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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 117
審判 全部申立て  登録を維持 117
審判 全部申立て  登録を維持 117
管理番号 1066596 
異議申立番号 異議1997-90318 
総通号数 35 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2002-11-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 1997-11-04 
確定日 2002-09-25 
異議申立件数
事件の表示 登録第4015884号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについてした平成11年12月13日付け決定に対し、東京高等裁判所において決定取消の判決(平成12年(行ケ)第40号、平成13年12月20日判決言渡)がなされ、同判決が最高裁判所において上告審として受理しないとの決定(平成14年(行ヒ)第73号、平成14年7月11日決定言渡)により確定したので、さらに審理のうえ、次のとおり決定する。 
結論 登録第4015884号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第4015884商標は、別掲(1)に示すとおりの構成よりなり、昭和58年5月11日に登録出願、第17類「被服(運動用特殊被服を除く)布製身回品(他の類に属するものを除く)寝具類(寝台を除く)」を指定商品として、平成9年6月20日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由
本件登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、「本件商標は、申立人の名称の著名な略称を含むものであるから、商標法第4条第1項第8号に該当する。また、本件商標は、申立人がその業務に係る『被服類』の商品に使用し、広く一般に知られている『Polo』の文字と同綴りの欧文字を表してなり、かつ、本件指定商品と上記商品とは同一又は類似するものであるから、本件商標をその指定商品に使用した場合には、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるから、同第10号に該当し、さらに、不正の目的をもって使用をするものであるから、同第19号にも該当する。」旨主張し、証拠方法として甲第1号証ないし甲第10号証を提出した。

