標の使用は、長野県内に限られ、請求人の使用地域が都心及びその郊外に限られることを考慮すれば、居酒屋の地域性からして不正競争には該当しないこと明らかである。
以上のとおり、本件商標が商標法第4条第1項第10号、同15号、同7号、改正法附則第7条、商標法第46条第1項の規定に該当するとした請求人の主張は全く理由のないものである。
2 第2答弁の要旨
(1)利害関係について
請求人は、別途手続した出願の拒絶理由として本件商標が引用されたため、審判請求の利益があると主張する。
しかし、本件商標が通常出願に基づく登録であれば、確かに、出願が拒絶されること自体、結果として、何の権利も得られないことになるため、不利益が生じるものと思われるが、拒絶の理由として引用された商標は、特例出願により登録された商標であること及び請求人の出願した商標は、継続的使用権を有する商標であることを考慮すれば、請求人の出願商標は、既に、本件商標との関係において、利益が確保されている商標と見るのが相当である。即ち、両者の関係は、通常出願の場合と異なり、サービスマーク登録制度導入に伴う経過措置によって既に調整されており、利害関係は存在しないものとみるのが相当である。
本件商標は、他の「重複登録」が存在しないため、被請求人は、正当な権利(商標権)の下に、店舗拡大を行っている。したがって、本件商標の登録が無効にされ、その効果として初めから存在しなかったものとみなされれば、不当な不利益を被ることは明らかである。請求人が継続的使用権を選択し、特例出願を行わなかった事実は、既に、被請求人の業務において法上或いは事実上、その効果を生じており、後になって、それを否定或いは変更することは、明らかに正当な権利者の利益を害するものである。
(2) 周知性・著名性について
被請求人は、出願時には、たとえ小規模であったとしても、今後の展開を考慮し、商標権の必要性を判断して特例出願を行ったものであり、請求人と被請求人に係る相対的な事業規模や宣伝広告量等は、本件商標の登録適格性に影響を及ぼすものではない。
請求人の使用商標は、本件商標との関係では、重複登録された他の登録商標でもなく、本件商標は、正当な商標権として存在している。
そして、現在、被請求人は、当該商標権に基づく正当な事業展開を行っており、県都である長野駅前において、既に、第2号店を展開中であるとともに、今後、更なる新店舗の展開も十分に想定され得る。また、一般的な営業展開としても、相当量の宣伝・広告を行っている。特に、例示の日刊新聞及び雑誌は、少なくとも長野県全域をカバーするものである(乙第5号証の1ないし11)。

第5 当審の判断
1 利害関係について
本件審理に関し、当事者間に利害関係の有無について争いがあるので、まず、この点について判断する。
被請求人は、サービスマーク登録制度の導入時には、登録を希望する者は特例期間内に出願することにより、登録を希望しない者には継続的使用権を付与することにより、商標法の趣旨に沿うように調整が行われているところ、請求人は、登録を希望せず継続的使用権を選んだのであるから、請求人が利害関係の根拠として挙げている商標登録出願と本件商標との関係については、既に、経過措置によって調整されているものというべきであって、請求人には、出願上の利害関係は存在しない旨主張している。
しかしながら、請求人は、前記第3において記載したとおり、「北の家族」の文字を書してなり第42類「飲食物の提供」等の役務を指定役務として出願した平成10年商標登録願第85061号商標に対して、本件商標を引用した拒絶理由通知を受けているばかりでなく(甲第3号証)、本件商標と請求人の使用に係る引用商標とは、取引者・需要者をして、その役務の出所について混同を生じさせるおそれがある旨の事情を主張しているところ、改正法附則には、商標登録の無効の審判を請求するにあたって、その利害関係について特別の要件を付加する旨の規定は見当たらない。
