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審決分類 審判 全部無効 商4条1項8号 他人の肖像、氏名、著名な芸名など 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 109
管理番号 1061477 
審判番号 審判1998-35254 
総通号数 32 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2002-08-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 1998-06-03 
確定日 2002-06-12 
事件の表示 上記当事者間の登録第2723464号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第2723464号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2723464号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成よりなり、平成2年2月7日登録出願、第9類「産業機械器具、その他本類に属する商品」を指定商品として、同9年11月7日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
請求人が本件商標の登録無効を述べる理由に引用する各登録商標(以下「引用各商標」という。)は、以下のとおりである。
(1)登録第1373591号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲に示すとおりの構成よりなり、昭和46年1月6日に登録出願、第11類「電子応用機械器具、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和54年2月27日に設定の登録がされ、その後、平成1年2月27日及び同11年2月16日に商標権の存続期間の更新登録がされているものである。
(2)登録第1415771号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲に示すとおりの構成よりなり、昭和51年3月22日に登録出願、第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)電気材料」を指定商品として、昭和55年4月30日に設定の登録がされ、その後、平成2年8月29日及び同12年4月18日に商標権の存続期間の更新登録がされているものである。
(3)登録第1415772号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲に示すとおりの構成よりなり、昭和51年3月22日に登録出願、第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)電気材料」を指定商品として、昭和55年4月30日に設定の登録がされ、その後、平成2年8月29日及び同12年4月18日に商標権の存続期間の更新登録がされているものである。
(4)登録第2332545号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲に示すとおりの構成よりなり、昭和63年8月19日に登録出願、第11類「電子応用機械器具、その他本類に属する商品」を指定商品として、平成3年8月30日に設定の登録がされているものである。

第3 請求人の主張
1 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のとおり述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第450号証(枝番を含む。)を提出している。
(1)商標法第4条第1項第8号について
請求人「Intel Corporation」の名称の略称「Intel」は、請求人がハウスマークとして使用している引用各商標とも同一であり、本件商標の出願日前より日本国内のみならず世界的規模で著名性を獲得しているものである。
これに対して本件商標は、看者に最も鮮明な印象を与え、看者の記憶に最も残りやすい語頭に請求人の著名な略称「Intel」と同一の表示を含むものである。
本件商標の指定商品は「産業機械器具、その他本類に属する商品」(以下「本件商品」という。)を内容とするが、これらの商品は極一部の手工具や部品等を除けば、その大半がマイクロコンピュータによって制御されているのが実情であるから、請求人の略称「Intel」が著名性を獲得しているマイクロプロセッサ等のマイクロチップとは最終製品とその主要制御部品という極めて密接な関係を有する。
また、本件商標の最終消費者(需要者)は、商品の構造、性能、機能等に敏感かつ十分な知識をする事業者や技術者等の専門家であって、一般家庭の消費者を含まないから、本件商品と請求人の略称が著名性を獲得している商品との密接な関係、並びに本件商品の需要者の範囲を考慮すれば、請求人の略称「Intel」は、本件商標の出願日前から本件商品の取引者、需要者においても著名性を獲得していたものと認められるものである。
さらに、本件商標は格別の意味合いを生じさせるものではなく、かつ、本件商標から生ずる称呼[インテルビー]は、請求人の著名な略称「Intel」に、品番・型番等を表示するときに商取引で多用されているアルファベット文字の1字「B」を付加して構成される商標「Intel B」から生ずる称呼「インテルビー」と完全に同一であるから、本件商標は必ずしも一体不可分ではなく、明らかに「Intel」と「bee」との間に段落を生じ、「Intel」の表示が分離抽出されて特定の観念、すなわち、請求人「インテル社」の意味合いが生ずるものである。
よって、本件商標に接した一般世人は、本件商標が使用対象としている商品が部品中に内蔵している蓋然性が極めて高いマイクロチップについて著名な、請求人の略称「Intel」と請求人「インテル社」を直ちに想起認識すること明らかである。
上記観点より、本件商標は、本件商品との関係に照らして請求人の著名な
略称「Intel」を含んでいると認められ、これについて請求人の承諾を
得ていないから、請求人の人格権を毀損するものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、その出願日前より著名な引用各商標と同一の文字「Intel」を需要者の印象および記憶に最も残りやすい語頭に含んでいる。また、本件商品は、引用各商標が世界的著名性を獲得しているマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ等のマイクロチップと最終製品と主要部品の関係にあるから、引用各商標は本件商品の取引者、需要者においても本件商標の出願日前から著名であったと認められるものである。
また、本件商標から生ずる称呼[インテルビー]は、著名な引用各商標にアルファベット文字「B」を付加して構成される商標「Intel B」から生ずる称呼[インテルビー]と完全に同一であるから、本件商標を耳にした取引者、需要者はその発音から直感的に商標「Intel B」を想起すると考えられる。
したがって、本件商標が本件商品に使用されたときには、需要者は、本件商標に含まれる「Intel」の表示から、著名な引用各商標並びにこれら引用各商標が表示する商品の出所源である「Intel社」を認識理解し、本件商標が「Intel社」あるいはインテル社の関連会社等、少なくともインテル社と何らかの組織的、経済的関係を有する者の製造販売に係る商品であると認識する結果、請求人の業務に係る商品と出所混同を生ずるおそれがある。
(3)商標法第4条第1項第7号について
本件商標は、請求人の創造標章であり、かつ、請求人のハウスマークとし
て世界的な名声を獲得している引用各商標と同一の「Intel」の表示お
よびその称呼[インテル]を語頭に顕著に含み、これにより、本件商標は引
用各商標が獲得した強力な出所表示機能を希釈化し、さらに、引用各商標の
顧客吸引力・名声にただ乗りするものである。また、本件商品と引用各商標
が著名性を獲得している商品との密接な関係、並びに引用各商標が請求人に
よる創造語であるという観点に照らせば、本件商標の出願時において被請求
人が引用各商標の名声について不知で、偶然に「Intel」の表示を含む
本件商標を案出したとは考え難く、本件商標は故意に引用各商標を含むべく
構成された悪意による出願を窺わせるものである。引用各商標の世界的名声
およびそのブランド価値に照らし、本件商標の登録は明らかに国際信義に反
するものである。

