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審決分類 審判 全部無効 商3条柱書 業務尾記載 無効としない 041
審判 全部無効 商4条1項10号一般周知商標 無効としない 041
審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない 041
管理番号 1055337 
審判番号 審判1998-35340 
総通号数 28 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2002-04-26 
種別 無効の審決 
審判請求日 1998-07-23 
確定日 2002-02-12 
事件の表示 上記当事者間の登録第3354803号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1.本件商標
本件登録第3354803号商標(以下「本件商標」という。)は、「トフルゼミナール」の文字を横書きしてなり、第41類「予備校における教授」を指定役務とし、商標法の一部を改正する法律(平成3年法律第65号)附則第5条第1項の規定による使用に基づく特例の適用の主張をして、平成4年9月25日に登録出願され、同9年10月31日に設定登録されたものである。

2.請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする。との審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第19号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)本件商標において、ゼミナールは日本語化しており、「共同研究,演習。大学で、教授の指導の下で、学生が自らの研究を発表,討論する学習法。また、その研究グループ。最近は、社会人が講師を招いて共同研究を行う場合もさす。進学予備校の名称として用いられることも多い。邦略してゼミ。」(甲第2号証)と称して使われている。現代用語の基礎知識(自由国民社版)の外来語・略語の説明欄によれば、「ゼミナール」は「日本では予備校の名」として表現されている(甲第3号証の1〜4)。
このことは、NTTのタウンページ職業別編(利用期間1991.2〜1992.2)東京都23区の下編(予備校)(甲第4号証)をみてもいかに多くのところで「〇〇〇ゼミナール」という名称を用いているかが容易に認識されるところである。進学予備校の名称としていかに一般的に使われているかということが明らかにされている。
このような状況を踏まえれば、「ゼミナール」の表示は指定役務「予備校における教授」との関係において著しく自他商品識別力が弱く、本件商標中、「トフル」の文字部分をもって看者に強く印象づけられるということができる。「ゼミナール」の文字部分は、進学予備校の名称として普通に用いられる語として疎薄な印象を与えるにとどまる自他商品識別力の極めて希薄な部分である。簡易迅速な取引場裡における本件商標の取引者・需要者は、余りにも強く印象に残る「トフル」の文字部分に着目し、これより生ずる称呼をもって取引を行うことも決して少なくないと考えるのが自然である。
(2)請求人の業務に係る商標「TOEFL」は日本国のみならず、国際的にもトフル(トーフル)と呼ばれてきた。エデュケイショナル テスティング サービス(以下「ETS」という。)は、日本国においては、商標「TOEFL」や「TOEFL+Design」の他にも商標「トフル」について以前の日本商品区分第24類、第25類および第26類並びに現在の国際商品(役務)区分第42類で商標登録を受けている(甲第6号証の1〜4)。
日本国内においても、1990年〜1991年度以降、毎年100,000人もの受験者がおり(甲第7号証)、多くの英語専門学校が「TOEFL」試験の準備コースを提供し(甲第8号証の1〜3)、数多くの書籍が出版されている。
一般の書店で販売されている書籍においては多くの場合、「TOEFL」テストについての解説がなされている。このなかで、ETSが、公共機関としてこの種の教育機関としては、世界最大の組織である旨の解説、「TOEFL」テストのアメリカ・カナダの各大学の利用状況、1993年〜1994年度の日本におけるTOEFL/TSE/TWE試験会場一覧等興味深い解説の載ってる参考書を証拠の一つとして挙げておく(甲第9号証)。
