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審決分類 審判 全部無効 商4条1項8号 他人の肖像、氏名、著名な芸名など 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 036
審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 036
管理番号 1075346 
審判番号 無効2002-35067 
総通号数 41 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2003-05-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 2002-02-25 
確定日 2003-03-29 
事件の表示 上記当事者間の登録第3255891号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第3255891号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第3255891号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成よりなり、平成4年9月26日に登録出願、第36類「クレジットカード利用者に代わってする支払い代金の精算,資金の貸付け,損害保険契約の締結の代理」を指定役務として、平成9年2月24日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張(争点)
請求人は、結論と同旨の審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第8号証(枝番を含む。)を提出している。
1 「CITI Group」企業の構成について
国際的に著名な「CITIBANK/シティバンク」は、持株会社「CITICORP」によって代表され、商標権等は多くの欧米企業がそうであるように、その多くを持株会社が所有し、傘下企業であるCITIBANKが使用している。
また、シティコープは、1998年に証券部門において有名な「TRAVELLERS GROUP」を合併し、「CITI Group」としてグループ企業の拡大化が図られている。ちなみに、CITI Group企業の総資産7,000億ドル、収益500億ドル(約4兆5000億円)、営業利益75億ドル、純資産440億ドルで、自己資本総額では世界ナンバーワンの金融会社である(甲第2号証の1)。
CITIBANKを中心とするCITI Groupの構成を図示した資料を添付する(甲第2号証の2)。
また、クレジットカードとして有名な「Diners Club lnternational」もCITI Groupの企業の一つである。
2 「CITIBANK」「シティバンク」の知名度について
「CITIBANK」の歴史は古く、1812年(約200年前)に「シティバンク・オブ・ニューヨーク」としてニューヨークで設立された、いわゆる外国銀行の老舗であり、米国最大級の銀行である(甲第3号証の1)。
1960年代から1980年代までは、世界の銀行のトップスリーの一角を占めていた(甲第3号証の2)。
1992年末の結果では、世界の500大銀行のランキングでは上位50行の36位(甲第3号証の3)、本件商標の登録以前の時点である1996年には第25位(甲第3号証の4)、現在ではその順位をさらに上げている。ちなみに、米国銀行中、「シティバンク」は現在純利益、株式時価総額ともにナンバーワンで、またカード事業(Citibank CITICARD、DINERS CLUB CARD)では、全世界で最大手といわれている(甲第4号証の1)。
持株会社のシティコープを中心に、シティコープ スクリムジャーヴィッカーズ証券、シティトラスト信託銀行など、米国を中心として世界90か国に約3300か所(1991年末)の支店、駐在員事務所、関連会社を持つグローバルな金融会社である(甲第3号証の5)。また、世界最大のVISA、マスターカードと同時提携したシティカードを発行している(甲第3号証の5)。
ところで、参考までに、最も新しい市場調査の結果として発表された2001年10月3日付共同通信社の報道によれば、米国タイム誌傘下の三誌(Asiaweek、Fortune Asia、Time Asia)が共同で行った「世界のトップブランド」の調査結果として、トップ10の中で5番目に「Citibank」が選ばれており(甲第4号証の2)、銀行・金融関係の分野では勿論トップに選ばれたことが公表されている。この調査結果は、日本での調査結果も当然反映されている。
これらの事実からも、本件商標の登録出願のずっと以前から、「CITIBANK」の名称は米国は勿論、日本においても、また、世界的に知名度が高く、登録査定時においても、また現在に至るまで、国際的にもよく知られ、親しまれていた名称であることが明らかになっている。
