• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 109
管理番号 1055397 
審判番号 審判1999-30659 
総通号数 28 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2002-04-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 1999-06-01 
確定日 2002-02-28 
事件の表示 上記当事者間の登録第1750047号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第1750047号商標(以下、「本件商標」という。)は、「TSK」の欧文字を横書きした構成よりなり、第9類「産業機械器具(但し、金属加工機械器具、土木機械器具および荷役機械器具を除く)動力機械器具、風水力機械器具、事務用機械器具、その他の機械器具で他の類に属しないもの、機械要素(但し、動力伝導装置、管継ぎ手、パツキングおよびガスケツトを除く) 」を指定商品として、昭和54年2月16日に登録出願、昭和60年2月27日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により本件商標の登録は指定商品中「半導体製造装置及びこれに類似する商品,石材加工機械器具及びこれに類似する商品,ガラス器製造機械及びこれに類似する商品」を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のとおり述べている。
(1)請求の理由
本件商標は、商標権者により継続して3年以上、日本国内において商品「半導体製造装置及びこれに類似する商品,石材加工機械器具及びこれに類似する商品,ガラス器製造機械及びこれに類似する商品」について使用されていない。
また、本件商標の商標権には専用使用権は設定されていない。加えて、通常使用権も登録されていないことから、本件商標権の通常使用権者も存在しないことが推認し得る。
(2)半導体製造装置の使用について
「半導体製造装置」とは、専ら半導体製造に用いられる装置を意味するものと解される。しかるに、「高純度薬液自動充填装置」は答弁書添付の商品カタログから明なように、高純度薬液をビン等の容器に自動的に充填するための装置であって、広い意味での包装用機械器具に属するものといえる。
したがって、「高純度薬液自動充填装置」は「半導体製造装置」に該当しない。
また、「プラズマ成膜装置」は、答弁書添付の商品カタログの記述から明らかなように、多目的な成膜に用いられるものであって、汎用性のプラズマ成膜装置である。すなわち、該プラズマ成膜装置は専ら半導体製造に用いられる極度に精密に制御された薄膜を形成する装置ではないといえる。そして、このカタログ中には、このプラズマ成膜装置が半導体製造に用いられる旨の記述は全く無いものであるから、「プラズマ成膜装置」は「半導体製造装置」には該当しない。
さらに、「プラズマ成膜装置」の使用事実を証するものは商品カタログのみであって、この装置に関して本件商標が本件審判の予告登録前3年以前に使用されていることも何ら立証されていない。
(3)石材加工機械器具の使用について
被請求人は、答弁書添付の新聞記事及び商品カタログの記述からして、廃棄物を高温で溶融して結晶させたものを主材料にした外装壁タイルの開発を他の第三者と共同して行ったのみで、「結晶化石材製造装置」なる装置そのものを製造・販売しているものではないことが判る。
また、仮に、被請求人が「結晶化石材製造装置」を製造・販売したとしても、この装置は廃棄材を高温で溶融して結晶させたものを主材料にした外装壁タイルの製造装置に止まる。一方、本件審判における取消の対象となる「石材加工機械器具」とは建築・土木に用いる石材に切断・研磨等の加工を施す機械器具を意味するものと解される。この外装壁タイル製造装置と石材加工機械器具とは用途・機能が全く異なる。
したがって、外装壁タイル製造装置は石材加工機械器具に該当しない。

3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由及び弁駁に対する答弁を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第16号証(枝番号を含む。)を提出している。
(1)被請求人は、以下の乙各号証を以て立証するとおり、「半導体製造装置」及び「石材加工機械器具」について本件商標を本件審判請求の登録前3年以内に継続して使用している。
(2)半導体製造装置の使用について
(ア)乙第3号証は、「TSK」の商標が掲載された「高純度薬液自動充填装置」に関する被請求人が作成したカタログであって、この「高純度薬液自動充填装置」は半導体ウエハーの洗浄や導体回路を形成するエッチング処理等に利用される「半導体製造装置」である。