2 答弁に対する弁駁
言うまでもなく、「Intel」は世界的に著名な商標である。そして、その商標の経済的価値は、ひとつインテル社の元来の製品であるマイクロチップに限らず、広く多方面の商品、サービスに亘って認められるものであることは言うまでもありません。それがそれほどまでに有名となった著名商標たる知的財産権の獲得した価値であるからである。すなわち、そのような著名商標を一部に含む標章は、その著名商標と何らかの関わりがあるとユーザーが認識する蓋然性が高いため、「著名商標」として、商標法においても特別な保護が認められている。
それゆえ、平成11年7月1日より、周知・著名商標の保護に関して、審査基準が改正され、「周知・著名商標と他の文字又は図形と結合している商標は、原則として拒絶することとする」との基準が公表されたところである。
このような著名商標にただ乗りしようという行為は、商標法の適正な運用、発展のためにも、断じて許されるべきものではない。本件は、すでに無効とされた本件権利者の所有していたIntel-beeの形を変えたものと認識されるもので、本件権利者の著名商標に便乗しようとする意図は明白であり、国際信義に悖るものである。
称呼上も、「インテルビー」が極く自然に「インテル」と「ビー」に分離して認識されることは、「インテル」という造語が著名であるだけに、決して否定できないところである。
なお、最後に、マイクロプロセッサが産業機械器具に広く使用されていることは、繰り返し詳述し、例を挙げるまでもなく、言うまでもない。