3 日本での周知性について
「CITIBANK」「シティバンク」の日本進出は古く、1902年(明治時代)に遡り、我が国における外資系銀行の中では最も古くから事業展開をし、既に本件の出願時点でみても、90年が経過している(甲第5号証の1)。
日本市場でとくに注目されるのは、リテール部門である。1988年には顧客のトータルな財テクに応じる「マルチマネー」口座が開始され、90年にはBANCS(都銀・地銀のCD/ATMネットワーク)と提携し、91年インターナショナル・キャッシュ・カード「シティカード」、92年には「インターナショナル・ローンカード」発行、93年以降はATM24時間サービス、海外口座、外貨預金、自由返済型住宅ローン等々他行に先がけて矢継ぎ早に積極的なサービス展開(甲第5号証の1)をはかっており、これらサービスの積極的改善へのたゆまざる努力については新聞・雑誌を通して頻繁に紹介され、需要者にも広く知らされて、業界でも常にその先見性と実行力が注目され続けてきた(甲第5号証の2及び3)。
ちなみに、「シティバンク」は、外資系金融機関の中での日本での知名度1位(甲第6号証1)、外国銀行人気度ナンバーワン(甲第6号証の2)である。
このように、本件商標の登録出願時において、既に「CITIBANK」の名称の知名度が高く、周知又は著名の域に達しており、登録査定時さらには現在に至っても、周知・著名の度合をあげていることは添付の証拠からも明らかである。
4 「CITI」「シティ」が「CITIBANK」「シティバンク」の略称として周知となっていること
(1)企業の知名度が上がってくると、これら著名な名称(及び社標などの商標を含む)について、しばしば新聞・雑誌などのメディアが略称を用いるようになり、これが一般化して通用することになる。例えば、「ポロ・ラルフローレン」が単に「ポロ」と略称されたり、「ルイ・ヴィトン」が単に「ヴィトン」と略称されたり、また、「メリルリンチ」が単に「メリル」と略称されたりする。この種の事実は、多くの判例の中でも認められているところである(甲第7号証の12)。「CITIBANK」や「シティバンク」も例外ではなく、単に「CITI」又は「シティ」と略称されることがしばしばである。これらを示す新聞や書籍の一部を証拠として提出する(甲第7号証の1ないし4)。
一方、請求人自らも「CITIBANK」及び「シティバンク」を「CITI/シティ」と略称し、また、内外共に関係会社の社名においても、「CITI」又は「シティ」を共通の特徴として命名し、通用させている。例えば、日本においての関連会社として、「シティコープ カードサービス インコーボレイテッド」、「シティコープ証券会社」、「シティトラスト信託銀行株式会社」、「シティコープ・クレディット株式会社」、「シティリース株式会社」等の法人がある(甲第7号証の5)。
同様に、商品・サービスについても例外なく、「CITI」、「シティ」を冠した名称や商標を1970年代から本国アメリカを皮切りに世界の90か国を超える支店、子会社、あるいは上記関連会社で多数使用している(甲第7号証の6ないし10)。
(2)「CITI」(又は「シティ」)は、コングロマリットとしてのCITI Group企業の名称及び商標に共通して用いられている要素であり、その「CITI」は、すでに請求人を示すものとして自他識別の機能を確立している。
縷々述べたように、請求人は、グループ傘下の企業に共通の標識として、約100年の長期間に亘り使用してきた「CITI」(又は「シティ」)の語を現在も企業の名称の語幹又は要部として、また、商標の語頭にも使用し続けていることによって、「CITI」又は「シティ」を冠する商号及び商標は、直ちに請求人を想起させるほど、取引者、需要者間に定着しており、「CITI」は請求人及びその傘下企業グループを指称する標識として認識されるに至っている。
また、「CITI」又は「シティ」の語は、本件商標の登録出願時点において、既に請求人のグループ企業を指称する著名な略称として確立しており、現在その地位は確固たるものになっている。
5 本件商標に関連する公告商標に係る異議申立事件について
ところで、請求人は、被請求人の出願に係る本件を含む3件の相互に類似する商標に付与前異議申立てをしている。3件の商標はいずれも要部「CITIX(Xはモノグラム)」を共通とする商標である。
そして、このうちの本件以外の2件については、いずれも「『CITI』が請求人会社グループを表彰する代表的出所標識として機能しているものである。」(甲第8号証)として請求人の主張が認められた結果、『理由あり』の異議決定がなされ、拒絶査定となっている(なお、被請求人は該査定に対し不服審判を請求していない)。
本件についても同様の認定・判断がなされるべきであったと考える。
6 本件商標と引用商標の類否について
本件商標は、欧文字の「C1TI」に続けて、字形の一部を二重線をもって、「X」をやや強調して表わしてなる、いわゆるモノグラム文字であるので、視覚上、前半の「CITI」と「X」字形とが分離して看取され得るものである。
