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審決分類 審判 全部無効 商4条1項8号 他人の肖像、氏名、著名な芸名など 無効としない 037
審判 全部無効 称呼類似 無効としない 037
審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない 037
管理番号 1063032 
審判番号 審判1998-35037 
総通号数 33 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2002-09-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 1998-01-23 
確定日 2002-07-15 
事件の表示 上記当事者間の登録第3330900号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第3330900号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、商標法の一部を改正する法律(平成3年法律第65号)附則第5条第1項の規定により使用に基づく特例の適用を主張して、平成4年9月2日に登録出願、第37類「衛生害虫・建造物害虫・食品害虫・貯蔵害虫・衣類害虫・不快害虫類の駆除及び予防施行,害獣・バードコントロールの予防施行,病原菌・一般殺菌の消毒及び防カビ施工,ガスくん蒸施工,床下換気扇取付工事,家屋の改築・増築・補修」(以下「本件役務」という。)を指定役務として、同9年7月11日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張
請求人は、「本件商標の登録は、無効とすべきものとする、審判費用は、被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1ないし第126号証を提出した。
(1)請求人の提出に係る、平成9年4月5日、株式会社ぎょうせい第21版発行の「日本会社録」(甲第3号証)、請求人により発行された「会社案内」(甲第4号証及び甲第5号証)及び「三共株式会社定款」(甲第6号証)の各記載に徴し、請求人会社は、明治32年三共商店創業、同40年三共合資会社に改組改称、大正2年3月1日株式に改組し、平成8年3月現在、資本金438億円、従業員数6,837名、年間売上高4,100億円を示し、株式も東京、大阪、名古屋の各証券取引所第1部上場、札幌、新潟、福岡の各証券取引所にも上場し、全国的に多数の支社、営業所、出張所及び工場を有するほか、海外の多数の有数企業と技術提携をしているところの、我が国有数の製薬を主業務とする一流大企業である。
(2)請求人の引用する登録商標
請求人は、別掲(2)のとおりの構成よりなる登録第248571号、同第647377号及び同第647378号商標(以下、総称して「引用商標」という。)の商標権者であり、これらの引用商標は、すべての商品の区分において、防護標章の登録及びその存続期間の更新登録もなされている(甲第7号証ないし甲第11号証)。
(3)引用商標の著名性
(ア)尚、請求人の提出に係る、昭和34年1月15日、商標研究会編集・発行の「日本商標大辞典」(甲第12号証)、同47年9月5日、商標研究会発行の「新版日本有名商標録」(甲第13号証)、平成6年11月20日、商標調査会発行の「日本商標名鑑’94」(甲第14号証)及び1970年社団法人日本国際工業所有権保護協会(AIPPI)発行の「FAMOUS TRADEMARKS IN JAPAN」(甲第15号証)の各記載に徴するも、請求人の所有に係る引用商標が、請求人の業務に係る商品「薬剤」等を表示するためのものとして、取引者及び需要者の間において、古くより広く認識されているものであること明らかなところである。
