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審決分類 審判 査定不服 商4条1項11号一般他人の登録商標 取り消して登録 Z33
管理番号 1058676 
審判番号 審判1999-14416 
総通号数 30 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2002-06-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-09-06 
確定日 2002-05-23 
事件の表示 平成 9年商標登録願第180699号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、第33類「日本酒」を指定商品として、平成9年11月26日に登録出願されたものである。

2 原査定の理由
原査定において、本願の拒絶の理由に引用した登録第2135572号商標(以下「引用A商標」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、昭和59年8月14日登録出願、第28類「酒類」を指定商品として、平成1年4月28日に設定登録されたものである。同じく、登録第2419045号商標(以下「引用B商標」という。)は、「流」の漢字を書してなり、平成1年11月21日登録出願、第28類「酒類」を指定商品として、平成4年5月29日に設定登録されたものである。

3 当審の判断
(1)外観について
本願商標は、別掲(1)のとおり、「龍」の文字を毛筆書きにして表したものである。
これに対して、引用A商標は、別掲(2)のとおり、正方形輪郭内に「辰」の文字を書し、該輪郭の下に「SUNTORY」の欧文字を書してなるものである。
また、引用B商標は、前記したとおり、「流」の文字を書してなるものである。
してみると、本願商標と引用各商標とは、外観上明らかに区別し得る差異を有するものである。
(2)観念について
本願商標を構成する「龍」の文字からは、「水に潜み空を飛んで雲を起こし雨を呼ぶ霊力があるとされる想像上の動物」の観念が生ずるものである。
一方、引用A商標は、正方形輪郭及びその中に書された「辰」の文字部分は、「SUNTORY」の欧文字部分とは観念上密接な関係を有するものとは認められないから、「SUNTORY」の文字部分とは分離して把握、認識されるというのが相当である。そして、正方形輪郭及びその中に書された「辰」の部分は、そのうちの称呼、観念しやすい「辰」の文字部分のみをもって、商品の取引に資される場合も決して少なくないものといえる。
してみると、引用A商標は、「辰」の文字から単に「十二支の第五、方角、昔の時刻」の観念をも生ずるものである。
また、引用B商標を構成する「流」の文字からは、「流れること、さすらうこと」などの観念が想起されるものである。
してみると、本願商標と引用各商標とは、観念上相紛れるおそれはないものとみるのが相当である。
(3)称呼について
本願商標は、「龍」の文字を書してなるものであるからから、これより「リュウ」、若しくは「タツ」の称呼を生ずるものである。
これに対して、引用A商標は、前記(2)で認定したとおり、「辰」の文字部分が独立して把握、認識されるというのが相当であるから、これより、単に「タツ」、若しくは「シン」の称呼をも生ずるものである。
また、引用B商標は、「流」の文字を書してなるものであるから、これより「リュウ」、若しくは「ナガレ」の称呼を生ずるものである。
してみると、本願商標と引用A商標とは、「タツ」の称呼を、また、本願商標と引用B商標とは、「リュウ」の称呼を共通にする場合もあるということができる。
(4)出所の誤認混同について
原審において出願人(請求人)が提出した参考資料によれば、請求人は、福井県の日本酒の製造会社であり、その創業は江戸時代(1804年)と古く、その取扱いに係る日本酒「黒龍(コクリュウ)」は、大吟醸の草分け的存在でこの種業界及び愛好家に知られていることが認められる。また、請求人は、本願商標と同一の態様からなる標章を上記大吟醸「黒龍(コクリュウ)」の姉妹品として、「黒龍」の文字とともに、昭和50年ころより使用し、今日に至るまで大手百貨店等を通じて継続して販売してきたことが認められる。
してみると、日本酒を取り扱う業界においては、「龍」の表示は、請求人の取扱いに係る大吟醸「黒龍」の姉妹品としてある程度知られていたものと認め得るところである。
そうであるとすれば、本願商標は、引用各商標と「タツ」、ないし「リュウ」の称呼を共通にする場合があるとしても、外観及び観念において大きく相違すること、取引の実際において、本願商標と同一の態様からなる「龍」は、請求人の代表的商標である「黒龍」とともに日本酒について使用され、その取引者、需要者にある程度知られていること等を総合的に勘案すると、本願商標及び引用各商標を同一又は類似する商品について使用しても、商品の出所について誤認混同を生ずるおそれはないものというのが相当である。
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消を免れない。
その他、本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 (1)本願商標



(2)引用A商標


審決日 2002-04-26 
出願番号 商願平9-180699 
審決分類 T 1 8・ 26- WY (Z33)
最終処分 成立  
前審関与審査官 食品01高山 勝治 
特許庁審判長 茂木 静代
特許庁審判官 瀧本 佐代子
小林 和男
商標の称呼 リュー、タツ 
代理人 戸川 公二 

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