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審決分類 |
審判 全部無効 商4条1項10号一般周知商標 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 025 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 025 審判 全部無効 商4条1項19号 不正目的の出願 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 025 審判 全部無効 商4条1項7号 公序、良俗 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 025 審判 全部無効 商4条1項8号 他人の肖像、氏名、著名な芸名など 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 025 |
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管理番号 | 1070921 |
審判番号 | 審判1999-35666 |
総通号数 | 38 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2003-02-28 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 1999-11-16 |
確定日 | 2002-03-25 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第3112819号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第3112819号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第3112819号商標(以下「本件商標」という。)は、平成5年2月3日に登録出願され、別掲(1)に示すとおりの構成よりなり、第25類「運動用特殊衣服」を指定商品として、同8年1月31日に設定登録されたものである。 2 請求人の引用する商標 請求人は、バレエシューズを初めとする各種バレ工用品について、長年にわたって使用してきた別掲(2)に示すとおりの構成よりなる商標(以下「引用商標」という。)を引用している。 3 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第10号証を提出した。 (1)引用商標の著名性について 請求人は、バレエシューズを始めとする各種バレエ用品の製造・販売を行うロシアの企業であり、非常に特徴のある装飾的字体よりなる「GRISHKO」のロゴマーク及びワードマークをロシアを始めとする各国において出願し登録を受けている(甲第1号証ないし同第3号証)。 請求人の製品は、手作りとそれゆえの高品質を特徴とし、ロシアを代表する「ボリショイバレエ団」、「キーロフバレエ団」を始め、東欧の各バレエ劇団に提供されている。1990年からは、グリシコ製品は東欧以外の諸外国においても販売されるようになり、現在ではアメリカ、アジア、西欧の約40ヶ国においてグリシコ製品は販売されている(甲第4号証)。また、甲第5号証が示すようにロシアのバレエ雑誌においてもグリシコ社は大きく取り上げられている。 日本においては、1993年より、被請求人である「グリシコジャパン有限会社」を代理店として、製品の販売を開始した。例えば「Art Gallery FAIRY」、デパート等で製品の展示会を開催し(甲第6号証)、またバレエ雑誌やバレエ公演プログラム等にも広告を掲載する(甲第7号証ないし同第9号証)等してグリシコ製品に関する宣伝活動が行われてきた。 以上のように、グリシコ社及び引用商標は、本件商標の出願時である平成6年7月29日には、諸外国ばかりでなく、我国においても著名となっていたものである。 (2)商標及び商品の類否について 本件商標は、我国で著名となっている引用商標と装飾字体の構成までそっくりそのままの同一商標である。 また、請求人が提供する商品「バレエ用被服」である「レオタード」と本件商標の指定商品である「運動用特殊衣服」とは、互いに抵触する商品であり、非類似の商品としても、いずれも特殊な運動の際に使用されるものであって、その需要者、流通経路等を同一とするため密接な関係を有する商品である。 (3)商標法第4条第1項第10号及び同第15号について 本件商標と引用商標とは、上記のとおりのものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。また、上記事情の下、本件商標がその指定商品に使用されるときには、その商品が請求人によって直接販売されているか、または特約の下に販売されているか、その他請求人と何らかの経済的若しくは組織的関係を有するものによって販売されているかのごとき混同を需要者に生じさせるおそれがあるから、同第15号にも該当する。 (4)商標法第4条第1項第7号及び同第19号について 本件登録は、請求人の知らない間に被請求人の名においてなされたものであり、このような状況で、本件商標を出願したことからは、請求人の商標の名声にフリーライドすること、請求人との総代理店契約の維持を強制すること、その他請求人の商標を自らの名の下に保有することによる利益を追求せんとする不正の目的が推認できる。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。 また、請求人の許諾を得ていない第三者による本件商標の登録を認めることは、請求人が請求人自身の社標であるロゴマークを我国の市場で自由に使用することを妨げることとなり、公正な国際取引秩序を乱すものであるから、同第7号にも該当する。 (5)商標法第4条第1項第8号について 本件商標は、請求人「GRISHKO LTD.」及びその社長「Nicolai Grishko」の著名な略称を構成要素とする商標である。そして、請求人は、被請求人が当該略称を我国において登録することについて、被請求人に何ら許諾を与えていない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。 4 被請求人の答弁 被請求人は、「請求人の請求を棄却する。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし同第4号証を提出した。 (1)商標法第4条第1項第10号及び同第15号について (イ)請求人が、バレエシューズを始めとする各種バレエ用品の製造・販売を行うロシア企業であることは認める。 (ロ)「GRISHKO」のマークの外国における登録状況については知らない。 (ハ)請求人の諸外国における著名性については、知らない。 なお、甲第1号証ないし同第5号証は、いずれも外国語であり、被請求人には理解できないから、訳文の提出を要求する。 (ニ)平成5年(1993年)から、被請求人が、請求人の総代理店(普通の代理店ではない)として、我国においても商品を販売するようになったことは認める。 その後、平成5年(1993年)3月1日発行の「ダンスマガジン」誌に「FAIRY」が広告を掲載したこと(甲第7号証)、平成6年(1994年)3月29日には「Art Gallery FAIRY」で製品の展示会を開催したこと(甲第6号証)、平成6年(1994年)夏号の「バレエの本」誌に「NOVA」が広告を掲載したこと(甲第8号証)、平成8年(1996年)1月15日発行の「ダンスマガジン」誌に被請求人が広告を掲載したこと(甲第9号証)は認める。これらは、すべて、被請求人またはその取引先が行ったものであり、甲第6号証の写真も被請求人が撮影して請求人に送付したものである(写真のネガも被請求人が所持している)。 (ホ)本件商標の出願時は、平成6年(1994年)7月29日ではなく、平成5年(1993年)2月3日である(乙第1号証)。したがって、請求人が周知性の根拠として指摘する甲第6号証ないし同第9号証は、いずれも、本件商標の出願時以後のものであり、周知性の根拠になっておらず、平成5年(1993年)2月3日の時点では、引用商標は、周知となっていなかったものである。 (ヘ)なお、その後、請求人と被請求人は、平成6年(1994年)7月11日、総代理店契約を締結している(平成7年3月22日に被請求人の社名変更により再契約)。これは、請求人のいうような単なる代理店契約ではない。そこでは、請求人が日本国内において、被請求人以外の顧客に対して直接販売を行うことが禁止され、被請求人には、「GRISHKO」の名称の独占使用権が認められているのである(乙第2号証)。 (ト)本件商標と引用商標の同一性については認める。しかしながら、「バレエ用被服」と「運動用特殊衣服」は、需要者、流通経路等を異にするものである。 (2)商標法第4条第1項第7号について 公序良俗違反の商標とは、社会公共の利益や社会の一般的道徳観念に反するものをいうのであり、請求人の個人的な社標の保護を目的とするものと解すべきではない。