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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z03
管理番号 1078494 
審判番号 取消2001-31246 
総通号数 43 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2003-07-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2001-11-07 
確定日 2003-05-08 
事件の表示 上記当事者間の登録第4207634号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4207634号商標の指定商品中「せっけん類」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4207634号商標(以下、「本件商標」という。)は、「DO-ON」の欧文字と「ドゥオン」の片仮名文字とを上下二段に横書きしてなり、平成9年8月8日に登録出願、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,かつら装着用接着剤,つけづめ,つけまつ毛、つけまつ毛用接着剤,歯磨き、家庭用帯電防止剤,つや出し剤,つや出し紙」を指定商品として、同10年11月6日に設定の登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

第2 請求人の主張
1 請求の趣旨
結論同旨の審決を求める。
2 請求の理由
本件商標は、その指定商品中「せっけん類」について、商標権者、専用使用権者及び通常使用権者のいずれによっても本件審判請求前3年間わが国において使用されていないから、本件商標の登録は、上記商品について、商標法第50条の規定により取消されるべきである。
3 弁駁の理由
被請求人は、平成14年1月21日付提出の答弁書において、乙各号証を提出して、「被請求人は、審判請求前3年以内に、商標『DOーON HAUT REFRESHER』と『ドゥオン オ リフレッシャ』を商品『シャンプー』に使用しているので、本件審判は成り立たない。」と主張する。
しかしながら、以下述べるように、被請求人によって提出された上記乙各号証によっては、「被請求人によって、本件審判請求の予告登録(平成13年12月5日)前3年以内に本件商標が使用されていた」事実は証明されていない。
(1)乙第1号証の検討
本号証は、シャンプーの容器と包装箱の写真(本号証の2及び3)及び撮影データ(本号証の1)であるが、商品が実際に販売されたことは証明されていない。したがって、本号証は、本件商標が使用されたことを証明していない。なお、本号証の示す使用商標「DOーON HAUT REFRESHER」と「ドゥオン オ リフレッシャ」の中の「HAUT REFRESHER」と「オ リフレッシャ」の各語が、需要者によって、常に商品の品質表示又は普通名称として明確に認識されているとはいえないから、上記使用商標中の「DOーON」と「ドゥオン」が各商標の要部とはいい難い。したがって、商標の上記使用態様では、「DOーON/ドゥオン」のみの構成からなる本件商標を使用しているとはいえない。
(2)乙第2号証の検討
本号証は、被請求人の商品の1998年(平成10年)の総合カタログであるが、このカタログ中には、本件商標は表示されていない。したがって、本号証も、本件商標が使用されたことを証明していない。また、本号証の商品カタログ中には、「シャンプー」の容器及び包装箱の正面だけが表示されているから、この「シャンプー」の容器の背面及び包装箱の側面が第1号証の写真に表示されている「シャンプー」の容器の背面及び包装箱の側面と同一であるかどうかは明らかではない。むしろ、第1号証の2の写真中の当該容器及び包装箱の正面の下方の表示が「ピロクトンオラミン配合」であるのに対し、上記商品カタログ中の表示は「水溶性ヒノキチオール…」となっていることよりすれば、第1号証の2及び3の写真の容器及び包装箱と本号証中に表示されている容器及び包装箱とは異なるものであると考えられる。それゆえ、乙第2号証の商品カタログは、同第1号証の写真の容器及び包装箱に入った「シャンプー」の市場流通を証明するものではない。さらに、上記商品カタログが1998年(平成10年)のものであるからといって、このカタログに表示された商品が、その年の12月まで実際に市場流通していたとはいえない。