第3 当審の判断
1 本件登録異議の申立て及び東京高等裁判所における本件に係る商標登録取消決定の取消請求事件において当事者が提出した証拠によれば、次の事実を認めることができる。
(1)申立人の使用商標について
ア 株式会社西武百貨店によりかなりの数量のラルフ・ローレンのポロブランド商品が販売されていたものと認められるが、株式会社西武百貨店は、申立人からのライセンスに基づくいわゆるポロ商品の宣伝販促費として昭和59年までは5000万円台までにとどまっていたのが、それ以降は1億円を超え多い年で13億円を上回る宣伝販促費を投入するに至っていたこと、いわゆるポロ商品の小売りベースでの売上げは昭和52年の5億6200万円を皮切りに、昭和57年に124億円台、昭和58年には150億円台、昭和59年に172億円台となったが、昭和60年には216億円と200億円を超え、平成3年には934億円、平成4年には875億円と飛躍的に増加し、現在でも900億円前後の売上げを記録していることが認められるところからも分かるように、昭和59年までとそれ以降では、宣伝販促費及び小売額の両面において、質的な数値の違いがみられる。
イ また、わが国においては、昭和47年に登録出願され、昭和55年に登録された別掲(2)に示す登録第1434359号商標(「POLO」の文字からなる商標)及び別掲(3)に示す登録第1447449号商標(ポロ競技者の図形と「Polo」の文字からなる商標)が存在していたことから、申立人は株式会社西武百貨店を介して、昭和56年ころから当時の登録第1447449号商標の商標権者であった丸永衣料株式会社と接触していたが、本格的には昭和58年終わりころから上記両商標の使用に関する交渉を行った結果、昭和62年1月1日に発効する通常使用許諾のライセンス契約が申立人と公冠販売株式会社(ライセンス契約時の商標権者)との間で締結され、株式会社西武百貨店もこれを承認したことが認められる。この62年ライセンス契約締結前に、申立人の商品のうち「POLO」ないし「ポロ」商標のみを付した商品がどの程度存在したかは証拠上明らかではなく、むしろ、ほとんどが「Polo by Ralph Lauren」、「ポロ・バイ・ラルフローレン」ないし「ポロ・ラルフローレン」との商標が付されていたものと推認されるところである。
(2)現在商標権者が所有する商標(いわゆる公冠グループ商標)について
ア 商標権者(ポロ・ビーシーエス株式会社)は、公冠株式会社及び公冠販売株式会社が資本金を折半して設立された会社であるが、公冠株式会社及び公冠販売株式会社並びにこれらが手がける商品の卸売り、小売りを扱う商店で構成するいわゆる公冠グループは、「Polo」ないし「Polo」の文字を含む商標による衣料品の製造、販売を昭和47年ころから開始し、昭和55年には公冠販売株式会社の売上額が9億8000万円に上り、昭和56年、57年、58年も、6億2900万円、5億6634万円、6億0743万円の売上額を計上していたことが認められる。
イ そして、申立人は株式会社西武百貨店を介して当初は昭和56年ころから、次いで昭和58年終わりころから、丸永衣料株式会社との間で、登録第1434359号商標及び登録第1447449号商標に関して合意を得るべく交渉を行ったが、丸永衣料株式会社が和議終了後の昭和60年2月に商号変更して公冠販売株式会社と称するようになった後になって、同社と交渉を続けた結果、昭和62年1月1日から発効する、登録第1434359号商標、登録第1447449号商標及びこれらのロゴの通常使用許諾の契約(62年ライセンス契約)が、公冠販売株式会社と申立人との間で締結され、株式会社西武百貨店もこれを了承したことが認められる。この62年ライセンス契約の性質につき、商標権者は通常使用権の設定契約であると主張するのに対し、申立人は不争契約の性質を有するものであると主張する。契約の解釈は契約の効果が問題になる事項ごとに個々に判断すべきであって、一概にいずれの性質のものであるかを断定することはできないが、62年ライセンス契約により、公冠販売株式会社が申立人に対し、ネクタイとマフラーを除く旧第17類の商品について日本国内における登録第1434359号商標及び登録第1447449号商標並びにこれらのロゴの通常使用権を設定したことは明らかであり、申立人がロイヤルティを支払う旨約し、そこにおいて、申立人は、公冠販売株式会社が登録第1434359号商標及び登録第1447449号商標を保有する権利を有することを認めているものと認定することができる。
ウ 公冠販売株式会社は、同社の関連会社を除く第三者に対し、申立人から事前に書面による同意を得ずに登録第1434359号商標及び登録第1447449号商標の権利並びにPOLOないしPOLOのコンセプトを具体化した他の商標の使用許諾を行わないものとされていることが認められ、申立人としても、登録第1434359号商標及び登録第1447449号商標並びにPOLOないしPOLOのコンセプトを具体化した他の商標の使用が、申立人の商品と混同を生じさせるような方法でない限り、公冠販売株式会社及びその関連会社によって使用されることを容認していたものと認めることができる。
(3)本件商標の登録出願時における申立人の使用商標の著名性の有無
ア 昭和57年、58年当時、公冠グループによるPolo商標を付した被服類にも億単位の額の売上げがあったのであり、「Polo」ないし「Polo」の文字を含む衣料品の商標は、公冠グループが現実に使用していて、このことは一般にもある程度知られていたものということができる。
イ そして、「ポロ(polo)」という語が騎乗球技を表す普通名詞であることからすると、昭和57年、58年当時において、「POLO」、「ポロ」の商標からは、ラルフ・ローレンのデザインに係る被服等を認識する者もいれば、公冠グループが扱う被服等を認識する者もいたというべきである。このような状況の下において、かつ、上記のような事実関係の下における昭和58年度当時の株式会社西武百貨店の売上げの程度、さらには、当時申立人商品は専ら「Polo by Ralph Lauren」、「ポロ・バイ・ラルフローレン」ないし「ポロ・ラルフローレン」とのブランド(商標)で商品展開されていたことを総合勘案すると、その称呼から普通名詞の「ポロ」のみを生じる商標「POLO」、「ポロ」は、本件商標の登録出願時である昭和58年5月11日の時点のわが国においては、ラルフ・ローレンのデザインに係る被服等のみを表示するものとして、取引者、需要者の間に広く認識されるに至っていたものと認めるのは困難であるといわざるを得ない。
ウ むしろ、上記事実関係からすると、昭和55年から58年当時においては、ラルフ・ローレンが手がけるいわゆるポロ商品は、「ポロ・バイ・ラルフローレン」ないし「ポロ・ラルフローレン」という一連の標章によって識別されていたものと認めるべきものである。
2 上記1の認定によれば、もともと、「ポロ(polo)」という語は、騎乗球技を意味する普通名詞であり、「ポロシャツ」などの語にみるように、日本においても馴染みのあったものであることからすると、本件商標の登録出願時において、申立人の名称の著名な略称であったということはできないものである。
また、本件商標の登録出願時において、公冠グループによるPolo商標を付した被服類にも億単位の額の売上げがあったことが認められ、「Polo」ないし「Polo」の文字を含む衣料品の商標は、公冠グループが現実に使用していて、このことは一般にもある程度知られていたものということができるから、「POLO」、「ポロ」の商標からは、ラルフ・ローレンのデザインに係る被服等を認識する者もいれば、公冠グループが扱う被服等を認識する者もいたというべきであって、「POLO」、「ポロ」の商標は、本件商標の登録出願時のわが国においては、ラルフ・ローレンのデザインに係る被服等のみを表示するものとして、取引者、需要者の間に広く認識されるに至っていたものと認めるのは困難であるといわざるを得ない。
そして、商標権者が本件商標を使用することについて不正の目的があったと認めることもできないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号、同第10号及び第19号のいずれにも違反して登録されたものでないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別 掲
(1)本件商標



(2)登録第1434359号商標



(3)登録第1447449号商標


異議決定日 1999-12-13 
出願番号 商願昭58-43277 
審決分類 T 1 651・ 23- Y (117)
T 1 651・ 25- Y (117)
T 1 651・ 222- Y (117)
最終処分 維持  
前審関与審査官 小宮山 貞夫尾原 静夫 
特許庁審判長 三浦 芳夫
特許庁審判官 茂木 静代
野本 登美男
登録日 1997-06-20 
登録番号 商標登録第4015884号(T4015884) 
権利者 ポロ・ビーシーエス株式会社
商標の称呼 ポロスポーツ、ポロ 
代理人 白石 吉之 
代理人 岡田 稔 
代理人 城村 邦彦 
代理人 黒岩 徹夫 
代理人 江原 省吾 
代理人 曾我 道照 
代理人 田中 秀佳 

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