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審決分類 審判    008
管理番号 1055388 
審判番号 審判1998-9685 
総通号数 28 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2002-04-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1998-06-24 
確定日 2002-02-28 
事件の表示 平成5年商標登録願第1635号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、下記(イ)に表示したとおりの構成よりなり、第8類「はさみ類、ほうちょう類、かみそり、その他の手動利器、刀剣、電気かみそり及び電気バリカン、角砂糖はさみ、缶切り、くるみ割り器(貴金属製のものを除く。)スプーン、フォーク、水中ナイフ、水中ナイフ保持具、パレットナイフ、ピンセット」を指定商品として、平成5年1月13日に登録出願されたものであるが、その後、平成7年12月18日付け差出しの手続補正書で指定商品を「はさみ類、ほうちょう類、かみそり、その他の手動利器、刀剣、角砂糖はさみ、缶切り、くるみ割り器(貴金属製のものを除く。)スプーン、フォーク、水中ナイフ、水中ナイフ保持具、ピンセット」と補正しているものである。

2 当審の拒絶理由
これに対し、当審では新たに、「本願商標は、その構成中の一部に、米国ニューヨーク生まれの著名なデザイナーである「ラルフ・ローレン」(関連企業「ザ ポロ/ローレン カンパニー リミテッド パートナーシップ」)が1970年代より現在まで「眼鏡、紳士服、シャツ」等の商品に長年に亘って使用してきた結果、本願商標の登録出願時に、我が国で、当該文字よりなる商標は、上記「ラルフ・ローレン」(「ザ ポロ/ローレン カンパニー リミテッド パートナーシップ」)の業務に係る商品を表す商標として、取引者・需要者間に広く認識されている「POLO」の文字を有してなるものであるから、これを請求人(出願人)が、その指定商品に使用した場合には、上記「ラルフ・ローレン」(「ザ ポロ/ローレン カンパニーリミテッド パートナーシップ」)の業務に係る商品又は同人と何等かの関係にある者の業務に係る商品であるが如く、その出所について誤認・混同を生じさせるおそれがある。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」との拒絶理由を請求人(出願人)に通知した。