ちなみに、上記商品カタログの最終頁の主要商品リストには「平成10年3月1日現在」の表示があり、このカタログの商品に関する情報は、平成10年3月1日、すなわち、本件審判請求の予告登録(平成13年12月5日)前3年以前のものである。それゆえ、乙第3号証の商品カタログは、本件審判請求の予告登録(平成13年12月5日)前3年以内に、すなわち、平成10年12月5日から平成13年12月5日までの間に、本件商標が使用されていたことを証明していない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求める、と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし同第6号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 答弁の理由
被請求人は、商品「シャンプー」に 「DOーON HAUT REFRESHER」と「ドゥオン オ リフレッシャ」を使用していた(包装用パッケージの写真参照)。商標の要部は、「DOーON」「ドゥオン」であり、本件商標と同一性がある。
撮影年月日及び撮影者は次のとおり。
撮影年月日 平成13年8月23日
住所 神戸市中央区熊内橋通3丁目3番25号株式会社加美乃素本舗内
撮影者 川俣幸三
焼き増しの年月日は現時点である。
次にカタログから最終使用年月日は、1998年12月であることが判る。当時は、出荷された製品が市場に流通していたこと明白である。1998年12月は、本審判の請求日の2001年11月より、3年以内である。
2 第二答弁の理由
請求人提出の平成14年5月1日付け弁駁書に対し、次の通り答弁する。
(1)請求人は、被請求人が提出した証拠によっては、本件商標が使用されていた事実は証明されないと主張している。
しかしながら、乙第1号証、同第2号証との関連は次の通りであって、本件商標は商品「シャンプー」について使用されていることは明らかである。
以下これを説明する。
(2)乙第1号証と同第2号証について
乙第1号証の2〜3に示す「薬用加美乃素シャンプー」(以下「当該商品」という。)の包装用箱(パッケージ)は、光印刷株式会社より継続して納品され(乙第3号証)、このパッケージにシャンプー容器を包装して販売されていたものである(乙第4号証)。そして、乙第1号証に示す当該商品の容器及び包装箱の正面下方にある表示が「ピロクトンオラミン」配合であるのに対し、乙第2号証の総合カタログ掲載の商品(写真)のそれらが「水溶性ヒノキチオール」と相違していることについては、以下の事情によるものである。すなわち、昭和50年11月28日付けの医薬部外品製造承認書(乙第5号証の1)に示すように、被請求人は、「加美乃素薬用シャンプー」の名称で、成分として『水溶性ヒノキチオール』を配合したシャンプーについて承認を得た。したがって、その後、平成6年6月10日付けの医薬部外品製造承認書(乙第6号証の1)に示すように、被請求人は、「薬用加美乃素シャンプー」の名称で、成分として「ピロクトンオラミン」を配合した当該商品について承認を得た。当該商品は、先の「シャンプー」の改良品として販売されたもので、その容器及び包装箱のデザインを踏襲していたため、平成6年の次年以降においても総合カタログ(乙第2号証)掲載の商品(写真)には、「水溶性ヒノキチオール」の記載が入ったまま印刷を継続してしまったものである。平成7年以降の商品用パッケージには乙第1号証に示すものである。当該商品用パッケージの右側面には「DOーON HAUT REFRESHER」、左側面には、「ドゥオン オ リフレッシャ」の記載がある。請求人は、「使用商標『DOーON HAUT REFRESHER』と『ドゥオン オ リフレッシャ』の中の『HAUT REFRESHER』と『オ リフレッシャ』の各語が、需要者によって、常に商品の品質表示又は普通名称として明確に認識されているとは言えない」と主張している。しかしながら、「DOーON/ドゥオン」は、上記使用商標中の語頭部に位置することから、一般に需要者から強く認識されるものと思料する。したがって、「DOーON」及び「ドゥオン」は、上記使用商標の要部であり、本件審判請求の予告登録(平成13年12月5日)前3年以内にあたる平成12年12月22日及び平成13年6月11日に販売され、本件商標が、当該指定商品について使用されたことが明らかである。
