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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 016
管理番号 1058445 
審判番号 審判1999-31435 
総通号数 30 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2002-06-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 1999-10-25 
確定日 2002-03-20 
事件の表示 上記当事者間の登録第3153588号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第3153588号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第3153588号商標(以下「本件商標」という。)は、平成5年6月10日に登録出願され、別掲(1)のとおり、「賃貸住宅情報」の文字を左横書きしてなり、第16類「雑誌、新聞」を指定商品として、平成8年5月31日に設定登録されているものである。

2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、請求の理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を、概略次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
(1)請求の理由
被請求人は、継続して3年以上日本国内において、本件商標をその指定商品に関して正当な理由なく使用していない。また、本件商標について専用使用権は設定されておらず、通常使用権の登録もない。よって、本件商標は商標法第50条の規定により、その登録を取り消されるべきである。
(2)答弁に対する弁駁
(ア)被請求人の提出に係る証拠(資料1〜9)を精査しても、本件商標が商品雑誌の商標として使用されている事実を見出すことは全くできない。
(イ)資料1〜9の全てにおいて、雑誌の題号としては、多少図案化された「abCHINTAI」の欧文字と、その称呼に相当する「エイビー・チンタイ」が用いられている。そもそも商標は、自己の商品を他人の商品と区別するために用いられる標識であって、商品雑誌については、その題号が自他商品識別機能を発揮し、取引者・需要者は当該題号により商品の選択を行うものであることは自明である。従って、資料1〜9の雑誌において、商標として用いられているのは多少図案化された「abCHINTAI」の欧文字とその称呼に相当する「エイビー・チンタイ」である。
(ウ)本件商標は「賃貸住宅情報」の文字よりなるものであるが、資料1〜9においてこれが商標として用いられている事実は皆無である。資料1〜8の表紙には、題号の上方に「世界のアパートメントホテル&賃貸住宅情報」との記載があり、また、資料1〜9の表紙には「U.S.EURO.ASIAの賃貸住宅情報」「海外賃貸住宅情報」の記載がある。更に目次には「世界の賃貸住宅情報」なる項目があり、この項に相当する各頁の上端には、資料1に示されているのと同様な「賃貸住宅情報」の表示が付されているものと推測される。。
被請求人は、これらの記載をもって本件商標の使用であると主張しているが、これらは雑誌に記載されている記事の内容を表示するためのものであるから、前記主張は誤りである。
(エ)雑誌、新聞等の定期刊行物については、内容表示的な標章であっても登録されている例が多い。本件商標「賃貸住宅情報」もそれ自体は内容表示的であるが、指定商品が「雑誌、新聞」であるが故に登録が認められたものと考えられる。しかし、雑誌に関して「賃貸住宅情報」の文字をどのように使用しても登録商標の使用になるというわけではなく、題号として用いた場合にはじめて商標の使用と言いうるのである。このことは、「定期刊行物はその題号が自他商品の識別標識として取引に供されているという定期刊行物に係る取引の実情」(審査基準の解説より)に鑑みても、当然である。
(オ)商標の「自他商品識別機能」とは、自己の商品と他人の商品を区別させる機能であり、取引者・需要者に商品の内容を認識させることができるかどうかではない。即ち、雑誌の商標とは、自己の業務に係る雑誌を他人の業務に係る雑誌と区別させるための標識に他ならず、当該雑誌の内容を理解させるためのものではない。被請求人は題号が内容を表すものでない場合には、内容を端的に表すサブタイトルや形容語、キャッチコピーなどが自他商品識別機能を発揮すると主張するが、この主張は「自他商品識別機能」の意味合いを正しく理解せず、これと商品の内容(品質)表示とを混同した議論にすぎない。

