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審決分類 審判 全部無効 商4条1項7号 公序、良俗 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z11
管理番号 1070984 
審判番号 無効2001-35432 
総通号数 38 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2003-02-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2001-09-28 
確定日 2003-01-06 
事件の表示 上記当事者間の登録第4312056号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4312056号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4312056号商標(以下「本件商標」という。)は、平成9年10月8日に登録出願され、「MAGNEGEN」の欧文字と「マグネジェン」の片仮名文字を二段に横書きしてなり、第11類「工業用水・上水・下水・汚水又はし尿の流路に取り付けるための磁力を用いて流路内壁の防蝕及び異物の付着を防止する水質活性化装置」を指定商品として、平成11年9月3日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、証拠方法として甲第1号証ないし甲第16号証及び参考資料を提出している。
1 請求の根拠
本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第19号及び同第8号に該当し、同法第46条第1項第1号により、無効とすべきである。
2 具体的理由
(1)商標法第4条第1項第7号について
請求人は、本件商標が出願された当時、米国特許第5269915号の特許権者、米国商標登録第1762456号の商標権者であり、現在、これら特許権および商標権を所有するベリーズ国ベリーズ市キングストリ-ト2Aに所在のマグネジェン社の総括責任者である。
被請求人は、本件商標の出願前である1997年7月16日に、請求人が有する特許権、商標権の使用許諾のもとに製造される磁気活水器の日本における独占販売契約を、力ルフォルニア州の有限責任会社であるSuperUSA LLC(デストリビュータ)と締結している(甲第2号証)。
甲第2号証によれば、SuperUSA LLCは被請求人に対してMagneGENが米国登録商標(甲第3号証)であることを開示しており、取扱う製品が本件商標の指定商品である磁気を用いた水質活性装置であることも米国特許第5269915号明細書(甲第4号証)から明らかである。
してみれば、被請求人、および被請求人の関係会社であり商標登録出願人である株式会社ヒューマンネットワークは、本件商標の指定商品と同一の商品に係わる他人所有の米国登録商標の存在を知りながら、しかも米国の商標権者および所有者、すなわち、請求人および請求人を総括責任者とするマグネジェン社から何らの承諾を得ることなく、商標登録出願したものである。
この事実は、請求人が平成11年異議第91699号の本件商標登録異議申立理由補充書における甲第2号証で証明したとおりである。
被請求人代表者波田野辰雄氏は、本件商標登録異議の意見書において、米国における商標権者(特許権者)である本請求人に対し、サンフランシスコのレストランにて「日本でのビジネスを継続的かつ安全に行うために請求人又はマグネジェン社の特許、商標等の権利を、被請求人側が日本で使用し且つ取得することを申し出た処」、さらに、福島県郡山市の郡山ビューホテルにおいて「日本国内で米国特許第5269915号と商標『MagneGen』及び『SUPER MAG』の表示及び使用をすること、両商標の日本国内の登録を受けることの承諾を求めた処」、請求人がこれを口頭で快諾した旨、反論している。
然らば、被請求人には本件商標の登録出願を請求人から承認されたことの立証責任があり、承認された場所、日時、内容などを特定した証拠能力のある書面を提出する義務がある。それにもかかわらず、前記商標登録異議の意見書においては証拠能力のある書面が何ら提出されておらず、承認されたとする被請求人の主張は却下されて然るべきである。
請求人は、サンフランシスコ、郡山のいずれにおいても被請求人からその主張のような商標登録出願(又は特許出願)の承認を求められたことはない。したがって、またこれを承諾した事実もなく、被請求人側の主張は全くの虚偽である。