なお敷衍すれば、被請求人は、本件商標と引用商標との関係は経過措置によって調整済みのものである旨主張しているが、改正法附則第5条による、いわゆる優先・重複登録の措置は、先願主義についてのみの例外を定めたものであり、例えば、周知・著名な役務に係る他人の商標あるいは周知・著名度の異なる他人の商標との抵触等、先願主義と関係のない理由については、使用に基づく特例の適用の主張を伴う出願であっても通常の出願と同様に商標登録を受けることができないのであるから、そのような無効理由の存否を争うこと自体を制限することに通じる被請求人の主張には理由がない。
してみれば、請求人は、本件審判の請求をすることについて利害関係を有するものといわなければならない。

2 引用商標の周知性について
(1)そこで、本案について判断するに、請求人の提出に係る甲各号証によれば、次の事実を認めることができる。
(a)甲第4号証(株式会社アート・ライフの会社案内)、同第5号証(平成11年(1999年)5月11日打ち出しの「北の家族株式会社」のインターネットのホームページ)、同第6号証(東洋経済新報社「日本会社史総覧」抜粋)、同第7号証(北の家族株式会社の登記簿謄本)及び同第8号証(株式会社アート・ライフの閉鎖登記簿謄本)によれば、請求人は、昭和35年に「株式会社芸友センター」として設立され、昭和48年に居酒屋「北の家族」第1号店を開店、同62年に(旧)株式会社アート・ライフを吸収合併し、平成1年に商号を「株式会社アート・ライフ」と変更し、同4年に株式を店頭登録、同9年に商号を「北の家族株式会社」に変更したこと
(b)甲第9号証(株式会社アート・ライフの店頭登録時に作成された登録申請のための報告書)によれば、居酒屋「北の家族」の第1号店は、昭和48年に東京新宿にオープンし、平成3年10月の時点では、東京新宿を中心に13店舗、渋谷に4店舗、銀座に2店舗、吉祥寺に2店舗、町田に2店舗、高円寺、神田、八王子、松戸、千葉、大宮に各1店舗、合計で既に29店舗、4485席あったこと、甲第4号証によれば、その後、平成7年5月の時点では、川崎、自由が丘、蒲田、本厚木、伊勢佐木町、池袋等に開店した店舗を含めて合計35店舗となっていたこと、そして、甲第11号証(「北の家族」の店舗一覧表)によれば、本件商標の登録査定後ではあるが平成12年11月21日の時点においては、東京近県ばかりでなく、大阪に3店舗のほか、神戸、宇都宮、水戸、仙台、新潟等に開店した店舗を含めて合計86店舗に拡大していたこと
(c)甲第12号証の1ないし25(北の家族本店をはじめ各店舗の写真)によれば、「北の家族」の各店舗においては、大きく書された「北の家族」の文字を含む標章を表わした看板を掲げていたこと
(d)甲第14号証の1ないし16(営業許可証のコピー)によれば、請求人は、永年にわたって、店舗の改装、照明、有線放送設備の設置等、店内の設備の改良を図ってきたこと
(e)甲第15号証(駅に設置された看板の写真)によれば、八王子、吉祥寺、町田、高円寺の各駅の外壁や改札口、精算所付近に「北の家族」の文字を含む標章を表した看板を設置していたこと
(f)甲第16号証の1ないし13(昭和63年及び平成2年におけるテレビ放映された広告の写真)によれば、請求人は、本件商標の登録出願前から「北の家族」のテレビコマーシャルを行なっていたこと
(g)甲第17号証の1ないし14(ちらし)によれば、請求人は、平成2年以前から、居酒屋「北の家族」の新店舗の開店案内やパーティ、宴会のメニュー紹介のために多数のちらしを作成・配布していたこと、その他、大相撲の懸賞取組みでの広告(甲第18号証)、演劇のパンフレットでの広告(甲第19号証)、新聞「ワセダスポーツ」での広告(甲第20号証)、TBSラジオでの広告(甲第21号証)を行ってきたこと