本件商標の商標登録出願日である平成4年(1992年)9月25日の時点において、すでに多くの英和辞典・略語(カタカナ語)辞典に「TOEFL」はTEST OF ENGLISH AS A FOREIGN LANGUAGEの略である旨、「トフル」あるいは「トーフル」と称呼する旨記載されている。また、発音記号「toufl」をもってトフルあるいはトーフルと称呼する旨記載されているものもある(甲第10号証の1〜10)。このような記載は1993年度以降の出版物についても同様である(甲第11号証の1〜7)。
日本においてもETSの印刷物が数多く提供されていることは先に述べた通りである。「TOEFL」テストについてのBULLETIN(JAPAN)(甲第12号証1〜5)の日本国での配布数は、1991年〜1992年度の時点で260,000、1993年〜1994年度に297,330、1996年〜1997年度に476,276にものぼっている(甲第13号証)。日本で配布されたBULLETINについてはすべて登録商標「トフル」が大きく印刷され登録商標である旨謳われている。
我が国のこのような状況をみれば、登録商標「トフル」は登録商標「TOEFL」とともに明らかに著名商標である。
商標「トフル」はETSの登録商標として日本において著名商標であるがゆえに、第3者が「トフル……」という商標を使用すれば、ETSと何らかの法的関係(ライセンシー)があるものと理解し、両者を関連づけて考える。
(3)ETSが所有する登録商標「TOEFL」は国内はもとより国際的にも著名な商標である。「TOEFL」テストを国際的にみると、1991年〜1992年度以降、毎年800,000人からの受験者がおり、受験者の数は年々増加の一途を辿っている(甲第14号証)。また、ETSはこれまでに相当数にのぼる「TOEFL」試験に関する印刷物を国際的に提供してきている。
「TOEFL」の語や「TOEFL」にデザインを組み合わせた商標・サービスマークは、アメリカ合衆国・日本国はいうに及ばず、世界の大多数の国々の多くの商品・サービス区分においても商標として商標登録されている。世界各国における商標登録の現状は別紙の通りである(甲第17号証の1〜2)。そしてこれらのマークは世界的にトフル(トーフル)と一般的に称呼されている。
これらのことから、「TOEFL」とその称呼であるトフル(トーフル)がいかに国際的に著名商標であるかが理解される。
(4)「英米留学のための専門予備校」としての「トフルゼミナール留学センター」と称する入学案内によれば、表紙において大きくTOEFLと記載され、また、「留学総合案内」をみてもTOEFL試験対策講座がほとんどである(甲第18号証の1〜2)。つまり、ETSの施行するTOEFLテストの受験対策予備校である。「留学総合案内」をみるとTOEFLテスト対策の問題集もかなりだしているようである。
先にも述べたようにTOEFLはETSの登録商標として内外国においてトフル(トーフル)として称呼されている。また「トフル」は日本国内においては著名商標である。ETSの登録商標「TOEFL」及び「トフル」を念頭においた商標「トフルゼミナール」はETSの著名な登録商標の冒用行為である。このようなフリーライド行為はまたETSの登録商標の出所表示機能を稀釈化することにもなる。このような国際信義に反する商標の使用は認められるべきではない。
(5)「トフルゼミナール」といったような商標の商標登録が許されるならば、日本国においても著名な登録商標「TOEFL」及び登録商標「トフル」を有するETSとの間に出所の誤認・混同が生ずることは明らかである。
被請求人の指定役務は「予備校における教授」である。その目的とするところは、先の証拠書類(甲第18号証の1〜2)から明らかなようにETSの施行する「TOEFL」テストの準備に向けられた教授である。この役務は、ETSの業務と極めて緊密な関係にあることはいうまでもない。本件商標は明らかに未登録周知商標の保護を規定した商標法第4条第1項第10号に違反した商標登録である。
また、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に規定する「商品の出所の混同のおそれがあるとき」にも該当することは以上の説明より明らかである。本件商標の場合は少なくとも、審査基準にあるように「他人の著名商標を一部に有する商標について、それが他人の著名商標と類似しないと認められる場合又は他人の著名商標と類似していても商品が互いに類似しないとみとめられる場合において、出品の出所の混同を生ずるおそれがあるとき」(甲第19号証の1〜2)に該当するものと考える。
また、審査基準によれば、「外国において著名な標章であることが商標登録出願の時に、我が国内の需要者によって認識されており、出願人がその出願に係る商標を使用した場合、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものを含むとする」内容にも本件商標は明らかに該当するものと考える。
