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審決分類 審判 判定 審理一般(別表) 属する(申立て不成立) 030
管理番号 1078630 
判定請求番号 判定2002-60096 
総通号数 43 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標判定公報 
発行日 2003-07-25 
種別 判定 
2002-11-05 
確定日 2003-05-28 
事件の表示 上記当事者間の登録第4190897号商標の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 商品「精米」に使用するイ号標章は、登録第4190897号商標の商標権の効力の範囲に属しない。
理由 1 本件商標
本件登録第4190897号商標(以下、「本件商標」という。)は、後掲(1)に示すとおりの構成よりなり、平成8年5月31日登録出願、第30類「こしひかり米」を指定商品として、平成10年9月25日に設定登録されたものである。

2 イ号標章
請求人が商品「精米」に使用する標章として示したイ号標章は、後掲(2)に示すとおり、大きく描かれた稲穂の図形に加え、中央部に「こしひかり」の平仮名文字を縦書きにし、その左側に「武川米」の文字を縦書きし、さらに周囲3箇所に「武川米」「こしひかり」の文字を小さく配してなる等の商品「精米」包装袋の表面全体よりなるものである。

3 請求人の主張
請求人は、被請求人が商品「精米」に使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属する、との判定を求め、その理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第14号証を提出した。
(1)判定を求める必要性
請求人は、本件商標の商標権者である(甲第1号証)が、被請求人が商品「精米」に標章「武川米コシヒカリ」の使用をしていること(甲第2号証)について、平成13年6月6日、被請求人に対し、本件商標の商標権を侵害するものである旨の警告を発した(甲第3号証)。
この警告に対し、被請求人より平成13年6月26日にイ号商標の使用が、本件商標の商標権を侵害するものではない旨の回答(甲第4号証)があったので、熟慮の結果平成13年12月4日に、イ号標章の使用が、本件商標の商標権を侵害するものであるとの訴訟を提起した(甲第5号証)。
被請求人はこれに対し、応訴すると同時に平成14年1月22日に判定請求書を提出したので、請求人も平成14年3月22日に答弁書を提出して反論したが、請求人の主張は入れられず『商品「精米」に使用するイ号標章は、本件商標の効力の範囲に属しない。』との判定がなされたものである(甲第6号証)。
請求人は上記判定の結果を受け、鋭意検討した結果、上記判定には請求人の主張中の重要なポイントに対する理由付けが何もなされておらず、したがって、判定には重大な不備があるものと考えるに到ったものである。そこでイ号標章が本件商標の商標権に抵触するものであることを確認し、上記イ号標章を排除するため、本件判定請求が必要であると考えたものである。
(2)本件商標の手続の経緯
出願日 平成8年5月31日
拒絶理由通知 平成10年3月13日
意見書に代える手続補正書提出日 平成10年3月17日
登録査定日 平成10年6月9日
同謄本送達日 平成10年6月18日
(3)本件商標
本件商標の商標権の効力の範囲は、商標見本に記載されたとおりのものである。すなわち、全体として精米の包装袋を表すものと見られる縦長の矩形の枠内のほぼ中央に、上部に「武川米」の文字を横書きし、それと一体的に「こし/ひかり」の文字を2行に縦書きした「武川米こしひかり」の結合部分を配している。また上記枠内の下部には、「米」の漢字を図案化した図形と、その横線内に横書きした「グッドライフ」の片仮名文字との結合部分が配されている。
一般に商標の要部の認定は標章部分の全体を観察し、そこから商標的な使用がなされている箇所を抽出したうえで行われることは自明であり、本件商標においては、
(イ)「武川米」の文字を横書きし、それと一体的に「こし/ひかり」の文字を2行に縦書きした「武川米こしひかり」の結合部分、(ロ)「米」の漢字を図案化した図形と、その横線内に横書きした「グッドライフ」の片仮名文字との結合部分とに、その要部があるものと認められる。