(h)甲第22号証(芸友センター・グループ ’60年マスコミ取材&出演)」によれば、請求人は、別冊・アングル、月刊PLAYBOY、週間ポスト、夕刊フジ、週刊現代、non・no、読売新聞、ニッポン放送、TBSラジオ、TBSテレビ、フジテレビ、東京12チャンネル、日本テレビ等々多くの新聞社、雑誌社、テレビ局、ラジオ局から取材を受けたこと、そして、「北の家族」の紹介記事が甲第23号証(昭和60年1月1日発行別冊Angle)、同第24号証(昭和60年1月1日発行PLAYBOY)、同第25号証(昭和60年1月30日付読売新聞)、同第26号証(昭和60年3月1日発行週刊ポスト)、同第27号証、28号証(昭和60年4月及び同5月発行Checkmate)、同第29号証(昭和60年8月20日発行non・no)、同第30号証(平成6年12月15日発行Hanako)、同第31号証(平成9年2月5日発行宝島)、同第32号証(平成5年11月7日付日本経済新聞)に掲載されており、甲第26号証には「村さ来、つぼ八、北の家族など、いまや夜の巷でダントツ人気の・・・」といった記述もされていること
(i)甲第33号証及び第34号証(有価証券報告書)によれば、請求人の宣伝広告費用は、第30期(昭和63年7月〜平成1年6月)には9930万円、本件商標の出願当時にあたる第33期(平成3年7月〜平成4年6月)には8983万円、第34期(平成4年7月〜平成5年6月)には8398万円、本件商標の登録当時にあたる第37期(平成7年7月〜平成8年6月)には6150万円となっていたこと、又、同時期の売上高は、第30期38億円、第33期66億円、第34期70億円、第37期96億円となっており、その後も第38期(平成8年7月〜平成9年6月)には101億円、第39期(平成9年7月〜平成10年6月)には108億円とその売上高を拡大させていたこと、そして、甲第35号証(株式会社アート・ライフの「登録申請のための報告書」)、同第36号証(外食産業総合調査研究センター「外食産業統計資料集」)、同第37号証(経営情報出版社「業種別業界情報97年版」)及び同第38号証(同「98年版」)によれば、業界内での順位も平成3年には10位、平成7年も10位、平成8年は8位となっていたこと
(j)また、各種新聞・雑誌の記事をみるに、甲第42号証(日刊アソシエーツ「東京新宿区人物人材情報リスト1996」)には「48年新宿に居酒屋・北の家族を開店し次々とチェーン店を展開、居酒屋ブームの先陣を切る。・・」との記載があり、同第43号証(昭和51年11月20日発行週刊読売)には「呼び屋の大物、神彰が東京・新宿で『北の家族』という酒場を開いた。・・初日の『北の家族』は、若者たちで押すな押すなの大盛況・・」、同第49号証(平成1年11月9日発行週刊アサヒ芸能)には「北の家族は、時流に乗ってチェーンの輪を広げた。新宿三丁目やさくら通り、銀座五丁目と六丁目、吉祥寺駅前、町田市原町田、高円寺などに次々と支店を出し、現在は21店を数える。・・」、同第50号証(平成3年5月31日付朝日新聞)には「呼び屋としての神の独特の人柄も幸いして、年を追うごとに店を増やした。年商約70億円。店舗数は都内に26ある。・・」、同第52号証(平成4年5月16日発行週刊東洋経済)には「人生二毛作/呼び屋変じて文化の送り手/・・連休前のあの暗い土曜の夜も北の家族銀座並木店(客席172)、同能楽堂店(162)ともに、サラリーマン、OL、学生で大入り満員(三回転)の盛況だった。・・」、同第53号証(平成4年8月9日発行サンデー毎日)には「夢、幻と一瞬の価値を追い続けたわが芸術的人生に悔いなし/アートライフ(北の家族)社長神彰・・」、同第55号証(平成4年9月発行インテリジェンス)には「元祖呼び屋・神彰が居酒屋の親父で復活/・・北の家族は若い芸術家や文化人のたまり場だった。・・」、同第63号証(平成9年5月発行Forbus)には「七転び八起きが身上の芸術家社長神彰/大衆居酒屋チェーン北の家族は、郷土料理のイメージをうまく打ち出し、業界内の競争が激しくなる中で、みごとに生き残った。