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審決分類 審判 全部無効 称呼類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z42
管理番号 1078184 
審判番号 無効2001-35162 
総通号数 43 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2003-07-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2001-04-12 
確定日 2003-05-11 
事件の表示 上記当事者間の登録第4445889号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4445889号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 1.本件商標
本件登録第4445889号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)に表示したとおりの構成よりなり、平成11年12月14日に登録出願、第42類「飲食物の提供」を指定役務として、同13年1月19日に設定登録されたものである。

2.引用商標
(1)請求人が本件商標の登録の無効に引用した登録第4439044号商標(以下「引用商標A」という。)は、別掲(2)に表示したとおりの構成よりなり、平成11年8月30日に登録出願、第42類「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,飲食物の提供,美容,理容,入浴施設の提供,写真の撮影,オフセット印刷,グラビア印刷,スクリーン印刷,石版印刷,凸版印刷,気象情報の提供,求人情報の提供,結婚又は交際を希望する者への異性の紹介,婚礼(結婚披露宴を含む。)のための施設の提供,葬儀の執行,墓地又は納骨堂の提供,一般廃棄物の収集及び分別,庭園又は花壇の手入れ,庭園樹の植樹,肥料の散布,雑草の防除,有害動物の防除(農業・園芸又は林業に関するものに限る),建築物の設計,測量,地質の調査,機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらにより構成される設備の設計,デザインの考案,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究,建築又は都市計画に関する研究,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,土木に関する試験又は研究,農業・畜産又は水産に関する試験・検査又は研究,機械器具に関する試験又は研究,著作権の利用に関する契約の代理又は媒介,通訳,翻訳,施設の警備,身辺の警備,個人の身元又は行動に関する調査,あん摩・マッサージ及び指圧,きゅう,柔道整復,はり,医業,医療情報の提供,健康診断,歯科医業,調剤,栄養の指導,家畜の診療,保育所における乳幼児の保育,老人の養護,編み機の貸与,ミシンの貸与,衣服の貸与,植木の貸与,カーテンの貸与,家具の貸与,壁掛けの貸与,敷物の貸与,会議室の貸与,展示施設の貸与,カメラの貸与,光学機械器具の貸与,漁業用機械器具の貸与,鉱山機械器具の貸与,計測器の貸与,コンバインの貸与,祭壇の貸与,自動販売機の貸与,芝刈機の貸与,火災報知機の貸与,消火器の貸与,タオルの貸与,暖冷房装置の貸与,超音波診断装置の貸与,加熱器の貸与,調理台の貸与,流し台の貸与,凸版印刷機の貸与,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与,美容院用又は理髪店用の機械器具の貸与,布団の貸与,理化学機械器具の貸与,ルームクーラーの貸与」を指定役務として、同12年12月8日に設定登録されたものである。
(2)同じく、登録第2700756号商標(以下「引用商標B」という。)は、別掲(3)に表示したとおりの構成よりなり、平成4年3月31日に登録出願、第26類「印刷物、書画、彫刻、写真、これらの附属品」を指定商品として、同6年12月22日に設定登録されたものである。
(3)同じく、登録第2700757号商標(以下「引用商標C」という。)は、別掲(4)に表示したとおりの構成よりなり、平成4年3月31日に登録出願、第26類「印刷物、書画、彫刻、写真、これらの附属品」を指定商品として、同6年12月22日に設定登録されたものである。
(4)同じく、登録第1712234号商標(以下「引用商標D」という。)は、別掲(5)に表示したとおりの構成よりなり、昭和56年11月24日に登録出願、第26類「雑誌」を指定商品として、同59年9月26日に設定登録、その後、同7年2月27日に商標権存続期間の更新の登録がされたものである。
(5)同じく、登録第2240819号商標(以下「引用商標E」という。)は、別掲(6)に表示したとおりの構成よりなり、昭和62年11月13日に登録出願、第26類「雑誌、新聞」を指定商品として、平成2年6月28日に設定登録、その後、同12年2月8日に商標権存続期間の更新の登録がされたものである。