3 当審の判断
(1)株式会社講談社昭和53年7月20日発行「男の一流品大図鑑」、サンケイマーケティング昭和58年9月28日発行「舶来ブランド事典'84ザ・ブランド」の記載によれば、以下の事実が認められる。
アメリカ合衆国在住のデザイナーであるラルフ・ローレンは1967年に幅広ネクタイをデザインして注目され、翌1968年にポロ・ファッションズ社(以下「ポロ社」という。)を設立、ネクタイ、シャツ、セーター、靴、カバンなどのデザインをはじめ、トータルな展開を図ってきた。1971年には婦人服デザインにも進出し、「コティ賞」を1970年と1973年の2回受賞したのをはじめ、数々の賞を受賞した。1974年に映画「華麗なるギャツビー」の主演俳優ロバート・レッドフォードの衣装デザインを担当したことから、アメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。その頃からその名前は我が国服飾業界においても知られるようになり、そのデザインに係る一群の商品には、横長四角形中に記載された「Polo」の文字と共に「by RALPH LAUREN」の文字が用いられ、これらは「ポロ」の略称でも呼ばれている。
そして、株式会社洋品界昭和55年3月発行「海外ファッション・ブランド総覧1980年版」「ポロ/Polo」の項及びボイス情報株式会社昭和59年9月発行「ライセンス・ビジネスの多角的戦略'85」の「ポロ・バイ・ラルフ・ローレン」の項の記述及び昭和63年10月29日付け日経流通新聞の記事によれば、我が国においては西武百貨店が昭和51年にポロ社から使用許諾を受け同52年からラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴、サングラス等の、同53年から婦人服の輸入、製造、販売を開始したことが認められる。また、ラルフ・ローレンに係る紳士服、紳士用品については、株式会社スタイル社1971年7月発行「dansen男子専科」を始め、前記「男の一流品大図鑑」、株式会社講談社昭和54年5月発行「世界の一流品大図鑑'79年版」、株式会社チャネラー昭和54年9月発行別冊チャネラー「ファッション・ブランド年鑑'80年版」、「男の一流品大図鑑'81年版」(昭和55年11月発行)、「世界の一流品大図鑑'80年版」(昭和55年5月発行)、婦人画報社昭和55年12月発行「MEN'S CLUB1980,12」、「世界の一流品大図鑑'81年版」(昭和56年5月発行)、前記「舶来ブランド事典'84ザ・ブランド」、株式会社講談社昭和60年5月発行「流行ブランド図鑑」のそれぞれにおいて、メガネについては、「世界の一流品大図鑑'80年版」、「ファッション・ブランド年鑑'80年版」、「男の一流品大図鑑'81年版」、「世界の一流品大図鑑'81年版」のそれぞれにおいて、「POLO」、「ポロ」、「Polo」、「ポロ(アメリカ)」、「ポロ/ラルフ・ローレン(アメリカ)」等の表題の下に紹介されていることが認められる。
なお、ラルフ・ローレンの「POLO」、「Polo」、「ポロ」文字及び「ポロプレーヤ商標」(下記ロに表示)よりなる商標について、上記認定事実とほぼ同様の事実を認定した判決(東京高裁平2年(行ケ)第183号、平成3.7.11言渡し、東京高裁平11年(行ケ)第251、平成11.12.16言渡し、東京高裁平11年(行ケ)第267号、平成11.12.16言渡し)がある。
以上の事実を総合し、上記判決をも併せ考慮すると、我が国においては、遅くとも昭和55年頃までには既にラルフ・ローレンのデザインに係る商品を表示するものとして「POLO」の商標及び「ポロプレーヤー商標」が、取引者・需要者の間に広く認識されるに至っていたものと認められ、その状態は現在においても継続しているというのが相当である。
(2)ところで、本願商標は、別記(イ)に表示したとおりゴシック体で書した「BEVERLY HILLS」と「POLO CLUB」の欧文字の間にポロ競技者のプレーヤーの図形を描いてなるものであるところ、これらの文字と図形は常に一体不可分のものとして把握しなければならない特段の事由が存するものとも認められないものである。そして、該「BEVERLY HILLS POLO CLUB」の欧文字部分は、我が国の需要者間に特定の観念を生じさせるものとして知られているものとも言い得ないものである。また、その構成中には、上記(1)認定のとおり、ラルフ・ローレン(関連企業「ザ ポロ/ローレン カンパニー リミテッド パートナーシップ」)が「紳士服、紳士靴、眼鏡、サングラス」等に使用するものとして周知著名な「POLO」に類似する「POLO」の欧文字及び「ポロプレーヤー商標」に類似するポロ競技者のプレーヤーの図形を有してなるものである。
そうとすれば、本願商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、前記した実情から、その構成中の「POLO」の欧文字及びポロ競技者のプレーヤーの図形に注目し、前記ラルフ・ローレン(「ザ ポロ/ローレン カンパニー リミテッド パートナーシップ」)が「紳士服、紳士靴、眼鏡、サングラス」等に長年使用し、本願商標の出願時には取引者・需要者間に広く認識されていた「POLO」及び「ポロプレーヤー商標」を想起し、該商品がラルフ・ローレン(「ザ ポロ/ローレン カンパニー リミテッド パートナーシップ」)又は同人と組織的・経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く商品の出所について誤認混同を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
(3)なお、この点について、請求人は、本願商標は(イ)「BEVERLY HILLS POLO CLUB」の欧文字は全体が一体不可分のものと認識され、ポロ愛好家の集まりである特定のクラブを表現したものと容易に認識される、(ロ)本願商標の使用及び登録に関してはポロ側及び承継人が何ら異議を唱えるようなものではなく、本願商標はポロ側の商標と出所混同を生ずるおそれがあるものではない旨主張しているが、我が国において、「POLO」の文字及び「ポロプレーヤー商標」が、前記ラルフ・ローレン(「ザ ポロ/ローレン カンパニー リミテッド パートナーシップ」)に係るものとして取引者・需要者間に広く認識されている実情からすれば、請求人のこの主張は採用することができない。
(4)したがって、本願商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものと認められる。
よって、結論のとおり審決する。

別掲 (イ)本願商標

(ロ)ポロプレーヤー商標

審理終結日 2000-02-04 
結審通知日 2000-02-18 
審決日 2000-03-21 
出願番号 商願平5-1635 
審決分類 T 1 80・ 271- WZ (008)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 八木橋 正雄板垣 健輔 
特許庁審判長 寺島 義則
特許庁審判官 滝沢 智夫
野上 サトル
商標の称呼 ビバリーヒルズポロクラブ、ビバリーヒルズ、ポロクラブ、ポロ 
代理人 照嶋 美智子 

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