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審決分類 |
審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z38 |
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管理番号 | 1070995 |
審判番号 | 無効2000-35478 |
総通号数 | 38 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2003-02-28 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2000-09-06 |
確定日 | 2003-01-06 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4377687号商標の商標登録無効審判事件についてされた平成13年10月18日付け審決に対し、東京高等裁判所において審決取消の判決(平成13(行ケ)年第539号平成14年8月27日判決言渡)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第4377687号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第4377687号商標(以下「本件商標」という。)は、平成10年12月19日に登録出願され、「OKI DOKI」の文字を横書きしてなり、第38類「移動体電話による通信,テレビジョン放送,有線テレビジョン放送」を指定役務として、平成12年4月21日に設定登録されたものである。 2 請求人の引用商標 請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する商標は、別掲に示すとおり「OKI」の文字を横書きしてなり、昭和53年12月8日に登録出願、第11類「電気機械器具(但し、電線、ケーブルを除く)電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)電気材料(但し、絶縁テープ、絶縁用ゴム製品を除く)」を指定商品として、昭和56年7月31日に設定登録され、その後、平成13年3月27日に書換登録の申請があった結果、第7類、第8類、第9類、第10類、第11類、第12類、第17類及び第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品とする登録第1471372号商標(以下「引用A商標」という。)及び別掲に示すとおり「OKI」の文字を横書きしてなり、平成4年9月30日に登録出願、第38類「移動体電話による通信,テレックスによる通信,電報による通信,ファクシミリによる通信,無線呼出し,テレビジョン放送,有線テレビジョン放送,ラジオ放送,報道をする者に対するニュースの提供」を指定役務として、平成7年12月26日設定登録された登録第3107407号商標(以下「引用B商標」という。引用A商標と引用B商標をまとめて表現するときは、「引用商標」という。)である。 3 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第10号証(枝番を含む。)を提出した。 (1)商標法第4条第1項第11号違反について 本件商標は、請求人の引用B商標に類似し、同一又は類似の役務に使用するものである。 本件商標は、「OKI」の語と「DOKI」の語を一文字分の間隔を設けて組合わせたものである。この2語を組合わせることによって、特有の意味合いを有する語が形成されるものとは考えられないから、「OKI」と「DOKI」の二語を組合わせることについて特段の理由があるとは考えられない。 そして、「OKI」は、請求人の著名な商標であると共に、請求人の名称の著名な略称であるから、本件商標に接する取引者、需要者は、「OKI」の語に引きつけられ、先づ「OKI」を認識する。したがって、看者は本件商標は「OKI」から派生するファミリーマークの一種と理解するであろうことは容易に推認することができる。 したがって、本件商標の要部は「OKI」の語にあるということができるから、本件商標から「オキドキ」の称呼の他、「OKI」の部分から「オキ」とのみ称呼されることも多く、その意味において、本件商標は請求人の引用B商標に称呼及び観念上類似するということができる。 また、本件商標の指定役務は、引用B商標の指定役務中「移動体電話による通信,テレビジョン放送,有線テレビジョン放送」と同一であり、その他の役務とは類似する。 (2)商標法第4条第1項第15号違反について 請求人の引用商標は、需要者間に周知された商標である。 また、引用A商標は、請求人の主要商標の一であるが、これをベースとして、殆ど全区分の商品及び役務に防護標章の登録がなされている(甲第2号証)。 さらに、引用A商標は、平成10年にAIPPI・JAPANの編纂刊行に係る「日本有名商標集」にも掲載されている(甲第8号証)。 かつ、請求人は、インターネットの情報通信の分野に積極的に進出し、事業の拡大を図っている(甲第6号証)。 そして、請求人はテレビ電話装置及びテレビ電話会議システムを上市しており、これらもまた、本件商標の指定役務「テレビジョン放送」と関連の深いものである。 したがって、本件商標がその指定役務に使用されるときは、それら役務が請求人の提供する役務であるか、或いは請求人から許諾を受けた者又は請求人と何らかの関係を有する者によって提供されている役務であるかの如き混同を生じさせること明らかである。 (3)商標法第4条第1項第19号違反について 本件商標は、引用商標を含む商標であり、(1)でも述べたとおり、引用商標のファミリーマークであるかの誤認を看者に与える商標である。 他方、引用A商標は、単に日本の需要者間のみならず、全世界的に周知されている商標である。 してみれば、本件商標が請求人と係りなくその指定役務に使用されると、引用商標の周知性が毀損されるおそれがある。 本件商標の出願人(被請求人)は、少なくとも電気通信の分野に精通していると推測されるので、引用商標の周知性を充分承知していることも推認できる。 したがって、本件商標の出願人は、引用商標の周知性を自己の有利に利用しようとの意図を以て出願したとも考えられる。 これら事実に基づいて判断するに、本件商標は、不正の目的を以て出願されたものであることは容易に推認することができる。 (4)商標法第4条第1項第8号違反について 請求人の名称は、「OKI」と略称されており、引用商標と共に需要者間に周知されている。この事実は、特許庁においても顕著な事実であると考えられるので、証明を要しない。 本件商標は、請求人の名称の著名な略称「OKI」を含む商標である。 (5)よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号、同第19号及び同第8号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定によって無効とすべきものである。 4 被請求人の答弁 被請求人は、「本件商標は、これを無効とするとの審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第8号証(枝番を含む。)を提出した。 (1)本件商標に用いている言葉が既存であることの証明 (イ)「OKI DOKI」という言葉は、通常の口語英語において比較的よく使われている言葉である。たとえば、「OkeyDokey」、「Okey-Doke」、「OkiDoki」、「Oki・Doki」などと表記される言葉はみなこの類で、よく言う「OK」(オーケー)の口語表現である。一般的には、「オーケー、すべて良し、了解」などの意味合いで用いられており、日本語で表記すると「オキドキ」と発音され、特に「ド」の部分にアクセントがある。これは英語圏においては、幼児でも認知していることである。このことは、小学館ランダムハウス大辞典(乙第1号証)、研究社新英和中辞典(乙第2号証)をはじめとした各種の英語辞書に「okey-doke(y)」あるいは「okey・doke(y)」の見出し語があることからも明らかである。 つまり、「OKIDOKI」という単語あるいは成句は、既に存在するものであり、「OKI」と「DOKI」の二つの語を連続して表記したことによって「OKI」のみの場合とはまったく違った意味を持つことは明らかである。 (ロ)なお、請求書には、被請求人の商標が「……『OKI』の語と『DOKI』の語を一文字分の間隔を設けて組み合わせたもの……」との記述があるが、実際の本件商標における空白は半文字分程度である。これは、二語が完全に分離したものでない旨を暗に示したものである。 (ハ)一方、請求書には、本件商標を完全に一文字分の空白を設けて「OKI DOKI」と示しているが、請求書のこの記述方法は、本件商標に比して明らかに空白が大きく請求人の商標と同一である文字列「OKI」が独立していることを故意に強調しているように見受けられる。 (ニ)請求人は「OKI」と「DOKI」の二語を組み合わせることについて特段の理由があるとは考えられないことを理由に本件商標の無効を訴えているが、商標というものは、必ずしも特定の意味や理由を持つものではなく、見た目の良さや響きの良さなど以外に特に意味を成さないものも多い。したがって、二語の組み合わせの理由がないことを根拠とする請求人の意見は無効理由から排除されるべきである。 (ホ)また、登録第3146883号商標は、本件商標と商品及び役務の区分こそ違え、同一の言葉(「oki doki」)を商標化したものである。しかも、該登録商標も、本件商標と同じく、「oki」と「doki」の間に空白が設けられている。このことは、この語が既存の言葉として認知されていることの証左である。このことから、該登録商標と単に大文字と小文字の差異のみしか認められない本件商標の「OKI DOKI」なる語も、既存の言葉として認知されていると考えるべきである。 (2)接頭語が請求人商標と似ている既登録商標の例示 接頭語として請求人の商標である「OKI」という文字列を含みながら登録され、なおかつそれ以前に請求人が同一あるいは類似分野で商標あるいは防護標章を登録している例が多数存在する。これらの事例を鑑みるに、「OKI」という接頭語を用いていることによって、本件商標が引用商標に類似し、混同を招くとする請求人の論拠は無謀である。 (3)個別の無効事由に対する反論 (イ)商標法第4条第1項第8号違反に対する反論 前記(1)に示す各理由から、本件商標は一語あるいは一塊りの成句として認識すべきものであることは明らかである。また、(2)に示す事例から、請求人の略称である「OKI」という文字列を含むことにより本件商標を請求人の略称と類似していると判断するのは誤りである。 (ロ)商標法第4条第1項第11号違反に対する反論 前記(1)及び(2)に示す事例から、請求人の商標である「OKI」という文字列を含むことにより、本件商標を引用商標と類似していると判断するのは誤りである。本件商標は引用商標とは類似していない。 (ハ)商標法第4条第1項第15号違反に対する反論 請求人の所有する商標が著名であり、請求人の所有する商標と本件商標の役務に一致する部分があるとする請求人の主張は、被請求人もこれを認めるものである。しかしながら、前記(1)、(2)の各理由から、本件商標は、請求人の引用商標とは異なるものであり、かつ類似するものでもないと判断できるから、本件商標を見た者をして請求人の業務にかかる商品あるいは役務と混同、誤認せしめるとは考えられない。 (ニ)商標法第4条第1項第19号違反に対する反論 請求書において、請求人は「本件商標の出願人は、請求人の引用商標の周知性を自己の有利に利用しようとの意図を以て出願したとも考えられる」と主張が、これはあくまでも請求人の推定にすぎない。また、「本件商標は、不正の目的を以て出願されたものであることは容易に推認することが出来る」と主張しているが、これもまたその文面に示すとおり「推認」にすぎず、なんら根拠のないものである。 また、それと同時に、前記の各理由から、本件商標が独自のものであり、引用商標と本件商標との類似性や因果関係が極めて希薄であることが証明できる。よって、被請求人に不正の目的のないことは明白である。 (4)結論 よって、請求人の無効審判請求は理由がないものであり、答弁の趣旨のとおりの審決を求めるものである。 5 当審の判断 (1)本件審判の請求の理由及び甲各号証を総合すれば、以下の事実が認められる。 (イ)原告は,1881年に設立されて以来、電話機・交換機、後にはファクシミリ等の電気通信の分野における業務を中心として発展し、現在では、電子計算機・プリンター・現金自動預払機等の情報処理機器及びIC・LSI等半導体の電子デバイスの分野並びにCATV・インターネットを利用した画像通信等の分野に事業を拡大し、各分野におけるいわゆるリーディングカンパニーの一つとなっている。 (ロ)原告は、平成11年9月30日現在、日本国内に、約38の支社及び支店等及び六つの研究所並びに39の関係会社を有し、海外には、アメリカ地域に2、ヨーロッパ地域に9、アジア地域に10の子会社を、ヨーロッパ、アジア、オセアニアに五つの駐在員事務所をそれぞれ有している。 (ハ)「OKI」の文字よりなる標章は、原告のすべての本支店の社屋、パンフレット、カタログ類を含むすべての印刷物、及び、看板、雑誌・新聞広告を含むすべての宣伝物、並びに、展示会等の催物において、原告の業務に係る製品及び役務を示す表示として使用されており、これによって、原告を表示する社章(ハウスマーク)と認識されるに至っている。さらに、原告の関係会社も、それらが原告のグループに属することを表示するものとして、「OKI」との標章を原告の指示に基づいて使用している旨、裁判所において判断されている。 (ニ)引用商標を構成する「OKI」の語は、本件商標の登録出願前、既に、引用B商標として、本件商標の指定役務である「移動体電話による通信,テレビジョン放送,有線テレビジョン放送」を含む第38類の多くの役務について登録され、引用A商標として、第11類「電気機械器具(但し,電線,ケーブルを除く)電気通信機械器具,電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)電気材料(但し,絶縁テープ,絶縁用ゴム製品を除く)」について登録されたのを始めとして、本件商標の登録出願後ではあるものの、平成13年末現在では、商品及び役務42区分中、33の区分に防護標章として登録されている。 (ホ)引用商標を構成する「OKI」の語は、平成10年にAIPPI・JAPANによって編纂、刊行された日本有名商標集(FAMOUS TRADEMARKS IN JAPAN)にも掲載されている。 (2)以上の事実によれば、原告が永年にわたり、上記「OKI」の語をハウスマーク及び商標として広範に使用してきたことにより、この「OKI」の語は、遅くとも本件商標が出願された平成10年12月19日当時には、本件商標の指定役務の需要者の間はもとより、一般の消費者の間においても、原告及び原告のグループ会社自体を表示するハウスマークとして、あるいは、原告及び原告のグループ会社の業務に係る製品及び役務を示す商標として、周知・著名であったものというべきである。 (3)これに対し、本件商標の「OKI DOKI」は、引用各商標の「OKI」の書体と似た態様の書体で表示された「OKI」の語を、「DOKI」の語から分離した状態で語頭部に配置する構成である。そして、「OKI DOKI」の語は、その発音が[oukidouki]であり、その意味が「OK」との意味であること、及び、類似語としてokeydokeとokiedokieがあることが認められるものの、一般の日本人にとって、okeydokeyとの英語がよく知られている英語であることを認めるに足りる証拠はなく、むしろ、一般の日本人にとっては、あまりなじみのない英語であると推認されるものであることからすると、okeydokeyの発音が本件商標の「OKI DOKI」と似ているからといって、一般の日本人が、本件商標の「OKI DOKI」からokeydokeyとの英語を連想するものと認めることは、到底できないものであり、「OKI」と「DOKI」の二語からなる、いわゆる造語として認識されるものであること、及び、引用商標を構成する「OKI」の語が、上記認定のとおり、本件商標の指定役務の分野において、原告のハウスマークとして、また、原告及び原告のグループ会社の業務に係る製品及び役務を示す商標として、遅くとも本件商標が出願された平成10年12月19日当時には、周知・著名であったことからすれば、本件商標を見る者は、この中の「OKI」の語に注意を引き付けられ、この「OKI」の文字部分に着目して、上記原告の「OKI」のハウスマークあるいは引用商標を連想するものと認められるものであって、本件商標をその指定役務に使用すれば、その役務が、原告又は原告と組織的・経済的に密接な関係がある者の業務に係る役務であるかのように、その出所について混同を生ずるおそれがあるものというべきである。 (4)したがって、本件商標は、その余の無効事由について論及するまでもなく、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものというべきであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とする。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲 引用A商標 引用B商標 |
審理終結日 | 2001-09-26 |
結審通知日 | 2001-10-02 |
審決日 | 2001-10-18 |
出願番号 | 商願平10-108728 |
審決分類 |
T
1
11・
271-
Z
(Z38)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 飯山 茂 |
特許庁審判長 |
大橋 良三 |
特許庁審判官 |
高野 義三 滝沢 智夫 |
登録日 | 2000-04-21 |
登録番号 | 商標登録第4377687号(T4377687) |
商標の称呼 | オキドキ、オキ |
代理人 | 小林 久夫 |
代理人 | 佐々木 宗治 |
代理人 | 木村 三朗 |
代理人 | 大村 昇 |