3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由及び請求人の弁駁に対する答弁を概略次のように述べ、証拠方法として、資料1ないし9を提出した。
(1)答弁
(ア)本件商標権の通常使用権者である株式会社海外生活は、資料1の「abCHINTAI/エービーチンタイ」1999年8月号(平成11年7月10日発行)を発行した。
(イ)本件商標権の通常使用権者である株式会社エイビー・チンタイは、資料2〜9の通り「abCHINTAI/エイビー・チンタイ」1999年9月号(平成11年8月10日発行)〜2000年4月号(平成12年3月10日発行)を発行している。
(ウ)資料1〜4は本件審判請求日前に発行されたものであり、資料5〜9はその後に発行されたものである。
(エ)資料1〜9には本件商標「賃貸住宅情報」が表示(使用)されている。従って、本件商標は、通常使用権者である株式会社海外生活及び株式会社エイビー・チンタイにより本件審判請求の日前3年以内に、本件商標の指定商品である「雑誌」について使用され、現在も使用されていることが明らかである。
(2)弁駁に対する答弁
(ア)請求人は、「雑誌の商標として認識されるのは、あくまでも題号であって、それ以外の様々な記載は掲載された記事の内容を示すものと認識される」と述べ、「被請求人提出の資料には、本件商標が雑誌の題号として使用されていないため、自他商品識別機能が発揮されず、商標として使用されている事実を見出すことはできない」と述べ、これら主張の根拠を特許庁の審査基準に求めている。けれども、審査基準は「雑誌の題号が内容表示であっても登録要件としての自他商品識別力があると判断する」という基準にすぎず、商標の使用と自他商品識別機能の発揮についての判断基準を示したものではない。ましてや、「登録商標は雑誌の題号として使用されなければ自他商品識別機能が発揮されず、商標の使用とならない」といった基準でもない。よって、被請求人は請求人の前記主張を否認する。
(イ)登録商標は、どこに、どのような形態や方法で表示されようとも、自他商品識別機能を発揮できる使用であれば、登録商標の使用ということができる。登録商標と他の商標や図形等との組み合わせにより自他商品識別機能が発揮される場合であっても、登録商標が自他商品識別機能発揮の一翼を担っている使用であれば、登録商標の使用ということになる、登録商標を雑誌の題号として用いることは、商標の使用の一態様にすぎず、それが全てではない。
(ウ)雑誌には定まった内容がなく、雑誌毎に別々であるために、雑誌の内容は特定できない。このために雑誌についての商標は内容表示ということはありえず、他の商品では内容表示的な商標であっても、自他商品識別力が有るとされて、登録されているのである。また、雑誌の題号にも規則性や定型性はなく、雑誌の内容と全く無関係と思われるもの、雑誌の内容を直接表示すると思われるものと種々雑多である。雑誌の場合、題号の他に副題号を付けることもあり、把握しにくい雑誌の内容、個性、特徴を強調し、アピールして内容を把握しやすくするために、内容を端的に表現する形容語やキャッチコピーを付加したりすることもある。
