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審決分類 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない 012
審判 全部無効 商4条1項11号一般他人の登録商標 無効としない 012
管理番号 1064708 
審判番号 無効2000-35309 
総通号数 34 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2002-10-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2000-06-09 
確定日 2002-08-30 
事件の表示 上記当事者間の登録第4192322号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4192322号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおり「ALFAN」の文字を横書きしてなり、平成9年3月13日に登録出願、第12類「自動車並びにその部品及び附属品、エアクッション艇、二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品、牽引車、タイヤ又はチューブの修理用ゴムはり付け片」を指定商品として、平成10年9月25日に設定登録されたものである。

2 請求人の引用する商標
請求人が本件商標の商標法第4条第1項第11号該当の理由に引用する登録第4047696号商標(以下「引用商標」という。)は、「ALFA 145」の文字を横書きしてなり、1994年1月11日イタリア共和国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成6年3月30日に登録出願、第12類「自動車並びにその部品及び付属品(但し、タイヤ及びチューブを除く)」を指定商品として、平成9年8月22日に設定登録されたものである。
また、請求人が本件商標の商標法第4条第1項第15号該当の理由に引用する商標は、アルファ・ロメオ社が商品「自動車」に使用する「ALFA 166(アルファ 166)」「ALFA 145(アルファ 145)」等「ALFA(アルファ)」の文字を含む商標(以下「『ALFA』商標」という。)である。

3 請求人の主張
請求人は、「本件商標の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第52号証を提出した。
(1)本件商標は、「アルファン」の称呼を生じる。これに対し、引用商標は、その構成中の「145」の数字が商品の規格・仕様・グレード等を表すものであるから、「ALFA」の文字部分が商標の主要部と認識され、単に「アルファ」と称呼され認識される。そこで、本件商標の称呼と引用商標の称呼を比較すると、両者は「アルファ」の部分を共通にし、相違音は語尾における「ン」のみであるが、「ン」の音は母音を伴わない鼻音であり本来強く発音されず、しかも語尾にあると前音に吸収されていっそう弱く発音されるものである。したがって、語尾音「ン」が本件商標に及ぼす影響及び聴者に与える印象は弱いから、本件商標の称呼は語感及び語調において引用商標の称呼に酷似したものとなり、一般人が両者を混同して認識したり、聞き誤るおそれは非常に高いというべきである。
そして、このことは、過去の審決例において、称呼上語尾音「ン」の有無に差異を有するにすぎないような商標同士が、いずれも類似と判断されていることからも明らかである。
よって、本件商標は、外観及び観念の類似性について論及するまでもなく、称呼において引用商標と類似する商標であって、指定商品も相互に抵触しているから、商標法第4条第1項第11号に該当するというべきである。
(2)本件商標は、請求人の子会社であるアルファ・ロメオ社が自動車について使用している著名商標「ALFA」及び「アルファ」と称呼において類似するものであり、文字綴りも著名商標「ALFA」に「N」を付加しただけの構成であるから、外観上も混同されるおそれが非常に高いというべきである。したがって本件商標がその指定商品について使用されれば、一般人は当該商品をアルファ・ロメオ社又はその親会社である請求人あるいはそれらの関連会社の業務に係る商品と出所の混同を生じるおそれがある。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するというべきである。
(3)以上、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当し、同法第46条の規定によりその登録を無効とすべきである。

4 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第41号証を提出した。
(1)本件商標の称呼「アルファン」は、全体として短く一括して明確に称呼認識されるのに対し、引用商標より生じる称呼「アルファ」は、ギリシャ文字の「α」の音で、語尾の「ファ」は両唇をすぼめて開くので開放的な音感を備え、かつ、アルファは様々な分野で一般的に使用され耳慣れしていることもあって比較的聴取しやすい音であるから、引用商標と本件商標は、取引者需要者が明確に区別できるものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)被請求人としても、「アルファロメオ」が著名商標であることは認めざるを得ないが、「ALFA」及び「アルファ」が我が国の取引者、需要者間で周知著名であったとはいえないものである。提出されている甲号証は、頻度少なく一般的な紹介にとどまるものである。また、称呼「アルファン」と「アルファ」は、非類似と認められるものであることから、商標法第4条第1項第15号の適用を検討する余地はない。
(3)以上、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当するものではない。