そうすると、需要者の持つ普通一般の注意力を基準にして判断すると、本件商標において、出所等についての強い特定機能(identity)をもつ部分は「CITI」ということになる。
前述したように、商標に関していえば、「CITI」を語幹に配する商標は、各種証拠によっても明らかなように、看者をして少なくとも請求人の商標であると誤認させるか又は請求人と何等かの関係をもつものと誤信させるおそれがあるといわなければならない(東京高裁の判決:甲第7号証の13参照)。
以上のように、「CITI」を要部とする引用商標に本件商標はその要部を共通にする同一あるいは類似の商標であることについては全く疑義の生じる余地はないものと考える。
7 本件商標の指定役務との関連における「CITI」の著名性について
上述のように、「CITI」は銀行業はもとよりクレジットカード、証券、損保、生保等等のあらゆる金融サービスにおいて、著名な商号の略称であり、ハウスマーク、商標とする請求人及びその事業全体を表彰する著名な出所標識である。そして、本件商標の指定役務とはこのような請求人の取扱いに係る役務と完全に重複する。
8 商標法第4条第1項第15号に該当する
「CITIBANK」を中枢とする請求人「CITICORP」は世界中の金融業界を中心とする分野で事業活動を展開しており、それに冠される「CITI」も世界的に周知・著名な商号の著名な略称であり、また、CITIグループ企業の名称は勿論のこと、請求人の使用する多くの商標がその語頭あるいは語幹に「CITI」又は「シティ」を配して成っていることもすでに国際的に顕著な事実であり、これらの一連の特徴を備える商標もまた、著名な商標として認識されていることは言をまたない。
このような状況下において、世界的な著名な商号の著名な略称であり、「CITI」を語幹とする著名商標群と類似というべき本件商標が指定役務に使用された場合には、需要者はCITIBANKあるいはCITI Groupと何等か関係がある者の業務に係る商品又は役務であるかのごとく誤認し、役務の出所について混同の生じるおそれがあるといわざるをえない。
よって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものである。
9 商標法第4条第1項第8号に該当する
本件商標はその構成上、請求人である「CITICORP」又は「CITIBANK」の著名な略称、ひいてはその企業グループ「シティグループ(CITIGROUP)」の著名な略称である「CITI」を語頭に、しかも、顕著に含む商標である。
よって、本件商標は商標法第4条第1項8号にも該当するものである。
8 むすび
以上のとおり、本件商標は商標法第4条第1項第15号、同第8号に違反してなされたものであるから取り消されるべきである。

第3 被請求人の主張(争点)
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第5号証(枝番を含む。)を提出している。
1 商標法第4条第1項第15号に該当するとの主張について
(1)請求人は、「CITI」が「CITIBANK」、「シティバンク」の略称として著名であると主張する。
仮に、請求人の主張するように「CITI」が著名な「CITIBANK」等の略称として著名であるとしても、著名な略称の表示はアルファベットの「CITI」であり、決して「シティ」という称呼ではない。
更には、片仮名表示の「シティ」は著名商標として認識されるものではなく、使用されても直ちに「CITIBANK」を想起させるものではない。
(2)この点については、著名な略称の「CITI」に関係する判決例(乙第1号証)で明らかである。
(3)これに対して、本件商標は、「CITIX」とアルファベットで表示し、最後の文字「X」は、右下方に下り傾斜した線のみを二重線の表記としている。
かかる本件商標は「シティックス」と称呼される。
この称呼を表記した片仮名の「シティックス」の商標は、「CITI」とは称呼、観念、外観共に全く異なる商標であり、両者間に業務の混同を生起するだけの類似性は全くない。
この点の根拠として、被請求人は乙第2号証を提出する。同号証には本件商標と同じ役務について「シティックス」の片仮名表記の商標が登録されていることを示している。
乙第2号証の商標は請求人からは何ら異議申立てもされずに登録され現在登録商標として有効に存続している。
すなわち、本件商標「CITIX」の称呼表記たる「シティックス」は、全体として一体と認識し、把握されるものであり、表記構成中の「シティ」の文字部分のみを独立して認識すべき特段の事情は何等見出し得ない。したがって、請求人のいう著名な略称の「CITI」と商標「シティックス」とは何ら業務の混同を生起することはない。
(4)かかる観点から本件商標「CITIX」を考察すると、片仮名文字の登録商標「シティックス」と同様に「CITIX」の外観上から「CITI」の英文字部分のみを独立して認識すべき特段の事情は全くない。
