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審決分類 審判 一部無効 外観類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z25
審判 一部無効 称呼類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z25
審判 一部無効 観念類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z25
管理番号 1055381 
審判番号 無効2000-35559 
総通号数 28 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2002-04-26 
種別 無効の審決 
審判請求日 2000-10-16 
確定日 2002-02-20 
事件の表示 上記当事者間の登録第4343350号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4343350号の指定商品中「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物」についての登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4343350号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成よりなり、平成10年5月27日に登録出願、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服」を指定商品として、同11年12月10日に設定の登録がされたものである。

2 請求人の引用商標
請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録第4098949号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成よりなり、平成8年5月24日に登録出願、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同10年1月9日に設定の登録がされたものである。

3 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第6号証(枝番号を含む。)を提出している。
(1)無効原因
本件商標は、引用商標と類似し、かつ、その指定商品も同一又は類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであり、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきである。
(2)請求の利益について
請求人は引用商標の商標権者であり、本件商標は引用商標と類似し、その指定商品も同一又は類似する。
請求人が引用商標を使用している状況下で本件商標が使用された場合は、商品の出所について誤認混同をきたす。
ゆえに請求人は、本件の審判を請求することについて利害関係を有する。
(3)無効理由について
本件商標は、引用商標と類似するから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
本件商標は、架空ないし想像上のものと目される動物を描いた黒色図形からなる。
本件商標に係る図形の動物は、欧米などでドラゴンの一種といわれているものであり、これをを詳細にみると、それは翼竜のような駆体をもち、両翼を頭上高くまで開いて頭を囲い、頭部は右翼を向いて火を吐き、尾を右に曲げて胴体下部に沿わせているものである。
これに対する引用商標は、欧米風ドラゴンの図を主体にしてそれを円形の輪郭で囲ったものである。引用商標の要部をなす図形も、翼竜のような躯体をもち、両翼を頭上高くまで開いて頭を囲い、頭部は右翼を向いて火を吐き、尾を右に曲げて胴体下部に沿わせているものである。
加えて両商標の図形は、本件商標が引用商標よりも少しだけ縦長であるとはいえ、細部に至るまで描画の一致をみることができる。
唯一の相違点も、ごくありふれた円形輪郭が引用商標にあって本件商標にそれがないという程度である。かかる円形輪郭の有無は商標相互を識別する上で重要な要素にならない。
本件商標はこのように、引用商標の要部図形と外観が酷似する。また、本件商標や引用商標の要部から「西洋ドラゴン」のような観念・称呼が生じるとすると、両商標は観念・称呼についても紛らわしいものとなる。一方で本件商標と引用商標は、第25類の指定商品について「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物」を共通にしている。
ゆえに本件商標は、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたといえる。
(4)被請求人の答弁に対する弁駁
請求人は、引用商標について、代理店契約関係・業務提携関係にあるドラゴンオプティカルコーポレーション(アメリカ合衆国在)との合意に基づき、同社の使用する商標を登録出願した。同社は「ドラゴン図形」について1994年6月21日に米国で著作権登録を受け(甲第5号証、甲第6号証)、また、同図形の商標や該図形を含む商標の登録を多くの国で受けている(参考資料1〜35)。
この商標のデザインを創作するにあたり、請求人やその関係者は他人の著作物を剽窃する違法行為をしていないし、引用商標の出願前、被請求人側がその種の著作物を創作していたかどうかも知らない。
被請求人は、請求人が引用商標を盗用出願したと主張するが、そのことについて真正な事実や証拠を何ら提出していない。乙第2号証・乙第3号証に基づく被請求人の主張も信凝性を首肯し得るほどの根拠がない。
請求人は盗用に基づき引用商標を出願したのではない。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標は商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものである。また、被請求人の答弁理由はいずれも根拠がなく、本件商標の登録を無効にしてはならないという合理的な理由もないから、既述の指定商品につき、商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきである。