5 当審の判断
(1)本件商標は、別掲のとおり「ALFAN」の文字よりなるものであるから、その構成文字に相応して「アルファン」の称呼を生ずるものである。
一方、引用商標は、「ALFA 145」の文字を横書きしてなるものであるが、その構成中の「145」の数字部分は、商品の種別、品番等を表す記号、符号の一類型として認識、把握されるものであるから、該商標中にあって自他商品識別標識として機能を果たすのは「ALFA」の文字部分にあり、これより「アルファ」の称呼をも生ずるものである。
そこで、本件商標より生ずる「アルファン」の称呼と引用商標より生ずる「アルファ」の称呼とを比較検討するに、両者は、3ないし4音という短い音構成にあって、語尾の「ン」の音の有無に差異を有するものである。そして、該「ン」の音の有無という差異により、音配列上、「アルファン」は「ア」と「ファ」の両音にアクセントを有し、前半部分の「アル」と後半部分の「ファン」に二分されるかの如く称呼されるのに対して、「アルファ」は平坦に一気に称呼されることから、両者をそれぞれ一連に称呼するも語調語感が相違し、相紛れるおそれはないものと判断するのが相当である。
次に、本件商標は、造語と認められるものであり、引用商標もまた、これより直ちに一定の意義を理解し難いものであって、一種の造語というを相当とするから、両商標は、観念上比較すべくもないものである。
また、両商標は、前記したとおりの構成よりなるものであり、その全体形象はもとより、自他商品識別標識として機能する欧文字部分のみを比較しても、4ないし5文字という短い綴字における末尾の「N」の有無という明らかな差異を有するものであるから、それぞれ時と所を異にして離隔的に観察したとしても、通常の注意力をもってすれば、見誤ることなく区別し得るものであって、外観上互いに紛れるおそれはないものと判断するのが相当である。
したがって、本件商標と引用商標とは、その称呼、観念及び外観のいずれの点よりみても類似しないものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではない。
請求人は、過去の審決例において、語尾音「ン」の有無が相違するにすぎない商標同士が類似と判断されているとして、本件も同様に判断されるべきである旨述べるところあるが、語尾における「ン」の音の有無という差異にすぎないといえども、その音の商標の中での発音の強弱の程度や称呼全体に与える影響については、当該商標の具体的構成及び意味内容に即して検討されなければならず、必ずしも同列に論じられるものではない。請求人の挙げる審決例は、いずれも本件とは商標の構成を異にし、事案を異にするものであるから、本件商標と引用商標における上記した判断を左右することにはならない。
(2)さらに、請求人の提出に係る証拠を検討したが、「ALFA」商標が、本件商標の登録出願時、アルファ・ロメオ社の製造販売する自動車についての商標として取引者、需要者の間に広く認識されていたものとは認め難いところであり、加えて、本件商標は、先に述べたとおり引用商標とは類似しないものであって、「ALFA」商標についても同様に判断し得るものであり、たとえ構成中に「ALFA」の文字を有するとしても、これが独立した標識部分として機能するわけでもないから、これより直ちに「ALFA」商標を連想、想起するとは認められず、本件商標をその指定商品について使用しても、アルファ・ロメオ社又は同社と関係する者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものといわざるを得ない。
してみれば、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものではない。
(3)以上、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものということはできないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 本件商標


審理終結日 2002-03-28 
結審通知日 2002-04-02 
審決日 2002-04-19 
出願番号 商願平9-26093 
審決分類 T 1 11・ 271- Y (012)
T 1 11・ 26- Y (012)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 前山 るり子 
特許庁審判長 小池 隆
特許庁審判官 岩本 明訓
林 栄二
登録日 1998-09-25 
登録番号 商標登録第4192322号(T4192322) 
商標の称呼 アルファン 
代理人 熊倉 禎男 
代理人 加藤 建二 
代理人 中村 盛夫 
代理人 大島 厚 
代理人 中村 稔 
代理人 小川 順三 
代理人 松尾 和子 

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