そして本件商標の主要な部分が「武川米こしひかり」の結合商標部分にあることは、その位置が包装袋を表すものと見られる縦長の矩形の枠内のほぼ中央にあり、しかも非常に大きく表示されていることからも明らかである。
そして、「武川米」の文字を横書きし、それと一体的に「こし/ひかり」の文字を2行に縦書きした「武川米こしひかり」の結合部分は、「武川米」の文字と「こし/ひかり」の文字とが不可分一体のものとして表現されており、そこから「武川米こしひかり」の結合商標が生まれていることは何の違和感もなく認定できることである。
したがって、「武川米」の文字を横書きし、それと一体的に「こし/ひかり」の文字を2行に縦書きした「武川米こしひかり」の結合部分からは、「ムカワマイコシヒカリ」の称呼が自然に発生してくるのである。
ちなみに、従来の登録例として甲第7号証ないし同第14号証を示す。
以上のように、単独では顕著性をもたない語が結合された場合に、その結合の状態に無理がなく各語が一体不可分かつ一連に称呼されるものであるときには、各語を分割することなく全体として称呼されるものであることは審査の実務においてさえ認められているのである。なお、上記に例示したものは、請求人が調査した中に含まれていたほんの一例であり、同様の登録例は多数存在するものと考える。
したがって、本件商標「武川米こしひかり」の結合部分からは、「ムカワマイコシヒカリ」の称呼が自然に発生してくることは明らかである。
他方、「グッドライフ」の片仮名文字部分が「米」の漢字を図案化した図形の横線内に埋没した状態であり、しかも「グッドライフ」という文字の意味合いから単に「よい生活を」という程度のキャッチフレーズに過ぎず、商標としてのインパクトに欠けることとも相まって、本件商標中、上記(ロ)の「米」の漢字を図案化した図形と、その横線内に横書きした「グッドライフ」の片仮名文字との結合部分の出所表示機能は極めて弱いものといわざるを得ない。
(4)イ号標章
イ号標章は中央部に「こしひかり」の平仮名文字を縦書きし、その左側に「武川米」の文字を縦書きし、さらに周囲3箇所に「武川米こしひかり」の文字を小さく配してなるものである。そして上記イ号標章は、平成13年4月1日より山梨県一円で現在使用中である。上記構成からなるイ号標章においては、中央部に2行に表された「こしひかり」および「武川米」の文字、そして周囲3箇所に小さく一連に横書きされた「武川米こしひかり」の文字を合わせて考えると、「武川米こしひかり」の構成を要部とするものと考えられる。
(5)本件商標とイ号標章との比較
本件商標は、「武川米こしひかり」の結合部分から、「ムカワマイコシヒカリ」の称呼が自然に発生してくることは明らかである。そして、「米」の漢字を図案化した図形と、その横線内に横書きした「グッドライフ」の片仮名文字との結合部分については、「グッドライフ」の称呼が発生するものと考えられるが、「グッドライフ」という文字の意味合いから単に「よい生活を」という程度のキャッチフレーズに過ぎず、商標としてのインパクトに欠けることとも相まって、本件商標中、「米」の漢字を図案化した図形と、その横線内に横書きした「グッドライフ」の片仮名文字との結合部分は要部とはなり得ない。
他方、イ号標章は中央部に「こしひかり」の平仮名文字を縦書きし、その左側に「武川米」の文字を縦書きし、さらに周囲3箇所に「武川米こしひかり」の文字を小さく配してなるものである。したがって、イ号標章からは「ムカワマイコシヒカリ」の称呼が発生することは明らかである。
(6)イ号標章が本件商標およびこれに類似する商標の範囲に属する理由
本件商標が結合商標であることには異論がないものと考える。その前提のもとに結合商標の類似を考察すると、各語の結合の強弱の程度を考慮して、審査基準においては次のように判断するものとされている。
(イ)形容詞的文字(商品の品質、原料、材料等を表示する文字)を有する結合商標は、原則として、それが付加結合されていない商標と類似する。
(ロ)大小のある文字からなる商標は、原則として、大きさの相違するそれぞれの部分からなる商標と類似する。
(ハ)著しく離れた文字の部分からなる商標は、原則として、離れたそれぞれの部分のみからなる商標と類似する。
(ニ)指定商品について慣用される文字と他の文字との結合した商標は、慣用される文字を除いた部分からなる商標と類似する。
