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審決分類 審判 全部無効 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z11
管理番号 1066259 
審判番号 無効2001-35055 
総通号数 35 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2002-11-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 2001-02-09 
確定日 2002-09-19 
事件の表示 上記当事者間の登録第4307769号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4307769号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4307769号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成10年3月9日に登録出願、「SUPER SHOCK FREEZER」の欧文字と「スーパー ショック フリーザー」の片仮名文字とを上下二段に横書きしてなり、第11類「冷凍機械器具」を指定商品として、同11年8月20日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録は、これを無効とするとの審決を求めると申し立て、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第8号証(枝番号を含む。)を提出している。
(1)本件商標を無効とすべき理由
「ショックフリーザー」の語は、甲第1号証ないし同第4号証に記述されているとおり、急速冷凍により食品を一気に凍結する冷凍機械器具について一般に慣用されているものであることは明らかである。
そして、本件商標である「スーパーショックフリーザー」は、一般に慣用されている上記「ショックフリーザー」に、特にすぐれている、他から抜きん出ている意味として一般に使用されている語である「スーパー」を結合したものにすぎず、未だ急速冷凍機械器具を意味するものである。
したがって、本件商標は、冷凍機械器具について慣用されているものであり、商標法第3条の規定により商標登録を受けることができないものであるから、同法第46条第1項第1号に該当し、無効とされるべきである。
(2)被請求人の答弁に対する弁駁
(ア)利害関係の主張について
請求人と被請求人は、急速冷凍庫等、食品機械の製造等を業とする同業者である。また、被請求人の登録商標である本件商標の指定商品は、第11類「冷凍機械器具」であるところ、請求人は、その冷凍機械器具の製造販売業者であり、請求人が利害関係を有することは明らかである。
また、請求人は、被請求人より、内容証明郵便をもって正式に権利侵害の警告を受けたものであって、この意味でも請求人において利害関係が存することは明らかである。
(イ)被請求人は,「スーパーショックフリーザー」について、「スーパー」は冒頭に存在しているので省略して称呼されることはありえないと主張するが、「スーパーショックフリーザー」が意味のうえで、その「スーパー」の語をとった「ショックフリーザー」と異なる特定固有の実体を表す語として使用されるものとは、一般世人の通念に照らしてとうてい認められない。
したがって、一般に慣用されている「ショックフリーザー」に、特にすぐれている、他から抜きん出ている意味として一般に使用されている語である「スーパー」を結合したものにすぎない本件商標は、商標法15条で本来的に拒絶されるべきものであるのに誤って商標登録を受けたものであり、過誤による商標登録を存続させておくことは本来権利として存在することができないものに排他的独占的な権利の行使を認める不当な結果もたらすから、同法46条1項1号により無効にすべきである。
(ウ)請求人提出に係る甲第1号証ないし同第4号証についての補足説明
甲第1号証は、協同組合全日本洋菓子工業会より発行されている月刊誌「世界の菓子PCG」であり、同誌は昭和44年(1969年)11月の創刊以来、約32年間発行されている。発行部数は平成13年6月現在、月刊約8000〜1万部、年間約9万6000〜14万4000部となっている(甲第7号証の1)。
甲第2号証は、社団法人日本洋菓子協会連合会より発行されている月刊誌「GATEAUX(ガトー)」であり、同誌は昭和27年(1952年)6月の創刊以来、約49年間発行されている。発行部数は平成13年6月現在、月刊約1万2000部、年間約14万4000部となっている(甲第7号証の2)。
甲第3号証は、請求人会社の関連会社である株式会社大和田製作所のPRパンフレットである。審判請求書記載のとおり、昭和55年(1980年)頃に同社で作成し、営業用として配布していたものである。
甲第4号証は、株式会社製菓実験社より発行されている月刊誌「製菓製パン」であり、同誌は大正14年(1925年)1月15日の創刊以来、約76年間発行されている。発行部数は平成13年6月現在、月刊約4万部、年間約48万部となっている(甲第7号証の3)。
なお、甲第8号証「冷凍食品製造ハンドブック」(534〜537頁)において執筆しているのは、被請求人の社長であった古林康男氏である。その中で「また、従来の機種では、ショックフリーザーにかける場合、商品温度を常温まで下げておかないと…」とか、「従来のショックフリーザーに比べて床面積が小さく、連続凍結が可能である(537頁末行)。」などの記載がみられるが、これらは明らかに「ショックフリーザー」が一般名称ないしは慣用商標として使用されていることを前提にした記載である。