(イ)乙第6号証は、「TSK」の商標が掲載された「プラズマ成膜装置」に関する被請求人が作成したカタログであり、この「プラズマ成膜装置」は半導体ウエハーの成膜や導体回路の形成に利用される「半導体製造装置」であって、被請求人はこのカタログも頒布し、「半導体製造装置」の営業活動を幅広く展開している。
(3)石材加工機械器具の使用について
(ア)乙第7号証は、平成11年5月11日付にて「化学工業日報」新聞に掲載された「リサイクル石材」の当社の開発・製造に関する新聞発表の記事であって、同記事に記載された「エコ・チャート」と称する外装壁タイルに関する被請求人使用のカタログを乙第8号証に示す。
この乙第8号証は、上記平成11年5月11日付発表の際、上記「化学工業日報」新聞社及び乙第9号証ないし乙第11号証に示す各新聞社に対して配布されたカタログであり、かつ、そのカタログには被請求人の社名と共に「TSK」の商標が掲載されている。
しかして、この乙第8号証には、「結晶化石材」を加工して外装壁タイルを製造する一連の機械器具(この機械器具は「石材加工機械器具」に相当するものである。)が掲載されており、「廃棄物を焼却した焼却灰を溶融して結晶化石材を生成させる装置」と共に、その石材を加工しタイルを製造する「石材加工の機械装置」が掲載されている。
(4)請求人の弁駁に対する答弁
(ア)「半導体製造装置」とは、何百もの半導体の製造工程において使用される各種装置の総称であって、「半導体製造装置」という固有の装置があるわけではない。したがって、或る装置・機器が「半導体製造装置」に該当するか否かは、その装置・機器が半導体の製造工程において使用することが可能な機能を備えているか否かで決まるといえる。「高純度液自動充填装置(ファインマスター)」は、半導体製造工程でなくてはならない装置の一つであり、その意味で「半導体製造装置」に該当する。
(イ)「プラズマ成膜装置」は、半導体製造工程の中でも前工程の段階にあたる半導体ウエーハ等の「成膜工程」で使用する装置であり、その「成膜工程」に使用可能な機能を備えており、その証拠にユーザーからの「証明」(乙第13号証の1ないし4)を提出する。
(ウ)請求人が、次世代ハードディスク読み取りヘッドとなるトンネル磁気抵抗素子(TMR)ヘッド用の超高真空対応マルチスパッタア装置を開発し、東北大に納入した。そのことを報じた2000年4月19日付新聞「Business&Technology」記事(乙第16号証の1)とそのリーフレット(乙第16号証の2)を提出する。
(エ)「石材加工機械器具」についての本件商標の使用とする被請求人の装置は、外装壁タイルの製造装置であり、とりわけ、廃棄物を高温で溶融して結晶化させた溶融結晶化リサイクル石材を主原料として製造するもので、強度が高く、吸水率が低く、ダイオキシン類や重金属等が溶け出す心配のない高品質の外壁タイルを製造するものである。そして、「石材加工機械器具」とは、建築・土木に用いる石材に切断・研磨等を施す機械器具に限る必要はない筈であり、加工の中にはタイル等の石材の製造も含まれるものと考える。

4 当審の判断
(1)半導体製造装置及びこれに類似する商品の使用について
商標法施行規則別表に例示の「半導体製造装置」とは、専ら半導体製造に用いられる装置を意味するものと解され、「日本標準商品分類」(平成2年6月改訂 総務庁統計局統計基準部 編集)によれば、半導体の製造工程において使用される各種装置を包括表示したものであって、これの下位概念に属する装置として「半導体設計用装置」、「マスク・レチクル作成装置」、「ウエハ製造装置」のほか「プラズマCVD装置」、「スパッタリング装置」等の「薄膜形成装置」である「ウエハ処理装置」及び「搬送用装置」、「純水用装置」、そして、「薬液供給装置」、「薬液純化装置」、「廃液処理装置」及び「その他の薬液用装置」を含む「薬液用装置」の「半導体製造用関連装置」等の記載が認められるところである。
そこで、被請求人の提出に係る商品カタログにおける「高純度薬液自動充填装置」(乙第3号証)についてみるに、当該商品は、半導体の製造工程におけるウエーハ上の金属や有機物などの汚れを取り除く「洗浄」工程に使用される「薬液供給装置」のように、直接的に半導体の製造工程において使用される装置といえないとしても、これを含み「薬液純化装置」、「廃液処理装置」及び「その他の薬液用装置」の各装置をまとめて称するところの「半導体製造用関連装置」の一というべき装置である。加えて、半導体関連の業界誌と認め得る株式会社工業調査会発行に係る「電子材料」1998年12月号、同誌1999年6月号の広告記事(乙第4号証及び乙第5号証)、及び平成12年9月12日付の答弁書(第二)において提出された「半導体製造装置・材料の国際エキシビジョン」とする1999年12月1日ないし3日に幕張メッセにおいて開催された「セミコン・ジャパン99 出展社ご案内」(乙第14号証)からして、その取引対象者(取引者・需要者)は半導体製造装置・材料の関連企業であることを窺わせるものである。
