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審決分類 審判 査定不服 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 登録しない 009
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない 009
管理番号 1059767 
審判番号 審判1999-9069 
総通号数 31 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2002-07-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-06-03 
確定日 2001-11-01 
事件の表示 平成 9年商標登録願第 20511号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本出願に係る商標(以下、「本願商標」という。)は、1996年(平成8年)8月31日ドイツ連邦共和国においてした商標登録出願に基づき、パリ同盟条約第4条による優先権を主張して平成9年2月28日に登録出願、後掲に示すとおり「T-Mobile」の文字を書してなり、指定商品については、原審において提出した平成10年11月6日付手続補正書をもって、第9類「理化学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,眼鏡,加工ガラス(建築用のものを除く。),救命用具,電気通信機械器具,レコード,電子応用機械器具及びその部品,オゾン発生器,電解槽,ロケット,遊園地用機械器具,回転変流機,調相機,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,鉄道用信号機,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,火災報知器,事故防護用手袋,消火器,消火栓,消火ホース用ノズル,消防車,消防艇,盗難警報器,保安用ヘルメット,防火被服,防じんマスク,防毒マスク,磁心,自動車用シガーライター,抵抗線,電極,溶接マスク,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,ガソリンステーション用装置,自動販売機,駐車場用硬貨作動式ゲート,金銭登録機,計算尺,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,電気計算機,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置,ウェイトベルト,ウェットスーツ,浮き袋,エアタンク,水泳用浮き板,潜水用機械器具,レギュレーター,アーク溶接機,犬笛,家庭用テレビゲームおもちゃ,金属溶断機,検卵器,電気溶接装置,電動式扉自動開閉装置,メトロノーム」と減縮する旨の補正をしたものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、商品の品番・等級等を表す記号・符号として一般に採択・使用されているローマ文字1字の「T」と、「移動式のもの」等の意味を有し、例えば「Mobile Computer(モバイルコンピューター)」の如く携帯可能で移動式の商品を表す語として一般に採択・使用されている「Mobile」の文字をハイフンで結合してなるものであるから、これをその指定商品中、例えば「電子応用機械器具及びその部品」に使用するも、需要者は商品の記号・符号と品質を表示したものと認識するに止まり、何人の業務に係る商品であるか認識することができないものものと認める。
したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第3条第1項第6号に該当し、前記商品(役務)以外の商品(役務)に使用するときは商品(役務)の品質(質)の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
本願商標は、その構成後掲に示すとおり、「T-Mobile」と表してなるところ、該構成は「T」及び「Mobile」の欧文字をハイフンを介して結合してなるものと容易に看取させる一方、これら各文字(語)を常に一体のものとして把握しなければならないような意味上の関連性は見出し難く、かつ、その証拠も見出せない。
しかして、一般に、欧文字の1文字ないし2文字が、商品の規格、品番等を表すための記号又は符号として商取引上類型的に採択使用されていることは、本願指定商品を取り扱う家電・情報メディア商品関連等の業界においても例外でなく、例えば、メーカー各社のセールスマンカタログ等によれば、「MC-01」(PHS携帯情報端末)、「HD-50T」(携帯電話機)(株式会社東芝)、「AM-15」(PHS電話機)(三菱株式会社)、「NV-P6」(ポータブルナビゲーション)(三洋電機株式会社)、「MI-106M」(モバイルビジネスツール)、「RW-A260A」(モバイルコンピュータ)(シャープ株式会社)、「DVD-L10」(ポ-タブルDVDプレーヤー)(松下電器産業株式会社)、「PT-M01」(PDA:携帯情報端末)(日経モバイル2000年5月号:高木産業)等の如く、欧文字1文字ないし2文字を記号・符号表示として取引上普通に使用している事実が認められる。