第4 被請求人の答弁
被請求人は、「本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする」との審決を求め、その理由要旨を以下のとおり述べ、上申書にて「冷媒回収期の取扱説明書」を提出している。
(1)商標法第4条第1項第8号について
請求人は、本件商標「Intelbee」が他人の名称の著名な略称「Intel」を含む商標であると主張している。
商標法第4条第1項第8号中、「著名な略称」を規定した趣旨は、「これらも氏名と同様に特定人の同一性を認識させる機能があるからであり、人格権保護の規定としてはこれらを保護することが妥当だからである。」(特許庁編 工業所有権法逐条解説)であり、ここでいう特定人(法人)たる「インテルコーポレーション」の同一性を本件商標「Intelbee」が認識させるかどうかについて十分検討されるべきであるにもかかわらず、請求人は単に本件商標を構成するアルファベット8文字中(一体不可分に構成されている)に、「Intel」のアルファベット5文字を含み、「Intel」は世界規模で著名性を獲得し、「Intelbee」は一体不可分に構成された商標ではないと主張するのみである。特に請求人が、本件商標から生ずる称呼は「インテルビー」の称呼が生じ、この「B」は品番、型番等を表示するときに商取引で多用されているので、本件商標の「bee」は「Intel」と分離され、請求人「インテル社」の意味合いが生ずる、との主張はきわめて非論理的である。品番等の表示記号「B」と本件商標の構成部分たる「bee」とを同一視する理由は全くないし、「IntelB」ないし「Intelb」であれば、「インテルブ」の称呼が生ずるであろうし、請求人はアルファベットの大文字の「B」を用い、かつ「Intel」の後に空白を設けるというきわめて故意的に創作した「Intel B」を引き合いに出し、一体不可分に構成された「Intelbee」を無理矢理「Intel」と「bee」とに分離しようと試みている。請求人の論理の欠如は、例えば、「インテルシー」だから「Intel C」と同一称呼であり、「C」は品番等の表示だから「Intel」と「she」ないし「see」とは分離されると主張し、「Intelc」と表示されれば「インテルク」の称呼が生ずるにもかかわらず、「Intel C」を引き合いに出すという、誰の目にもおかしな論理を展開している。
本件商標は、「Intel B」ではなくアルファベット8文字で一体不可分に構成された「Intelbee」であり、商標「Intelbee」からは「インテルビー」の6音の自然的称呼が生じ、「インテル」の略称は生じない。
さて、本論に戻って、商標法第4条第1項第8号の規定の趣旨であるところの「特定人の同一性を認識させる機能」を本件商標が有するかどうかについて検討する。本件商標は、アルファベット8文字で行った不可分に構成された「Intelbee」であり、6音の称呼「インテルビー」が生ずるものであり、かつ指定商品は「産業機械器具、その他本類に属する商品」である。これに対し、請求人の名称は「インテルコーポレーション」であり、その略称は「インテル」ないし「Intel」であり、商品として「マイクロプロセッサ、メモリーチップ」を取り扱っている会社である。商標法第4条第1項第8号の規定における「株式会社の著名な略称」かどうかは、商品との関係において相対的に判断しなければならないことは当然である。
請求人は、本件商標の指定商品の大半がマイクロコンピュータによって制御されているのが実情であるから、請求人の略称「Intel」が著名性を獲得しているマイクロプロセッサ等のマイクロチップとは最終製品とその主要制御部品というきわめて密接な関係を有し、さらに、需要者の範囲を考慮すれば、「Intelbee」をその商品に使用するならば、一般世人は「インテル社」との同一性を認識すると主張している。