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審決分類 審判 全部無効 商4条1項7号 公序、良俗 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 012
管理番号 1061522 
審判番号 無効2000-35114 
総通号数 32 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2002-08-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 2000-02-29 
確定日 2002-06-17 
事件の表示 上記当事者間の登録第4151215号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4151215号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4151215号商標(以下「本件商標」という。)は、平成8年10月18日に登録出願され、「Lumina Auto」及び「ルミナオート」の文字を二段に書してなり、第12類「自動車並びにその部品及び附属品」を指定商品として、同10年5月29日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第21号証を提出した。
本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第10号、同15号及び同第19号に該当するから、同法第46条第1項第1号により、無効とされるべきである。
(1)本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第15号に該当することについて
請求人であるGENERAL MOTORS CORPORATIONは、年間売上高約14兆4,000億円(1988年)、年間自動車生産台数810万8,000台(1988年)、従業員数766,000人を数える世界最大の企業である(甲第15号証)。
そして、請求人は、事業部制を採用しており、乗用車については、CHEVROLET(シボレー)、CADILLAC(キャデラック)、BUICK(ビュイック)、OLDSMOBILE(オールズモービル)及びPOINTIAC(ポンテイアック)の5事業部があり、その自動車について10年以上に亙り使用している著名商標「LUMINA」(以下、「引用著名商標」)という。)は、CHEVROLET事業部で生産されている人気車種である(第1号証及び同2号証)。
しかして、請求人の自動車は、日本の現地法人である日本ゼネラルモーターズ株式会社(東京都渋谷区恵比寿4丁目20番3号恵比寿ガーデンプレイスタワー27階)及び株式会社ヤナセ(東京都港区芝浦1丁目6番38号)を中心に販売されているが、引用著名商標の使用に係る自動車は両社によって正規に輸入されていない。しかし、並行輸入業者によっては、米国の人気車種ということで、その他の各地方のディーラーによつても販売されており、例えば、並行輸入業者「KONDOMOTORS」のホームページにも引用著名商標の使用に係る自動車が広告されているように、日本から注文できるようになっている(甲第7号証)。
引用著名商標の使用に係る自動車の製造台数及び販売台数は、以下の通りである(甲第3号ないし同第6号証)。
年次 製造台数 販売台数
1989年 193,770台 109,705台
1990年 214,902台 218,288台
1991年 247,921台 217,555台
1992年 230,000台 218,114台
1993年 229,931台 219,683台
1994年 161,041台 122,314台
1995年 361,388台 214,595台
1996年 322,633台 237,973台
1997年 319,397台 228,451台
そして、引用著名商標の使用に係る自動車「LUMINA」の1台の価格は、約250万円であり、年平均20万台以上の自動車が製造・販売されているから、年間の売上高は、約500億円であり、1989年から1997年までの製造台数の合計は、2,280,983台、売上高は、約5,700億円になる。
また、米国における販売台数のランキングは、以下の通りである(甲第5号証及び同第6号証)。
年次 ランキング 販売台数
1992年 第6位 218,114台
1993年 第8位 219,683台
1994年 第20位 122,314台
1995年 第9位 214,595台
1996年 第8位 237,973台
1997年 第8位 228,451台
