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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Z21
管理番号 1079882 
審判番号 不服2001-19746 
総通号数 44 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2003-08-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-10-01 
確定日 2003-06-09 
事件の表示 商願2000- 21791拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲に示したとおりの構成よりなり、商品及び役務の区分第21類に属する願書に記載の商品を指定商品として平成12年2月17日に登録出願され、その後、指定商品については、同年7月25日付手続補正書により「お守り」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要旨
原審において、「本願商標は、本願指定商品中「お守り」との関係においては、当該指定商品の一般的な形状を認識させるに止まり、単に当該指定商品の最大公約数的形状を表すに止まるものと認められ、仮にこの形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それはその形状の機能、又は美感をより発揮させるためのものであって、これを本件指定商品中、本件の一般的な表装に照応する当該指定商品に使用しても、単にその商品の、形状、外観を表示したものであると認識するに止まり、何ら自他商品を区別する標識としての機能を果たすことができないものと認めるを相当とする。
したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨を認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)平成8年法律第68号により改正された商標法は、立体的形状若しくは立体的形状と文字、図形、記号等の結合又はこれらと色彩との結合された標章であって、商品又は役務について使用するものを登録する立体商標制度を導入した。
立体商標は、商品若しくは商品の包装又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状も含むものであるが、商品等の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであり、本来的(第一義的)には商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として採択されるものではない。
そして、商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは前記したように、商品等の機能又は美感をより発揮させるために施されたものであって、本来的には、自他商品を識別するための標識として採択されるのではなく、全体としてみた場合、商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者・需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するに止まり、このような商品等の機能又は美感と関わる形状は、多少特異なものであっても、未だ商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないと解するのが相当である。
また、商品等の形状は、同種の商品等にあっては、その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるから、取引上何人もこれを使用する必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。
そうとすれば、商品等の機能又は美感とは関係のない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状をもって構成される商標については、使用をされた結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者・需要者間において、当該形状をもって同種の商品等と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。

(2)立体商標制度を審議した工業所有権審議会の平成7年12月13日付け「商標法等の改正に関する答申」P30においても「3.(1)立体商標制度の導入 需要者が指定商品若しくはその容器又は指定役務の提供の用に供する物の形状そのものの範囲を出ないと認識する形状のみからなる立体商標は登録対象としないことが適当と考えられる。・・・ただし、これらの商標であっても使用の結果識別力が生ずるに至ったものは、現行法第3条第2項に基づき登録が認められることが適当である。」としている。
また、意匠法等により保護される物品の形状等について重ねて又はその権利消滅後商標登録することにより保護することは知的財産制度全体の整合性に不合理な結果を生ずることとなる。

(3)そのため、立体的形状からなる商標であっても、商品又はその包装の形状をもって構成されるものについては、本来的又は直接的には他の知的財産制度で保護されるものであることなど、平面的な商標とは明らかに異なるものであるため、商標法においては、立体商標制度導入に当たって、商標法第4条第1項第18号等が設けられ、また、前掲工業所有権審議会答申でも、「・・・指定商品やその容器の形状そのものの場合には不登録とする運用を厳しくすること・・・」としている(前掲答申P31参照)。

(4)これを本願についてみれば、本願商標は、別掲のとおり、デフォルメされているものの鳥の形状の一種を表したものであるところ、「お守り」を取り扱う業界においては、その取り扱う商品が信仰上の要請によるものであるとともに、携帯性などの利便をも考慮したものや、近時、アクセサリー的な要素も加味されるようになっており、所謂「護符」を守り袋に収納した形態のみならず、例えば、ご神体や、縁由のある動物や器物といったものをモチーフとした形状を採択、使用することが行われているところであって、本願商標を構成する立体物の特徴は、商品等の機能(ご神体、持ち易さ等)や美感(見た目の美しさ)を効果的に際立たせるための範囲内のものというべきであるから、これをその指定商品に使用しても、取引者・需要者は、単に商品「お守り」の形状を表示するにすぎないものとして理解するに止まり、自他商品を識別するための標識とは認識し得ないものと判断するのが相当である。

請求人は、本願商標の立体形状は、原審の認定による「ふくろう」ではなく、請求人と縁由のある「うそ」という鳥であって、請求人の創作に係るものであり、その各部において外観形態上の特異性を有し、それらは機能や美観に由来するものではなく、かつ、他の使用例はないから自他識別力を有している旨を主張している。
しかしながら、本願商標は、前記認定のとおり、モチーフの種類やその形状が特徴的なものであっても、それは商品等の機能又は美感をより発揮させるために施されたものであり、商品等の形状を普通に用いられる方法の範疇で表示する標章のみからなる商標というべきであって、本願商標は、その形状に特徴を持たせたことをもって自他商品の識別力を有するものとは認められないことは(1)で述べたとおりである。
したがって、本願商標は、これをその指定商品に使用した場合には、商品の形状の一形態を表したものと認識されるにとどまるものといわざるを得ず、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当するとした原査定の結論は妥当なものであって、これを取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別 掲
本願商標





審理終結日 2003-04-01 
結審通知日 2003-04-04 
審決日 2003-04-15 
出願番号 商願2000-21791(T2000-21791) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (Z21)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 八木橋 正雄山本 良廣 
特許庁審判長 小林 薫
特許庁審判官 薩摩 純一
岩崎 良子
代理人 阿部 佳基 

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