(エ)サブタイトル、形容語、キャッチコピー等を付加することは、雑誌に限らず、小説本や映画等でも行われている。題号が内容を表すものでない場合は、題号をみてもそれらの内容を把握することができない場合、内容を端的に表現するためにサブタイトルが付加されることが多い。サブタイトルにより内容を把握し、他の雑誌と識別し、希望する内容の雑誌を誤認することなく購入したりできるのである。このことは、サブタイトルが自他商品識別機能と品質保証機能を発揮していることに他ならない。
(オ)題号やサブタイトルは雑誌のどこに表示するか決められているものでなく、大きさや配置等も自由である。題号やサブタイトルは何処にどの様に表示されても自他商品識別機能が発揮できれば商標の使用である。
(カ)購読者は雑誌の購入にあたって、必ず題号に基づいて雑誌を識別し、購入しているとは限らない。題号が内容表示的なものでない場合は、サブタイトル、形容語、キャッチコピー等に基づいて雑誌を識別し、購入していることが多い。このことは題号やサブタイトルが自他商品識別機能を発揮できるのは当然であるが、形容語やキャッチコピーも自他商品識別機能を発揮でき、さらには雑誌の連載記事や特集記事のタイトルであっても、それらが雑誌識別の目安とされ、題号やサブタイトル以上の識別機能を発揮することもある。このような場合は、形容語やキャッチコピー、連載記事や特集記事のタイトルであっても、自他商品識別機能が発揮されていれば商標法上の商標の使用と認められて当然である。
雑誌を指定商品とする登録商標が商標法上の使用にあたるか否かは、雑誌の題号として使用されているか否かによって決定されるべきではなく、商品の流通上、登録商標が自他商品識別機能を発揮するような使われ方がされているかどうかによって判断されるべきである。
(キ)登録商標は、メインタイトル、サブタイトル、形容語、キャッチコピー、記事のタイトル等のいずれとして使用されていても、自他商品識別機能を発揮するような使われ方であれば、登録商標の使用と判断されるべきである。
(ク)資料1〜8の表紙には「ab.CHINTAI」が表示され、その上に「世界のアパートメントホテル&賃貸住宅情報」が表示されている。この「世界のアパートメントホテル&賃貸住宅情報」は本件商標を「世界のアパートメントホテル」と組み合わせて使用したものである。
(ケ)「ab.CHINTAI」は雑誌の内容を表示するものでないため、それだけでは、雑誌の内容を把握できない。しかし、資料1〜8(雑誌)では、「ab.CHINTAI」の上に「世界のアパートメントホテル&賃貸住宅情報」と表示されているため、購読者は内容を把握した上でその雑誌を購入することができる。従って、「世界のアパートメントホテル&賃貸住宅情報」は「ab.CHINTAI」の内容を把握する上での一助となるものであり、完全な副題(サブタイトル)である。
(コ)雑誌のメインタイトルが雑誌の内容と関係ないものである場合は、サブタイトルは商品の内容を把握し、他の雑誌の内容と端的に識別するために必要不可欠であり、識別標識そのものである。
(サ)資料1〜8には本件商標「賃貸住宅情報」が使用されており、しかもそれはサブタイトルとして使用されて自他商品識別機能を十分に発揮しているものであるため、商標法上の登録商標の使用そのものである。