上記引用著名商標の使用に係る自動車は、北米で製造され、世界的に販売されているため、アルゼンチン、オーストラリア、バーレイン、ベネルクス諸国、カンボジア、中国、台湾、コスタリカ、クロアチア、チェコ、デンマーク、ドミニカ、エクアドル、エルサルバドル、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ホンジュラス、香港、ハンガリー、イタリア、ジャマイカ、ヨルダン、ラオス、レソト、メキシコ、モンゴル、ニカラグア、ノルウェー、ペルー、ポルトガル、サウジアラビア、南アフリカ、スペイン、スウェーデン、シリア、UAE、米国、ベトナム、イエメン、ジンバブエの43ヶ国で請求人の商標として登録されている(甲第8号証)。
以上より、引用著名商標が日本も含め世界的に著名になっていることは明らかである。
ところで、世界的に著名なCI(コーポレート・アイデンティティー)会社であるランド一・アソシエイツ社が行った「イメージ・パワー調査」において、世界におけるイメージパワーのグローバルランキングの上位50位の約3分の1は自動車の商標が占めているとの分析結果からも明らかなように、自動車の持つ顧客吸引力は非常に強いものといえ(甲第20号)、このような事情から、自動車の商標は様々な商品や役務に使用されている。請求人としても、経営の多角化をおこなっており、金融・保険は、自動車金融子会社のGMACに担当させている(甲第15号証)。
そこで、本件商標「Lumina Auto」と引用著名商標「LUMIA」を比較すると、一般需要者の最も注意を引く語頭部において、両商標は、「LUMINA」の部分を共通しており、相違する部分は、一般需要者の最も注意を引かない語尾部に位置する「Auto」の部分のみである。ところで、両商標の構成文字の「LUMINA」の部分は、辞書にはない造語であり、「SONY」や「KODAK」のように自他識別力の極めて強い語といえるのに対し(甲第10号証)、自動車を意味する「Auto(Automobile の略)」の部分は、指定商品との関係においては自他識別力のない語である。よって、本件商標は、引用著名商標と自他識別力の強い部分「LUMINA」を共通にする類似する商標といえる。
また、本件商標の指定商品は、引用著名商標が使用されている商品「自動車」と抵触する。
以上述べた、(イ)引用著名商標の著名性(累計製造台数2,280,983台、累計売上高約5,700億円、世界43ヶ国での登録商標取得)、(ロ)「イメージ・パワー調査」に見られる自動車の商標の顧客吸引力(イメージ・パワー)、(ハ)本件商標と引用著名商標の類似性、(ニ)本件商標と引用著名商標の使用に係る商品の抵触を総合すれば、本件商標は、引用著名商標と類似する商標を同一商品に使用するものであり、商標法第4条第1項第10号に該当し、また、請求人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第15号に該当することは明らかである。
そして、特許庁審判部及び裁判所は、甲第17号証及び同第18号証に示す商標は、引用商標と類似又は商標法第4条第1項第15号に該当すると判断している。
(2)本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当することについて
本件商標は、請求人の使用する著名商標「LUMINA」のただ乗りに該当するから、商標法第4条第1項第7号の「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」に該当することは明らかである。
このことは、本件商標権者のホームページをみると、「LUMINA AUTO」というページがあり、そこには、請求人の主力車種である「Cadillac」と共に「LUMINA AUTO」の語が使用されており、かつ、本件商標権者は、請求人の並行輸入業者であり、請求人の自動車に精通していることは明らかである(甲第9号証)。よって、本件商標権者にただ乗りの意思があったことは明白であって、商標のただ乗り行為が、商標法第4条第1項第7号に該当することは、通説・学説の認めるところである(甲第19号証)。
(3)本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当することについて
本件商標は、上述したように、他人の業務に係る商品を表示するものとして外国又は日本国内における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的をもって使用するものに該当するから、商標法4条1項19号に該当し、その登録は無効とされるべきである。
即ち、不正の目的については、上述において指摘したとおり本件商標権者のホームページにおいて請求人の主力車種である「Cadillac」と共に「LUMINA AUTO」の語が使用されていること、また、本件商標権者は、請求人の並行輸入業者であって、請求人の自動車に精通していること明らかである(甲第9号証)から、本件商標には、商標権者にただ乗りの意思、すなわち、不正の目的があったことは明白である。
このような商標法4条1項19号に該当するとした異議決定例を添付する(甲第10ないし12号証)。

3 被請求人の答弁