(イ)更に、請求人の提出に係る、平成2年4月、請求人により発行された「三共九十年史」(甲第16号証)の記載に徴し、請求人は、『木材害虫、特にシロアリ防除用としてアメリカのベルシコール社製クロルデンを導入、昭和35年に防蟻土壌処理剤アリデンを販売し、その後は、ほとんどクロルデンが使われるようになった。同36年には、防蟻防腐剤アリアンチ、三共アリコロシ、キムイムシ防除剤リクタスを発売し、品揃えを一応終えた。これを機に「三共の白蟻施工」をスタートさせたが、薬剤メーカー自体が初めて防除施工管理に乗り出したものとして注目された。同41年には、接着剤混入タイプの合板用防虫剤リクタスHを他社に先がけて開発、発売し、合板防虫処理方式の主流を形成した。さらに、同42年には、エアゾールタイプのクリスタスゾルを、同46年には、同タイプのアリ駆除剤アランチゾルを、それぞれ薬局ルートで販売した。』の記載にみられるとおり、製薬業を主たる業務としているところ、同35年頃より、薬剤メーカー自体が最初に害虫の防除施工管理業務を始めたことで、業界において注目を浴び、その後、永年の間、継続して、「アメニケアサービス」と称して、盛大かつ広範囲にわたって、引用商標を使用すると同時に、請求人の提出に係る「アメニケアサービス広告掲載実績」」(甲第17号証)に示すとおり、平成3年から同6年にかけて、新聞、雑誌等への広告掲載が、「有害動物の駆除」という単一役務について、年間3,000万円以上もの巨額を費やしている如く、活発なる宣伝広告活動と相俟って、有害動物の防除に関する役務を表彰するための商標として、取引業者及び需要者の間において、極めて広く認識されるに至った周知著名な商標であるといわなければならないところであることは、請求人の提出に係る甲各号証により、立証され得るものである。
(4)しかして、本件商標は、別掲のとおり、「さんきょうしょうどく」の平仮名文字を左横書きしてなるものであるところ、「しょうどく」の文字は、「蒸気、薬物などにより病原菌を殺し感染を防止すること」の意味を有する語で、一般世人に極めて親しまれているばかりでなく、普通に使用されている「消毒」の語を容易に理解するものであり、本件商標の役務を端的に表示する部分であって、自他役務を識別するための機能を果たす最も重要な部分、所謂、商標の要部は、「さんきょう」の文字部分にあるというを相当とするところであるから、これより、単に「サンキョウ」のみの称呼をも生ずるものといわなければならない。
(5)一方、引用商標は、それぞれの構成上、これらよりは、いずれも「サンキョウ」(三共)の称呼及び観念を生ずるものであること明らかなところであるばかりでなく、請求人の業務に係る商品を表示するためのものとして、極めて周知、著名なものであるから、本件商標をその指定役務について使用をするときは、その役務が、請求人と何等かの関係を有する者の業務に係る役務であるかの如く、誤認、混同を生じさせるおそれの十分にある商標であるといわなければならないところである。
(6)更に、請求人の名称は、「三共株式会社」であるところ、「株式会社」は、法人の種類を表示する部分であって、自他名称を識別するための主たる重要な部分は、「三共」の文字部分にあり、これが、請求人の名称を表示するための実質的な部分であって、請求人は、「三共」(サンキョウ)とのみ略称されて、取引者及び需要者の間において、極めて広く認識され、著名なものである。
一方、本件商標は、「さんきょうしょうどく」と請求人の名称の略称として著名な「三共」と同一の称呼を生ずる文字を含んでいるにも拘わらず、本件商標は、その登録について、請求人の承諾を得ている事実はないものである。
(7)請求人は、上記主張理由の正当性を立証すべく、著名商標(名称)を保護すべき旨の判決例(甲第18号証ないし甲第25号証)を挙げて、これを自己の主張理由に、有利に援用する。
(8)また、請求人の所有に係る第248571号商標を原商標登録とする防護標章が、第35類、第36類、第37類、第38類、第39類、第40類、第41類及び第42類の各役務を指定役務として、それぞれ登録されている事実がある(甲第8号証及び甲第26号証ないし甲第33号証)。
このことは、請求人は、製薬業務を主とする多角経営の法人会社であって、該登録商標を上記の各類に属する役務について、第三者が使用をするときは、その役務が、請求人の業務に係る役務であるかの如く、その役務の出所につき、誤認、混同を生じさせるおそれが充分にあるという証左に外ならない。
(9)更にまた、請求人は、ここに、請求人自身が、自己の業務の取引者若しくは依頼者(需要者)に対して行ったアンケート調査票(88通)を証拠方法として提出する(甲第39号証ないし甲第126号証)。
これらに徴するも、本件商標が、その指定役務について、使用された場合には、一般の取引者及び依頼者(需要者)は、請求人又は請求人の関係会社が、その役務を行っているかの如く、誤認混同を生ずるおそれは充分にあることが明らかなところである。
(10)商標法第4条第1項第8号、同10号及び同15号について
