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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 101
管理番号 1073594 
審判番号 取消2001-30574 
総通号数 40 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2003-04-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2001-05-23 
確定日 2003-02-20 
事件の表示 上記当事者間の登録第2516092号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第2516092号商標の指定商品第1類「化学品(但し「のり及び接着剤」を除く)」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2516092号商標(以下「本件商標」という。)は、「助っ人」の文字を横書きしてなり、平成2年12月19日に登録出願、指定商品を第1類「化学品(他の類に属するものを除く)薬剤、医療補助品」として、平成5年3月31日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨以下のとおり述べている。
1 本件商標は、商標権者により継続して3年以上日本国内において指定商品中「化学品(但し「のり及び接着剤」を除く)」について使用されていない。したがって、指定商品「化学品(但し「のり及び接着剤」を除く)」に対する本件商標の登録は商標法第50条第1項の規定により取消しを免れないものである。
2 被請求人の答弁に対する弁駁
請求人は、被請求人の提出した答弁書に対し以下のとおり弁駁した。
(1)請求人は、本件商標について使用する「活性炭加工食品」(以下「本件商品」という。)は、原材料は活性炭、アルギン酸ナトリウムおよび乳酸カルシウムであり、食品中に含まれる有害成分や望ましくない成分を吸着除去するためのものであり、食品の形をとった吸着剤に過ぎず、人体に取り込まれる健康阻害物質などを体外に排出させるものであり、該商品は「化学品」中の吸着剤ないしは活性炭に相当する商品であると主張している。
しかしながら、岩波書店発行の「広辞苑」第4版をみると食品とは「人が日常的に食物として摂取する物の総称」とあり、必ずしも栄養分の摂取のみがその機能ではなく、ダイエット食品のように健康のためにむしろ栄養分を積極的に摂取しないことを目的とするものも社会通念上の食品に含まれるようになっている。現在はサプリメント(ビタミン剤)なども食品として銘打たれて販売され、日々の食事に関連して経口取得するさまざまのものと広く定義されるようになってきている。
そして、「食品中に含まれる有害成分や望ましくない成分を吸着除去」せしめる機能や「人体に取り込まれた健康阻害物質などを吸着し、体外に排出」せしめる機能も食品の一つの機能とすることに食品についての考え方が多様化した現在では社会通念上なんの違和感もないのである。
そして、乙第1号証に示されているように、本件商品をラベル上に「活性炭加工食品」と明瞭に表示されており、このことは被請求人も本件商品を食品とみていることの一つの証左である。また、一般需要者の視点からしてもこの商品名から感得するところは活性炭を含んだ食品であり、活性炭を含むことからこの食品が活性炭の持つ何らかの吸着作用や食品浄化作用を果たすことを予測することはありえようが、これをもって需要者はこの商品を食品ではなく活性炭と認識して購入することは通常ではない。
本件商品は、被請求人により意図的に「食品」と銘打たれて流通下に置かれており、また、一般需要者にとっても本件商品を「食品」として認識して購入するのが自然であり、むしろ「化学品」として認識し若しくは認識せしめるとするのは不当である。
したがって、本件商標は「化学品」に対する使用ではない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない。審判費用は、請求人の負担とする。との審決を求める。と答弁し、その理由を要旨以下のとおり述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第3号証(枝番を含む。)を提出している。
(1)被請求人は、本件商標について、東京都三鷹市井の頭所在の亘起物産有限会社(以下「亘起物産」という。)に通常使用権を許諾しており、亘起物産が商品の製造販売を行っている。
(2)乙第1号証の商品の写真から明らかなように、毛筆体の「助」と「人」の漢字の間に「つ」の片仮名文字を配して「助っ人」と一段に横書きしてなるもので、字体が登録商標の字体とやや異なっているとはいえ、充分同一性を有してなるものである。
(3)本件商標が使用されている商品については、乙第1号証によれば、「活性炭加工食品」と標記されているので、一見食品であるかのようであるが、原材料は活性炭、アルギン酸ナトリウムおよび乳酸カルシウムであり、これらは栄養分は全くなく、食品中に含まれる有害成分や望ましくない成分を吸着除去するためのものである。
この点については、平成11年7月30日付亘起物産の資料によれば、同社が製造販売する「健康炭(活性炭)機能性ゲルの機能概要」(乙第2号証の2)の記載から明らかなように、特にその3/3頁には、「助っ人」を付した商品には非経口と経口の2種類があり、非経口のものにはA油用吸着剤とB洗浄用吸着剤とがあり、それぞれ有害物質ないしは望ましくない物質の吸着剤として使用されているのである。
また、経口のものとしては間食用食品として、体内での過剰な栄養素や農薬、食品添加物、動物用医薬品、ホルモン、抗生物質等を吸着するために使用されるものであって、栄養があるわけではないので、食品の形をとった吸着剤に過ぎない(乙第3号証)。
また、商標権者(被請求人)及び亘起物産の代表取締役である青柳重郎(東京理科大学理学部応用化学科の教授でもある。)は、雑誌「自然食ニュース」第333号2001年9月号第4〜18頁(乙第3号証)に記載しているように、活性炭は、経口摂取されるものもあるため、一見食品であるかのようでもあるが、経口摂取品の場合には、人体に取り込まれるダイオキシン、その他の健康阻害物質、更に毒素、有害元素、有機金属、アルコール、ニコチン、ホルモン類等を吸着し、糞尿として体外に排出されるのである。