郡山において被請求人側の通訳を担当した柴田英機氏の陳述書(甲第5号証)、サンフランシスコにおいて通訳を担当したジェフリー・チュー氏の陳述書(甲第6号証)からも明らかなとおり、サンフランシスコでの「日本でのビジネスを継続的かつ安全に行うために請求人又はマグネジェン社の特許、商標等の権利を、被請求人側が日本で使用しかつ取得すること」、郡山での「日本国内で米国特許第5269915号と商標「MagneGen」及び「SUPER MAG」の表示及び使用をすること、両商標の日本国内の登録を受けること」、とのそれぞれの申し出に対して請求人が口頭で快諾したとする被請求人側の主張は事実無根である。
本件商標のように、他人の商標を本人の承諾もなく登録出願を行いその登録を得るという行為は、東京高裁平成11年12月22日判決、平10(行ケ)185号にもあるとおり、国際商道徳に反するものであって公正な取引秩序を乱すおそれがあるばかりでなく、国際信義に反し公の秩序を害するものというべきである。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当し、その登録は当然に無効とすべきものである。
(2)商標法第4条第1項第19号について
請求人は、被請求人が本件商標である「MAGNEGEN」が、被請求人の出願以前から日本国を含め世界各国において周知の商標であったこと、外国および日本における周知商標がわが国において登録されていないことを奇貨とし、国内における代理人としての地位を不当に独占する不正目的での使用を意図して商標登録出願したものであることを、甲第7号証ないし甲第12号証を引用して立証する。
被請求人が本件商標の出願前の1997年7月16日に、請求人が有する特許権、商標権の使用許諾のもとに製造される磁気活水器の日本における独占販売契約を締結(甲第2号証)していたことは前記したとおりである。
ところが、被請求人および株式会社ヒューマンネットワークは、1998年1月28日またはその頃、マグネジェン社の製品を模造し、偽造ラベルを付して日本と台湾の両国で販売し、このことがデストリビュータに発覚し、その結果、日本における販売権の自動喪失を1998年8月1日付をもって通告され、同年8月4日付で模造製品の製造および販売の停止を通告されているのである。そして、被請求人に代わる日本の販売店として株式会社スーパーマックスUSAが指定されている(甲第8号証、甲第9号証、甲第10号証)。
このように、被請求人および株式会社ヒューマンネットワークは、SuperUSA LLCとの独占販売契約の締結後、6カ月という極めて短い期間のうちに、模造品を製造し、偽造ラベルを貼付して販売するという、商取引上、許されない行為を冒している。それ故、本件商標は、日本における販売代理人としての地位を不当に独占する不正目的での使用を意図して商標登録出願したものと認めざるを得ず、商標法第4条第1項第19号に該当し、その登録は無効にすべきものである。
(3)商標法第4条第1項第8号について
本件商標である「MAGNEGEN」が、中央アメリカのベリーズ国ベリーズ市を所在地とする法人「MAGNEGEN LTD.」の名称と全く同一であること、当該法人が本件商標の出願時に存在していたことを甲第13号証ないし甲第16号証を引用して立証する。
「MAGNEGEN LTD.」の存在は、ベリーズ国の国際ビジネス会社法(1990年)による「正式会員証」(甲第13号証)、1997年10月25日付の特許と商標の売買譲渡証(甲第14号証)に基づく米国特許商標庁からの譲渡書類の記録通知書(甲第15号証)における譲受人の記載内容からも裏付けできる。また、被請求人が日本における輸入代理店として契約した相手側(SuperUSA LLC)の総括責任者(甲第8号証、甲第9号証、甲第10号証参照)であるルイス・R・ピータース氏の誓約書(甲第16号証)から、本件商標の出願前から「MAGNEGEN LTD.」が存在していたことも明白な事実である。
そして、被請求人、株式会社ヒューマンネットワークあるいは両社の社長である波田野辰雄氏は、請求人あるいは請求人を総括責任者とするマグネジェン社に対し、社名(MAGNEGEN LTD.)を、日本その他の国で登録することについての許諾申出は全く行っていなかったことは、前記したとおりである。
なお、本件商標では、法人の性格を表す「LTD.」を用いていないが、「LTD.」は省略されて使用されるのが通常であり、実質同一の名称であると言える。
したがって、本件商標は、承諾を得ていない他人の名称であり、商標法第4条第1項第8号に該当し、その登録は無効とすべきである。
3 被請求人の答弁に対する弁駁