従って、商標法第4条第1項第10号および第15号をもって本件商標は拒絶されるべきものであった。
(6)また、平成9年4月1日に施行された改正商標法においても、著名商標の保護強化の要請の観点から、「日本国又は外国で周知な商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的をもって使用をするもの」を商標の不登録事由に追加するなど著名商標の冒用行為を未然に防止することを明らかにした改正法施行の趣旨の方向からしても、本件商標のような商標登録は認められるべきものではない。
(7)本願商標は、商標法第3条第1項柱書の規定にも該当する。
本件商標「トフルゼミナール」について商標登録を受けた者は、ETSの著名な商標(サービスマーク)としての「TOEFL」およびその呼び名である「トフル(トーフル)」を当然意識・認識の上、商標登録を巧みに受けた行為は、請求人の所有する商標の国際的な周知著名性に便乗しようとした、即ち、フリーライドとも言うべき冒用行為を意図したものであり、これは「不正競争の意思」に基づく商標登録出願であったというべきである。商標法も不正競業防止法の一環として制定されている以上、商標法第3条第1項柱書「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標については、…商標登録を受けることができる。」の規定は、善意の意思に基づいた商標登録出願人が保護されるべきであり、本条の規定に違反しているという理由においても本件商標の登録は無効とされるべきものである。

3.被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第23号証を提出した。
(1)請求人は、本件商標を意図的に「トフル」と「ゼミナール」に切り離す手法を用いている。
この問題については、既に、平成7年審判第25289号における平成9年6月12日審決がなされており(乙第1号証)、既に判断のなされている問題である。即ち、そこでは、本件商標「トフルゼミナール」は、「これに接する取引者・需要者に、その全体をもって進学塾又は予備校等の名称を表したものとして理解され、一体のものとしてのみ把握されるとみるのが自然である。」従って、商標法第4条第1項第10号には該当しないと判断されている。即ち、類似性が否定されたのである。
ちなみに、請求人は旧第26類印刷物その他本類について「TOEFL」の商標登録を有している(商標登録第1409962号)、これは、株式会社サンケイ出版社が昭和50年出願し、昭和55年2月29日に登録されたものを、昭和56年5月28日に同社から譲渡を受けたものであり、請求人は、日本において、ようやく昭和56年になって、商標登録権者となったものである。
被請求人は、旧第26類において、「トフルゼミナール」の商標登録を有している(平成4年5月29日登録、登録番号第2409508号)。請求人は、この際の商標登録手続についても、登録異議を出したが、被請求人の登録が認められている。請求人は、「トフルゼミナール」を「トフル」と「ゼミナール」に切り離し、類似性を主張したのである。
しかし、「トフル」と「ゼミナール」は一体としての一つの商標であり、請求人の商標「TOEFL」との類似性が否定され、被請求人の登録が認められたのである。従って、請求人の「トフルゼミナール」の商標登録が商標法第4条第1項10号に違反するとの主張は理由がない。
(2)請求人は、「ゼミナール」が「予備校における教授」との関係において、著しく自他商品識別力が弱いとし、「トフル」の文字部分のみに着目し、これより生ずる称呼をもって取引を行うと断定している。即ち、請求人は、「TOEFL」と「トフルゼミナール」との間に、出所の誤認、混同が生じると主張し、独自の理論を展開しているが、これについて以下反論する。
「トフルゼミナール」は、その出願前より需要者である大学受験生の間に広く認識されており、20年以上前から、代々木ゼミナールと肩を並べる大学受験予備校の雄として実績を積み重ねており、予備校を示す、有名なサービスマークとして広く認識されていた(商標法第4条1項10号に規定する「需要者の間に広く認識されている商標」である。)。そして、次に述べるように「TOEFL」とは明確に区別し認識され、かつ、評価されている。
請求人は、本件商標の指定役務である「予備校における教授」と「TOEFL」商標の使用に係わる役務「英語検定試験の実施」とは需要者層を同じくする場合の多い極めて密接な関係があると断定している。
