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審決分類 |
審判 全部無効 商4条1項11号一般他人の登録商標 無効としない Z05 |
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管理番号 | 1066503 |
審判番号 | 無効2001-35167 |
総通号数 | 35 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2002-11-29 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2001-04-17 |
確定日 | 2002-10-04 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4394144号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第4394144号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成11年6月30日に登録出願、「ロイケラミン」の片仮名文字と「LEUKELAMIN」の欧文字とを上下二段に横書きしてなり、第5類「薬剤」を指定商品として、平成12年6月23日に設定登録されたものである。 2 請求人の引用商標 請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録第4386649号商標は、平成11年6月24日に登録出願、「ロイケラン」の片仮名文字を標準文字で横書きしてなり、第5類「薬剤」を指定商品として、平成12年5月26日に設定登録されたものである。 3 請求人の主張 本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする。との審決を求めると主張し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第6号証を提出した。 本件商標は、請求人の所有にかかる登録第4386649号商標(以下、「引用商標」という。)と類似し、指定商品も相互に類似するから、本件商標は商標法第4条1項11号に該当するにも関わらず登録されたものであり、その登録は同法第46条第1項の規定により無効とすべきものである。 そこで先ず、本件商標と引用商標の称呼を比較すると、本件商標からはその構成中の片仮名文字に相応して「ロイケラミン」の称呼が生じることが明らかである。一方、引用商標からはその構成から「ロイケラン」の称呼が生じることは疑いない。 そして、商標の称呼の類否判断にあたっては、比較される両称呼の音質及び音調ならびに音節に関する各判断要素のそれぞれにおいて、共通し、近似するところがあるか否かを比較するとともに、両商標が特定の観念のない造語であるか否かを考慮し、時、所を異にして、両商標が称呼され、聴覚されるときに聴者に与える称呼の全体的印象(音感)から、互いに相紛れるおそれがあるか否かによって、判断すべきである。 したがって、本件商標「ロイケラミン」及び引用商標「ロイケラン」のように、特定の観念が生じない造語である場合には、両商標の称呼が音声上において近似し、両者をそれぞれ一連(全体)に称呼した場合、両者の音感において相紛れるおそれがあるときは、両商標は類似と解すべきである。 そこで、「ロイケラミン」と「ロイケラン」の称呼を比較すると、語頭部分「ロイケラ」と、末尾「ン」を共通にし、その差異は本件商標における第5音の「ミ」の有無のみである。 しかして、その第5音「ミ」は、6音の中間に位置するため、全体の称呼中に埋没してしまい、明瞭に聴取されにくい。また、商標を発音する場合「ロイケラミン」も「ロイケラン」も語頭を含む共通部分「ロイケラ」の占める比重が大きいので、末尾部分の印象は弱くなる。すなわち、「ロイケラミン」と「口イケラン」の両商標における音数上の差異は中間音であり、かつ、称呼上の類否判断にあたって、商標に接する者が現実には両者を併置して比較することはないという隔離観察方法によれば、両商標全体の音調・音感は極めて近似し、明確に区別することは困難と考えられる。 さらに、商標の類否は、指定商品の取引事情を考慮して判断しなければならないところ、本件商標の指定商品は第5類「薬剤」であり、「薬剤」の取引界において「ミン」を語尾とする商標は現実にきわめて多数使用されている。例えば、片仮名文字「ミン」を語尾に有する商標は、薬剤(類似群:01BO1)について、実に1,768件(うち約1,695件が登録済)存在する(甲第5号証の1乃至2)。このような状況下においては、「ミン」より前の部分が現実の識別の対象、すなわち要部と考えられ、需要者・取引者はこの部分に着目して取り引きするであろうことが明らかである。 したがって、「ミン」以外の主要部分「ロイケラ」が共通すること、両者の差異が中間に位置する「ミ」の一音のみであること、「ロイケラ」で始まり「ン」で終わる語感・語調が共適していること等を総合すると、本件商標と引用商標は称呼上きわめて紛らわしいというべきである。 