現在、東京の都心部を中心に48店舗、売上高96億円(96年6月期)に成長した。・・」等々の如く、神彰に纏わる話とともに居酒屋「北の家族」についての記事が掲載されており、上記以外にも、同第40号証(紀伊国屋「大宅壮一文庫雑誌記事索引総目録1988-1995」)、同第41号証(日刊アソシエーツ「週刊誌記事索引81/97」)、同第44号証(昭和56年9月16日付北海道新聞)、同第45号証(昭和58年7月14日発行週刊新潮)、同第46号証(昭和58年7月15発行週刊朝日)、同第47号証(昭和59年9月27日発行週刊文春)、同第48号証(昭和59年12月13日発行週刊文春)、同第51号証(平成3年11月8日発行FOCUS)、同第54号証(平成4年8月11日発行財界)、同第56号証(平成4年9月17日発行ビーイング)、同第57号証(平成4年11月5日発行週刊宝石)、同第58号証(平成5年1月14日発行週刊新潮)、同第59号証(平成5年10月23日発行週刊ダイヤモンド)、同第60号証(平成6年3月22日発行週刊プレイボーイ)、同第61号証(平成6年9月22日発行週刊新潮)、同第62号証(平成6年12月発行プレジデント)、同第70号証(北声14冊の写真)にも同趣旨の記事が掲載されていたこと

(2)以上の事実を総合すれば、「北の家族」の営業表示を使用した請求人の業務に係る居酒屋は、昭和48年に第1号店を新宿に開店以来、本件商標の出願時には既に、東京の新宿、銀座、渋谷等、我が国においても屈指の繁華街において営業を営んでいたばかりでなく、吉祥寺、町田、高円寺、八王子、大宮、千葉、松戸等、東京近県にも店舗を展開し、テレビコマーシャルをはじめ各種媒体を利用した宣伝広告に努めるとともに、新聞・雑誌等にも数多くの取材記事が掲載され、本件商標の出願当時の売上げも66億円ないし70億円、業界内の順位も10位となっていたことが認められ、これらのことからすれば、引用商標は、本件商標の出願時には、少なくとも首都圏ないしは関東地方の需要者の間において、請求人の業務に係る役務「アルコール飲料を主とする飲食物の提供」を表示する商標として広く認識されていたものと認めるのが相当であり、そのことは、本件商標の登録時においても変わらなかったものと認めることができる。
この点について、被請求人は、請求人が提出している週刊誌等は、大半が創業者の個人的なキャラクターに関するものであること、店舗が載っている雑誌等も他の居酒屋と一緒に紹介されるガイドブック的掲載であり、店を個別に周知させる広告宣伝とは言い難いものであること、引用商標は居酒屋として都心及びその郊外のみで使用されるものであり、長野県内では広告も行われておらず無名であって、本件商標の方が長野県内においては実績があり周知であること、地域性が強く、しかも利用者が一部の層に限られる「居酒屋」に係るサービスマークに関する周知性の認定は、流通性のある商品に付するトレードマークよりも広域で知られていることを要件とすべきであることを挙げて反論している。
しかしながら確かに、前記新聞・雑誌に掲載されている記事の多くは、居酒屋「北の家族」についてのみの記事ではなく、創業者である神彰に纏わる記事とともに記述されているが、むしろ、そうであるからこそ、これらの記事を読んだ読者は、神彰の特異な経歴と独特な人柄に興味を持ち、その神彰の発想に基づく居酒屋「北の家族」について関心を惹かれ、神彰とともに居酒屋「北の家族」についても記憶に留めることになるのであり、これらの記事は、居酒屋「北の家族」の印象を高めることはあっても、減殺するものではないというべきである。
また、雑誌等の店舗紹介記事にしても、これらの雑誌に取上げられているのは、有名な店、人気のある店が多く、読者は、記事を見て店を訪れ、あるいは訪れたく思い、それが故に紹介された店は、より一層評判となるものということができる。