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証及び同第2号証(枝番を含む。)を提出した。
本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第10号、同第15号および同第19号に該当するようなものではない。
(1)本件商標権者に、不正の目的があったとする点について
請求人は、「LUMINA」が国際的に著名であり、被請求人(本件商標権者)が請求人の並行輸入業者であるということを挙げ、被請求人に「ただ乗りの意思、すなわち、不正の目的」があったとされるが、この点は、本件審判請求理由の根幹をなすような主張とされているようにみえるので、まず、かような事情にないということを明確にしておく。
被請求人は、平成8年に輸入住宅販売部門で愛称として使用するため、「Luminacity」なる商標を全く独自に企画・採択し、使用し始めたものであって、後に自動車販売部門でも同様な愛称とすべく、「LuminaAuto」として使用しているものである(ちなみに、「Luminacity」等についての商標登録は、商標公報(乙第1号証の1及び2)に示すとおりである。)。かかる経緯にあることと、請求人の「LUMINA」は、後に述べるように、わが国にあっては請求人が主張されるように著名でもなければ、あまり知られてもいない。
現在、被請求人は、請求人会社の自動車を取り扱っている立場にあるが、「LUMINA」を扱ったことは勿論なく、「LUMINA」を知ったのは、請求人による登録第4177761号及び登録第4177762号商標について登録異議申立を見た時点である。
また、仮に、特定の会社の特定の車種名として国内において周知されているものであれば、これを被請求人のような業態における商標として無断で採択、使用するということは、何の利益もないことであるから、常識的に考えても、そのようなことをする訳がない。
いずれにしろ、「Luminacity」はもちろん、「LuminaAuto」の採択時にあっても、この名が請求人の「LUMINA」に結びつくような情報はなく、いわば、よく知らないのであるから、ただ乗りするとか、不正に使用するというような認識があったというような客観的事情は一切なく、現実にも、ただ乗りとか、不正使用というような意思があってこれらを採択したということは断じてない。
被請求人に「ただ乗りの意思、すなわち、不正の目的」があったとされる主張は、全く理由のないことである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同第19号に該当するものではない。
(2)本件商標が商標法第4条第1項第10号及び第15号に該当するについて
請求人は、「LUMINA」の著名性をいうために、請求人が世界最大の企業であり、43か国で商標登録をしているとか、自動車の持つ顧客吸引力は非常に強いというような、およそ、「LUMINA」の著名性と直接関連のないことを種々挙げられている。
そして、本件と何らの関連もない審決とか判決の例をその主張の裏付けとして提出されている。
しかし、「LUMINA」が「日本も含め世界的に著名になっている」(審判請求書第5頁下6行)とする主張を裏付ける証拠は見当たらない。
(イ)甲第1号証は、請求人会社の販売用のカタログであり、甲第2号証は、ホームページの写しであって、これが直ちに周知とか著名の証拠となるものとは思えない。頒布等の時期、期間、場所、数量等は何も分からない。
(ロ)甲第7号証は、並行輸入業者によって多数輸入されているとする根拠として提出されているもののようであるが、もともと、請求書においては、現実に日本に輸入されているのか、どの程度の台数なのかは、主張立証もない。
被請求人が得たネット通信による情報(乙第2号証)によると、甲第7号証において並行輸入業者とされる「KONDO MOTORS」なる者は、アメリカはロスアンゼルスのサンタモニカで営業しているものであり、「LUMINA」を日本に輸出したこともないという業者である。おそらくは、たまたま、中古の「LUMINA」を紹介していたというのが甲第7号証に示されるホームページの写しかと思われるが、少なくとも、かようなものによって、日本から自動車を注文するということはできない。
したがって、このようなものを根拠に、「多数輸入されている」(請求書第5頁2〜3行)とする主張は、理由がないことが明白である。
(ハ)甲第3号証ないし同第6号証は、アメリカのもので、ここにみられる数字は、カナダでの製造台数とアメリカでの販売台数だけである。
甲第8号証で43か国での商標登録の事実を示されているが、外国における商標登録によって、その商標がわが国で周知とか著名になるものとは思われず、また、「世界的に販売されているため」(請求書第5頁5行)各国に商標登録をしたかのように主張されているが、商標登録国において「LUMINA」が具体的に使用されているような事実は何も示されていないので、判断のしようもない。
