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審決分類 |
審判 査定不服 商4条1項15号出所の混同 登録しない 123 |
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管理番号 | 1060114 |
審判番号 | 審判1994-19082 |
総通号数 | 31 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2002-07-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1994-11-21 |
確定日 | 2001-10-30 |
事件の表示 | 平成2年商標登録願第88383号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、別紙に表示するとおりの構成よりなり、第23類「時計、眼鏡、これらの部品および付属品」を指定商品として、平成2年8月2日に商標登録出願されたものである。 2 原査定の拒絶の理由 原審において登録異議の申立があった結果、原査定が登録出願人に対し示した拒絶の理由は、「登録異議申立人の提出に係る甲第12号証によれば、「POLO」の文字よりなる商標(以下『引用商標』と表記)が、商品「眼鏡」に使用され、本願商標出願以前に、取引者・需要者間に広く認識されていたものと認められるものである。したがって、例え本願商標が「U S POLO ASSOCIATION」の文字よりなるとしても、引用商標が著名となっていることから、「POLO」の文字をその構成中に含む本願商標は、その構成態様において「POLO」の文字が視覚的に分離されるものと判断される。さらに、本願指定商品は、引用商標と同一又は類似の商品を含むものであるから、本願商標が使用されるときには、引用商標との出所について混同を生じさせるおそれがあるものといわなければならず、本願商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。」とするものである。 3 当審の判断 そこで、本願商標が他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがあるか否かについて判断する。 (1)株式会社講談社昭和53年7月20日発行の「男の一流品大図鑑」及びサンケイマーケティング昭和58年9月28日発行の「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」によれば、以下の事実が認められる。 ラルフ・ローレン(Ralph Lauren)は、1967年ネクタイメーカーのボー・ボランメル社にデザイナーとして入社、幅広ネクタイをデザインし、圧倒的に若者に支持され、世界に広まった。翌1968年独立、社名を「ポロ・ファッションズ」(現在の「ザ ポロ/ローレン カンパニー リミテッド パートナーシップ」の前身、以下、「ポロ社」という。)とし、ネクタイ、スーツ、シャツ、セーター、靴、カバンなどのデザインをはじめ、トータルな展開を図ってきた。1971年には婦人服デザインにも進出、服飾業界の名誉ある賞、「コテイ賞」を1970年と1973年の2回受賞するとともに、数々の賞を受賞。アメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。 我が国において、ラルフ・ローレンの名前は、服飾業界等において広く知られるようになり、そのデザインに係る商品には「POLO」の文字又は同文字とともに「by RALPH LAUREN」の文字及び馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形を組み合わせた商標(以下、これらを一括して「ポロ商標」という。)が用いられ、この商標は「ポロ」の呼称(略称)をもって呼び交わされていることが認められる。 そして、株式会社洋品界昭和55年4月発行の「海外ファッション・ブランド総覧1980年版」の「ポロ」の項及びボイス情報株式会社昭和59年9月発行の「ライセンス・ビジネスの多角的戦略’85」の「ポロ・バイ・ラルフ・ローレン」の項の記述及び昭和63年10月29日付日経流通新聞の記事によれば、我が国においては、西武百貨店が昭和51年にポロ社から使用許諾を受け、同52年からラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴、サングラス等、同53年から婦人服の輸入、製造、販売を開始したことが認められる。 また、ラルフ・ローレンに係る紳士服、紳士用品については、株式会社スタイル社1971年7月発行の「dansen男子専科」、前出の「男の一流品大図鑑」、株式会社講談社昭和54年5月発行の「世界の一流品大図鑑’79年版」、株式会社チャネラー昭和54年9月発行の別冊チャネラー「ファッション・ブランド年鑑’80年版」、「男の一流品大図鑑’81年版」(昭和55年11月発行)、「世界の一流品大図鑑’80年版(昭和55年5月発行)、婦人画報社昭和55年12月発行の「MEN’S CLUB 1980,12」、「世界の一流品大図鑑’81年版」(昭和56年5月発行)、前出の「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」、株式会社講談社昭和60年5月発行の「流行ブランド図鑑」に「POLO」、「Polo」、「ポロ」、「ポロ(アメリカ)」、「ポロ/ラルフローレン(アメリカ)」等の商標の下に紹介されていることが認められる。 なお、ラルフ・ローレンの「POLO」、「ポロ」、「Polo」の商標について、「眼鏡、時計等」の商品に関して、上記認定とほぼ同様に認定した東京高等裁判所の判決(平成2年(行ケ)183号、平成3年7月11日判決言渡)がある。 以上、認定の事実を総合し、かつ、上記判決の趣旨も併せ考慮するに、「ポロ商標」は、我が国においては、遅くても昭和55年までにはラルフ・ローレンのデザインに係る商品を表示するものとして、被服類、靴、かばん類、眼鏡等のいわゆるファッション関連の商品分野の取引者、需要者の間において広く認識されていたものと認められ、その状態は現在もなお継続しているというのが相当である。そして、他にこの認定を覆すに足りる証拠はない。 (2)本願商標は、前記のとおり「U S POLO ASSOCIATION」の欧文字を横書きしてなるものである。そして、たとえ該文字が請求人(出願人)の述べるとおり、米国在のポロ競技の団体名「UNITED STATES POLO ASSOCIATION」を表したものであるとしても、我が国においてはポロ競技自体馴染みの薄いスポーツであって、一般に親しまれているものといえないばかりでなく、「U S POLO ASSOCIATION」又は「UNITED STATES POLO ASSOCIATION」の文字(標章)が、商標法上の商標の本質的機能である自他商品識別標識すなわち使用に係る特定商品の出所表示として使用され機能していたという事情も見出せないから、該標章より直ちに特定のポロ競技団体を表彰するものと認識し、理解するとみるのは極めて困難であって、かかる事情を考慮に入れる余地はなく、ほかに、請求人の主張を認めるに足りる証左は見出せない。 そして、本願商標は、その構成中に前述(1)においてその著名性を認定したポロ商標の基幹商標ともいうべき「POLO」の文字を有してなるものであるから、これに接する取引者、需要者は、「POLO」の文字部分に着目し、該文字部分をもって強く印象付けられると同時に、全体としてポロ社又はラルフ・ローレンに係る事業と関連付けて考察する場合が少なからずあるとみるのが相当である。 してみると、本願商標をファッション関連の商品の一である指定商品「眼鏡等」に使用した場合、米国の著名なデザイナーであるラルフ・ローレンに係る商品を表示するものとして広く知られるポロ商標を連想、想起し、同人又は同人の事業と組織的・経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるといわなければならない。 4 結語 以上のとおり、本願商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものといわざるを得ないから、その理由をもって本願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消すべき限りでない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
【別記】 |
審理終結日 | 1999-07-13 |
結審通知日 | 1999-06-28 |
審決日 | 1999-07-23 |
出願番号 | 商願平2-88383 |
審決分類 |
T
1
8・
271-
Z
(123)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 宮川 久成、中嶋 容伸 |
特許庁審判長 |
原 隆 |
特許庁審判官 |
澁谷 良雄 高野 義三 |
商標の称呼 | 1=ユ-エスポロアソ-シエ-シ+ヨン |
代理人 | 広瀬 文彦 |