そして、甲号証として提出された新聞・雑誌等は、週刊文春、週刊朝日等の一般週刊誌、週刊東洋経済、プレジデント等の経済雑誌、週刊宝石等の娯楽雑誌、FOCUS等の写真誌、読売新聞、朝日新聞、日本経済新聞等の全国紙等々、多岐にわたる分野の極めて多く種類の新聞・雑誌であり、いずれも広く日本全国で販売され読まれているものであって、都心及びその近郊に住む読者に限られるものではない。
また、確かに、被請求人が主張するように、飲食物の提供に係る役務は、特定の店舗地において提供されるという役務の性質上、需要者が一定地域に限定されるのが通常ではあるが、交通手段と通信手段の発達に伴い、現在では、人の動きは特定の狭い範囲に限定されるものではなく、飲食店であっても、雑誌、新聞、テレビ放送等のマスメディアを通じて広く宣伝あるいは紹介され、全国に知れ渡り得るものである。そして、請求人の業務に係る居酒屋は、全国から人の集まる首都東京にあり、しかも、屈指の繁華街を中心に営業が展開されており、前記のとおり、テレビ・新聞・雑誌等において広く宣伝され、紹介されていたものである。
一方、乙第1号証(本件商標に係る特例出願書類の写しに添付されている昭和59年11月17日付須坂新聞の広告記事)によれば、被請求人は、昭和59年11月21日に長野県須坂市の須坂駅前に、被請求人の業務に係る「北の家族」の店舗をオープンしたことが記載されている。また、乙第5号証の1(平成12年11月15日発行「ながのグルメ図鑑」)、同号証の2(2001年3月10日発行「ながの情報MAP2001」)、同号証の3(2002年3月15日発行「ながの情報MAP2002」)、同号証の4(2001年3月5日発行雑誌「Nao」)、同号証の5(2001年6月25日発行月刊誌「Komachi/長野こまち」)、同号証の6(2001年2月25日発行月刊誌「ながの情報」)、同号証の7(2001年11月25日発行「宴会パーティーGUIDE」)、同号証の8(「THE宴会&パーティガイド2001〜2002」)、同号証の9(2001年11月2日発行「信濃毎日新聞」)、同号証の10(2000年12月9日発行「週刊長野」)、同号証の11(発行日不詳のチラシ)によれば、被請求人は、平成12年11月下旬に長野駅前に、「北の家族」の第2店舗をオープンしたことが記載されている。
これら乙各号証によれば、本件商標の出願当時、あるいは登録査定当時において、被請求人が本件商標を使用して営業をしていた店舗は、長野県内の17の市のうちでも人口9番目の比較的小さな都市である須坂市(請求人提出の参考資料1参照)における1店舗のみであり(第2店舗のオープンは本件商標の登録査定後およそ4年半経過後の平成12年11月下旬である。)、しかも、その開店は昭和59年11月21日と歴史も浅く、加えて、本件商標の出願前における該店舗の広告として被請求人が提出しているのは、乙第1号証の須坂新聞に掲載された広告のみであるから(乙第5号証の1ないし11は、いずれも本件商標の登録査定後4年以上経過後に発行されたものである。)、本件商標の出願時ないしは登録査定時において、本件商標が需要者の間に知られていたとしても、それは、須坂市を中心とする極めて限られた一部地域内の需要者の範囲にとどまるものであり、需要者の間に広く知られていたものということはできない。
してみれば、たとえ、請求人の業務に係る居酒屋は東京を中心とする近県にしかないものであったとしても、また、請求人は長野県内において個別的な広告をしていなかったとしても、前記した各事実に照らしてみれば、引用商標は、本件商標の出願時及び登録査定時には、請求人の業務に係る役務「アルコール飲料を主とする飲食物の提供」を表示するものとして、需要者の間に広く認識されていたものというべきであり、引用商標と本件商標との間には、その周知性の程度において著しい隔たりがあったものといわなければならないから、これらの点についての被請求人の主張は採用できない。