しかしながら、請求人は、本件商標の指定商品の最終消費者(需要者)は、「商品の構造、性能、機能等に敏感にかつ十分な認識を有する事業者や技術者等の専門家であって、一般家庭の消費者を含まない」と主張し、この主張の通りであるとすれば、仮に第9類に属する機械にマイクロプロセッサが組み込まれていても、「Intelbee」の商標が付された機械自体の製造者ないし販売者を「インテル社」と同一性を有する者と誤解することはむしろ少ないというべきである。ましてや、本件商標は「Intel」そのものではなく、「Intelbee」であり、請求人も主張するように需要者も高度な専門家(当然に一般世人よりも注意深い)であれば、本件商標から誤って「インテル社」との同一性を認識するようなことはない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
商標法第4条第1項第15号の規定における「混同を生ずるおそれ」の判断は、商標の著名度・態様、商品の種類・性格、一般需要者の認識等を考慮して取引の実情に照らして決定されるべきものであり、また、混同を生ずる範囲の無限拡大を防止するため、ある程度客観的であることが必要とされる。したがって、商標「Intel」を使用した商品「マイクロプロセッサ」が現実に市場に流通している状況下において、仮に本件商標「Intelbee」を使用した商品「産業機械器具」の市場における具体的な事情に基づいて判断しなければならず、「マイクロプロセッサ」や「産業機械器具」の取引者、需要者が「マイクロプロセッサ」も「産業機械器具」も同じ業者により生産販売、あるいは提供されたものであると認識するおそれがあると、判断されるときに限って出所の混同のおそれがあると判断できる。しかるに上述の両商品は、同一店舗で販売されるわけではなく、製造業者を同一人と間違えるおそれもない。「マイクロプロセッサ」と「産業機械器具」とは、取引系統、取扱場所、製造販売、用途等何等関連がないから「マイクロプロセッサ」について著名と判断された引用各商標と出所について混同を生ずることはない。
本件商標の自然発生的称呼は「インテルビー」である。この点、請求人は「Intel B」から生ずる称呼とは完全に同一であると主張している。この「Intel B」は「Intel」の文字にアルファベット文字「B」を付加し、さらに間に空白を入れて請求人が創作したものであるが、このように請求人が本件商標と結びつけるために無理矢理創作した「Intel B」と同一の称呼が発生するからと言う理由で、本件商標と引用商標1〜4との間に出所の混同が生ずるとする請求人の主張は妥当ではない。即ち、「Intel」プラス「B」であれば、「Intel B」ないし「Intelb」と創作することもでき、そうとすれば自然的称呼は「インテルブ」であるから本件商標の称呼とは同一ではない。また、本件商標「Intelbee」を「Intel」と「bee」とに分ける請求人の主張も妥当性を欠くものである。本件商標は「Intelbee」と一連に横書きされたものであり、一連の造語として認識され、英語としての意味はないものである。
以上より、本件商標が本件商品について使用されたときは、取引者、需要者は「インテル社」と想起し、本件商標を使用した商品があたかも請求人、少なくとも請求人と経済的又は組織的関係を有する者によって製造販売される商品ではないかと誤認する結果、請求人の業務に係る商品と出所混同を生ずるおそれがある、という請求人の主張は妥当ではない。
(3)商標法第4条第1項第7号について
本件商標は、引用各商標とは別異な商標であるから、本件商標を使用することによって、引用各商標の獲得した出所表示機能が希釈化されることはなく、また、顧客吸引力等にただ乗りするものでもない。
ある商標が実際に取引市場に流通した場合においては、他の著名商標の所有者とその商標を使用する者との間に同一性があるということが認識されてはじめて、公正な取引秩序が害されるものである。しかるに、本件商標と引用各商標とは全く別異な商標であることは先にも述べた通りであり、両商標を使用する者が同一人であるとの認識は生じない。とすれば、本件商標が著名商標に便乗しようとする不正目的による出願であって、公正な取引秩序の維持を旨とする商標法の精神に反し、ひいては国際信義に反するという請求人の主張は受け入れ難いものである。