上記について本件商標との関連を検討すると、(イ)の形容詞的文字を含むか否かであるが、「武川産こしひかり」であるとか、「武川村のこしひかり」、あるいは「武川村産こしひかり」という商標を考えるとたしかに前部の「武川産」、「武川村の」、あるいは「武川村産」は形容詞的であるというべきである。しかしながら、「武川米」の語はそれ自体で完結しており、形容詞的であるとはいえない。
次に、本件商標は、(ロ)に該当していると思われるが、大小のある文字からなる商標において、原則として、大きさの相違するそれぞれの部分からなる商標と類似するとはいっても、それはあくまで原則であり、上述のように、その結合の状態に無理がなく各語が一体不可分かつ一連に称呼されるものであるときには、各語を分割することなく全体として称呼されるものであることは審査の例においても明らかであり、本件商標においては適用されるべきでない。すなわち、大小の各語に分割して類似の有無や顕著性を検討することも基本的にはなすべきではないのである。
本件商標は、(ハ)には該当しない。
最後に、本件商標は(ニ)の指定商品について慣用される文字と他の文字を結合した商標であろうか。慣用商標としては「長崎カステラ」や「・・・正宗」が例に挙げられることが多い。請求人は「武川米」を慣用商標とは認めることができないが、仮に上述のような慣用商標を本件商標に当てはめてみると、「長崎カステラ・カステラ」、「・・・正宗・清酒」となり、「コシヒカリ」の語は重複してしまう。したがって、そのような議論はその前提部分から成り立たない。一方、結合商標がその結合の状態に無理がなく、各語が一体不可分かつ一連に称呼されるものであるときは、各語を分割することなく全体として称呼されるものであることは、上述のように審査の例においても明らかであるから、(ニ)にも該当しない。
以上のように、本件商標はそれを構成する「武川米」および「コシヒカリ」の各語が、無理がなく各語が一体不可分かつ一連に称呼されるものであり、各語を分割することなく全体として称呼されるものであることは、審査の例においても明らかであって、「武川米」および「コシヒカリ」の各語に分割して類似の有無や顕著性を検討することも基本的にはなすべきでない。
そこで本件商標とイ号標章と比較するといずれも「ムカワマイコシヒカリ」の称呼が発生するのであるから、両者は標章において類似し、商品「精米」においても共通しているのであるから両者は類似する商標であり、被請求人が商品「精米」に使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属するものである。

4 被請求人の答弁
被請求人は、本件商標と同様、イ号標章中に「武川米」および「コシヒカリ」の文字が表示されていることは認める。
しかしながら、被請求人が平成14年1月22日付で請求した判定請求事件(判定2002-60008)の判定請求書(乙第1号証)及び同請求書に添付した証拠の一部(乙第2号証ないし同第8号証)と、同判定請求事件の判定弁駁書(乙第9号証)の中で繰り返し主張し、且つ同判定請求事件の判定(乙第6号証)の理由にもあるように、「武川米」は、古来より武川の地で産出される米の呼称であり、しかも現在では武川村産の米の通称として認められているものである。一方、「こしひかり」の文字は、水稲品種として登録された「米」の品種名である。したがって、本件商標及びイ号標章を商品「精米」に使用しても、その構成中の「武川米」及び「こしひかり」の文字部分は、その商品の品質を普通に用いられる方法で表示するものであり、自他商品の識別標識としての機能を果たすものではない。
また、請求人は、本件商標を構成する「武川米」及び「こしひかり」の各語が一体不可分かつ一連に称呼されて、「ムカワマイコシヒカリ」の称呼が自然に発生する、と主張する。しかし、本件商標中の「武川米」及び「こしひかり」の文字部分は、両者が一連に称呼されると否とにかかわらず、商品「精米」の品質を普通に用いられる方法で表示するものであることに何ら変わりがなく、自他商品識別標識としての機能を果たすものではない。
さらに、請求人は、「グッドライフ」の片仮名文字部分は、単に「よい生活を」という程度のキャッチフレーズに過ぎないものであるから、本件商標中、「米」の漢字を図案化した図形と、「グッドライフ」の片仮名文字との結合部分は商標の要部とはなり得ず、出所表示機能は極めて弱い、とも主張する。