(ニ)請求人は、「LUMINA」が造語であり、「SONY」や「KODAK」などのように自他識別力の極めて強い語といえる(請求書第6頁8行以下)とされているが、「LUMINA」自体は、少なくともわが国では、各分野の商標として昔から採択されているものであり、「LUMINA」といえば請求人会社を想起するというような性質の語ではない。
参考として、「LUMINA」「ルミナ」の商標の登録例を挙げる。
商標登録番号 類 出願年月日
461337 旧17 昭29. 5.22
1919603 旧 9 昭57. 3. 5
1781123 旧 9 昭57. 6.15
1850540 旧 3 昭58. 7.13
2446450 旧25 平 1. 8. 3
2556445 旧 7 平 3. 5.29
3306427 28 平 6. 8. 4
4365455 11 平I0. 4. 7
4376077 7 平10.11.30
なお、請求人の提出に係る甲第10号、同第12号、同第13号、同第16号及び同第17号等の各証は、これを提出される意図が分からない。
たとえば、「アリナビッグA25」が「アリナミンA25」との関係で販売停止しを命じられたことと、本件が関係するものとは思えない。
以上のようなことから、本件商標が商標法第4条第1項第10号及び同第15号に該当するとの請求人の主張も理由がないものである。

4 当審の判断
(1)請求人が提出した甲第1号証(請求人の販売に係る自動車「Lumina」車種に関する商品カタログ)、同第2号証(自動車「Lumina」車種に関するホームページ)、同第3号証(「MVMA MOTOR VEHICLE(一部抜粋)写し)、同第4号証(「MVMA MOTOR VEHICLE FACTS&FIGURES」1990年(一部抜粋)写し)、同第5、6号証(「AMERICAN AUTOMOBILE MANUFACTURERS ASSOCIATION motor vehicle facts figures」1995、1998年(一部抜粋)写し)、同第7号証(並行輸入業者「KONDO MOTORS」のホームページ)、同第8号証(「Lumina」標章の商標登録が43ヶ国でなされている登録証等)、同第15号証(日本経済新聞社発行「外国会社年鑑(1990年版)」(一部抜粋)写し)、同第20号証((株)宣伝会議発行雑誌「宣伝会議(1990年12月号)」(一部抜粋)写し)及び請求の理由の趣旨によれば、以下の事実を認めることができる。
(ア)請求人である「GENERAL MOTORS CORPORATION」は、米国、ミシガン州デトロイトに所在し、年間売上高約14兆4,000億円(1988年)、年間自動車生産台数810万8,000台(1988年)、従業員数766,000人を数える世界最大の自動車メーカーの企業であるといえ、乗用車については、Cherrolet(シボレー)、Buick(ビビュイック)、Cadillac(キャデラック)、Oldmobile(オールズモービル)及びPonntiac(ポンテイアック)の車種で88年米国の新車登録台数の35%占めるに至っている(甲第15号証)。
(イ)商標「Lumina」(以下、単に「引用商標」ともいう。)を付した自動車は、Cherrolet(シボレー)事業部で長期に製造され、高性能の大衆車種である(第1号証及び同第2号証)。
(ウ)請求人は、請求人により製造の自動車は、日本の現地法人である日本ゼネラルモーターズ株式会社(東京都渋谷区恵比寿4丁目20番3号恵比寿ガーデンプレイスタワー27階)及び株式会社ヤナセ(東京都港区芝浦1丁目6番38号)を中心に販売しているが、引用商標の使用に係る自動車は両社によって正規に輸入されていない、しかし、並行輸入業者によっては、日本から注文ができるようになっていると述べた(甲第7号証)。
(エ)引用商標の使用に係る自動車については、年平均(1989年ないし1997年)20万台以上を製造、販売されており、年間の売上高は、約500億円(「LUMINA」の1台の価格は、約250万円)であり、1989年から1997年までの製造台数の合計は、2,280,983台、売上高は、約5,700億円である(甲第3号証ないし同第6号証)。
(オ)また、同自動車の米国における販売台数のランキングは、1992年第6位 、1993年第8位、1994年第20位、1995年第9位、1996年第8位、1997年第8位である(甲第5号証及び同第6号証)。
(カ)上記引用商標については、その商標登録が商品「自動車」を含む国際分類12類に米国、アルゼンチン、オーストラリア、バーレイン、ベネルクス諸国、カンボジア、中国…等の43ヶ国でなされている(甲第8号証)。
(キ)CI(コーポレート・アイデンティティー)会社であるランド一・アソシエイツ社が行った「イメージ・パワー調査」において、世界におけるイメージパワーのグローバルランキングの上位50位の約3分の1は自動車の商標が占めている。(甲第20号証)。
(ク)請求人は、金融・保険事業を、自動車金融子会社のGMACに担当させている(甲第15号証)