請求人が請求人自身の社標であるロゴマークを我国の市場で自由に使用することが認められるかどうかは、10号または15号によって判断されるべきものであり、それらに違反しないとされた場合に、これを改めて7号で判断することは不適切である。 また、先述の通り、請求人と被請求人との間の総代理店契約により、請求人が日本国内において、被請求人以外の顧客に対して直接販売を行うことが禁止され、被請求人には、「GRISHKO」の名称の独占使用権が認められている。したがって、請求人が請求人自身の社標であるロゴマークを我国の市場で自由に使用することができないのは、総代理店契約の内容でもあり、公序良俗には反しない。 さらに、被請求人は、平成5年(1993年)1月に、請求人の元へ訪れた際に、請求人の承諾を口頭で得て、平成5年(1993年)2月3日、本件商標の出願を行ったものである。 また、請求人と被請求人は、平成6年(1994年)7月11日、総代理店契約を締結しているところ、その契約書には、本件商標の登録を認める明文は存しないが、そこでは、請求人が日本国内において、被請求人以外の顧客に対して直接販売を行うことが禁止され、被請求人には、「GRISHKO」の名称の独占使用権が認められているのである。 したがって、実質的には、本件商標の登録を認めることと同一の内容になっているのである。 その後、被請求人代表者の姉の奥内知子が、平成7年(1995年)3月21日に請求人を訪問した際に、請求人は被請求人に対して、商標が登録されている国のりスト(乙第3号証)を手渡し、「この39番目に日本が追加される。」という会話をした。その後、被請求人は、平成8年(1996年)1月15日発行の「ダンスマガジン」誌に広告を掲載し(甲第9号証)、そこに、「世界約40ケ国に輸出され」と記載しているが、これは、乙第3号証によって、請求人が輸出している国の数を知ることができたからである。 (3)商標法第4条第1項第19号について 本件商標の出願日である平成5年(1993年)2月3日時点では、請求人の商標に名声が存しないことは、先述の通りであり、請求人と被請求人は、総代理店契約は締結していない。総代理店契約の締結は、その後の平成6年(1994年)7月11日である。 したがって、未だ総代理店契約を締結していない本件商標の出願日に、「請求人との総代理店契約の『維持』を強制すること・・・による利益を追求せんとする不正の目的」などあり得ない。 なお、その後、平成12年(2000年)3月24日に、被請求人は、請求人に対して、総代理店契約の遵守を要請したが(乙第4号証)、これは、総代理店契約の契約内容から、その遵守を要請しただけであって、本件商標登録を前提に総代理店契約の維持を強制したわけではない。締結した契約の遵守を要請するのは、当たり前のことである。 請求人は、「被請求人と本件商標の譲渡について交渉を行っていたが、被請求人は、譲渡に際し、請求人の譲歩を引き出すことを企図し、一向に本件商標を返還する意向を見せていない」と主張している。 しかしながら、請求人は、被請求人と何ら交渉を行わないまま、平成11年(1999年)11月16日、いきなり本件審判を請求し、その直後、被請求人に対して、審判申立書の写を送付するとともに、本件商標の譲渡を要求し、被請求人が、これに対して、平成12年(2000年)3月24日、譲渡することを前提にその条件を提示したところ(乙第4号証)、その後4ケ月以上、これに対して何らの回答もないまま、いきなり、本件手続補正書副本の送達に至ったのである。 請求人は、被請求人との間の総代理店契約を無視して、長年、他社に対する販売を行っていた。実際に、請求人の代理人弁理士は、平成12年1月24日に被請求人に送った手紙の中で、「現在グリシコ社は日本において7つの代理店を有しています」と述べている。被請求人としては、長年の契約違反を快しとは思っていなかったが、請求人との関係を考えて、必死に耐えて来たのである。これに対して、請求人が、いきなり本件無効審判を請求してきたため、被請求人は、請求人に対して総代理店契約の遵守を要請するに至ったのである。 今回送付された手続補正書を見ると、平成12年(2000年)4月5日に、請求人代理人は、被請求人が総代理店契約の遵守を要請したことを自己に有利に記載した書面を特許庁に提出している。そして、現在に至るまで、総代理店契約の遵守の要請については、何らの回答がない。 被請求人に、不正の目的など存しないことは明らかであるし、逆に、請求人には、被請求人と誠実に交渉しようという意思のかけらも存しない。 (4)商標法第4条第1項第8号について 本号の「他人」とは、現に日本国に生存する自然人又は現存する法人と解すべきであり、請求人は、これにはあたらない。 また、本件商標の出願日である平成5年(1993年)2月3日時点では、請求人の略称は著名でなかったことは、先述の通りである。 さらに、被請求人が、平成5年(1993年)1月に、請求人の元へ訪れた際に、請求人の承諾を口頭で得て、本件商標の出願を行ったものであることは、先述の通りである。 5 当審の判断 本件商標は、別掲(1)に示すとおりの構成よりなるものであるところ、請求人は、本件商標は商標法第4条第1項第7号にも該当する旨主張しているので、この点について判断する。 (1)請求人の提出に係る甲第7号証の「ダンスマガジン1993年3月号(株式会社新書館 平成5年3月1日発行)」のグリシコ・トウシューズ、グリシコ・バレエシューズの広告中の記事によれば、「バレエの国からの贈りもの」の表題のもとに、「もうすぐバレエの国ロシアから素晴らしいトウシューズが届きます ロシアのトウシューズメーカー『グリシコ』はバレリーナーの足を知り尽くしています。・・・」との記載があり、甲第9号証の「ダンスマガジン バレエ年鑑1995(株式会社新書館 平成8年1月15日発行)」の広告中の記事には、「Grishko」商標のもとにバレエシューズ、トウシューズが掲載され、「ロシアでは高品質の手作りシューズがダンサーたちの足を支えてきました。その伝統の技術を継承し、ダンサー、靴製作者、シュードクターが健康と美しさを探求して誕生したブランド『グリシコ』。今では世界40ケ国に輸出され、日本でも発売以来、多くの賞賛をいただいています。」、「『グリシコ』はボリショイ、キーロフ、キエフ、ロシアの三大バレエ団のオフィシャル・サプライヤーです。」と記載されている。又、甲第6号証のArt Gallery FAIRYにおける展示会を写した写真(94 3 29の日付が写し込まれている)によれば、展示会場の案内表示板には「ロシア・バレエ衣装展」の文字の上部に「Grishko」商標が表示されており、会場内にはバレエ用被服をはじめバレエ用品が展示されている。そして、特に、バレエシューズの展示場所には、「Grishko」商標が表示されたパネルが掲げられている。 また、被請求人の提出に係る乙第3号証(リスト)によれば、請求人の引用商標は、ロシアをはじめ38ケ国において登録されていたことを認めることができる。 上記の各証拠を総合すると、請求人は、引用商標を「バレエシューズ、トウシューズ」等のバレエ用品について使用していたこと、引用商標は、本件商標の出願前には、少なくとも請求人の母国であるロシアをはじめ相当数の国において商標登録されていたこと、請求人は、「バレエシューズ、トウシューズ」等のバレエ用品をロシアを代表する「ボリショイバレエ団、キーロフバレエ団、キエフバレエ団」に提供していたばかりでなく、相当数の諸外国においても販売し、好評を博していたことを認めることができる。 そして、被請求人は、平成5年(1993年)1月には請求人を訪れていた旨を述べており、又、被請求人は、請求人が平成5年(1993年)から、被請求人を代理店として、我が国においてもグリシコ製品の販売を開始するようになったことを認めている。 してみれば、本件商標の出願前に、被請求人と請求人との間で代理店関係が成立していたか否かは定かではないが、少なくとも、被請求人は、既に、請求人との接触を図っていたことが窺われ、請求人の業務に係る「Grishko」製品の日本での販売について少なからぬ関心を抱いていたことは明らかなことといわなければならない。 しかして、本件商標と引用商標とは、別掲(1)及び(2)に示したとおり、その構成中の「s」の文字を特徴のある装飾字体で表した「Grishko」の欧文字からなるものであり、その構成を同一にするものであって、偶然に一致したものとは認め難いものである。また、その指定商品についても、本件商標の指定商品「運動用特殊衣服」と請求人の業務に係る商品「バレエ用被服」等とは、類似する商品ではないとしても、互いに近接した関係にある商品ということができる。 加えて、被請求人は、本件商標と同一の構成からなる商標を「バレエ用タイツ,バレエ用レオタード,その他のバレエ用舞台被服,トゥシューズ,その他のバレエシューズ」等を指定商品として、平成6年7月29日に出願をし、その登録を受けている。 そうとすれば、被請求人は、請求人との接触の過程で知り得た情報をもとに、本件商標が請求人の業務に係る引用商標と同一の態様の商標であることを承知のうえ、請求人の我が国への進出に歩調を合わせるように、請求人に無断で本件商標の商標登録出願をし、その登録を受けたものといわざるを得ない。 