3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第12号証を提出している。
(1)請求人の利害関係について
請求人は、本件商標の無効を請求しているが、具体的にどのような利益があるのか疑問であるから、これを釈明されたい。
参考までに、請求人と被請求人との間で過去に取り交わされた書類(乙第2号証ないし同第4号証)があるので提出する。
(ア)請求人と被請求人との間で問題になったのは、登録商標「ショックフリーザー」(商標登録第4277680号)及び「ショック」(商標登録第3299077号)であり、本件無効審判の請求の対象である登録商標「SUPER SHOCK FREEZER/スーパー ショック フリーザー」ではない。
(イ)請求人は、本件無効審判の請求の対象である登録商標「SUPER SHOCK FREEZER/スーパー ショック フリーザー」を無効にすることによって、乙第1号証及び乙第8号証のような比較広告が自由にできると考えているとすれば、それは誤りである。
したがって、請求人には、本件無効審判の請求をする利益が無い。このような場合は「利益なければ訴権なし」という民事訴訟法上の原則がはたらき、請求人適格を欠くものである。
(2)本件商標は慣用商標か否か
(ア)請求人は、本件商標の「SUPER SHOCK FREEZER/スーパー ショック フリーザー」の称呼を「ショックフリーザー」「スーパー ショック フリーザー」「ショック」であるとしている。
しかしながら、本件商標の「SUPER SHOCK FREEZER/スーパー ショック フリーザー」の称呼は、文字どおり「スーパー ショック フリーザー」以外には無い。したがって、請求人が主張する「ショックフリーザー」及び「ショック」という称呼は、独善的な見解であり、誤りといわざるを得ない。
(イ)本件商標は一体不可分の商標
請求人は、「ショック フリーザー」は慣用されており、「スーパー」は一般に使用されている語であるから、商標法第3条の規定により無効だと主張している。
しかしながら、本件商標は「SUPER SHOCK FREEZER/スーパー ショック フリーザー」であって、構成中の「SUPER」も「SHOCK」も「S」が頭文字に存在することから、全体として結合が自然で一体不可分の商標である。また、「スーパー」のみを分離すべき特別な理由も無い。さらに、「スーパー」は冒頭に存在しているので、省略して称呼されることもありえない。
(3)甲号各証についての反論
(ア)甲第1号証について
甲第1号証は、「SUPER SHOCK FREEZER/スーパー ショック フリーザー」が慣用されているという事実はない。
また、「ショック フリーザー」が慣用されていたということまではいえない。すなわち、被請求人はすでに平成5年(1993年)頃には「ショック フリーザー」を使用しており、著名であったことから、善意の紹介記事ないしは少数の会社の善意の使用があったに過ぎない。
この事実は、甲第1号証が発行された後、平成6年10月5日に被請求人は「SHOCK/ショック」を商願平6-100748号として出願し、登録商標第3299077号(乙第7号証)として登録されていることからも明らかである。
(イ)甲第2号証について
甲第2号証には、発行日が記載されていないから、公知の刊行物か否かが不明である。請求人が審判請求書(2頁下から4行目)に記載しているように、万一、1995年5月1日に発行されたとしても、「SUPER SHOCK FREEZER/スーパー ショック フリーザー」が慣用されているという事実はない。
また、「ショック フリーザー」が慣用されていたということまではいえない。前述のとおり、被請求人はすでに平成5年(1993年)頃には「ショック フリーザー」を使用しており、著名であったことから、善意の紹介記事ないしは少数の会社の善意の使用があったに過ぎない。
この事実は、上記の登録第3299077号によっても明らかである。
(ウ)甲第3号証について
甲第3号証には、発行日が記載されていないし、発行証明書も添付されていないから、公知の刊行物か否かが不明である。請求人が審判請求書(3頁下から8行目)に記載しているように、仮に、1980年ころに発行されたとしても、「SUPER SHOCK FREEZER/スーパー ショック フリーザー」が慣用されているという事実はない。
また、「ショック フリーザー」が慣用されていたということまではいえない。けだし、甲第3号証(6頁上段)には「メルヘンショックフリーザー」という一連の名称が記載されている。「メルヘンショックフリーザー」と「ショック フリーザー」が非類似であることは、説明するまでもない。
(エ)甲第4号証について
甲第4号証には、発行日が記載されていないし、発行証明書も添付されていないから、公知の刊行物か否かが不明である。請求人が審判請求書(4頁2行目)に記載し、また、甲第4号証(表紙)に記載しているように、万一、2000年8月号であるならば、本件商標の出願日である平成10年(1998年)3月9日より後の刊行物であるから、慣用されていたという証拠にはならない。
(3)まとめ
以上述べたとおり、請求人には利害関係が無く、請求人適格を欠くこと、及び「SUPER SHOCK FREEZER/スーパー ショック フリーザー」が慣用されているという事実はなく、全体として結合が自然で一体不可分の商標であり、「スーパー」のみを分離すべき特別な理由も無く、さらに、「スーパー」は冒頭に存在しているので、省略して称呼されることもありえないから、本件審判請求は棄却されるべきである。

4 当審の判断
(1)利害関係について