しかしながら、前述の判定請求書(乙第1号証)の中でも述べたように、「グッドライフ」は、商標登録第2095888号(商公昭63-33439号)として請求人が一定期間所有していた登録商標である(乙第8号証)。また、被請求人が特許庁の電子図書館を利用して商標「グッドライフ」の登録状況を検索したところ、多数の登録例の存在が認められた(乙第10号証)。これらの事実からみても、本件商標中、「米」の漢字を図案化した図形と、「グッドライフ」の片仮名文字との結合部分が本件商標の識別標識としての機能を果たすものであることに何ら疑う余地がない。
そして、イ号標章中には、上記本件商標と同一又は類似する識別標識としての機能を果たす部分は含まれていないから、イ号標章が本件商標の商標権の効力の範囲に属しないものであることは明らかである。

5 当審の判断
商標権の効力は、商標権の本来的な効力である専用権(使用権)にとどまらず、禁止的効力(禁止権)をも含むものであるから、指定商品と同一又は類似する商品についての登録商標と同一又は類似の商標の使用に及ぶものである(商標法第25条第37条)が、同時に商標法第26条第1項各号に掲げるいずれかに該当する商標には、及ばないことが明らかである。
そして、その登録商標の範囲は、願書に記載された商標を基準(同法第27条)とすべきものである。
そこで、本件商標とイ号標章とをみるに、本件商標は、後掲(1)に示すとおり、上段に「武川米」の漢字を横書きし、中央に大きく「こし」及び「ひかり」の各平仮名文字を二行に縦書きし、その下に中央を「グッドライフ」の横書片仮名文字を白抜きで組み合わせた「米」の文字を図案化した図形よりなるものであるのに対し、イ号標章は、後掲(2)に示すとおり、大きく描かれた稲穂の図形に加え、中央部に「こしひかり」の平仮名文字を縦書きにし、その左側に「武川米」の文字を縦書きし、さらに周囲3箇所に「武川米」「こしひかり」の文字を小さく配してなる等の商品「精米」包装袋の表面全体よりなるものである。
そして、本件商標の指定商品「こしひかり米」は、イ号標章の使用に係る商品「精米」と同一又は類似するものである。
ところで、本件商標の構成中「武川米」については、「武川」が「山梨県北西部、北巨摩郡。釜無川に注ぐ大武川、小武川流域の地域名、村名(コンサイス日本地名辞典 三省堂)」であることは、当事者間に争いがなく、また、請求人提出に係る乙第5号証(武川村誌 上巻 昭和61年 武川村 発行)によれば、(1)その883頁「稲作」の項に明治37年の山梨県からの報告を引用して「就中北巨摩郡武川筋ヨリ産出スルモノハ古来武川米ト称シ其ノ品質善美ニシテ」との記載の事実が認められ、(2)その902頁ないし912頁に、「武川米の由来」の記載の事実、及び、昭和45年9月20日発行の武川村広報には、「味で勝負、これが武川米だ」という見出しで自主流通米についての記事が出ていたこと及び釜無川沿いは甲斐駒ヶ岳のふところ深く、石英の水に洗われた砂質壌土で米作りには最適の土地であり、上記武川村広報が発行された昭和45年9月20日頃よりその地で産出された米は「うまい米」として知られ、自主流通米における「武川米」の優位性についての記事がるる紹介されていた各事実が認められ、また、(3)今日でも、特に武川村産の米を「武川米」と称して販売している事実が乙第7号証[武川村の情報ページ(ホームページ)2002年1月18日現在]によっても認められる。
また、「コシヒカリ」「こしひかり」が広く知られた水稲品種名であることは、被請求人提出に係る乙第2号証ないし同第4号証及び同第6号証を徴するまでもなく、明白な事実であるばかりでなく、上記乙第5号証(武川村誌 上巻 昭和61年 武川村 発行)903頁に、昭和44年10月1日の広報には武川村に適する最近の新品種として「コシヒカリ」があげられており、また、上記乙第7号証[武川村の情報ページ(ホームページ)2002年1月18日現在]には、「100%武川村産の『農林48号』と『こしひかり』は、武川村内だけで限定販売されています。」の記事に照らして、上記「武川米」には、該「コシヒカリ」「こしひかり」を含むものであることが認められる。
上記事実を総合すれば、本件商標を構成する「武川米」の文字は、武川地域または武川村で産出される米を指称するものであって、その指定商品の「品質」を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものといい得るものであり、また、同様に「こしひかり」は、本件商標の指定商品の普通名称普通に用いられる方法で表示するにすぎないものである。