しかしながら、この結論は、「需要者層を同じくする場合の多い」という漠然とした概念を用いて、導き出した誤りであり、到底是認できない。
そもそも、本件商標の指定役務は、日本の大学受験のための専門予備校であり、他方、「TOEFL」のそれは、米国の大学受験の受験生のためにETSという米国の公益法人が実施する英語検定の試験そのものを示す商標である。このことから、需要者が両商標で著しく異なることは明らかである。日本の大学とアメリカの大学の受験生が何故共通であると言えるのであろうか。日本国と米国は、それぞれ異別の独立国であり、当然のことながら、各々の大学の受験生は異なるのであり、換言すれば、日本の大学受験生は、日本の大学の入学資格として、「TOEFL」の検定で良い成績を取得することが要求されていない。
指定役務の比較の場合、漠然とした比較は断じて許容されるべきではない。被請求人は、20年間も「トフルゼミナール」を大学受験予備校のサービスマークとして使用している。
また、「TOEFL」は、請求人が主張するように「TEST OF ENGLISH AS A FOREIGN LANGUAGE」の略語であり、アメリカ合衆国におけるカレッジまたはユニバーシティーにおいて、英語による授業を聴講するにたりる英語力を有するか否かをテストするものであり、英語力のテスト名を表示するものとして知られており、日本で同種類の類似している制度をあげるならば、現在、国立大学受験者に課せられている、いわゆるセンター試験又は英語検定(いわゆる「英検」)のようなものと観念される。「TOEFL」とは、このように、一般的な試験制度を指すものであり、米国留学を目標とする外国人が受験するものである。「TOEFL」とは、上述のように試験そのものを示すものであり、商標の本来の機能である出所表示機能というものがあるものではない。即ち、商品というものではなく、また、本件商標の指定役務となっている予備校の教授というような営業を示すものでもなく、公益法人である請求者が主催して行う試験に過ぎないのである。このことは、国立大学協会が実施している上記のいわゆるセンター試験とその構造を同一にするのである。従って、ありえないことであるが、仮に、英検が「TOEFL」を使用した場合、役務を共通にしており、混同が生じるのである。
また、本件商標を指定役務に使用しても、請求人のライセンシーか、又はその許可を受けているかの如く業務に関し混同を生ずる恐れは全くない。
即ち、そもそも請求人の「TOEFL」テスト業務から予備校における教授という観念は生じてこないからである。また「試験」そのものと「予備校における教授」とは明確に区別して認識できることは明白である。
従って、被請求人の本件商標「トフルゼミナール」の登録が商標法第4条第1項15号に違反するとの主張は理由がない。
(3)不正の目的、またはフリーライド行為との主張について
被請求人は、昭和54年から「トフルゼミナール」の名称をサービスマークとして使用して予備校を約20年間経営し、現在(上智、慶応、早稲田、立教、青山学院等の各大学)英語重視難関校受験のための専門予備校として、その地位を確立している。入学者数の内訳は国公私立大学受験部門が約8割であり、留学のための受験部門は約2割である(乙第2号証)。「トフルゼミナール」の各校所在地は、全国各地にある。
さらに、「トフルゼミナール」は、大手の予備校の一つである代々木ゼミナールと比較されながら、大手新聞記事にも取り上げられており、さらに、先の阪神大震災では、「トフルゼミナール神戸校」が、中高生たちに自習室として場所提供している記事も掲載されている。即ち、「トフルゼミナール」は、社会的実在として社会から大きな評価を受けているのである。
被請求人は「トフルゼミナール」のサービスマークを使用して、長年月にわたり、独自の創意、工夫により、また、広告宣伝費も出費し実績を上げてきたことは明らかであり、請求人が主張するような、不正競争の意図もないし、また、フリーライド行為も存在しない。
(4)商標法第3条第1項柱書に違反し、無効であるとの主張に対する反論 被請求人は、「トフルゼミナール」を「自己の業務に係る役務」である大学受験予備校のサービスマークとして使用している実績がすでに20年に及んでおり、有名なサービスマークとして広く受験生に認識されており、独立の地位を、既に、形成しているものである。被請求人は、「トフルゼミナール」を独自の20年以上にわたる積み重ねの努力により生成して来たのであり、フリーライドと断定する請求人の主張は理由がない。既に前記(1)で述べたように、請求人は、昭和56年に「TOEFL」商標を、株式会社サンケイ出版社から譲り受け、はじめて商標登録権者となっており、それから、18年になっているにすぎないのである。また、「TOEFL」は、既に述べたように「英語検定試験の実施」そのものを行うことを役務としており、大学受験のための専門予備校である被請求人の役務とは、需要者層を異にするのである。