先ず、「MAGNEGEN LTD」(1999年12月1日に請求人からMAGNEGEN LTDに商標権を移転した)が米国登録商標「MAGNEGEN」に係る商品の独占的販売契約をスーパーUSA社と締結し、この独占的販売契約をベースにスーパーUSA社が被請求人との間で副販売契約を1997年7月16日に締結しているので、〔ア〕本件商標の使用については、当然の帰趨として被請求人は米国商標権者の承諾をえているとみなすことができる。
しかし、〔イ〕商標登録出願の承諾は、販売契約に従属して承諾される性格のものではなく、販売契約とは別個独立に契約すべき性格のものである。 しかるところ、本件商標の登録出願を日本において行うことの承諾について別途の契約の締結は行っていない。
契約を締結する際は文書を作成して行うことが一般的であり、現に被請求人とスーパーUSA社との間の販売契約は文書でなされているのであり、その下位契約というべき商標の登録出願の承諾契約も仮りに契約されるとすれば、文書でされるのが極めて当然であり、その他の方法はあり得ない。
しかるに本件商標の登録出願の承諾に関する文書は何ら存在していない。
したがって、被請求人の主張は、証拠に基づかない弁解にすぎない。
さらに問題なのは、被請求人の契約相手のスーパーUSA社は、米国商標権者ではなく、さらに米国商標権者である請求人はスーパーUSA社およびプロキュメント社とは法的または資金的な関係は全くない。この事実を被請求人は誤認して請求人とスーパーUSA社などを同一視し、スーパーUSA社と関係のない請求人を商道徳と取引上の信義則への逸脱行為者として論じている。
以上、被請求人は、商品売買の国際的取引を前提として、米国の商標権者と別途に必要である商標の登録出願の許諾契約を交わさず、勝手に自己の判断で日本国で商標登録出願をしたものであり、商標法第4条第1項第7号に違反していることは明らかである。
そして、被請求人が請求人の承諾をえていなかったことは本弁駁書で明らかにしたとおりであり、さらに被請求人は、日本での本件商標の登録出願及び登録を、その後にも米国商標権者に全く連絡しておらず、このことは不正の目的があったというべきであるから、本件商標は商標法第4条第1項第19号に該当し、その登録は無効とすべきものである。
また、被請求人は、商標法第4条第1項第8号の請求理由に対し、「本件商標自体は請求人の商号そのものではない」と答弁している。
請求人は、前述の商標法第4条第1項第7号及び同第19号の請求理由によって、本件商標の無効理由は十分明らかにできたので、同第8号の請求理由については特に弁駁を必要としないものと考える。
4 まとめ
被請求人は、本件商標が請求人の米国登録商標であることを知りながら、米国商標権者(請求人)に無断で、承諾をえず、商標登録出願をし、本件商標の登録を受けたものであることは、以上の弁駁で明らかである。

第3 被請求人の主張
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は、請求人の負担とする」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ証拠方法として、乙第1号証ないし同第15号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 商標法第4条第1項第7号の請求理由に対する反論
請求人は上記の請求理由に関し甲第2号証ないし甲第6号証を提出して、本件登録に対する登録異議申立事件における被請求人の意見書で述べた意見に対し、反論をしているが、これらの議論の前提として被請求人と請求人、前記異議申立人及びこれらの関係者間の相互の関係について明らかにし、以下請求人の主張の誤りについて答弁する。
(1)請求人と被請求人等の関係
a.マグネジェン社への商品製造委託
マグネジェン社と請求人(同社総括責任者)とは、乙第1号証1の陳述書に示すように被請求人の代表者波田野辰雄が、米国人の知人ジェフリー・チュー氏(後に米国側総代理店スーパ一USA社の副社長となる者)の仲介により、当初の磁気活性化装置の製造を委託した関係にある。
b.被請求人側への商標登録の第1回目の承諾
この契約に際し被請求人の代表者である波田野辰雄が、サンフランシスコのレストランにてスーパーUSA社の社長ルイス・チュー氏、同副社長となったジェフリー・チュー氏、ルイス・チュー氏の会社アメリカンプロキュメント社員であるルイス R.ピータース氏等が同席の下、請求人に対し、今後の日本でのビジネスを継続的かつ安全に行うためにマグネジェン社を含む請求人側の特許、商標等の権利を、被請求人側が日本で使用しかつ取得することを協議した場で、請求人はこれをロ頭で快諾したものである。
