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審決分類 審判 全部無効 称呼類似 無効としない 042
審判 全部無効 商4条1項10号一般周知商標 無効としない 042
管理番号 1059784 
審判番号 審判1998-35333 
総通号数 31 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2002-07-26 
種別 無効の審決 
審判請求日 1998-07-22 
確定日 2002-05-07 
事件の表示 上記当事者間の登録第3133753号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第3133753号(以下「本件商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成よりなり、第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」(以下「本件役務」という。)を指定役務として、平成4年9月30日に使用に基づく特例の適用を主張して登録出願され、同8年3月29日に特例商標として設定登録がなされたものである。

2 請求人の引用商標
(1)登録第912916号商標(以下「引用A商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成よりなり、昭和44年6月19日に登録出願、昭和46年7月29日に設定登録がなされたものである。
(2)登録第2269854号商標(以下「引用B商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成よりなり、昭和62年7月20日に登録出願、平成2年9月21日に設定登録がなされたものである。
(3)登録第1163099号商標(以下「引用C商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成よりなり、昭和46年8月13日に登録出願、同50年10月9日に設定登録がなされたものである。
(4)登録第1323051号商標(以下「引用D商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、昭和48年3月17日に登録出願、同53年2月13日に設定登録がなされたものである。
(5)登録第2269853号商標(以下「引用E商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成よりなり、昭和61年5月15日に登録出願、平成2年9月21日に設定登録がなされたものである。
(6)登録第2431297号商標(以下「引用F商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成よりなり、平成1年8月2日に登録出願、同4年6月30日に設定登録がなされたものである。
(7)登録第2269852号商標(以下「引用G商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成よりなり、昭和61年5月15日に登録出願、平成2年9月21日に設定登録がなされたものである。
(8)登録第2431298号商標(以下「引用H商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成よりなり、平成1年8月2日に登録出願、同4年6月30日に設定登録がなされたものである。
(9)登録第2634003号商標(以下「引用I商標」という。)は、別掲に示す構成よりなり、第11類「民生用電気機械器具を除く電気機械器具、ラジオ受信機、テレビジョン受信機、音声周波機械器具、映像周波機械器具を除く電気通信機械器具、電子応用機械器具、電気材料」を指定商品として、平成1年12月20日に登録出願、同6年3月31日に設定登録がなされたものである。
(10)登録4094707号商標(以下「引用J商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成よりなり、平成1年12月20日に登録出願、同9年12月19日に設定登録がなされたものである。
(11)登録第2593220号商標(以下「引用K商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成よりなり、第11類「電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路、同磁気ディスク、同磁気テープ、同光ディスク」を指定商品として、平成1年12月20日に登録出願、同5年10月29日に設定登録なされたものである。
(12)登録第2593221号商標(以下「引用L商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成よりなり、第11類「電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路、同磁気ディスク、同磁気テープ、同光ディスク」を指定商品として、平成1年12月20日に登録出願、同5年10月29日に設定登録がなされたものである。
そして、(1)、(3)、(4)の指定商品は、いずれも第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、その他本類に属する商品」とするものである。
また、(2)、(5)、(6)、(7)、(8)、(10)の指定商品は、いずれも第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)電気材料 」とするものである。