被請求人は、請求人には利害関係が無く、請求人適格を欠く旨主張するので、この点について判断するに、請求人主張の全趣旨によれば、請求人は、自らが急速冷凍庫等の食品機械器具メーカーであって、その取扱いに係る商品(急速冷凍庫)に関して使用する「ショックフリーザー」標章の存在及びこれに対する被請求人からの請求人宛の通知書(警告)を理由として、本件審判請求を行うものであり、また、それら標章と本件商標との関係をみるに、その標章の構成、指定商品その他の点よりみて、請求人は本件審判を請求するにつき具体的かつ直接的な利害関係を有する者と認められる。
してみれば、本件審判の請求は、請求人により法律上の正当な利益に基づきなされたものというべきであって、これを不適法なものとして却下することはできない。
(2)無効事由の存否について
本件商標は、前記したとおり「SUPER SHOOK FREEZER」の欧文字と「スーパー ショック フリーザー」の片仮名文字とを併記してなり、「冷凍機械器具」を指定商品とするものであるところ、請求人は、本件商標は商標法第3条第1項の規定により商標登録を受けることができない旨述べているので、その当否について判断する。
(ア)請求人の提出に係る甲号各証についてみるに、甲第1号証は、「世界の菓子 PCG」と題する月刊誌(1994年5月1日 協同組合全日本洋菓子工業会発行)であって、その本文特集記事中で「ショックフリーザー」の文字が、例えば、「ショックフリーザーという名称で知られている急速冷凍・冷凍庫。…」「急速冷凍庫(ショックフリーザー)」との記述があり、また、同誌広告頁において「優れたショックフリーザーの第1条件です。… コマ社のショックフリーザー80/20システムは、…」「エンジェルのショックフリーザー……エンジェル急速凍結・保存ユニットはフランス『エンジェル社』の最新技術を駆使したショックフリーザーです。…」(コマジャパン株式会社)等と記載されていることが認められる。
甲第2号証は、「GATEAUX」と題する月刊誌(1995年5月1日 社団法人日本洋菓子協会連合会発行)であって、その記事中に「…シュー生地は絞ってショック・フリーザーにかける。…」「…ショック・フリーザーは短時間で製品の中心温度が-20度C以下になる。…」との記述があり、また、同誌広告頁において「イベックスショック・フリーザーシステム……日本に初めてイベツクスを紹介して20数年、ショック・フリーザーの原点…TOP OF SHOOK FREEZERそれはイベックス……」(大和貿易株式会社)等と記載されていることが認められる。
甲第4号証は、右下隅の資料請求券の請求先:「(製菓製パン)2000一8」の表示から、「製菓製パン」と題する月刊誌の2000年8月号の広告欄と認められるものであって、その広告において「…エンジェルのショックフリーザー…」(株式会社エンジェル・ジャパン)と記載されている。
(イ)そして、上記の証拠における各月刊誌は、その題号及び発行者からみて菓子業界の専門誌といえるものであって、その購読者は菓子業者はもとより食品機械器具の需要者及びその関連機械器具製造メーカー等の多人数に及ぶものといえるものであるから、上記専門誌の掲載事実はこの種業界に関係する者に十分認識されているものとみて差し支えないというべきであり、かつ、甲第1号証及び同第2号証は、本件商標の商標法第3条第1項の規定に該当するか否かの判断時期である査定時(平成11年7月23日)以前に発行されたものであることが認められる。
したがって、「ショックフリーザー」の文字が、本件商標の指定商品を取り扱う業界において本件商標の登録査定時には、既に「急速冷凍庫」を指称する語として普通に使用されていたものといわざるを得ない。
(ウ)そして、本件商標構成文字中の冒頭の「SUPER」及び「スーパー」の文字は、「上等の、卓越した」等の意を表す語として商品の品質の優秀さ、性能の卓越していること等を表示するため、他の語と組み合わせて普通に使用され、またそのように理解されるものであり、この傾向は機械器具等の商品に関しても多く認められるところである。
してみれば、「スーパー ショック フリーザー」の文字とその上段にその欧文字表記と容易に理解される「SUPER SHOOK FREEZER」の文字とを併記してなる本件商標をその指定商品(冷凍機械器具)に使用しても、これに接する取引者・需要者をして「急速冷凍庫」(冷凍機械器具)に直結する言葉(品質、性能)を表したものと理解し把握されるに止まり、自他商品の識別標識として機能するものとは認識し得ないものである。
(3)むすび
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に違反して登録されたものであって、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2002-07-17 
結審通知日 2002-07-22 
審決日 2002-08-08 
出願番号 商願平10-19434 
審決分類 T 1 11・ 13- Z (Z11)
最終処分 成立  
前審関与審査官 橋本 浩子 
特許庁審判長 三浦 芳夫
特許庁審判官 小林 和男
柳原 雪身
登録日 1999-08-20 
登録番号 商標登録第4307769号(T4307769) 
商標の称呼 スーパーショックフリーザー、ショックフリーザー、ショック 
代理人 鎌田 耕一 
代理人 乕丘 圭司 
代理人 鎌田 耕一 
代理人 望月 賢司 
代理人 乕丘 圭司 
代理人 河合 弘之 
代理人 池内 寛幸 
代理人 佐藤 公博 
代理人 佐藤 公博 
代理人 池内 寛幸 

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