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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 取り消して登録 Z05
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 取り消して登録 Z05
管理番号 1069123 
審判番号 審判1999-10668 
総通号数 37 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2003-01-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-07-01 
確定日 2002-11-27 
事件の表示 平成 9年商標登録願第186944号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 1 本願商標
本願商標は、「ZYMIN」の欧文字と「チミン」の片仮名文字とを二段に横書きしてなり、第5類「薬剤」を指定商品として、平成9年12月19日に登録出願されたものである。

2 原査定の理由
本願商標は、「ZYMIN」「チミン」の文字を書してなるものであるところ、これは「医学英和大事典」(株式会社南山堂発行)によれば、「膵臓エキス(治療用)、有機化酵素」を意味するものであるから、本願商標をその指定商品について使用するときは、膵臓エキスあるいは有機化酵素を成分に含有した薬剤であることを表したものと理解させるにとどまり、単に商品の品質、原材料を表示するにすぎないものと認める。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、膵臓エキスあるいは有機化酵素を成分に含有した商品以外の商品に使用するときは商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。

3 請求の理由
請求人は、審判請求の理由として、要旨以下のとおり述べ、甲第1号証ないし同第9号証を提出している。
(1)請求人は、本願商標の綴り文字である「ZYMIN」「チミン」の文字からなる登録第187495号商標(大正15年12月24日に設定登録、昭和61年12月24日に商標権の存続期間満了により登録の抹消が同63年4月7日にされている。)、及び登録第2039057号商標(昭和63年4月26日に設定登録、平成10年4月26日に商標権の存続期間満了により登録の抹消が同11年1月26日にされている。)を所有していた(甲第1-1号証ないし同第1-4号証)が、登録当時の審査官より第3条第1項第3号に該当すると指摘された経過もなく、またこの存続期間中第3者との間で商標法第3条第1項第3号に該当する問題もなかった。
(2)「ZYMIN」の語については、審査官指摘のように1997年及び1974年発行の「医学英和大辞典(株式会社南山堂)」(甲第2号証、同第3号証)に、「膵臓エキス(治療用)、有機化酵素」との記載があり、いずれも同じ編者、発行人によるものであり、英文辞書である1957年の「DORLAND’S ILLUSTRATED MEDICAL DICTIONARY」(甲第4号証)にも記載されている。しかし、平成2年発行の「ステッドマン医学大辞典(メジカルビュー社発行)」(甲第5号証)及び「KENKYUSHA’S NEW ENGLISH-JAPANESE DICTIONARY」(KENKYUSHA)(甲第6号証)には「ZYMIN」の記載はなく、「広辞苑」(株式会社岩波書店発行)(甲第7号証)にも「チミン(ZYMIN)」の記載はない。
以上からすると、「ZYMIN」の語は古くからある語であるが、現代ではほとんど使用されない言葉と考えられ、一般の需要者において「膵臓エキス(治療用)、有機化酵素」を表わすものと認識するものでなく、また当業者においても普通に用いられる名称と認識しないと考えられる。さらに「有機化酵素」との記載は通常の生化学辞典等に記載がないこと、20年以上異なる発行年となっているが同一編者、同一発行人の辞書にだけ同一の記載があることからも「ZYMIN」なる語は現代ではほとんど使用されないものであることが裏付けられる。
(3)「チミン」については、当該商標出願人が厚生大臣(現、厚生労働大臣)に対し胃腸薬の医薬品製造承認を受けた医薬品の販売名である(甲第8号証)。医薬品製造承認を受けるにあたり、厚生省(現、厚生労働省)および神奈川県の厚生行政熟達者から販売名について何らの指摘もなかった。このように本願商標について、「膵臓エキス(治療用)、有機化酵素」を意味し商品の品質、原材料を表示し、ゆえに胃腸薬について販売名が適切でないとの指摘を受けていないことから、これら厚生行政官においても「膵臓エキス(治療用)、有機化酵素」との認識をしていなかったものと考えられる。
一般世人に日常親しまれていない語は、使用商品に使用しても商品の品質を表示するものとして理解し認識せしめるものでないとしている過去の審決例として甲第10号証及び同第11号証を提出する。
(4)以上のことから、本願商標が「ZYMIN」「チミン」の文字を普通に用いられる方法をもって書してなるものであっても、その商標をその指定商品について使用しても、膵臓エキスあるいは有機化酵素を成分に含有した薬剤であることを理解すると考えられないから、商標法第3条第1項第3号に該当しないものであり、かつ、商品の品質の誤認を生じさせるおそれもないので、同法第4条第1項第16号に該当するものでない。

4 当審の判断
本願商標は、前項1のとおり、「ZYMIN」と「チミン」の文字とを二段に横書きしてなる構成であるところ、請求人提出の甲号各証及び職権調査によると、以下の事実が認められる。
登録第187495号、同第2039057号の商標登録原簿の写し及びその登録商標に関係する商標公報である甲第1-1号証ないし同第1-4号証によると、「ZYMIN/チミン」の文字からなる商標は、大正15年12月24日に設定登録されて以来、昭和61年12月24日から同63年4月26日までの間を除いて平成10年4月26日まで継続して化学品、薬剤等を指定商品として商標登録されていたこと、平成5年1月28日付医薬品製造承認書である甲第8号証によると、「チミン」の文字は、薬事法第14条第1項の規定により医薬品製造承認を受けた医薬品(効能又は効果「整腸(通便を整える)、腹部膨満感、軟便、便秘」)の販売名として認められていること(なお、「販売名」については、厚生省医薬安全局審査研究会監修、薬業時報社発行の「医薬品製造指針(1998年版)」である甲第9号証によると、医薬品の販売名は、当該製造業者が自由に命名して差し支えないのが原則であるとしているが、販売名として適切でないものとして「虚偽及び誇大と思われる名称」、有効成分が異なる品目となる販売名となる場合等「一般的名称の一部を使用した名称」や「二つ以上の有効成分を含有する製剤で、特定の成分のみの製剤と誤解されるような販売名」等15項目にわたり定められている。)、また、原査定の理由及び請求の理由で指摘されている「医学英和大事典」(株式会社南山堂発行)の甲第2号証、甲第3号証、「DORLAND’S ILLUSTRATED MEDICAL DICTIONARY」(1957年)の甲第4号証には、「zymin」について記載されているが、その発音記号を「zaimin」又は「zimin」と記載されていることから、「ザイミン」又は「ジミン」と発音されるものと認められる。その他、職権をもって調査するも上記文献以外に「zymin(チミン)」の語について記載されている文献又はその語を使用している例を発見することができなかった。
上記事実からすると、「zymin(zaimin)」又は「zymin(zimin)」の語が上記「医学英和大事典」等の文献に掲載されていたとしても、「zymine/チミン」が「膵臓エキス(治療用)、有機化酵素」を意味する語として、指定商品を取り扱う業界において理解されるものとは認め難く、少なくとも「チミン」については、上記意味で認識されるものと認めることはできないものである。
してみると、本願商標は、その指定商品の原材料、品質を表示する標章のみからなるものということはできないものであり、かつ、商品の品質の誤認を生じさせるおそれのあるものとはいえない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものとして、本願を拒絶することはできない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決日 2002-11-11 
出願番号 商願平9-186944 
審決分類 T 1 8・ 272- WY (Z05)
T 1 8・ 13- WY (Z05)
最終処分 成立  
前審関与審査官 小川 有三 
特許庁審判長 宮下 正之
特許庁審判官 平山 啓子
小林 和男
商標の称呼 チミン、ジミン、ザイミン 

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