本件商標は、取引者及び需要者の間において、極めて広く認識されている、請求人の所有に係る引用商標と称呼において、彼此相紛らわしい類似の商標であるといわなければならないので、これをその指定役務について使用をするときには、その役務と請求人の業務に係る役務との間において、役務の誤認、混同を生ずるおそれの充分にある商標であり、かつ、請求人の名称の著名な略称を含んでいる商標であるにも拘わらず、その登録について、請求人の承諾を得ていないものであるから、結局、本件商標は、商標法第4条第1項第8号、同10号及び同15号に違反して登録されたものである。

3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を次のように述べ、乙第1ないし乙第232号証を提出した。
(1)請求人は、本件商標及び本件商標と称呼を同じくする他の3件の商標権の審査段階にそれぞれ異議申立てをしたが、「本件商標と引用商標とは何等類似することのない別異の商標であり、これをその指定役務に使用しても、引用商標を想起ないしは連想させるものとは認め難いから、役務の出所について混同を生ずるおそれはなく、また、申立人の略称を含んでなるものともいい得ない。」と判断されている。
また、本件商標と引用商標とを全く同じくし、第42類「樹木・森林の害虫駆除及び予防施工」を指定役務とする他の4つの商標権の審査段階にそれぞれ異議申立てをしたが、平成7年7月5日付の当該登録異議の申立てについての決定において、「申立人の『三共』が申立人(請求人)の名称の略称として著名であるともいい難く、本件商標と引用商標とはその外観、称呼及び観念上のいずれの点においても互いに相紛れるおそれのない全く非類似の商標である。」と判断されている。
さらに、請求人は、上記第42類の商標権に対する商標登録無効審判を請求したが、「本件商標と各引用商標とは、外観・称呼・観念のいずれの点においても区別できる差異を有する非類似の商標であり、商標法第4条第1項第10号に違反せず、また、本件商標をその指定役務について使用しても、役務の出所について混同を生ずるおそれはなく、本件商標に接する取引者・需要者が構成中の『さんきょう』の文字部分から直ちに請求人を想起又は連想するものということはできないから、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号及び第8号に違反してなされたものと言うことができない。」と判断されている。
よって、本件も前記事案とはほぼ同一の事案であり、同様の判断がなされてしかるべきである(乙第1号証ないし乙第12号証)。
(2)本件商標は、「さんきょうしょうどく」という平仮名文字を、同一書体、同一大 、同一間隔、同一色彩にて軽重の差なく、一体不可分に連綴して成るものであり、これより「しょうどく」の文字を捨象して称呼、観念すべき格別の理由は全く存しない。すなわち、「しょうどく」の文字からは本県指定役務との関係において、直ちに役務を示すものとして理解され、分離観察されなければならない必然性が見出せないからである。
したがって、本件商標からは、一体不可分に「サンキョウショウドク」と淀みなく称呼され、観念されるとするのが自然である。
(3)被請求人は、大正14年に衛生動物、衛生害虫等の駆除、予防の専門業者として創業し、昭和41年に三共消毒社として発足すると共に「三共消毒」の名称の下に、現在まで盛大に広告宣伝活動をして継続使用してきたものである(乙第14号証ないし乙第221号証)。ちなみに、被請求人の広告宣伝費は、膨大な額となっていることが明白である(乙第222号証)。 したがって、今や本件商標は業務内容の優秀性と相俟って、一般世人においては、「さんきょうしょうどく」の一体不可分のものとして、広く親しまれているものであって、充分業務上の信用が確立されているものである。
それ故、本件商標に接した需要者、取引者は、むしろシロアリ等の防除、駆除として有名な被請求人である「株式会社三共消毒」の使用商標として認識し、理解するものであって、本件商標からは「サンキョウショウドク」の称呼以外の称呼は決して生じないとするのが相当であり、たとえ請求人と同様の「さんきょう」の文字が含まれているからといって、前述した如く、請求人の企業を直観することはあり得ないものである。
したがって、前記請求人の主張はその観察方法において、本件商標に長年培われた取引の実情を無視したものであって、あまりに機械的、形式的、画一的であり、当を失するものといわざるを得ないのである。
(4)仮に百歩譲って、請求人の引用商標が、製薬会社の目印として周知性があるとしても、本件商標の指定役務との関係において、本件商標の使用が果たして引用商標の人格権を毀損すると客観的に認められる程の違法性があるか否か極めて疑問である。