次に、両商標の外観についてみると、本件商標は、前記の通り片仮名文字「ロイケラミン」及び英文字「LEUKELAMIN」からなるものであり、一方の引用商標は、片仮名文字「ロイケラン」からなるものである。 しかしながら、本件商標のような二段書きの構成からなる商標は、現実の取引においては英文字及び片仮名文字とが別々に表示されることがむしろ普通である。特に医薬品の包装箱等においては、ある面には英文字で、他の面には片仮名文字で当該商標を表示することが一般的に行われている。したがって、本件の場合、「ロイケラミン」が独立して表示される場合が当然にあり得る。 しかして、本件商標のカタカナ文字部分「ロイケラミン」と引用商標「ロイケラン」とは、中間の「ミ」の一文字以外の文字は全く同一であるから、両商標の外観上の差異はほとんど目立たない。 前述の通り、商標は、人間の暖昧な記憶に基づいて時と所を違えて取引される商品に付されるものであることを考えると、本件商標の片仮名文字部分と引用商標は、本件商標の中間の「ミ」以外の構成は同一であることから、一見して即座に区別することは困難であり、外観上も極めて紛らわしいというべきである。 以上のとおり、本件商標は引用商標と称呼及び外観上類似するものであり、本件商標の登録は、商標法第4条1項11号の規定に違反してなされたものであり、商標法第46条1項の規定により無効にされるべきものである。 よって、請求人は、請求の趣旨のとおりの審決を求めるものである。 4 被請求人の主張 被請求人は、何らの答弁もしていない。 5 当審の判断 本件商標と引用商標は、前記のとおりであるところ、本件商標は、片仮名文字と欧文字を併記してなるまとまりのある構成よりなるのに対し、引用商標は、片仮名文字のみよりなるものであって、その文字数及び文字の種類において顕著な差異があり、外観上、十分に区別し得るものと認められる。 次に、両商標の称呼及び観念について検討するに、本件商標は、その構成に係る上段及び下段の各文字は、外観上、まとまりよく一体的に表されており、これより生ずると認められる「ロイケラミン」の称呼は、格別冗長というべきものでなく、よどみなく、一気一連に称呼し得るものであるから、本件商標よりは、その構成文字に照応する「ロイケラミン」の称呼を生ずる、格別の観念の生じない、造語よりなるものと認められる。 これに対して、引用商標は、その構成文字に照応する「ロイケラン」の称呼を生ずること明らかな、格別の観念の生じない、造語よりなるものと認められる。 そして、本件商標より生ずる「ロイケラミン」の称呼と引用商標より生ずる「ロイケラン」の称呼とを比較するに、「ロイケラミン」は、6音からなり「ロイ」「ケラ」「ミン」と2音ずつ区切ったように称呼されるのに対し、「ロイケラン」は、5音からなり、「ロイケラン」と、一気一連によどみなく称呼されるといえるばかりでなく、「ロイケラミン」と「ロイケラン」とでは、第5音における「ミ」の音の有無に明瞭な差異があり、該差異が両称呼全体に与える影響は、決して小さいものということができず、それぞれを一連に称呼した場合であっても、語感、語調が著しく異なるものというべきであり、両称呼は、十分に聴別し得るものである。 なお、請求人は、甲第5号証を提出して、薬剤の取引界において「ミン」を語尾とする商標が多数使用されているから、本件商標と引用商標は、称呼上、類似する商標である旨主張しているが、本件商標においては、かかる主張が不自然なばかりでなく、上記の認定を妥当とするところであるから、当該主張は、採用することができない。 また、両商標は、前記したとおり、共に、造語と認められるから、観念においては、比較すべきところがない。 してみれば、本件商標と引用商標は、その外観、称呼及び観念のいずれからみても、何ら相紛れるおそれのない、非類似の商標というべきである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものでないから、同法第46条第1項によって、その登録を無効とすべきでない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2002-05-08 |
結審通知日 | 2002-05-13 |
審決日 | 2002-05-27 |
出願番号 | 商願平11-58272 |
審決分類 |
T
1
11・
26-
Y
(Z05)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 堀内 仁子 |
特許庁審判長 |
三浦 芳夫 |
特許庁審判官 |
柳原 雪身 小林 和男 |
登録日 | 2000-06-23 |
登録番号 | 商標登録第4394144号(T4394144) |
商標の称呼 | ロイケラミン、ルーケラミン、リューケラミン |
代理人 | 大島 厚 |
代理人 | 松尾 和子 |
代理人 | 加藤 建二 |
代理人 | 熊倉 禎男 |
代理人 | 中村 稔 |