「CITIX」は、アルファベットの5文字を同一大きさで同一間隔に一体不可分に連結した商標であり、最後尾の「X」は一部2重線になってはいるが、全体としてよどみなく一連に「シティックス」と称呼することができ、「CITI」の英文字部分のみを独立して認識すべき特段の理由は何等存在しない。
したがって、本件商標は、その指定役務に関して使用されても請求人の業務に係る役務と誤認混同することはない。
(5)請求人は、被請求人が出願した商標(乙第3号証及び同第4号証)は、請求人の異議申立てにより異議理由ありとの異議決定がなされて、最終的には拒絶査定となっていると主張している。
しかし、これらの2件の商標は、「図形」と「CITIX」との結合商標であるために、全体的にみると英字表記の「CITI」を中心として、その前方に図形を、後方に一部二重線の「X」を配しており、ちょうど「CITI」が図形と一部二重線の「X」とに挟まれた構成となっている。このように単線でシンプルに表記された「CITI」がかえって強調されて浮き出た構成となっており、あたかも「CITI」が独立して看者の視覚に印象強く認識される外観となっていた。
かかる理由により、異議決定では前記の2商標をその指定役務について使用するときは、請求人の役務と誤認混同を生起すると判断されたものと考えられる。
(6)翻って、本件商標を観察すると、本件商標は英文字で「CITIX」と表記し、最後尾の「X」は一部を二重線にしているものの、需要者は「シティックス」と自然に称呼することができることは前述のとおりであり、かかる一連の「シティックス」の称呼にともなって本件商標「CITIX」も外観上一連不可分の表記として把握される。
特に「CITIX」の文字は、同一の大きさ、同間隔をもって外観上は一体不可分にまとまって表記されていることを勘案すれば、「CITI」の文字部分を独立して認識することは全くなく、「CITIX」と「CITI」との間では、同時に使用されても役務の誤認混同を生起することはあり得ない。
この点について、乙第5号証を提出する。同号証では、本件商標の出願公告後に、請求人より異議申立てがなされたが、異議由立理由なしとの決定がなされ、その決定の理由中で上記説明と同じ理由が述べられている。
このように、本件商標「CITIX」は、請求人が引用する拒絶査定となった前記2件の商標とは、需要者の認識が全く異なる商標である。
(7)以上より、本件商標は、商標法第4条第1項第15号には該当しない。
2 商標法第4条第1項第8号に該当するとの主張について
(1)請求人は、本件商標はその構成上、請求人である「CITICORP」又は「CITIBANK」の著名な略称、ひいてはその企業グループ「シティグループ(CITI GROUP)」の著名な略称である「CITI」を語頭に、しかも顕著に含む商標であるから、商標法第4条第1項第8号に該当すると主張する。
仮に、請求人の主張するとおり「CITI」が著名な略称であるとしても、本件商標「CITIX」から「CITI」の文字部分を独立して認識する特段の事情は何もない。
(2)この点についてはすでに前述の1において詳細に説明していることである。
したがって、本件商標は、著名な略称を含む商標とはいえない。
(3)更には、本件商標の称呼「シティックス」を表記した片仮名表記の「シティックス」商標は略称の「CITI」とは業務の誤認混同を生起しないとして登録され、その後何ら取り消されることなく有効に存続している(乙第2号証参照)。
したがって、「シティックス」を英文字表記した本件商標も、全体として一連に認識されることは明らかであり、この一連の英文字結合からなる本件商標「CITIX」から「CITI」の部分のみを独立して認識して、本件商標は、著名な略称「CITI」を含む商標と論じることはできない。
(4)以上より、本件商標は商標法第4条第1項第8号には該当しない。
3 むすび
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同第8号に該当せず、本件審判請求は理由がない。

第4 当審の判断
1 請求人「シティコープ」の提出した甲各号証によれば、次の事実が認められる。
請求人は、シティバンクなどの企業を保有する米国の持ち株会社である。
シティバンクは、1812年に米国ニューヨーク市に設立された米国最大の商業銀行(1990年)であり、カード事業においては世界で最大規模の事業を行っていて、持ち株会社のシティコープを中心に、シティコープ、スクリムジャーヴィックス証券、シティトラスト信託銀行など、米国を中心として世界90か国に約3300か所の支店、駐在員事務所、関連会社を持つグローバル金融会社である。