請求人は、被請求人の本件商標の登録出願を「不正競争の意思」あるいは不正目的に基づくものと断定しているが、そもそも、そのような意思がないことは、極めて明らかである。即ち、被請求人には、英語の検定を行って、請求人の役務であり、根幹である「英語検定試験の実施」と競争する意思は全くないのである。

4.当審の判断
(1)本件商標は、前記構成のとおり「トフルゼミナール」の文字よりなるところ、その構成に係る各文字は、同じ書体、同じ大きさの文字で、等間隔に表され、前半の「トフル」の文字と後半の「ゼミナール」の文字とは外観上まとまりよく一体的に構成されていて、しかも、全体の「トフルゼミナール」の称呼もよどみなく一連に称呼できるものである。また、該構成文字中後半部の「ゼミナール」の文字は、「共同研究、演習」等の意味を有する外来語として親しまれているばかりでなく、例えば、「タウンページ」(NTT発行、職業別電話帳)によれば、「○○ゼミナール」と表示され、進学塾又は予備校等の名称として一般に採択使用されていることが認められる。
そうとすれば、本件商標は、これに接する取引者・需要者に、その全体をもって進学塾又は予備校等の名称を表したものとして理解され、一体のものとしてのみ把握されるとみるのが自然である。
そして、他に前記認定を左右するに足る証拠は見出すことができない。
してみれば、本件商標から「トフル」の文字部分のみを抽出して、これより「トフル」の称呼も生ずるとし、その上で、本件商標は、請求人の引用する「TOEFL」の商標(以下「引用商標」という。)と称呼上類似するものであるとする請求人の主張は、理由がなく採用できない。そして、両商標は、他に類似するところは認められない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれからしても類似するものということはできない。
(2)請求人より提出された甲第10号証ないし同第18号証(枝番を含む。)によれば、引用商標が請求人の業務に係る英語能力試験(テスト)を表示するものとして、相当程度知られていることは認められるとしても、本件商標は、上記(1)で認定したとおりであって、引用商標とは、外観、観念についてはもとより、それぞれより生ずる称呼においても明確に区別し得る別異のものとして看取されるといえるものであり、また、被請求人の提出に係る乙各号証より本件商標をその登録出願前から役務「予備校における教授」に使用し、広告宣伝をしてきた事実をも考慮すると、本件商標を指定役務「予備校における教授」に使用した場合、その役務が請求人又は請求人と関係のある者の業務に係るものであるかのように、その役務の出所について混同を生ずるおそれがあるものとは認め難いものである。
(3)本件商標は、第42類「予備校における教授」を指定役務として設定登録されたものであるところ、請求人は、本件商標は商標法第3条第1項柱書の規定に違反して登録された旨主張しているが、被請求人より提出された乙第3号証ないし同第23号証によれば、本件商標は、「不正競争の意思」に基づく商標登録出願であると認めることはできず、本件商標が自己(被請求人)の業務に係る役務について使用をする商標ではないということはできない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項柱書、同法第4条第1項第10号及び同第15号に違反して登録されたものとはいえないから、同法第46条第1項第1号により、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2001-09-14 
結審通知日 2001-09-19 
審決日 2001-10-03 
出願番号 商願平4-211083 
審決分類 T 1 11・ 271- Y (041)
T 1 11・ 18- Y (041)
T 1 11・ 25- Y (041)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 石田 清井岡 賢一 
特許庁審判長 三浦 芳夫
特許庁審判官 滝沢 智夫
中嶋 容伸
登録日 1997-10-31 
登録番号 商標登録第3354803号(T3354803) 
商標の称呼 トフルゼミナール、トフル 
代理人 中森 峻治 
代理人 福田 秀幸 

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