すなわち、請求の提出する甲第3号証をみても、「三共」及び「三共」の文字を含む他人の会社名が存在しているものであり、被請求人の調査したところによれば、全国に「三共」の文字を含む会社名は相当多数存在していることが判明している。そこで、被請求人の主張を裏付けるべく、乙第223号証を提出するが、当該証拠からも明らかなとおり、「三共」の文字をその法人名として採択している者は数多く存在するのであり、「三共」の文字自体には同法条による保護を必要とするだけの稀少性はないと考えるのが相当である。
加えて、「三共」の文字は、被請求人自らも「南京虫・家ダニの駆除」について昭和17年の時点において既に使用している名称であり、これからも明らかなように、人格権の毀損がなされる程の稀少性が「三共」の文字に有しないとするのが相当である。
(5)請求人は、「1991年から1994年にかけて、新聞、雑誌等への広告掲載が『有害動物の駆除』という単一役務について、年間3,000万円以上のもの巨額を費やしている・・・・・極めて広く認識されるに至った周知著名な商標である・・・・・」と主張するが、むしろ被請求人は、上記役務について請求人以上の膨大な広告宣伝費をかけているものである(乙第222号証)。ちなみに、請求人の主張する年度における被請求人の広告宣伝費をみると、被請求人のそれは請求人よりも2倍ないし3倍以上となっているものであり、如何に被請求人が本件商標を代表的出所標識として重要視しているものであることが理解し得る。
(6)乙第225号証ないし乙第232号証は、本件商標が昭和41年以来継続して使用された結果、被請求人の使用する商標として広く知られた著名商標となっていること、並びに、本件商標がその指定役務について使用されても、請求人の業務に係る役務と混同を生ずるおそれはないことを立証するものである。
すなわち、本件商標も長年にわたる企業努力により独自の著名性が確立されており、何ら一般世人にあっても、あえて本件商標から「三共」の文字を抽出し、請求人の名称を認識することはあり得ないものである。
(7)請求人は、甲第3号証ないし甲第126号証を提出し、請求人の引用する商標が著名性を確立していることを立証せんとしている。
しかしながら、本件商標と引用商標とは、商標構成資料の一部において共通する文字は存在するも、前述した如く、そもそも全く別異の非類似の商標として、それぞれの商標使用者によって永年の間明確に区別され、使用されてきたものであって、両商標の間には何ら出所の混同を生じる余地は全くないものである。

4 当審の判断
(1)被請求人の名称「株式会社 三共消毒」及び被請求人の使用商標「三共消毒」の著名性について
被請求人の提出した乙各号証によれば、被請求人は、昭和32年「三共社」を設立、その後、「有限会社三共消毒社」に名称変更、さらに、昭和44年に株式会社に組織変更して、「株式会社三共消毒」の商号となり、現在に至っていることが認められる。
そして、被請求人は、「三共消毒」の文字を使用し、昭和49年頃より「白アリ、南京虫・家ダニの駆除」等の業務を行い、これに関する宣伝広告が継続して各新聞に掲載されたほか、本件商標の登録出願時までに、同様の業務についての被請求人のカタログ、リーフレット、パンフレット、広告チラシ、車内広告等が頒布又は掲示され、さらに昭和57年から平成元年までの毎年4月から5月(または6月)までテレビコマーシャルの放送もされたこと、これらの広告等には、「三共消毒」と同一構成の商標又はこれらと同一範囲と認められる商標が付されていたことが、それぞれ認められ、これらの事実によれば、遅くとも、本件商標の登録出願時において、被請求人の名称「株式会社三共消毒」及び被請求人の使用商標「三共消毒」の文字が本件役務の取引者及び需要者の間において著名であったものと認められる。
また、被請求人の提出した「帝国データバンク:企業情報リスト(乙第2
23号証)」によれば、全国に「三共」の文字を含む会社が、少なくとも数
千社存在することが認められる。
(2)本件商標について
本件商標は、「さんきょうしょうどく」の平仮名文字を横書きしてなるところ、その構成中の「しょうどく」の文字部分が、「病原菌を殺し感染を防止すること。」の意味を有する一般的な用語である「消毒」の語を理解させるものであるとしても、本件商標は、上記のとおり、同じ書体、同じ色彩で、まとまりよく一体に構成されているばかりでなく、該文字全体より生ずる「サンキョウショウドク」の称呼も、格別冗長にわたることなく、一連によどみなく称呼し得るものである。