我が国においては、同銀行は、1902年に横浜支店を開設し、1988年には顧客のトータルな財テクに応じる「マルチマネー」口座を開始し、1990年にはBANCS(都銀・地銀のCD/ATMネットワーク)と提携し、1991年にインターナショナル・キャッシュ・カード「シティカード」、1992年には「インターナショナル・ローンカード」を発行するなど、我が国においてもサービス事業を展開していて、1990年現在、12店舗を有し、在日関連会社として、シティトラスト銀行、シティコープ、シティコープクレディット、シティコンサルティング、シティリースなどを擁している。
シティバンクについては同バンクに関連する書籍が出版され、また、我が国における事業展開の実情、経営の実情、事業実績、在日外国銀行の人気度などが新聞で報道されていて、これらにおいて、シティグループ又は同銀行を「シティ」と略して表記したものが相当数認められる。
同銀行は、「CITIBANK(シティバンク)」「Citicard(シティカード)」「Citi Direct(シティダイレクト)」など「CITI(Citi)」、「シティ」の文字を含む商標を自己の業務に使用している。
2 上記事実によると、我が国において、シティバンクは、マルチマネー口座を開始し、また、BANCS(都銀・地銀のCD/ATMネットワークと提携してサービスを提供し、インターナショナル・キャッシュ・カード「シティカード」、インターナショナル・ローンカード」などを発行するなど、積極的に業務を展開しており、これらのシティバンクの事業展開の実情などが新聞、雑誌などにたびたび掲載され、あるい書籍が出版されていて、これらにはシティバンクを「シティ」と記載されていることが少なくなく、同銀行の使用する商標には「CITI」、「シティ」の文字を含む商標が使用されていることが認められる。
加えて、シティバンク、シティコープなどシティグループの多くの企業の名称に共通する文字として「シティ」の文字が使用されている。
以上からすると、「CITI(Citi)」の文字を含む商標が金融業務に係る役務に使用された場合、その商標はシティバンク又はシティバンクに関連する企業の商標であろうと認識されることが少なくないというべきであるから、「CITI(Citi)」の文字は、シティバンク又はシティバンクに関連する企業の使用する商標の基幹をなす文字であるとの認識が取引者、需要者の間に浸透しているものと認めることができる。
そうとすれば、少なくとも本件商標の登録出願の時には、「CITI(Citi)」の文字を含む商標、ひいては該文字からなる商標は、シティバンク又はシティバンクに関連する企業の商標として取引者、需要者の間に広く認識され著名なものとなっていたと判断するのが相当である。
3 しかして、本件商標は、別掲に示すとおりの構成よりなるものであって、「CITIX」の文字よりなると認識されるところ、その構成中の「X」の文字が他の「CITI」の文字と異なり一部二重の線で表されていることから、視覚上「CITI」の文字と「X」の文字とより構成されているものと容易に看取し得るものである。
そして、シティ銀行は金融業務を行っている企業であって、また、請求人であるシティコープなどのシティグループに属する企業は、銀行業のほかクレジットカード、投資、証券取引、損害保険業務など広範な業務を行っており、本件商標の指定役務は第36類「クレジットカード利用者に代わってする支払代金の精算,資金の貸付け,損害保険契約の締結の代理」であり、シティバンク又はシティグループの業務に含まれるものである。
そうとすれば、商標権者が本件商標をその指定役務に使用した場合、これに接した取引者、需要者はその役務がシティバンクあるいはシティグループに属する企業など、シティバンクと経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように役務の出所について混同するおそれがあるものと判断するのが相当である。
4 以上のとおりであり、本件商標は、他人の業務に係る役務と混同を生ずるおそれがあるものであるから、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
したがって、本件商標は、商標法第46条第1項の規定に基づき、その登録を無効にすべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 本件商標

審理終結日 2003-01-27 
結審通知日 2003-01-30 
審決日 2003-02-14 
出願番号 商願平4-219582 
審決分類 T 1 11・ 271- Z (036)
T 1 11・ 23- Z (036)
最終処分 成立 
前審関与審査官 能條 佑敬 
特許庁審判長 宮下 正之
特許庁審判官 山口 烈
小林 和男
登録日 1997-02-24 
登録番号 商標登録第3255891号(T3255891) 
商標の称呼 シティックス 
代理人 松尾 憲一郎 
代理人 松原 伸之 
代理人 村木 清司 
代理人 中山 健一 
代理人 松嶋 さやか 
代理人 内野 美洋 
代理人 橋本 千賀子 
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