そうとすれば、本件商標を構成する「武川米」及び「こしひかり」の文字部分は、自他商品識別標識としての機能を果たし得ないものというべきであるから、これより、イ号標章と比較すべき称呼又は観念は生じないものというべきであり、更に、本件商標の「武川米」「こし」「ひかり」が一連一体に「武川米こしひかり」であると観察してみても、該構成中の「武川米」及び「こしひかり」が上記認定から脱するようなところはない(その結合によって、一体的な識別性を有する別異の観念の生ずる造語を形成するようなものでない。)から、同様に、これより、イ号標章と比較すべき称呼又は観念は生じないものというべきである。
けだし、商標の本質は、自己の業務に係る商品又は役務と他人の業務に係る商品又は役務とを識別するための標識として機能するところにあるのであるから、その出所表示機能すなわち自他商品識別機能を果たし得ない部分には、商標権の本来的効力も禁止的効力も及ばないものと解すべきだからである。
そして、本件商標は、その下段に存する中央を「グッドライフ」の横書片仮名文字を白抜きで組み合わせた「米」の文字を図案化した図形よりなるものであるところを顕著にし、該「グッドライフ」の文字及び図形部分に自他商品識別標識としての機能を果たし得るものと認められるから、本件商標より生ずる称呼は、該文字に照応する「グッドライフ」のみであり、観念については、該文字に相応する「良い生活」のごときものを生ずるにすぎないのに対し、イ号標章は、後掲(2)に示すとおり、大きく描かれた稲穂の図形に加え、中央部に「こしひかり」の平仮名文字を縦書きにし、その左側に「武川米」の文字を縦書きし、さらに周囲3箇所に「武川米」「こしひかり」の文字を小さく配してなる等のものであるから、イ号標章には、本件商標より生ずる称呼及び観念を比較すべきところがない。
また、本件商標とイ号標章とは、外観上相紛れるところを見いだすことができない。
してみれば、本件商標の指定商品「こしひかり米」とイ号標章の使用に係る商品「精米」とが同一又は類似するものであるとしても、本件商標とイ号標章は、その外観、称呼及び観念のいずれよりみても、何ら相紛れるおそれのない非類似のものであるから、イ号標章の使用は、本件商標の本来的な効力である専用権(使用権)はもとより、禁止的効力(禁止権)の範囲にも属しないものといわざるを得ない。
次に、イ号標章は、後掲(2)に示すとおり、大きく描かれた稲穂の図形に加え、中央部に「こしひかり」の平仮名文字を縦書きし、その左側に「武川米」の文字を縦書きし、さらに、周囲3箇所に「武川米」「こしひかり」の文字を小さく配してなる等のものであるところ、その使用に係る商品「精米」については、上記のとおり、「武川米」が商品の「品質」を表すにすぎないものであり、同じく、「こしひかり」が商品の「品質」を表すにすぎないものであるから、本件商標の構成中に「武川米」「こしひかり」の文字が存するとしても、イ号標章の構成中の各「武川米」及び「こしひかり」は、商品の「品質」を普通に用いられる方法で表示する商標であると認められ、これらは、商標法第26条第1項第2号に該当するものというべきである。
その他、イ号標章には、本件商標の効力が及ぶとみるべき点は、存在しない。
したがって、イ号標章には、本件商標の商標権の効力が及ばないものといわざるを得ない。
よって、結論のとおり判定する。
別掲 (1)本件商標


(2)イ号標章


判定日 2003-05-16 
出願番号 商願平8-60236 
審決分類 T 1 2・ 0- YB (030)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 宮川 久成小林 薫 
特許庁審判長 田辺 秀三
特許庁審判官 柳原 雪身
井出 英一郎
登録日 1998-09-25 
登録番号 商標登録第4190897号(T4190897) 
商標の称呼 ムカワマイコシヒカリ、グッドライフ、ムカワ 
代理人 中込 博 
代理人 堀内 寿人 
代理人 土橋 博司 
代理人 石川 恵 
代理人 浅川 哲 

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