4被請求人の答弁
本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。
(1)請求の利益について
請求人は本件審判を請求するについて利益を有しない。本件審判請求は利益がないとして却下されるべきである。
(2)引用商標の無効理由について
引用登録商標は大きな瑕疵を有する登録に基づくもので、そのような登録の存在を理由に本件商標登録の無効を請求するのは権利の濫用であり、本件請求は棄却されるべきである。
被請求人は、1993年3月初め、株式会社シンクロージング(大阪府豊中市在)に発注して、『ドラゴン図形著作物』を創作、完成し、1993年3月末、同著作物に関する権利「ドラゴンデザイン」を前記会社から買い受け(乙第1号証)、自己の業務にかかる商品「丸首スキータートル」(1993年から1994年秋・冬物)及び「ジップスキーアンダー」(1994年から1995年秋・冬物)に、その『ドラゴン図形著作物』から成る標章を使っている(甲第2号証及び乙第1号証)。
『ドラゴン図形著作物』は、引用商標の登録出願日より前の平成5年(1993)3月末に創作され、その頃、著作権が発生している(乙第2号証)。
引用商標は、被請求人が著作権を有する『ドラゴン図形著作物』と同一と認められる。請求人はその『ドラゴン図形著作物』についての著作権者でも、その利用等について著作権者から許諾を得た者でもない。
このように、引用商標は出願・登録についての正当な権限が認められず瑕疵を有し、社会正義に欠ける行為により登録されたものであり「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」に該当するから、その登録は同法第46条第1項第1号に基づいて無効とされるべきものである。
かつ、著作権上からも正当な権原が認められる本件商標登録に対して請求人が登録無効を請求するのは、商標法の目的である公正な競業秩序の維持に反するものであり、本件審判請求は権利濫用として棄却されるべきである。
(3)結語
以上のとおり、請求人は、本件審判請求の利益を有するとは認められないものとして、本件審判請求は却下されるべきであり、また、本件審判請求は権利濫用として棄却されるべきである。

5 当審の判断
(1)本件審判請求の利益につき当事者間に争いがあるので判断する。
請求人は、本件商標と商標が類似し、その指定商品も類似すると思料する引用商標の商標権者である。
もし、引用商標が本件商標と類似する商標であって、その指定商品に類似する商品について使用するものとしてその登録を無効とすべきものであるならば、本件商標の登録の存否により、請求人は、商標の所有者・使用者として直接影響を受ける者であるということができるから、本件審判請求をなすについて法律上の利益を有するものと認められる。
(2)そこで、本案に入って審理する。
本件商標は、別掲に示すとおり、爬虫類の頭を持ち翼を円形状に広げた架空の動物を表してなるものである。
これに対し、引用商標は、別掲に示すとおり、爬虫類の頭を持ち翼を円形状に広げた架空の動物をありふれた円輪郭で囲んでなるものである。
そこで両商標を比較すると、両者は、引用商標が円輪郭で囲まれている点及び本件商標がやや縦長に表されている点において差違を有するものの、円輪郭以外の、右を向いた頭部、円を描いて頭上高く掲げた翼、右に跳ねた尻尾等全体がほぼ同一の形状で表され、外観において酷似するものである。
しかして、前記各動物の図形が西洋の神話に登場する「ドラゴン」と称される想像上の動物を紋章風に表したものと認められることをも併せれば、両商標より受ける印象は、前記差異にもかかわらず、極めて近似し、彼此相紛らわしいものである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、外観において類似する商標であり、かつ、本件商標の指定商品中「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物」は、引用商標の指定商品に包含されるものである。
したがって、本件商標は、指定商品中結論掲記の商品については、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものといわなければならないから、同商品についての登録は同法第46条第1項の規定により、これを無効とすべきものである。
なお、被請求人は、引用商標は無効事由を有する商標であり、これによって本件商標の登録の無効を請求するのは権利の濫用である旨述べている。
しかし、引用商標の登録を無効であるとする根拠となる著作権についての証明が、乙各号証によっても明確なものといえないばかりでなく、却って、請求人提出の参考資料によれば引用商標が、その出願前に米国で登録された著作権に由来するものであることが認められる。
してみれば、引用商標は、社会正義や公正な取引秩序に反して登録されたと認めることはできず、明白に無効な登録商標とは到底いえないものであるから、被請求人の前記主張は採用できない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 【別掲】
本件商標


引用商標

審理終結日 2001-12-13 
結審通知日 2001-12-18 
審決日 2002-01-08 
出願番号 商願平10-44770 
審決分類 T 1 12・ 261- Z (Z25)
T 1 12・ 263- Z (Z25)
T 1 12・ 262- Z (Z25)
最終処分 成立  
前審関与審査官 椎名 実 
特許庁審判長 涌井 幸一
特許庁審判官 野上 サトル
小川 敏
登録日 1999-12-10 
登録番号 商標登録第4343350号(T4343350) 
代理人 畑岸 義夫 
代理人 齋藤 義雄 
代理人 亀井 弘勝 
代理人 稲岡 耕作 
代理人 川崎 実夫 

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