3.請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第85号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号該当について
(ア)引用商標Aは、本件商標との関係においては、先願・先登録であり、本件商標と引用商標Aの指定役務は同一又は類似である。
引用商標Aは、請求人の被承継人である「コンデ・ナスト・パブリケーションズ・インコーポレーテッド」(以下「コンデ・ナスト社」という。)がアメリカ合衆国において、1957(昭和32)年に創刊した「男性用ファッション雑誌」、あるいは、「男性用ライフスタイル雑誌」のタイトルと同一性を有するものである。
当該「男性用ライフスタイル雑誌」は、当初から、「GENTLEMEN’S QUARTERLY」の文字を用いており、また、その頭文字の2字をとってタイトルを「GQ」としたものである(以下「GQ誌」という。)。
当該「GQ誌」は、前記コンデ・ナスト社の世界的に著名なファッション雑誌「VOGUE」が主として女性を対象としているのに対し、男性向けのファッションやライフスタイルのほとんどの分野に関する内容を盛り込んだ雑誌であり、アメリカにおいて、1957(昭和32)年に創刊されて以来、44年間もの長きに亘り継続発行され、現在に至っているものである。
したがって、「GQ」の2文字は、単に「G」と「Q」の2文字からなるものであって識別性を欠くというべきものではなく、「GENTLEMEN’S QUARTERLY」の文字(甲第7号証の1ないし21参照)よりなる当該雑誌のタイトル又はその略称としても採択使用され、取引者,需要者間においてもそのように認識されているものである。
この点については、アメリカ版「GQ誌」の甲第7号証の1ないし21(特に、その背表紙に注目されたい。)をはじめとし、1985(昭和60)年11月20日発行の「気になるアメリカ雑誌」(加賀山 弘著)の170頁ないし179頁(甲第8号証)の説明によっても明らかである。
すなわち、当初の表紙のタイトルには「GQ」の2文字があり、そのほかに、背表紙には、「GENTLEMEN’S QUARTERLY」の文字が併記されていたが、その後、一時的に表紙のタイトルにも「GENTLEMEN’S QUARTERLY」の文字を小さく表示して使用し、さらに、当該雑誌が有名になるにつれ(すなわち、著名性を獲得するにしたがって、)その表紙には、「GQ」の2文字だけが使用されるようになっている。 このことから、「GQ」の文字が「GENTLEMEN’S QUARTERLY」の著名な略称となっていることは明らかである(甲第8号証の171頁、同173頁左上の写真参照)。
このような著名な略称は、例えば、「GE」といえば、一般人がGeneral Electric社を想起し、また、「GM」からは、General Motor社を、さらに、「MS」からはMicro Soft社を想起することなどからしても、広く一般に浸透し認識されているものである。
(イ)我が国における「GQ」標章の使用開始時期
1957(昭和32)年に創刊の「GQ誌」、すなわち、アメリカ「GQ誌」は、我が国へは「日本洋書販売配給株式会社」(以下「洋販社」という。)を通じて輸入・販売され、現在に至っている。当初は、「Gentlemen’s Quarterly」のタイトルであったが、当該雑誌のタイトルとしては、背表紙における「Gentlemen’s Quarterly」のほかに、表紙における「GQ」のどちらも用いられている。
1961(昭和36)年から、「GQ誌」が我が国へ輸入・販売されていた事実は、甲第9号証の1ないし20[洋販社の外国雑誌カタログ等]から窺える。注目すべきは、日本においても、1969(昭和45)年頃から洋販(YOHAN)社が既に「G.Q.」という頭文字をタイトルの略として使用していたことである。
したがって、取引者,需要者(読者)も「G.Q.」、あるいは、「GQ」として認識していた事実が存在する。
(ウ)引用商標Aの構成について
引用商標Aは、「GQ」の文字の外側に1本の細線を、内側に2本の細線をそれぞれ施しデザイン化したものからなっている。ただし、「G」の文字の一部には外側にも2本線が施されている。
これに対し、本件商標は、上段に小さい文字で「SOUL CAFE」を、下段にそれの10倍程の大きさで「GQ」の2文字を二段に横書きした構成よりなるものである。
そして、当該各文字には引用商標Aと同様に、外側と内側に細線が施され、デザイン化されている。
しかも、本件商標のように二段に横書きした構成よりなる商標の場合には、一体不可分の構成とはいえないから、各段のそれぞれから、外観,称呼,観念が独自に生ずる。
引用商標Aの要部は、デザイン化した文字からなる「GQ」であるのに対し、本件商標は、その指定役務が「飲食物の提供」を含んでいることから、その点において、「SOUL CAFE」の文字部分は識別力が極めて弱く、当該商標の要部は、その10倍程の大きさよりなる「GQ」の2文字の部分にあるといえる。
この事実に基づき両者の要部を対比観察した場合、以下の点において、両者は同一又は類似である。
(a)外観について
引用商標Aと本件商標は、「GQ」の文字部分(すなわち、要部)の観察をするときに際立った差異がないので、外観上同一の範囲内にあるとみるべきである。
(b)称呼について
両者は、要部観察した場合には、ともに「ジイキュー」、あるいは、「ジイキュウ」の称呼を生ずるから、称呼において同一である。
(c)観念について
引用商標Aは、前記したとおり、「GENTLEMEN’S QUARTERLY」の頭文字の「GQ」であるから、「GQ誌」を知っている者であれば、「GQ誌」を想起することは勿論、その内容である男性用の何等かの役務を想起するものである。
これに対し、本件商標は、上段にある「SOUL CAFE」の文字とその指定役務中の「カフェ-飲物等の提供」との関連よりして、「GQ」の2文字から、飲物・食べ物を提供する店舗名を観念するものである。
以上を総合すると、引用商標Aと本件商標は、商標の要部である「GQ」の点において、外観及び称呼が同一である。
仮に「SOUL CAFE」を加えて対比したとしても、外観と称呼という商標の類否判断における根本的な部分が共通する以上、両者は類似する商標というべきである。
よって、本件商標は、明らかに商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものであるから、その登録は無効とされるべきである。
(3)商標法第4条第1項第15号該当について
(ア)請求人の発行に係る「GQ誌」は、アメリカ合衆国で男性用ファッション雑誌、あるいは、男性用ライフスタイル雑誌として1957(昭和32)年に創刊されて以来、44年もの長きに亘り継続的に発行され、現在はアメリカ以外の世界各国においても発行されている世界的に著名な男性用雑誌のタイトルである。
この雑誌の内容は、男性用のファッションをはじめとし、酒、食べ物、車、ダンス、その他の男性の嗜好を中心とした男性用のライフスタイル雑誌である。
(イ)引用商標Bを付した雑誌、すなわち、「GQ誌」の世界的著名性を客観的に立証する証拠として、請求人は、アメリカ合衆国(北米)をはじめ、日本、ヨーロッパ・北欧、韓国を含むアジア諸国、中近東、南米諸国、アフリカ諸国、オーストラリア等、実に100ヶ国を超える諸外国に登録され、あるいは、出願されている事実を甲第10号証の1ないし101として提出する。
これだけ膨大量の登録や出願がされているという事実こそ「GQ誌」が、いかに世界的な広い範囲で主として男性諸氏によって愛読されているかを示す確実な証拠である。
換言すれば、このように世界101ヶ国に登録及び登録出願しているという事実は、引用商標Bを付した「GQ誌」が、商標の登録出願から登録,更新手続を通じて、これだけの件数(196件)を確保し、膨大な費用をかけるだけの価値ある商標であることを物語っている。だからこそ、商標権の所有者は、これらの商標維持のために延々たる企業努力を行っている。
請求人は、甲第10号証を丁寧に検討するだけでも、商品「ファッションを含む男性用のライフスタイル雑誌」である「GQ誌」の著名性(少なくともアメリカ合衆国における登録商標の著名性)の存在を十分に納得し得るものと確信する。
(ウ)本件商標の出願前より、引用商標Bは、少なくともアメリカ合衆国において確実に著名性を獲得し、現在に至っていることについて
米国における「GQ誌」については、コンデ・ナスト社が米国のエスクワイア社より「GENTLEMEN’S QUARTERLY」(GQ)を買収し、同社が大々的に出版業務を拡大し、当該「GQ誌」を発刊した。
後にアドバンス・マガジン・パブリッシヤーズ・インコーポレイテッドが上記コンデ・ナスト社を買収し、その一部門にした関係から、現在、米国においては、アドバンス社の一部門であるコンデ・ナスト出版部門が「GQ誌」を発行している。
(発行部数)
アメリカにおける「GQ誌」の発行部数は、月80万部以上となっており、アメリカにおける雑誌発行部数では最大規模となっており、それは現在も維持されている。