6 当審の判断
請求人提出の甲各号証によれば、請求人会社「Intel Corporation」(インテルコーポレーション)(以下「インテル社」という。)」は、米国にあって、早くからマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、マイクロコンピュータを含む各種半導体製品・コンピュータ関連製品の製造メーカーとして知られる企業であって、1970年、世界初のICメモリ1103を、1971年には、世界初のマイクロプロセッサ4004を開発・発表。世界で初めて量産化に成功したのを手始めに、1982年には、高性能16ビット・マイクロプロセッサ8026を開発、また高集積16ビット・マイクロプロセッサ80186を発表。マイクロプロセッサの発展方向を「高性能化」と「高集積化」に2分化し、新時代をひらいた。1985年には、32ビットマイクロプロセッサを提供(甲第6号証)。1995年には、パソコンの心臓部であるマイクロプロセッサ(MPU)における全世界の市場で約80%の高いシェア(金額ベース)を握る。半導体業界では最大手。製造業では今、世界最強の会社と言っていい(甲第7号証)。また、世界半導体市場におけるインテル社のランキングは、1989年には第8位であったものが1990年には第5位に上昇し、翌年の1991年には第3位、そして、1992年には第1位となり、以降、業界トップを維持しているように(甲第8号証)、世界的名声を獲得した企業であることが認められる。
また、インテル社は、1996年の「FORTUNE」誌の「AMERICA’S MOST ADMAIRED COMPANIES」(米国の最も称賛すべき企業)において第5位に(甲第49号証)、1997年には、第7位にランキングされている(甲第46号証)。
さらに、請求人の名称の略称「Intel」は、「Most Valuable BRANDS」(最も価値のあるブランド)として、「Coca-Cola」、「Marlbolo」、「IBM」、「Mcdonald’s」等の世界的な著名商標に続く第8位にランキングされており、そのブランド価値は132億7400万ドルと評価されている。
そして、インテル社がその取扱いに係る「マイクロプロセッサ、マイクロ
コントローラ」等の「マイクロチップ」について前記発展過程の頃より一貫して使用している「INTEL」(インテル)または「intel」の標章よりなる引用商標は、本件商標登録出願時の1990年には当該製品が 世界の半導体市場において第5位を占めていた状況よりして、当時、既にわが国の取引者、需要者間において広く認識され、現在もなおその著名性を獲得しているものと認められる。
また、請求人提出の甲各号証によれば、インテル社の名称の略称である「Intel」(インテル)の標章は、その取り扱いに係る各製品の製造・販売等の事業を表彰する代表的出所表示として、あるいは、その事業全体を表彰するいわゆるハウスマークとして営々と使用されてきた状況と相俟って、該標章(略称)は、本件商標登録出願時の1990年(平成2年)当時、既にわが国のコンピュータ業界及びこの種コンピュータ関連各商品の取引者、需要者間において広く認識せられるに至った著名な略称であったことを認めるに十分であって、しかも、該標章は、それ自体が創造語であって、前記称呼名とともに看者の記憶、印象に強く残るものといえる。
さらに、今日においては、本件商標の指定商品である「産業機械器具、その他本類に属する商品」の多くのものに、「マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ」が搭載されて、これにより稼働、制御されているのが実情であり、本件商標の出願以前においても、例えば、甲第274号及び同第300号証によれば、「マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ」が各種産業機械に利用されている事実が認められるから、本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品である「マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ」とは極めて密接な関係にある商品といわざるを得ない。
以上によれば、「Intel」(インテル)の標章は、インテル社の会社
名称の略称として、本件商標の登録出願の当時より、既にその指定商品の分
野における取引者、需要者間において広く認識された著名な略称であったとみるのが相当である。
そして、そのほかに、前示の認定を左右するに足りる証拠はない。
そうすると、「Intelbee」の文字よりなる本件商標は、その構成中にインテル社の会社名称の著名な略称である「Intel」を含むことが明らかであり、かつ、請求人主張の全趣旨に照らし、本件商標の商標登録に関し、請求人の同意があったものということはできないから、結局、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当するものというべく、その登録は、同法条の規定に違反してされたものといわざるを得ない。
したがって、 請求人の述べる他の無効理由の当否について判断するまでもなく、本件商標は、商標法第46条第1項の規定により、前記理由をもって無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 本件商標


引用商標1


引用商標2


引用商標3


引用商標4


審理終結日 2002-04-10 
結審通知日 2002-04-15 
審決日 2002-05-01 
出願番号 商願平2-12499 
審決分類 T 1 11・ 23- Z (109)
最終処分 成立  
前審関与審査官 広石 辰男原 隆工藤 莞司 
特許庁審判長 三浦 芳夫
特許庁審判官 米重 洋和
山下 孝子
登録日 1997-11-07 
登録番号 商標登録第2723464号(T2723464) 
商標の称呼 インテルビー、ビー 
代理人 佐久間 剛 
代理人 増田 竹夫 
代理人 柳田 征史 

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