(3)商標及び商品の類否について
本件商標は、別掲(1)に示したとおり、中央に「北の家族」の文字を大きく表し、その左側に北海道を略図化した黒塗りの図形を配し、該図形の下部に小さく「北海道直送」の文字を表した構成からなるものであるところ、該図形部分と「北の家族」の文字部分とを常に一体のものとして把握しなければならない特段の理由は見当たらない。そして、その指定役務との関係からみれば、「北海道」の図形は、「北海道直送」の文字と相俟って、店舗において提供する飲食物の食材等の仕入れ先を表したものと容易に理解されるものであるから、識別力がないか極めて弱い部分であるといわなければならない。
そうとすれば、本件商標の要部は、「北の家族」の文字部分にあるものということができる。
一方、請求人の使用に係る引用商標は、別掲(2)に示したとおり、「北の家族」の文字からなるものである。
この点について、被請求人は、請求人の使用商標は「心の居酒屋北の家族」と一体に使用し、あるいは「アイヌ人と思われるマスコットマーク」と一緒に使用している形態も多く、本件商標と引用商標との間に混同を生じるおそれはない旨主張している。
確かに、甲号証として提出された請求人の店舗看板、駅の看板、メニュー等の表示には、「北の家族」の文字の上部にあるいは左側に「心の居酒屋」の文字がやゝ小さく併記されていることを認めることができる。しかしながら、その構成上あるいは語義上、「心の居酒屋」の文字と「北の家族」の文字部分とを常に一体のものとして把握しなければならない特段の理由は見当たらないばかりでなく、前記した各種の新聞・雑誌等の記事においては、専ら「北の家族」の文字のみをもって紹介されていることからみれば、「心の居酒屋」の文字は居酒屋「北の家族」のキャッチフレーズ的な位置付けのものとしてみることができるとしても(甲第28号証、同第57号証にはそのような記載もされている)、請求人の使用に係る商標の要部は、あくまでも「北の家族」の文字部分にあるものといわなければならない。
そうとすれば、本件商標と請求人の使用に係る引用商標とは、いずれも「北の家族」の文字を要部とするものであるから、「キタノカゾク」の称呼、「北の家族」の観念を同じくし、また、その文字の外観をみても、字体・表現態様において酷似しているものである。
したがって、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念において類似するものであり、かつ、本件商標の指定役務と請求人の業務に係る役務とは、互いに類似するものである。

(4)むすび
以上のとおりであるから、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号に違反してされたものであるから、同法第46条第1項の規定により、無効とすべきである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(1)本件商標(登録第3190872号商標)



別掲(2)使用商標


審理終結日 2003-05-06 
結審通知日 2003-05-09 
審決日 2003-05-20 
出願番号 商願平4-277943 
審決分類 T 1 11・ 25- Z (042)
T 1 11・ 271- Z (042)
T 1 11・ 22- Z (042)
最終処分 成立  
前審関与審査官 鈴木 幸一渡邉 健司 
特許庁審判長 滝沢 智夫
特許庁審判官 小林 薫
岩崎 良子
登録日 1996-08-30 
登録番号 商標登録第3190872号(T3190872) 
商標の称呼 ホッカイドーチョクソーキタノカゾク、キタノカゾク 
代理人 下田 茂 
代理人 江藤 剛 
代理人 土橋 秀夫 

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