その結果、後に説明するスーパーマックスUSA社が設立された直後の1998年8月にスーパーUSA社側から代理店契約終了通知や抗議が出されるまで、請求人側からは何らの抗議も申し入れもなかったのである。
c.商標登録についての第2回目の承諾
その後の支払い及び磁気活性化装置の注文は、後述する当該商品の米国側輸出代理店であるスーパーUSA社を通じて行われたが、さらに波田野辰雄は平成9年(1997年)9月に福島県郡山市の郡山ビューホテルで、被請求人の当該商品の国内販売会社でかつ被請求人の専用使用権者である株式会社ヒューマンネットワーク社によって開催された「MAGNEGEN」「SUPERMAG」発売のオープニングパーテイー(総勢190名参加)に、上記米国内関係者3名とその家族計9名を被請求人の負担により米国より招待し、その席で請求人(コロネル・クライヤ氏)を含む当該関係者全員に乙第3号証のヒューマンネットワーク社のカタログをを配布した。上記カタログには米国特許第5269915号と商標「Magne Gen」の表示がなされており、請求人はその内容を了承している。
d.コロネル・クライア氏による文書内容の誤りと同氏の取引上の行状
上記の点に関し、請求理由中で被請求人が上記両商標を日本で出願登録することにつき、請求人及びマグネジェン社のいずれからの許諾を受けていない旨の指摘は事実に反し、請求人作成の前記登録異議申立の甲第2号証、本件請求の甲第5号証及び同6号証の柴田英機氏、ジェフリー・チュー氏の陳述内容及びこれらに基づく請求理由中の主張も事実に反する。
そもそも年間を通じ数億円もの支払いが予想される国際商取引と、国内における多大な経費負担を伴う磁気活性化装置の新規の販売業務を、使用商標の正当な取得を担保しないで行うということ自体が常識的に考えられず、この意味で被請求人が本件商標を適正な手順により取得していることは極めて自然であり且つ常識にかなったものである。
e.甲第5号証、同第6号証、同第9号証及び同第10号証の証拠力について
請求人の上記主張内容を立証しようとする甲第5号証、同第6号証及び同第9号証、同第10号証は、その記載事項が単に事実に反するだけでなく、既に述べたように被請求人に対して請求人と共に取引上、雇用契約上、会社経営上等においてすべての信義則にもとる一連の背行為を働いた張本人又はその協力者である柴田英機氏、ジェフリー・チュー氏等によって恣意的に作成されたものといわざるを得ず、請求人の主張を裏付けるべき証拠としては証拠力に欠けるものである。
2 商標法第4条第1項第19号の請求理由に対する反論
請求人は、被請求人が商標「MAGNEGEN」が、その出願以前から日本国を含め世界各国において周知の商標であったこと、外国および日本における周知商標がわが国において登録登録されていないことを奇貨とし、国内における代理人としての地位を不当に独占する不正目的での使用を意図して商標登録出願したものであることを、甲第7号証〜甲第12号証を引用して立証しようとしている。しかしながら、上記主張は以下の点で誤りである。
(1)本件出願前より日本及び世界各国で周知商標であったとする点
商標「MAGNEGEN」が日本及び世界各国で周知であったとする唯一の証拠である甲第7号証の季刊誌「CTI JournalSummer」は、発行部数や頒布地域も明らかでないために、該商標の周知判断の何らの手掛かりにもならないだけでなく、該商標の関連商品が唯一回掲載されただけで世界や日本国内で周知になったとは到底考えられない。
(2)模造、偽造との主張の根拠について
請求人は、被請求人がマグネジェン社の製品を模造し、偽造ラベルを付して販売した旨繰り返し主張しているが、そもそも被請求人がマグネジェン社のどの製品をどのように模造したのか、同社のどのラベルをどのように偽造したのかについては全く触れていないし、立証もしていない。
(3)商品の完成と取引上の障害の経緯
株式会社ヒューマンネットワーク 代表者波田野辰雄が乙第5号証で述べているように、商標「MAGNEGEN」に係る磁気活性化装置は、波田野辰雄がその構想を米国に持ち込み請求人との打ち合わせによって試作を依頼し、商品として完成したもので、元々「スーパーマグ」はマグネジェン社に存在していないものであり、米国製品に対する顧客評価への期待と請求人との友好的な取引を期待して「MAGNEGEN」の商標を付するには至ったものの、請求人の完成商品を単純に輸入したものではない。
3 商標法第4条第1項第8号の請求理由に対する反論
