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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 110 |
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管理番号 | 1067732 |
審判番号 | 取消2000-31201 |
総通号数 | 36 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2002-12-27 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2000-10-10 |
確定日 | 2002-10-15 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第2644527号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第2644527号商標の指定商品中「理化学機械器具、測定機械器具」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第2644527号商標(以下「本件商標」という。)は、「SUMMIT」の欧文字と「サミット」の片仮名文字とを上下二段に横書きしてなり、平成3年9月24日に登録出願、第10類「理化学機械器具、光学機械器具、写真機械器具、映画機械器具、測定機械器具、写真材料」を指定商品として、同6年4月28日に設定登録されたものである。 第2 請求人の主張の要点 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由として次のように述べた。 本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、その指定商品中「理化学機械器具、測定機械器具」について使用されていないものであるから、該商品についての登録は、商標法第50条の規定により取り消されるべきものである。 第3 被請求人の答弁の要点 被請求人は、本件審判の請求は却下する、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べた。 請求人は、本件商標に対して、商標法50条1項に基づく不使用取消審判を請求した。 しかしながら、本件審判請求は、請求権の濫用、すなわち権利の濫用であり却下されるべきである。 1 本件審判請求に関する経緯 (1)請求人 平成11年6月23日 「SUMMIT」出願(商願平11-55947) (2)請求人 平成12年10月10日 本件審判請求 (3)被請求人 平成13年2月10日頃 本件審判請求書副本受領 (4)被請求人 平成13年3月1日 請求人と話し合いに入る旨等の上申書提出 (5)被請求人 平成13年3月6日 請求人に対し話し合いによる解決を申し入れ(乙第1号証) (6)請求人 平成13年4月13日 回答の猶予連絡 (7)請求人 平成13年4月25日「SUMMIT」(商願平11-55947)の出願断念及び本件審判請求の放置の回答(乙第2号証) (8)被請求人 平成13年5月2日 本件審判請求の取下げ要請(乙第3号証) (9)その後、上記要請に対する返答を再三督促したが何ら回答なし 2 本件審判請求を却下すべき理由 (1)本件審判請求、すなわち、商標法50条1項に基づく不使用取消審判を請求するについては、平成8年の改正で、何人も請求することが出来るとして、請求人適格については緩和されたが、被請求人を害するような嫌がらせ的請求については、権利濫用として、許されないことは、当時から明らかにされているところである(乙第4号証、同第5号証)。 また、平成8年の不使用取消審判に関する一連の改正では、その趣旨には譲渡交渉等のための当事者間の話し合いの促進、自主的な解決も含まれているところである(乙第6号証、同第7号証)。 (2)これを本件審判請求についてみるに、請求人は、自らの出願商標の障碍を取り除くべき本件審判請求に及んだが、その後出願商標の登録を断念したにも関わらず、被請求人の話し合いによる解決の提案を斥け、かつ、本件審判請求については放置すると明言して、被請求人の取下げ要請に対しても、拒否し続けている(甲第2号証、同第3号証)。 被請求人としては、請求人に対して、話し合いによる解決を申し入れしたことは、本件商標及び、同じく請求人出願商標に類似する被請求人所有に係る登録第4425457号商標のいずれについても使用許諾等の用意があることを前提としたものである。 (3)しかるに、請求人は、仮に本件審判請求が成功しても、登録第4425457号商標の存在により商標登録を受けられないことを知るや、本件審判請求の唯一無二の目的である自らの出願商標の登録を断念したにも関わらず、話合いによる解決を拒否して、本件審判請求を放置すると明言し、しかも、被請求人の取下げ要請に対しても拒否し続けていることは、審判請求権の濫用に該当すると解すべきである。 加えて、請求人は、本件商標及び登録第4425457号の存在は、IPDL検索等で容易に知り得たにも関わらずそれをせずして、拒絶理由及び被請求人の申し入れ書によって知ったものであり、前記出願に当たり初歩的な調査を怠り、しかも、拒絶理由を受けて安易に本件審判請求をし、それにも関わらず、被請求人の申し入れ等に対する請求人の各行為は、当事者双方に公平であるべき審判の請求手続及びその維持とは相入れないものであるばかりでなく、平成8年の改正の趣旨にも反するものである。 (4)また、審判請求後その係属中に事情が明らかになって、その審判請求に係る唯一無二の目的達成が不可能と知り、請求自体が全く不必要となってそのことを請求人が被請求人に告げたにも関わらず、話し合いによる解決を拒否して、しかも、被請求人の取下げ要請をも拒否しているような、審判を係属させることが専ら被請求人を害することになるとき、すなわち、本件審判請求の当初においてはそうではなくとも、結果的に被請求人を害するような嫌がらせ的な請求についても、審判請求権の濫用に該当すると解すべきであり、少なくとも審判請求権の濫用と同一視できるというべきである。 3 したがって、本件審判請求は、平成8年の改正の趣旨に反し、権利の濫用に当たるものであるから、却下されるべきである。 第4 当審の判断 1 商標法は、「商標権は、設定の登録により発生する。」(商標法第18条第1項)として、商標権の成立について登録主義を採用しているが、商標法第1条(・・・、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もって産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする。)の規定に照らすと、同法は、使用商標の保護を本来の目的とし、商標権者が登録商標を使用することを保護の前提としているものと解される。 そして、当該登録商標が一定期間継続して使用をしない場合には保護すべき信用がないものと考えられ、その商標権は、前記商標制度の趣旨にそぐわないものであり、他方、そのような不使用の登録商標に対し排他独占的な権利を与えておくのは、その存在により権利者以外の商標使用希望者の商標選択の範囲を狭めることになる等の不合理があることから、商標法第50条の不使用による商標登録の取消審判制度が設けられているものと解される。 したがって、この審判請求をまって、不使用の商標登録を取り消そうというのであり、使用をしていない商標は取り消されてもやむを得ないものである。 2 被請求人は、本件審判請求を却下すべき理由として、商標法第50条1項に基づく不使用取消審判を請求するについては、平成8年の改正で、何人も請求することが出来るとして、請求人適格については緩和されたが、被請求人を害するような嫌がらせ的請求については、権利濫用として、許されないこととされている、と述べている。 しかしながら、本件審判請求は、被請求人も認めるとおり、請求人の出願商標に対し拒絶理由に引用された本件商標の存在を取り除くために行った請求と認められるから、何ら被請求人を害することを目的とする場合には当たらず、その請求は権利の濫用とはいえない。 また、被請求人は、仮に本件審判請求が成功しても、被請求人所有の他の登録商標(登録第4425457号商標)の存在により、商標登録を受けられないことを知るや、本件審判請求の目的である自らの出願商標の登録を断念したにも関わらず、話合いによる解決を拒否して、本件審判請求を放置すると明言し、しかも、被請求人の取下げ要請に対しても拒否し続けていることは、審判請求権の濫用に該当すると解すべきである、と述べている。 しかしながら、本件審判請求は、前記のとおり、請求人の出願商標に対し拒絶理由に引用された本件商標の存在を取り除くために行った請求と認め得るものであり、たとえ本件審判請求による登録の取消しがなされても、被請求人所有の他の登録商標の存在により、直ちに、請求人の出願商標について商標登録を得ることはできないとしても、そのことが、本来使用をしているからこそ保護を受けられるとする商標制度の目的に照らし、不使用による商標登録の取消しを求める本件審判請求の成否自体に直接的に影響を与えるものということはできない。 その他、被請求人の主張をみても、前記1で述べた商標制度の趣旨からみて、商標法第50条に基づく本件審判請求について、請求人の行為が権利の濫用に当たるということはできない。 3 そうとすれば、商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消を免れないところである。 ところが、本件審判の請求に対し被請求人は、前記3の如く答弁するのみで、本件商標を本件審判の取消請求に係る指定商品について使用していたことを証明していないし、又本件商標を使用していないことについて正当な理由があることを明らかにしていないものである。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、指定商品中「結論掲記の指定商品」についての登録を取り消すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2002-08-14 |
結審通知日 | 2002-08-19 |
審決日 | 2002-09-02 |
出願番号 | 商願平3-98564 |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Z
(110)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 鹿谷 俊夫、三浦 芳夫 |
特許庁審判長 |
三浦 芳夫 |
特許庁審判官 |
茂木 静代 野本 登美男 |
登録日 | 1994-04-28 |
登録番号 | 商標登録第2644527号(T2644527) |
商標の称呼 | サミット |
代理人 | 佐藤 英二 |
代理人 | 豊崎 玲子 |
代理人 | 矢野 公子 |
代理人 | 大島 厚 |
代理人 | 工藤 莞司 |
代理人 | 松尾 和子 |
代理人 | 光野 文子 |
代理人 | 中村 稔 |
代理人 | 長谷川 芳樹 |
代理人 | 熊倉 禎男 |