以上の事実からすると、請求人の製造、販売に係る「Lumina」車種は、その製造・販売台数、販売期間、商標のランキング等からみて米国内において相当知られているとみても差し支えない。そして、同車種が日本に正規に輸入されていなとしても、「車社会」といわれる現状、即ち国産車、外国車の急増、国民の多数が運転免許証を取得している等の事情からして、外国車への関心は強いものがあることは公知の事実であること、さらに、今日、国際化と情報化社会にあって、特にインターネットが普及したことからして、米国の自動車情報中、引用商標の「Lumina」車種の情報は、本件商標の出願及び登録査定時には世界は勿論、我が国においても少なくとも本件指定商品の業界における当業者、また、需要者の全部とはいえなくても、外国車に興味を持つその一部においては知られていたものと推認される。
このことは、並行輸入業者「KONDO MOTORS」等のホームページにも引用商標を使用した「Lumina」車種が広告され発信されたこともその一例といえる(甲第2号証及び同第7号証)。
(2)そこで、本件商標と引用商標とを比較するに、本件商標の構成中の「Auto」の文字部分は自動車を意味する「Automobile」 の略であって、指定商品との関係では自動車を扱うことの業種等を示し、商品の品質を表す部分と認識させるものであるから、自他識別力を有する部分としての商標の要部は造語と認められる「Lumina」の文字部分にあるといわなければならない。したがって、本件商標は、引用商標とは「Lumina」の文字において、その外観及びこれより生ずる「ルミナ」の称呼を共通にする類似の商標と認められる。
また、本件商標の指定商品は、引用商標が使用されている商品「自動車」と同一又は類似するものである。
(3)次に、本件商標権者のホームページをみると、「LUMINA AUTO」の文字をタイトル表示したページがあって、そこには、乗用車を背景とした請求人の主力車種である「Cadillac」と共に「LUMINA AUTO」の文字(語)が使用されていることが認められる(甲第9号証)。そして、「Lumina」標章は世界43カ国で登録されているところ、被請求人においては、自動車に関して引用商標の構成中の「Lumina」の文字を登録することについて請求人の承諾を有している等の表示、または書面の提出はない。
(4)ところで、商標法は、公正な競争を図り、取引秩序を維持することを目的とする競業秩序を維持する面を以ているものであるが、商標法第4条第1項第7号は「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標は、商標登録を受けることができない」旨を規定しており、その趣旨は商標の構成自体が公序良俗に反する場合だけでなく、一般に国際信義に反する場合も含まれると解される。
(5)以上、上記(1)ないし(4)の認定事実をからすると、被請求人は請求人の自動車を取り扱うとしても、被請求人が本件商標を自動車に採用し、それを指定商品として請求人に無断で出願し、登録を受けることは、公正な競業秩序とはいえず、惹いては国際的信義則に反し、公の秩序を害するおそれがあるものといわざるを得ない。
してみれば、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものと判断するのが相当である。
被請求人は、平成8年に輸入住宅販売部門で愛称として使用するため、「Luminacity」なる商標を使用し始めたことをもって、後に自動車販売部門でも同様な愛称とすべく、「LuminaAuto」として使用しているものであると主張するが、住宅部門と自動車部門とは「Lumina」のもつ指標力を異にし、住宅部門の使用、登録(登録第4177761号及び同第4177762号商標)をもって指定商品の「自動車」についての登録が是認されるものでない。
その他、被請求人は、種々述べるが前記認定に照らし、いずれも採用できない。
(6)むすび
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第46条第1項第1号により無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2002-01-10 
結審通知日 2002-01-16 
審決日 2002-02-05 
出願番号 商願平8-117114 
審決分類 T 1 11・ 22- Z (012)
最終処分 成立  
前審関与審査官 中田 みよ子 
特許庁審判長 三浦 芳夫
特許庁審判官 中嶋 容伸
滝沢 智夫
登録日 1998-05-29 
登録番号 商標登録第4151215号(T4151215) 
商標の称呼 ルミナオート、ルミナ 
代理人 青木 博通 
代理人 足立 泉 
代理人 柳生 征男 
代理人 石川 義雄 
代理人 鈴江 武彦 
代理人 小出 俊實 
代理人 中田 和博 

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