請求人主張のようにマグネジェン社が「MAGNEGEN LTD.」の商号で本件商標出願前に米国に存在していた事実は認めるが、本件商標は上段に「MAGNEGEN」を下段に「マグネジェン」を横書きしてなり、マグネジェン社の商号「MAGNEGEN LTD.」でもなく、これを含むものでもないから請求人の主張は根拠がない。
この点に関し請求人は法人の性格を「LTD.」は省略されて使用されるのが通常であり、本件商標は上記商号と実質上同一の名称であると主張しているが、この主張は以下に述べるように商標第4条第1項第8号の解釈を誤っている。
すなわち、商標法第4条第1項第8号所定の他人の名称とは、当該他人が外国の会社である場合には、当該国の法令の規定に則って付されたその正式な名称をいい、当該国の法令において、株式会社等の組織形態を含まないものが法令上の正式名称とされているとき以外は、これを含むもののみが同号所定の他人の名称に当たると解するのが相当である。
4 まとめ
以上のとおり、請求人の請求理由は、いずれも根拠がない。

第4 当審の判断
1 甲各号証より、以下の事実を認めることができる。
(1)請求人は、「鉄パイプおよび非鉄パイプに気体流と液体流に垂直な磁束を発生させるための磁気源およびコンデンサー」(水質活性化装置)に関する特許を1993年12月14日に米国特許第5269915号(甲第4号証)として取得し、また、「MAGNEGEN」の文字よりなる商標を1993年4月6日に米国登録商標第1762456号(甲第3号証)として取得しているものであり、請求人の関係会社マグネジェン社の総括責任者である。
(2)請求人の提出したの季刊誌「CTI Journal Summer l997,Vol.18,NO.2 」(甲第7号証)には、水処理装置における磁気活水器として「MagneGen PipeProtector」が紹介されている。
そして、商品の照会先として、米国、日本など17カ国におけるフリーダイヤルNO.が記載されていることからも、商標「MagneGen」は、本件商標が出願される前から米国において請求人及び請求人の関係会社の取扱に係る水質活性化装置について使用されていたことが認められる。
(3)請求人の関係会社であるカリフォルニア州のSuperUSA LLCと被請求人の間で締結された1997年7月16日付「限定的独占販売契約書」(甲第2号証)によれば、被請求人がわが国で販売する「水質活性化装置」は、請求人が米国で特許を受けている商品であること及び当該商品に使用する商標「MagneGen」は米国登録商標であることが明記されている。
(4)上記(3)の契約後SuperUSA LLCは被請求人に対し、契約書に定める権利喪失の通告「日本における販売権の自動喪失」を1998年8月1日付で行っている(甲第8号証)。
(5)以上の事実を総合すると、本件商標の出願前から、請求人が米国をはじめ他の国においても「MagneGen」商標を使用していたものと認められ、前記した乙第2号証に記載されている。
2 そうとすれば、被請求人は、請求人の「MagneGen」商標の存在を知りながら、請求人の承諾なしにこれら商標と実質的に同一の商標「MAGNEGEN」を上段に書してなり、下段に「マグネジェン」とその読みを片仮名で表し前記したとおりの構成よりなる本件商標を出願し、登録を受けたものというのが相当である。
被請求人は、「MagneGen」商標の登録については、請求人及び請求人関係会社が承諾していた旨主張しているが、両者の取引関係が契約に基づいて支障なく行われていた時期のことであれば請求人が黙認していたと考えられる場合があるとしても、承諾したとする事実を示す証拠がなく、かつ、契約書に定める権利を被請求人が喪失したことは(4)のとおりであるから、被請求人に係る商標であるとの主張は失当である。
しかして、請求人と被請求人とは本件商標の登録時には契約関係にはなく、かつ、本件商標構成中の「MAGNEGEN」が前記した事情にある中で登録された本件商標は、公正な取引秩序を乱すおそれがあるばかりでなく、国際信義に反し公の秩序を害するものといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2002-10-31 
結審通知日 2002-11-06 
審決日 2002-11-20 
出願番号 商願平9-166276 
審決分類 T 1 11・ 22- Z (Z11)
最終処分 成立  
前審関与審査官 渡邉 健司 
特許庁審判長 三浦 芳夫
特許庁審判官 柳原 雪身
小林 和男
登録日 1999-09-03 
登録番号 商標登録第4312056号(T4312056) 
商標の称呼 マグネジェン 
代理人 小林 英一 
代理人 河野 誠 

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