4 当審の判断
(ア)被請求人が証拠方法として提出した資料1ないし9によれば、本件商標の通常使用権者である株式会社海外生活又は株式会社エイビー・チンタイは、平成11年7月10日から同12年3月10日の間に発行された雑誌「ab.CHINTAI」の表紙に別掲(2)ないし(5)のとおりの構成よりなる標章(以下「使用A標章ないし使用D標章」という。)を表示、また、同11年7月10日発行の同雑誌(資料1)の7ページから51ページの間の各ページ(一部ページを除く)上端部分に「賃貸住宅情報」(以下「使用E標章」という。)の表示をしていることが認められる。前記の雑誌は、本件商標の指定商品中の「雑誌」の範ちゅうに含まれる商品である。
(イ)商標登録の取消を免れるためには、被請求人が、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者等のいずれかがその請求に係る指定商品のいずれかについて登録商標の使用をしていることを証明しなければならないところ、被請求人が提出した資料6ないし9は、その雑誌の発行日が、本件審判の請求の登録(平成11年11月17日)以降のものであるから、前記の証拠として認められない。
(ウ)資料1は、雑誌「ab.CHINTAI」(平成11年7月10日発行)であり、資料2ないし5は、同11年8月10日から同年11月10日の間に発行された同雑誌の表紙と裏表紙のコピーである。
(エ)使用各標章の使用について判断すると、使用A標章は、別掲(2)のとおり、「世界のアパートメントホテル&賃貸住宅情報」の文字よりなり、資料1ないし5において、題号である「ab.CHINTAI」の文字部分の左上に表示されている。これらの表示は、同雑誌が、世界のアパートメントホテルの賃貸に関するものであることを示すものとして、需要者に認識されるにとどまるというのが相当であるから、商品の出所表示機能としての役割を果たすものでなく、商標の使用と認めることはできない。
また、使用B標章は、別掲(3)のとおり、「US.EURO.ASIAの賃貸住宅情報」の文字よりなり、資料1及び2の同雑誌の表紙中程の右側に表示され、使用C標章は、別掲(4)のとおり、「世界の賃貸住宅情報」の文字よりなり、資料1及び資料3ないし5の目次に表示されている。使用D標章は、別掲(5)のとおり、「海外賃貸住宅情報」の文字よりなり、資料3ないし5の表紙中程の右側に表示されている。使用E標章は、「賃貸住宅情報」の文字よりなり、資料1の雑誌中、「世界の賃貸住宅情報」としての記事が掲載されている各ページの上端に表示されている。
(オ)資料1ないし5の雑誌「ab.CHINTAI」は、海外生活者のための賃貸住宅に関する情報を掲載した月刊雑誌であり、その表紙には、海外の賃貸住宅に関する情報について、「アパートメントホテル情報」「US.EURO.ASIAの賃貸住宅情報」(資料1、平成11年7月10日発行)、「帰国者のための東京賃貸マンション情報」「US.EURO.ASIAの賃貸住宅情報」(資料2、同年8月10日発行)、「海外アパートメントホテル情報」「海外賃貸住宅情報」(資料3、同年9月10日発行)のように、この月刊雑誌の掲載内容を表示して紹介していることが認められる。
そうすると、使用B標章ないし使用D標章は、雑誌の掲載内容を知らせる表示として、使用E標章は、表示ページの掲載内容を示す表示として、需要者に認識される文字といえるから、商品の出所表示機能を果たすものでなく、商標の使用と認めることはできない。
(カ)請求人は、雑誌の題号以外の使用においても、自他商品識別機能を発揮できる使用であれば、登録商標の使用と言うことができると主張し、平成12年11月13日提出の答弁書において、本件商標は、資料1ないし8の表紙中と記事中に表示されていると述べている。そして、表紙の題号の上に表示されている引用A標章は、「世界のアパートメントホテル」と本件商標を組み合わせて使用したもので、内容を把握する一助となるサブタイトルであるから、商品の内容を把握し、他の雑誌の内容と端的に識別するために必要不可欠であり、識別標識そのものであると主張する。
(キ)けれども、題号「ab.CHINTAI」の文字の左上方に小さく記載された「世界のアパートメントホテル&賃貸住宅情報」の文字は、当該雑誌に、世界のアパートメントホテルと賃貸住宅に関する情報が掲載されているものであると、需要者に認識させるにとどまり、商品の出所表示機能は、題号である「ab.CHINTAI」及びその表音である「エイビー・チンタイ」の文字にあると認められる。
商標は、自他商品を識別する標識として使用されるものであるから、雑誌の掲載内容表示が、需要者に対して購入の動機となる場合があるとしても、それらの表示は、あくまでも雑誌の掲載内容を示すものにすぎず、商標としての機能(自他商品識別機能)を果たすものとは認められない。したがって、請求人の主張は、採用できない。
(ク)以上のとおりであるから、被請求人が提出した証拠(資料1ないし9)によっては、本件商標が商品「雑誌」について使用されていたとは認められないものであり、他に本件商標をその指定商品中のいずれかについて使用をしていると認め得る証拠はない。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 (1)本件商標

(2)使用A標章

(3)使用B標章

(4)使用C標章

(5)使用D標章

審理終結日 2001-03-12 
結審通知日 2001-03-13 
審決日 2001-03-26 
出願番号 商願平5-57496 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (016)
最終処分 成立 
前審関与審査官 薩摩 純一青木 博文 
特許庁審判長 佐藤 敏樹
特許庁審判官 上村 勉
村上 照美
登録日 1996-05-31 
登録番号 商標登録第3153588号(T3153588) 
商標の称呼 チンタイジュータクジョーホー、チンタイジュータク 
代理人 原島 典孝 
代理人 一色 健輔 
代理人 小林 正治 
代理人 鈴木 知 
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