そして、本件商標登録出願時において、被請求人及び「三共消毒」の文字が本件商標の指定役務の取引者及び需要者に著名であったこと、「三共」の文字を含む会社が多数存在する前記の事実を併せ考えれば、該取引者及び需要者が、「三共消毒」の文字に通ずる本件商標の構成文字より、殊更「しょうどく」の文字部分を除いて本件商標を理解、かつ、把握するとか、本件役務に係る取引に当たり、本件商標を単に「サンキョウ」と称呼するというようなことは考え難く、本件商標は、上記のとおり、その構成全体が一体不可分であるものとして認識、かつ、理解されるものと認めるのが相当である。
そうすると、本件商標は、その構成文字に相応し「サンキョウショウドク」 の称呼のみを生ずるものであり、また、特定の観念は生じないものと認められる。
(3)引用商標と本件商標について
引用商標は、「三共」、「SANKYO」の文字に相応して、「サンキョウ」の称呼を生ずるものであり、また、特定の観念は生じないものと認められる。
そして、本件商標と引用商標との外観が全く異なるものであることは明白である。
してみれば、本件商標と引用商標とは、称呼、外観、観念のいずれの点においても非類似の商標というべきである。
(4)商標法第4条第1項第10号及び同第15号について
請求人の提出した証拠よりして、引用商標が取引者及び需要者の間に広く認識されているとしても、本件商標と引用商標とは、前記したとおり、非類似の別異の商標であり、本件商標をその指定役務について使用した場合、これに接する取引者及び需要者が、引用商標を想起し、連想するようなことはないから、請求人若しくは同人と組織的若しくは経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかの如く役務の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同15号に違反するものではない。
(5)商標法第4条第1項第8号について
本件商標は、前記(2)のとおり、その構成全体が一体不可分のものとして認識、かつ、理解されるものというのが相当であり、本件商標をその指定役務について使用した場合、本件商標に接する取引者・需要者が構成中の「さんきょう」の文字部分から直ちに請求人を想起し、連想するものということはできないから、たとえ、請求人の引用する各引用商標が「有害動物の防除」に関する役務に使用されて著名であるとしても、他人の著名な略称を含む商標を表したものではないというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に違反するものではない。
なお、請求人の提出に係るアンケート(甲第39号証ないし甲第126号証)は、全体で何通の用紙がどのような条件下で配布されたか、全体の回答率はどの程度か、「はい」と回答した者の比率はどの程度か等が定かではなく、その全体像が必ずしも明らかでないので、このアンケートに基づく請求人の主張は、採用することができない。
(6)結語
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第15号及び同第8号に違反して登録されたものということができないから、同法第46条の規定により無効とすることができない。
なお、請求人は判決例を挙げ、述べているが、該判決例は、本件とは事案を異にするものであるから、請求人のこの点に関する主張も採用できない。 よって、結論のとおり審決する。
別掲 (1)本件商標


(色彩につき原本参照)
(2)引用商標 登録第248571号


引用商標 登録第647377号

引用商標 登録第647378号


審理終結日 2001-12-27 
結審通知日 2002-01-07 
審決日 2002-05-23 
出願番号 商願平4-168794 
審決分類 T 1 11・ 23- Y (037)
T 1 11・ 262- Y (037)
T 1 11・ 271- Y (037)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 原 隆柴田 昭夫 
特許庁審判長 野本 登美男
特許庁審判官 山下 孝子
米重 洋和
登録日 1997-07-11 
登録番号 商標登録第3330900号(T3330900) 
商標の称呼 サンキョウショウドク、サンキョーショードク、サンキョー 
代理人 高梨 範夫 
代理人 浅村 肇 
代理人 飯島 紳行 
代理人 浅村 皓 
代理人 宇佐美 利二 

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