してみれば、被請求人のかかる行為によって登録された本件商標は、国際商道徳に反するものであって、公正な取引秩序を乱すおそれがあるばかりでなく、国際信義に反し、公の秩序を害するものといわなければならない。 (2)これらの点について、被請求人は、甲第6号証ないし同第9号証は、いずれも、本件商標の出願時以後の作成に係るものであるから、出願時を基準とする周知性の根拠にはなっておらず、しかも、これらの広告の掲載等は、被請求人又はその取引先が行ったものであること、また、総代理店契約により、被請求人には「Grishko」の名称の独占使用権が認められているのであるから、実質的には、本件商標の登録を認めることと同一の内容になっていること、更に、被請求人は、平成5年(1993年)1月に、請求人の元へ訪れた際に、我が国における出願について請求人の承諾を口頭で得ている旨主張している。 しかしながら、甲第6号証ないし同第9号証が引用商標の周知性の根拠になるか否かは別にしても、それらの記載内容は、本件商標の出願当時における請求人の業務に係るグリシコ製品の実情を把握することに十分役立つものであり、被請求人自身がグリシコ製品の実情を認識していたことの証左ともなり得るものである。 また、被請求人の主張によれば、請求人と被請求人との間の総代理店契約は、平成6年(1994年)7月1日に締結されたものとのことであり(なお、乙第2号証の協定書は、1995年3月22日付けであるが、被請求人の主張によれば、被請求人の社名変更により再契約されたときのものと認められる)、そうとすれば、本件商標は、当該契約以前の出願に係るものであるから、当事者間で代理店契約があったとしても、口頭による契約等によるものと推認し得るところ、その代理店契約が乙第2号証の契約と内容において同様のものであったとしても、乙第2号証の契約書には、被請求人が我が国において、引用商標と同一の構成からなる商標をバレエ用品等を指定商品として出願し、商標登録を受けることを許諾する旨の条項は見当たらない。 そして、「Grishko」の名称の独占使用権にしても、乙第2号証の第14章に規定されているように、この使用権は「買い手の販売に関する”Grishko”の名称の独占使用権」であり、この使用権が独占的なものであるからといって、我が国において「Grishko」の名称について商標登録を受けることまで認められていたと解することは到底困難なことといわなければならない。 更に、被請求人は、請求人の承諾を口頭で得ている旨の主張をするのみで、例えば、関係者の陳述書の提出、証人申請等、これを具体的、積極的に立証する手段を何ら講じていない以上、被請求人の主張を採用することはできない。 なお、商標法第4条第1項第7号に該当する商標は、被請求人が主張するような社会公共の利益や社会の一般的道徳観念に反するものに限定されるものではなく、前述のような状況のもとにおいて登録された本件商標も、公正な取引秩序を乱し、国際信義に反し、公の秩序を害するものというべきであるから、この点についての被請求人の主張も採用することはできない。 (3)むすび したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものと判断するのが相当であるから、本件商標の登録は、同法第46条第1項の規定により、無効とすべきである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別 掲 (1)本件商標 (2)引用商標 |
審理終結日 | 2002-01-23 |
結審通知日 | 2002-01-28 |
審決日 | 2002-02-12 |
出願番号 | 商願平5-8932 |
審決分類 |
T
1
11・
271-
Z
(025)
T 1 11・ 222- Z (025) T 1 11・ 22- Z (025) T 1 11・ 23- Z (025) T 1 11・ 25- Z (025) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 米重 洋和、岩内 三夫 |
特許庁審判長 |
三浦 芳夫 |
特許庁審判官 |
滝沢 智夫 中嶋 容伸 |
登録日 | 1996-01-31 |
登録番号 | 商標登録第3112819号(T3112819) |
商標の称呼 | グリシュコ |
代理人 | 青木 博通 |
代理人 | 中田 和博 |
代理人 | 中嶋 公雄 |
代理人 | 足立 泉 |
代理人 | 柳生 征男 |
代理人 | 堀合 辰夫 |
代理人 | 堀合 美賀 |