3 請求人の主張
請求人は、「本件商標の登録を無効とする、審判費用は、被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由の要旨を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証乃至甲第19号証を提出した。
(1)本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
本件商標と引用A商標〜引用F商標とは、その指定役務と指定商品とが類似するものであって、商標も類似するものである。
(ア)役務と商品の類否について
本件商標の役務「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」が提供される場合は、磁気ディスクやCDーROM等のプログラム記憶媒体を介して提供されることが一般的である。
従って、本件商標の指定役務が用いられるときに用いられるプログラム記憶媒体と、引用A商標〜引用C商標の指定商品中の「電子応用機械器具である電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路、磁気ディスク、磁気テープその他の周辺機器)」とは類似するものである。
また、第9類の商品としてのプログラムを記憶させた磁気ディスクと第42類の電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守の役務は、添付した新聞・雑誌の記事等(甲第14号証)に見られるように、商品としての電子応用機械器具もしくは電気通信機械器具の記事と、役務としての電子計算機のプログラムに関する記事は、共通の新聞の紙面もしくは共通の雑誌に掲載されることが多い。例えば、コンピュータ技術者向けの月刊誌である「インターフェイス」誌のソフトウェアに関する特集記事が掲載された別冊付録に、本件請求人の広告記事が掲載されている。
そして、マイクロコンピュータ総合誌なる月刊誌「ASCII」にはアマチュア無線のハムフェアに関する記事が詳細に紹介されている。そこには、本件請求人を始めアマチュア無線関係の各社の商品等が紹介されている。また、会社人事・機構改革の紹介記事や役員人事の紹介記事においては、本件請求人である「アイコム株式会社」は「情報・通信」の分類もしくは「電機」の分類に掲載されている。また、システムハウス関連や各種ソフトウェアの紹介記事と同一紙面に本件請求人である「アイコム株式会社」の新商品の紹介記事が掲載されている。
このようなことからも、商品としての電子応用機械器具もしくは電気通信機械器具と、役務としての電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守は、相互に類似する商品・役務といえる。
現に、本件請求人が、旧第11類(新第9類)において出願した、引用K、L商標は指定商品を「電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路、同磁気ディスク、同磁気テープ、同光ディスク」として登録されている。
即ち、電子回路、同磁気ディスク、同磁気テープ、同光ディスクに記憶された電子計算機用プログラムの略称として一般的に使用される「ソフト」なる用語は、旧第11類(新第9類)の分野においても、商品として極めて一般的に流通しているものであり、旧第11類(新第9類)の「電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路、同磁気ディスク、同磁気テープ、同光ディスク」と、第42類の「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」とは、商品と役務の用途が一致する等、明確には分離できない類似する商品・役務であると言わざるをえない。
即ち、「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」の役務が提供される場合も、「電子計算機による計算処理その他の情報の処理」なる役務が提供される場合も、電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・同磁気ディスク、同磁気テープ、同光ディスクを介して提供されることが一般的である。
従って、本件商標の指定役務は、引用A商標〜引用F商標の指定商品と類似するものである。
(イ)外観・称呼・観念の類否について
本件商標は、「ICOM SYSTEM IND.」の欧文字よりなるところ、その構成中の「SYSTEM」の文字部分は、商品ないし装置の機能的な組み合わせ等を意味する用語として、本件商標の指定役務及び引用A商標の指定商品の分野において一般に使用されていることは顕著である。
また、「IND.」の文字は、業種及び会社の組織形態を表示するものとして商号中に一般に採択・使用されているものであるから、これらの部分は、自他商品について格別の識別力を有するものではないというべきである。従って「SYSTEM」「IND.」の文字部分は自他商品について格別の識別力を有するものではないというべきである。(甲第16号証のイ及びロ)
したがって、特に簡易迅速を旨とする取引の実際においては、本来自他商品の識別機能を有しない文字部分、即ち、「SYSTEM」及び「IDN.」の部分を省略し、これを省いた構成文字、即ち、「ICOM」の文字部分に注目されることがあるというべきである。従って、本件商標の要部は「ICOM」にあり、これよりは「アイコム」の称呼をも称呼を生ずものである。
他方、引用A商標〜引用L商標からは、いずれも「アイコム」なる称呼を生ずる。
したがって、本件商標と引用A商標〜引用L商標とは「アイコム」称呼を共通にする類似の商標である。また、本件商標と引用A商標〜引用F商標は、「アイコム」 の外観が同一であるので、両者は、外観が類似する。
してみれば、本件商標は引用A商標〜引用L商標と類似するものである上に、本件商標の指定役務は引用A商標〜引用L商標と類似するものである。
(2)本件商標は、商標法第4条第1項10号に該当する。
引用B商標、引用G商標は、本件商標の出願の日前において既に周知の商標であるので、本件商標は、商標法第4条第1項10号の規定に基づいて拒絶されるべきものである。
(ア)周知性について
引用B商標、引用G商標は、添付した新聞・雑誌の記事等(甲第12号証)によれば、本件商標の出願の日前において既に周知の商標である。
甲第12号証は、何れも本件商標の出願前の日付であり、電波新聞や日刊工業新聞に限らず、日本経済新聞や朝日新聞等の一般的な日刊紙にも頻繁に引用B商標、引用G商標、およびアイコム株式会社の関連記事が記載されており、本件請求人の商号商標である引用B商標、引用G商標は、本願商標の出願前から既に周知であったことを証明している。
特に、大阪証券取引所の2部上場にあたっては、頻繁にアイコム株式会社に関する記事が掲載され、当事者に限らず広く一般社会に認知されるに至った。また、本件請求人の代表者が日本アマチュア無線機器工業会(JAIA)の会長に選任されたこともあって、さらに、広く認知されるに至った。
2部上場の後は、甲第13号証に示すように、今日に至るまで、各紙の株式欄には継続して株価が紹介されていることはいうまでもない。
甲第14号証によれば、1990年(平成2年)10月1日から、本件商標の出願前の1992年(平成4年)8月18日発行の新聞・雑誌に、本件請求人に関する記事、及び本件請求人のアマチュア無線機器に関する広告記事が、社名の略称である「アイコム」及び引用B商標、引用G商標とともに掲載されている。
また、甲第15号証によれば、1994年(平成6年)1月号から1997年(平成9年)1月号のアマチュア無線に関する月刊誌「CQ Ham Radio」には、本件請求人のアマチュア無線機器に関する広告記事が、引用B商標、引用G商標とともに掲載されている。
また、本件商標の出願後も、1997年(平成9年)9月1日発行及び1998(平成10年)3月1日発行のアマチュア無線に関する月刊誌「CQ Ham Radio」には、本件請求人のアマチュア無線機器に関する広告記事が、引用B商標、引用G商標とともに掲載されている。特に、これらの月刊誌には、本件請求人のアマチュア無線機器に関する広告やこれらの機器を制御するためのプログラムを記憶させた磁気ディスクの広告記事が引用B商標、引用G商標とともに掲載されている。
同様に、1997年(平成9年)8月1日発行及び1998年(平成10年)3月1日発行のマイクロコンピュータに関する月刊誌「DOS/V magazine」には、本件請求人のアマチュア無線機器に関する広告やそれらの機器を制御するためのプログラムを記憶させた磁気ディスクの広告記事が、引用B商標、引用G商標とともに掲載されている。
従って、引用B商標、引用G商標は、本件商標の出願前から現在に至るまで需要者の間に広く認識されていることが明らかである。
そして、本件商標は、これらの周知の商標と類似する商標である。