(4)しかして、このような活性炭、活性炭加工品、吸着剤等が出願時における商品の区分第1類「化学品」中の吸着剤ないしは活性炭に相当することは明白である。
よって、本件商標は現在継続して3年以上日本国内で使用されているものである。

3 当審の判断
商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人が、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。
そこで、被請求人は、本件商標を第1類「化学品」に属する吸着剤又は活性炭に使用していると主張しているので、この点について検討する。
被請求人の提出に係る商品の写真である乙第1号証によると、ラベルが胴張りされた瓶容器が撮されており、そのラベルに、「助っ人」(「助」と「人」の文字は黒色、「つ」の文字はピンク色が施されている。)を大きく表し、その下に欄を設け「商品名」の欄には「助っ人」、「品名」の欄には「活性炭加工食品」、「原材料名」の欄には「活性炭、アルギン酸ナトリウム、乳酸カルシウム」、「製造・販売元」の欄には「亘起物産有限会社 KM」等とそれぞれ表示されている。
亘起物産が作成した平成11年7月30日付文書「健康炭(活性炭)機能性ゲルの機能概要」である乙第2号証の2によると、「1.活性炭(日本薬局方記載の薬用炭分析法に合格)の特徴(日本環境感染学会資料)」の見出しの下で「活性炭と医療分野への応用」として、「1)経口治療」や「2)直接血液灌流治療」についての説明、次に、「2.健康炭機能性ゲルの特徴」の見出しの下、「1.高品質健康炭は有害物質(特に分子量100〜10000程度の化合物)を吸着除去します。・・4.本機能性ゲルは厳選された健康炭入りオリゴマンナン加工食品で、天然素材の安全な商品です。5.強力吸着性能をもつノンカロリー食材です。6.便秘の心配をなくし、常食出来るようにしました!・・8.食べる時にザリザリした異物感はない。」等と記載、「3.健康炭機能性ゲルの利用」の見出しの下、「食べない」と「食べる」の項を設け、「食べない」の項には「A助っ人(油用吸着剤)」と「B助っ人(洗浄用吸着剤)」を記載し、また「食べる」の項には「Aやせたいんです(ダイエット食用)」と「B助っ人(間食用)」を記載し、それぞれ説明が記載されている。その「食べる」の項における「B助っ人(間食用)」の項には、「夜食あるいは間食用食品。(1)過剰な栄養素をバランスよく吸着除去して健康を楽しむ。(2)農薬、食品添加物、動物用医薬品、女性ホルモン、抗生物質等を吸着除去。」と記載されている。
「自然食ニュース」((株)自然食ニュース「No.333 2001年9月発行)である乙第3号証によると、「体内の健康阻害物質は排泄できる!! -画期的な食べる活性炭の効用-」と題し、「ダイオキシン・農薬・食品添加物-等々、体内の有害汚染物質をスムーズに体外に吸着除去してくれる画期的な食べる活性炭『ヘルスカーボン』」の見出しの下、該活性炭を開発した青柳重郎氏(被請求人及び亘起物産の代表取締役)の対談形式で、その活性炭(ヘルスカーボン)についての構造、開発経緯、人体への効能等について記載されている。
これらの乙号各証および被請求人の主張を総合してみると、通常使用権の許諾がされている亘起物産が人体に有害な物質を吸着除去する効果のある活性炭(ヘルスカーボン)等を原材料とした経口のものとして間食用の「活性炭加工食品」について、本件商標と社会通念上同一の商標とみられる商標を使用していることを認めることができる。
しかしながら、被請求人は、「助っ人」の商標を付した商品は、体内での過剰な栄養素や農薬、食品添加物、動物用医薬品、ホルモン、抗生物質等を吸着するために使用されるものであって、栄養があるわけではないので、食品の形をとった吸着剤に過ぎず、経口による間食用食品に限らず、非経口のものとして油用吸着剤や洗浄用吸着剤としても使用されているものである(乙第2号証の2)から、本件商標は「活性炭」、「活性炭加工品」、「吸着剤」等「化学品」に属する商品に使用しているものであると主張しているが、被請求人の提出に係る証拠によっては、前記認定のとおり、「活性炭加工食品」として取り扱われる商品について使用されているものと認められるものであり、その商品の特性から、仮に、他の用途に応用できるとしても、化学品に属する「活性炭」「活性炭を原材料とする吸着剤」等として商品化し販売されている事実を証明していないものである。この点について、当審では、相当の期間を指定して、乙第2号証の2に記載されている「A 助っ人(油用吸着剤)」、「B 助っ人(洗浄用吸着剤)」として販売した事実があれば、それを証明する書面を提出するよう相当な期間を指定して求めたが、被請求人からは何らの応答もなかった。
してみれば、本件商標は、審判請求に係る商品「化学品(但し「のり及び接着剤」を除く)」について使用しているものと認めることはできないものである。
また、被請求人は、本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしていない。
したがって、本件商標の指定商品中「化学品(但し「のり及び接着剤」を除く)」の登録は、商標法第50条の規定により取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2002-12-17 
結審通知日 2002-12-20 
審決日 2003-01-09 
出願番号 商願平2-141025 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (101)
最終処分 成立  
前審関与審査官 中村 欽五金子 茂 
特許庁審判長 宮下 正之
特許庁審判官 平山 啓子
小林 和男
登録日 1993-03-31 
登録番号 商標登録第2516092号(T2516092) 
商標の称呼 スケット 
代理人 奈良 泰男 
代理人 齋藤 悦子 
代理人 八田 幹雄 
代理人 宇谷 勝幸 
代理人 三井 孝夫 
代理人 野上 敦 

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