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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない Z19
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Z19
管理番号 1078347 
審判番号 不服2001-2356 
総通号数 43 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2003-07-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-02-19 
確定日 2003-05-07 
事件の表示 平成11年商標登録願第114388号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「ECOSHIKKUI」の文字よりなり、第19類「しっくい,リノリューム製建築専用材料,プラスチック製建築専用材料,合成建築専用材料,アスファルト及びアスファルト製の建築用又は構築用の専用材料,ゴム製の建築用又は構築用の専用材料,石灰製の建築用又は構築用の専用材料,石こう製の建築用又は構築用の専用材料,繊維製の落石防止網,建築用又は構築用の非金属鉱物,陶磁製建築専用材料・れんが及び耐火物,建造物組立てセット(金属製のものを除く。),セメント及びその製品,木材,石材,建築用ガラス,建具(金属製のものを除く。),無機繊維の板及び粉(石綿製のものを除く。),石こうの板,鉱さい,タール類及びピッチ類,可搬式家庭用温室(金属製のものを除く。),人工魚礁(金属製のものを除く。),セメント製品製造用型枠(金属製のものを除く。),吹付け塗装用ブース(金属製のものを除く。),養鶏用かご(金属製のものを除く。),区画表示帯,土砂崩壊防止用植生板,窓口風防通話板,航路標識(金属製又は発光式のものを除く。),道路標識(金属製又は発光式のものを除く。),石製液体貯蔵槽,石製工業用水槽,石製家庭用水槽,送水管用バルブ(金属製又はプラスチック製のものを除く。),ビット及びボラード(金属製のものを除く。),石製彫刻,コンクリート製彫刻,大理石製彫刻,石製郵便受け,灯ろう,飛び込み台(金属製のものを除く。),墓標及び墓碑用銘板(金属製のものを除く。)」を指定商品として、平成11年12月13日に登録出願され、その後、同13年5月30日付け手続補正書により「しっくい」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、広義には環境保護を意味する語の『ECOLOGY』の略語として一般に使用されている『ECO』の文字と、その指定商品との関係から『しっくい』をローマ字表記したものと認識される『SHIKKUI』の文字とを『ECOSHIKKUI』と一連に書してなりますが、これをその指定商品中、しっくいに使用するときは、当該商品が、単に環境保護に即したしっくいであるということ、すなわち商品の品質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を出願を拒絶したものである。

3 当審の判断
本願商標は、前記のとおり「ECO」と「SHIKKUI」の2語を結合したものと容易に理解、認識させる「ECOSHIKKUI」の文字により構成されるものであって、その指定商品を、「しっくい」と補正されたものである。
そして、本願商標は、前記1のとおり、その指定商品が補正された結果、商品の品質について誤認を生じさせるおそれはなくなったものと認められるから、商標法第4条第1項第16号に該当するとした拒絶の理由は解消した。
ところで、構成中の「ECO」の文字部分は、「環境保護、生態学」等を意味する「ecology」の省略形として、また、「SHIKKUI」の文字部分は、「日本独特の塗壁材料。消石灰にふのり・苦汁にがりなどを加え、これに糸屑・粘土ねんどなどを配合して練ったもの。」を意味する「しっくい(漆喰)」((株)岩波書店発行 広辞苑第5版)の語を欧文字表記で表したものと理解し、把握されるものである。
そして、該構成中の「ECO」の文字と他の語が結合した場合には、例えば、「ECO商品」、「ECOマーク」、「ECO住宅」の如く「環境に優しい」「環境を汚さない」等の意味合いで、他の語に冠して日常一般に環境負荷の少ない商品であることを表すものとして採択、使用されていることも周知の事実である。
このような商品は、本願指定商品の「しっくい」を取り扱う建築の分野においても、新素材は、人に不健康で危険な環境を作り出すということで、住宅の複合汚染(アトピー性皮膚炎、シックハウス症候群等)が大きな社会問題となっており、日本の伝統的な建築物が見直されてきている近年、環境に悪影響を及ぼすことなく、不燃性、ホルムアルデヒド吸着・分解抗菌性等の有害化学物質を発生させることもない保湿性、調湿性、長期的な堅牢性といった長所を兼ね備え、室内環境に不可欠な自然素材であるとして住宅の壁材として用いられるしっくい(漆喰)を用いた住宅が見受けられる実情にある。
このことは、例えば、各種新聞に、次のような紹介記事とともに掲載されていることからも窺い知ることができる。
(1)「西新宿に輸入住宅/モデルハウス開設 住友不動産2001.09.04 住宅新報社」の見出しのもと「住友不動産は9月1日、(中略)モデルハウスを開設した。ツーバイフォー工法の2階建てで、1階の天井高を2・7メートルとしたゆったり空間を提案。外壁は漆喰(しっくい)やレンガ調タイル、内部の床、建具にはムク材、壁・天井にエコクロスといったエコロジー仕様とした。」との記載。
(2)「健康にやさしい住まいづくりを県が高知市でセミナー1997.09.17 高知新聞社」の見出しのもと「住宅セミナー『健康にやさしい住まいづくり』が十六日、高知市朝倉戊の県立ふくし交流プラザで開かれ、東京在住の建築技師、高橋元さんらが講演。約百人の参加者が心身に快適な住宅づくりについて理解を深めた。県森林局の主催。『エコロジー建築について』と題する講演で高橋さんは、ホルムアルデヒドなど建築資材に含まれる有害物質で健康を害する『シックハウス症候群』が社会問題化していることを指摘。有効な対策として『ムク木材、漆喰(しっくい)、和紙など自然の素材を生かした住まいづくりで健康な生活を』と呼び掛けた。」等の記載のように多数使用している事実がある。
上記の事実と取引の実情よりすると、「ECOSHIKKUI」の文字よりなる本願商標を、その指定商品「しっくい」について使用しても、これに接する取引者、需要者は、「居住環境に優しいしっくい(漆喰)」を表したものと容易に理解し、自他商品を識別する標識たる商標とは認識し得ないものとみるのが相当である。
してみると、本願商標は、これをその指定商品にしようしても、単にその商品の品質、機能を表示するにすぎないものであるといわざるを得ない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2003-02-24 
結審通知日 2003-02-28 
審決日 2003-03-13 
出願番号 商願平11-114388 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (Z19)
T 1 8・ 272- Z (Z19)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 藤平 良二 
特許庁審判長 田辺 秀三
特許庁審判官 前山 るり子
小林 和男
商標の称呼 エコシックイ、エコ、イイシイオオ、イーシーオー 
代理人 野中 誠一 
代理人 福島 三雄 

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