3 なお、請求人は、乙2号証の総合カタログは、「1998年(平成10年)のものであるからといって、このカタログに表示された商品が、その年の12月まで実際に市場流通していた」ことは証明されず、カタログ最終頁の主要商品リストに『平成10年3月1日現在』の表示があることから、「このカタログの商品に関する情報は、平成10年3月1日、すなわち、本件審判請求の予告登録(平成13年12月5日)前3年以前のものである」と主張している。
しかしながら、被請求人の総合カタログは、代理店、小売店で1年間は保管することとなり、その間に掲載商品の注文があれば販売する体制にある。

第5 当審の判断
商標法第50条の商標登録の取消審判にあっては、その登録商標の使用をしていないことについて正当な理由がある場合を除いて、その審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明しない限り、商標権者は、その指定商品又は指定役務に係る商標登録の取消しを免れないとされている。
そこで、本件審判において、被請求人より提出された乙第1号証ないし同第6号証(枝番号を含む。)について検討する。
乙第1号証の2及び3は、「シャンプー」の容器及び包装箱の写真、同第3号証は、当該「包装用箱」の納品書及び同第4号証は、当該「シャンプー」の販売証明書である。
しかしながら、「包装箱」の側面に本件商標に相応する文字の表示があることは、乙第1号証の3によって、また、使用商品が取引者に販売されたことは、同第4号証によって認めることができたとしても、どの時期に、どの程度の数量の使用商品を販売したのかなど、商標の使用の事実を認定するのに必要な具体的な取引状況を示すものは、一切見いだすことができない。 つぎに、 乙第2号証についてみるに、本号証は、被請求人の作成に係る製品カタログと認められるところ、本号証中のいずれにも、本件商標又は本件商標と社会通念上同一と認められる商標の表示を見いだすことができない。
また、乙第2号証の5頁(表紙を含む。以下同じ。)の上段左から三番目の「包装用箱」正面には、「水溶性ヒノキオール」と表示され、同第1号証、同第3号証及び同4号証の「包装用箱」正面には、「ピロクトンオラミン」と表示されていることなど両「包装用箱」の表示に相違があることから、証拠中の両「包装用箱」が、同一のものであると認めることはできない。この点に関し、被請求人は、「平成7年以降の商品のパッケージは、乙第1号証に示すものである。」旨主張しているが、それを証するべく提出された、書面乙第5号証及び同第6号証は、単に、医薬部外品の申請書及び承認書にすぎないものであるから、被請求人の主張を証するのには足りない。
また、本号証の8頁中央右端に「平成10年3月現在」の記載があることから、本号証が、当該年、当該月における被請求人の商品カタログであることは認められるとしても、本号証に係るカタログが、どのような時期に、誰に対して、どのような方法で、どの程度配布されたかなど、具体的な取扱いについて何ら証拠の提出がない。この点に関し、被請求人は、「被請求人の総合カタログは、代理店、小売店で一年間保存することとなり、その間に掲載商品の注文があれば販売する体制にある。」旨主張しているが、それを証する書面の提出もない。
そうとすると、被請求人提出の乙各号証をもってしては、被請求人が、本件審判請求の登録前3年以内に本件審判請求に係る指定商品について、本件商標を使用していたことを証明したものと認めることができないものであり、また、使用していないことについて正当な理由があることを明らかにしていないものである。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その指定商品中の「せっけん類」についての登録を取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2002-09-27 
結審通知日 2002-10-02 
審決日 2002-10-17 
出願番号 商願平9-147212 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (Z03)
最終処分 成立  
前審関与審査官 八木橋 正雄 
特許庁審判長 三浦 芳夫
特許庁審判官 瀧本 佐代子
井岡 賢一
登録日 1998-11-06 
登録番号 商標登録第4207634号(T4207634) 
商標の称呼 ドゥオン、ドゥーオン、ドゥーン 
代理人 館石 光雄 
代理人 大島 厚 
代理人 熊倉 禎男 
代理人 村越 祐輔 
代理人 松尾 和子 
代理人 萼 経夫 
代理人 中村 稔 

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