4 被請求人の主張
被請求人は何等答弁をしていない。

5 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は平成4年9月30日に出願されたものであるが、商標法等の一部を改正する法律(平成3年法律第65号)附則第4条第2項によれば、この法律の施行の日(平成4年4月1日)から6月間にした役務に係る商標登録出願については、新法第4条第1項(第11号及び第13号に係る部分に限る。)及び第8条第1項の規定は適用しないとされているから、本件商標が、商標法第4条第1項第11号に該当するとする請求人の主張は無効事由にならない。
(2)商標法第4条第1項第10号について
本件商標は、別掲に示すとおり、「ICOM SYSTEM IND.」の文字よりなるものであるが、本件商標中、「IND.」の文字は商号ないし商標等を構成する文字中において業種を示すものとして一般に広く使用されていることから、これよりは、「アイコムシステムインダストリー」、「アイコムシステムコウギョウ」及び「アイコムシステム」の称呼を生ずるものである。
他方、引用B商標及び引用G商標は、それぞれの構成文字より、「アイコム」の称呼が生ずるものであるから、本件商標と引用B商標及び引用G商標とは、称呼において相違しているものである。
さらに、請求人が提出した甲第12号証〜同第15号証及び同第18号証をみると、引用商標が「通信機器」に使用して周知であると認められるとしても、本件役務と「通信機器」、「電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路、同磁気ディスク、同磁気テープ、同光ディスク」等とは、取引の対象、取引の形態、流通経路等を、共通するものではないというべきであり、両者が類似するものであるということはできない。
また、請求人が主張している「プログラムを記憶させた磁気ディスク」等の商品について、商標法第4条第1項第10号で要件とされている需要者の間に広く認識されていることを認めるべき的確な証拠もないものである。

6 結論
以上のように、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第10号に違反して登録されたものとはいえないから、本件商標の登録は、同法第46条第1項の規定により無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別 掲


本件商標




引用A商標





引用B商標




引用C商標





引用D商標





引用E商標





引用F商標





引用G商標





引用H商標





引用I商標





引用J商標





引用K商標





引用L商標


審理終結日 2002-03-05 
結審通知日 2002-03-08 
審決日 2002-03-25 
出願番号 商願平4-280001 
審決分類 T 1 11・ 25- Y (042)
T 1 11・ 262- Y (042)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 石田 清瀧本 佐代子 
特許庁審判長 滝沢 智夫
特許庁審判官 酒井 福造
田口 善久
登録日 1996-03-29 
登録番号 商標登録第3133753号(T3133753) 
商標の称呼 アイコムシステムアイエヌデイ、アイコムシステム、アイコム 
代理人 杉本 巌 
代理人 杉本 勝徳 

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