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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Z33
管理番号 1067948 
審判番号 不服2000-16119 
総通号数 36 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2002-12-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-10-10 
確定日 2002-10-03 
事件の表示 平成10年商標登録願第75171号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第33類「アルコール飲料(ビールを除く),ワイン,蒸留酒,リキュール」を指定商品として、平成10年9月2日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶理由
原査定は、「この商標登録出願に係る商標は、指定商品との関係よりすれば、この種の商品がその容器の形状として通常採用し得る立体的形状に、その商品の原材料を表示したものと認識される文字及び図形を普通に用いられる方法で表示してなるものであるから、これを本願指定商品に使用しても、全体として商品の原材料及び容器の形状を表示するにすぎず、自他商品の識別標識としての機能を有しないものと認める。したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨、認定、判断して本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)平成8年法律第68号により改正された商標法は、立体的形状若しくは立体的形状と文字、図形、記号等の結合又はこれらと色彩との結合された標章であって、商品又は役務について使用するものを登録する立体商標制度を導入した。立体商標は、商品若しくは商品の包装又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状も含むものであるが、商品等の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであり、本来的(第一義的)には商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として採択されるものではない。
そして、商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは前記したように商品等の機能、又は美感をより発揮させるために施されたものであって、本来的には、自他商品を識別するための標識として採択されるのではなく、全体としてみた場合、商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者、需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するに止まり、このような商品等の機能又は美感と関わる形状は、多少特異なものであっても、未だ商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないと解するのが相当である。
また、商品等の形状は、同種の商品等にあっては、その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるから、取引上何人もこれを使用する必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でない。
そうとすれば、商品等の機能又は美感とは関係のない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状をもって構成される商標については、使用をされた結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者、需要者間において当該形状をもって同種の商品等と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。
(2)立体商標制度を審議した工業所有権審議会の平成7年12月13日付け「商標法等の改正に関する答申」(30頁)においても「3.(1)立体商標制度の導入 需要者が指定商品若しくはその容器又は指定役務の提供の用に供する物の形状そのものの範囲を出ないと認識する形状のみからなる立体商標は登録対象としないことが適当と考えられる。・・・ただし、これらの商標であっても使用の結果識別力が生ずるに至ったものは、現行法第3条第2項に基づき登録が認められることが適当である。」としている。
(3)ところで、本願指定商品を取り扱う業界においては、商品が液体であることより、その収納容器として特徴をもたせた使いやすさ、購買力をそそる美観を備えた形状が採択されていることは、その取引の実際に照らして明かである。
(4)前記(1)ないし(3)で認定した実情を考慮して、本願商標についてみるに、本願商標の特徴は、上記した商品等の機能(使い易さ等)や美感(見た目の美しさ)を効果的に際立たせるための範囲内のものというべきであるから、自他商品の識別力を有するものとは認められない。
すなわち、本願商標は、その水色を施した容器とその容器の表面の2面に文字及び図形が表されているものであるところ、該水色は、単に容器の美観をより発揮させるためのものと理解させるに止まるものである。
また、容器表面の文字及び図形は、アーモンドの実を表した図形と「ALMONDS From Spain」(スペイン産のアーモンド)、レモンの実を表した図形と「LEMON PEEL From Spain」(スペイン産のレモンの皮)、かんぞうの葉と根を表した図形と「LIQUORICE From China」(中国産の甘草(かんぞう))、杜松の図形と「JUNIPER BERRIES From Italy」(イタリア産の杜松の実)、アイリスの根の図形と「ORRIS (Iris root) From Italy」(イタリア産のアイリスの根)の5種類が表され、他の面には、アンゼリカの図形と「ANGELICA (Root) From Saxsony」(サクソニー産のアンゼリカの根)、コリアンダーの図形と「CORIANDER (Seeds) From Morocco」(モロッコ産のコリアンダーの根)、桂皮の図と「CASSIA BARKK From Indo-China」(インドシナ産の桂皮)、クベバの図形と「CUBEB BARKS From Java」(ジャワ産のクベバ)、グレインオブパラダイスの実の図形と「GRAINS OF PARADISE From West Africa」(西アフリカ産グレインオブパラダイス)の5種類が表されていると認められるところ、これらの10種類はいずれもその商品の原材料として普通に使用されているものである。
したがって、本願商標は、これをその指定商品、とりわけ「リキュール」について使用しても、全体として、自他商品の識別標識としての機能を有しないものと判断するのが相当である。
(5)請求人は、「本願商標中の文字と図形は原材料を表すものとして認定されているが、本願商標に表されている図形が指定商品の分野の業界において、原材料を示すものとして普通に用いられている事実はない。また、別掲のように本願商標には文字及び図形が表されており、このような組み合わせが商品の原材料を表すものとして普通に用いられている事実も発見できない。」旨主張している。
しかしながら、本願商標は、その指定商品との関係からすれば、取引者、取引者は、本願商標中に表されている種々の文字及び図形が、単に商品の原材料及びその産地を表示したものにすぎないと認識するに止まることは前記したとおりである。
(6)結 論
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとした原査定の認定、判断は、妥当なものであって取り消すべき理由はない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
本願商標


(注;色彩は、原本参照のこと。)
審理終結日 2002-03-14 
結審通知日 2002-03-22 
審決日 2002-05-14 
出願番号 商願平10-75171 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (Z33)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山田 啓之吉野 晃弘 
特許庁審判長 茂木 静代
特許庁審判官 小林 和男
佐藤久美枝
代理人 谷口 登 
代理人 柳生 征男 
代理人 青木 博通 
代理人 足立 泉 
代理人 中田 和博 

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