また、同後半の「Mobile」の文字(語)は一般に「モバイル」又は「モビール」と読まれ、「動きやすい、可動性の、移動性の」等の意味合いで親しまれている平易な英語と認められるところ、本願指定商品との関係においては、該語がPHSや携帯電話等を代表とした「移動体通信」を指称するもの(自由国民社発行「現代用語の基礎知識1999」等より)として、容易に理解され、かつ、取引上普通に使用されている状況は、例えば、以下の日刊新聞各記事等によりこれを認めることができる。
(ア)持ち運びできるモバイル・パソコン 人気上昇、メーカー熱い期待 企業積極導入………・・・外出先で使える「移動可能(モバイル)」パソコンが急成長している。・・・(1996.06.06付 読売新聞東京朝刊)
(イ)モバイル(ことば)………電車の中などでノートパソコンと携帯電話をつなぎ、操作している人をよく見かける。これがいま流行のモバイルだ。・・・「モバイル(mobile)」は「可動性の」「機動性のある」といった意味だ。「モービル」と読むこともあるが、なぜかパソコン業界では「モバイル」という。・・・(1999.04.22付 朝日新聞大阪朝刊)
(ウ)モバイルドランカー増殖中--ホームページ、端末最新情報や体験談など紹介。………・・・映画に出てきたモバイル機器の紹介など・・。・・モバイル商品の購入につぎ込む。・・・(1999.12.25付 日経流通新聞)
(エ)毎日新聞、電子メールで情報提供。………・・・携帯電話やPDA(携帯情報端末)のようなモバイル関連機器の新製品情報などが入手できる。(1998.03.24付 日本経済新聞)
(オ)最速!モバイルPII400MHz搭載マルチメディアノートPC・・・(高木産業株式会社 日経パソコン1999年9月6日広告記事より)
以上によれば、「mobile、モバイル」の文字(語)は、外出先でもオフィスや自宅にいるのと同じようにメールやデータのやり取りを行うための機器又はその機能特性を端的に表すものとして普通一般に通用し、かつ、取引上普通に使用されている状況がすでに顕著な事実と認められる。
そして、携帯型の小型コンピュータ,PHSなどの移動体通信機器、PDA(携帯情報端末)等の前記モバイル機器について、その種別、型式表示として欧文字1文字ないし2文字が使用されている状況にあることは前記認定のとおりである。
してみると、本願商標をその指定商品中の前記モバイル機器について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、前記事情よりして、該商品の機能特性又はその種別、型式等を表示したものと理解するに止まり、それをもって何人かの業務に係る商品であるのかを認識することができないものというべきであり、かつ、これを前記モバイル機器以外の商品について使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本願商標は商標法第3条第1項第6号および同法第4条第1項第16号に該当するものといわざるを得ないから、これを理由に本願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消すことはできない。
請求人は、本願商標の冒頭の「T」の部分は、請求人の使用する商標であることを示すものであり、現実取引において、請求人の企業努力により本願商標は一体不可分なものとして使用・浸透して行くものである旨述べているが、出願人提出の証拠(甲第1号証)によれば、出願人が「T」の文字を結合した商標を一定数出願し、登録されている事実は認められるとしても、語頭に「T」の文字を冠してなる商標が直ちに請求人業務に係る商品を表彰するものの如く需要者に認識されているとする点までは認め難く、また、「T」の文字が商品の記号、符号として認識されるものであることは前述のとおりであるから、その主張は採用の限りでない。
さらに、請求人は、「T」の文字と他の文字との結合商標が一連の造語と認識され、当該他の文字により構成される登録商標と併存している旨述べ、登録例(甲第2号証ないし甲第11号証)を挙げて本願商標の登録適格性を主張しているが、それらの事例は商標の具体的構成或いは指定商品(役務)において本願商標とは事案を異にするものであり、それら事例をもって現在における本願商標の登録の適否を判断する基準とするのは必ずしも適切でなく、また、本件については前記認定を相当とするものであるから、その主張は採用することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 本願商標


審理終結日 2000-09-07 
結審通知日 2000-09-19 
審決日 2000-10-05 
出願番号 商願平9-20511 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (009)
T 1 8・ 16- Z (009)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 池田 光治 
特許庁審判長 原 隆
特許庁審判官 宮川 久成
野口 美代子
商標の称呼 テイモビール、テイモービル、モビール、モービル、モバイル 
代理人 田島 壽 
代理人 青木 篤 
代理人 勝部 哲雄 
代理人 石田 敬 
代理人 宇井 正一 

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