してみれば、「高純度薬液自動充填装置」の商品カタログの表紙及び業界誌「電子材料」1999年6月号の広告記事に本件商標と社会通念上同一と認められる標章が付されているところであり、さらに該商品カタログは、その最終頁の右下隅に「9308 1,000 P019-K」の記載からして1993年8月に作成されたことを推認させるものであって、これが本件審判請求の登録前3年以内に作成されたものでないとしても、一つの商品カタログを何年にも亘って使用することはあり得ることであり、必ずしも3年のサイクルでカタログを再制作するものともいいきれず、かつ、業界誌「電子材料」1998年12月号、同誌1999年6月号への掲載広告(乙第4号証及び乙第5号証)とを合わせみれば、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において本件商標を「半導体製造装置」中の「薬液用装置」の範疇に属する商品、或いはこれに類似する商品について使用していたものとみるのが相当である。
(2)石材加工機械器具びこれに類似する商品の使用について
現行商標法施行規則別表に例示の「石材加工機械器具」は、ニース協定に基づく国際分類の変更(第6版から第7版への変更)等に伴い、商標法施行規則別表が改正され、その際に「産業機械器具」の範囲に含まれてた商品として、その、中概念表示として追加例示された商品である。そして、本件商標は上記のとおりの商品を指定してなるから、その指定商品中には「石材加工機械器具」を含むものである。
ところで、「産業機械器具」の範囲に含まれる従前例示の中概念表示としての「金属加工機械器具」、「化学機械器具」等は、さらに個々具体的機械器具を下位概念表示として例示しているものであるが、「石材加工機械器具」についは下位の概念に属する商品例示がなく、かつ、前出の「日本標準商品分類」或いは「JIS工業用語大辞典【第4版】」(1998年7月15日財団法人日本規格協会 発行)において「石材加工機械器具」の表示をもっての掲載は存しないところであり、必ずしも「石材加工機械器具」という概念はあいまいであって、その範囲は一定していないといわなければならない。
そうすると、「石材加工機械器具」については、請求人の述べる建築・土木に用いる石材に切断・研磨等の加工を施す機械器具を意味するものと解される旨の主張は認め難く、これを裏付ける証左も見出し得ないから、この主張は採用できないものである。故に、商標法施行規則別表に例示の「石材加工機械器具」における「石材」とは、「石材または石材類似材料」を、また、「加工」とは、「人工を加えること。細工すること。原材料に手を加えること。」(広辞苑より)を意味するものとして、その商品範囲を広く解すべきというのが相当である。
そこで、被請求人の提出に係る「Eco-Chat」なる商品カタログ(乙第8号証)についてみるに、当該カタログは、石材化した廃棄物の焼却灰や下水汚泥を再利用した外装壁タイルに関するものであって、その製造工程には廃棄物を結晶化石材に加工する装置を含んでなるものであり、これが「石材加工機械器具」以外の如何なる概念に属する商品といえない以上、「石材加工機械器具」を広く解し、この範疇になる装置といわざるを得ない。
そして、該外装壁タイルの開発・販売は数社の企業によるとしても、該装置に関する技術や製造は被請求人が行っていることは、平成11年5月11日付「化学工業日報新聞」、平成11年5月19日付「環境新聞」等(乙第7号証、乙第9号証ないし乙第11号証)の各紙の報道記事からして認められるところである。
してみれば、当該カタログの裏面には、共同開発企業として被請求人の社名と共に本件商標と社会通念上同一と認められる標章が付されているところであり、該各紙の報道日時からして、当該カタログがその前後に頒布されていたことを充分推認させるものであるから、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において本件商標を「石材加工機械器具」の範囲に属する商品と認めざるを得ない「廃棄物を結晶化石材に加工する装置」について使用していたものというのが相当である。
(3)したがって、本件商標の登録を商標法第50条の規定により、本件審判の取消請求に係る指定商品について、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2000-12-15 
結審通知日 2001-01-05 
審決日 2001-02-05 
出願番号 商願昭54-9775 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (109)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 寺島 義則小川 有三山岸 次郎 
特許庁審判長 小松 裕
特許庁審判官 大川 志道
高野 義三
登録日 1985-02-27 
登録番号 商標登録第1750047号(T1750047) 
商標の称呼 テイエスケイ 
代理人 志賀 正武 
代理人 高橋 詔男 
代理人 渡邊 隆 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