4.被請求人の答弁
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、請求人の主張について権利の濫用にあたり、また、少なくとも、商標が類似しない旨述べている。

5.当審の判断
本件商標は、別掲(1)に示すとおり、小書きした「SOUL CAFE」の欧文字を上段に、一方、極めて大きく、かつ、肉太に表示した「GQ」の欧文字を下段に、それぞれ横書きし、各文字の内側を白い細線をもって縁取りし、デザイン化した構成よりなるものである。
しかるところ、本件商標中の「GQ」の文字は、上記した構成態様よりして、独立して自他役務識別標識としての機能を果たし得るものと判断するのが相当である。
そうすると、本件商標からは、その構成文字に相応した「ソウルカフェジーキュー」という一連の称呼のほかに、「ジーキュー」の称呼をも生ずるというのが相当である。
他方、引用商標Aは、「GQ」の欧文字の内側を白い細線をもって縁取りし、かつ、円弧状の内奥付近を二重の白い細線で縁取りし、デザイン化した構成よりなるものであるところ、これよりは、当該構成文字に相応して「ジーキュー」の称呼を生ずるものである。
してみれば、本件商標と引用商標Aとは、「ジーキュー」の称呼において類似し、かつ、「GQ」の文字の構成や白い細線による縁取りとデザイン化してなる点を共通にした類似の商標と認められ、かつ、本件商標の指定役務は引用商標Aの指定役務中に包含されているものである。
また、被請求人は、本件商標が引用商標Aと非類似の商標と判断されて登録されたものである以上、引用商標Aに基づき無効審判の請求をすることは権利の濫用にあたる旨述べているが、無効審判制度の趣旨からすれば、登録商標に無効とすべき理由があるときは、当該商標の登録を無効とする審判請求をすることができるものであるから、本件審判請求が権利濫用にあたるということはできず、被請求人の主張は採用することができない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
(1)本件商標


(2)引用商標A

(3)引用商標B

(4)引用商標C

(5)引用商標D

(6)引用商標E


審理終結日 2002-12-12 
結審通知日 2002-12-17 
審決日 2003-01-06 
出願番号 商願平11-113994 
審決分類 T 1 11・ 262- Z (Z42)
最終処分 成立  
前審関与審査官 稲村 秀子 
特許庁審判長 上村 勉
特許庁審判官 小池 隆
鈴木 新五
登録日 2001-01-19 
登録番号 商標登録第4445889号(T4445889) 
商標の称呼 ソウルカフェジイキュウ、ソウルカフェジーキュー 
代理人 水谷 安男 
代理人 島田 義勝 

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